ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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神奈川県川崎市 中編

【嬉しいぜ・・・!

Tシャツ姿のオレがおいつめられて戦闘服を着たことがよう!

天体戦士サンレッドとして怪人と戦えることがなあ!!】

 

[へんたいせんし?]

 

〈いや てんたい レッドさんは太陽の戦士なんです〉

 

全身を真っ赤な服に包み

先ほどよりも強い太陽の力を感じさせるサンレッド

 

「若僧めが・・・

ではもう一度ひねって遊ぶとするか・・・!!」

 

【おらあああああ!!】

 

         ダッ!!

 

ニヤリッ    バシッ

 

「なるほど 力とスピードは申し分ない

その戦闘服は伊達ではないようだな」

 

【オレのパンチが片手で!?】

 

「動揺が大きすぎる」

 

 ビュ  ドゴッ

 

カウンターの一撃がまともにアゴをとらえた

 

【くっそ!さっき戦ったときよりはええ!】

 

「なれん仕事を終えたばかりでな

ようやく肩ならしができたところだ」

 

すぐに立ち上がったところを見ると大したダメージはないか

装備の守備力もさることながら中身もタフのようだな

 

「だがすぐに思い知るだろう・・・

上には上がいるということにな!!」

 

それからはオレの攻撃による一方的な展開だったが

サンレッドはそのたびに立ち上がってきた・・・

ジゼルたちギャラリーの歓声も盛り上がってきたが

 

【あん?・・・こんなときに日没かよ?!】

 

明らかに太陽の力が衰えてきた

どうやら日が沈むと装備が弱体化するようだな

 

「興がそがれたな・・・」

 

【なんだと てめえ!】

 

「その程度の力ではオレは倒せん

絶対にな おまえにもわかるはずだ」

 

怒りに震えるサンレッドとオレの間にヴァンプ将軍が割って入ってきた

 

〈レッドさん 私この後ハドラーさんを

ウチのアジトにご招待しようと思っています

とりあえず 明日またウチに来てもらえませんか?

ハドラーさんもそれでどうでしょうか?〉

 

「よかろう 招待にあずかろう」

 

『ジゼルもお腹がへった頃合いでしょうし ちょうどいいですね

でもあなたは明日もあの若者につきあうのですか?』

 

どこか昔のオレに似ている気がしてな・・・

 

〈ハドラーさん ジゼルちゃん どうぞこちらへ

夕飯は寒くなってきたので久しぶりにお鍋にしようと思ってます〉

 

ヴァンプ将軍に案内されてフロシャイム川崎支部のアジトに来たのだが

 

「・・・ファミリー感の漂うアジトだな 見事に町に調和している」

 

周辺の民家と変わりないたたずまいだが擬態と見れば大したものだ

 

〈ただいま~〉

 

『中も落ち着きがある様子ですね』

 

[おじゃまします]

 

〈下ごしらえはしてましたけど ハドラーさん達の分の

鶏だんごを作り足しておかないとね 野菜はたくさんあるから〉

 

「ほう将軍自ら馳走するとは 大層な歓迎ぶりだな

どれ 後学のために台所に邪魔してもよいか?

オレも料理には多少の心得はある」

 

〈そんな お気になさらず アジトの台所は私の主戦場ですから〉

 

「なに 鶏だんごとやらに興味があるだけだ

今のオレは子守りが主戦場だ 台所も慣れたものよ」

 

〈では手を洗ってからこちらへどうぞ

折角ですから作る所をイチからごらんください〉

 

オレとついでにジゼルもエプロンをつけて台所に入った

 

「ヴァンプ将軍もエプロンを着ているのだな

先ほどの格好より似合うではないか」

 

〈私のは割烹着ですけどね 年季が入ってますから

ハドラーさんもジゼルちゃんもお似合いですよ

ジゼルちゃんのエプロン手がこんでますね~〉

 

「ああ 縫うのに随分苦労した」

 

〈ハドラーさんの手縫いなんですか!?すごいですね!

ああそうです 鶏だんごの材料はこちら

鶏のひき肉 長ネギ 酒 醤油 卵白 生姜汁 片栗粉に胡麻油です〉

 

手際よく材料をそろえていくヴァンプ将軍

長ネギをみじん切りにする姿は見事なものだ

 

〈これを混ぜてこうやってこねて丸めてお鍋に他の具と一緒に煮れば・・・

できあがり とっても簡単 鶏だんご鍋

他の煮物とも相性はバッチリですよ〉

 

「そうか 分量は?」

 

〈うーん そのへんは長年の勘かな

材料もお好みで色々試してみるのも楽しいですよ〉

 

品質の安定のために分量に厳密な黒川流よりオレ向きだな

 

〈あ このくらい混ぜればいいかな

ジゼルちゃん ちょっと丸めてみない?

折角いいエプロン着てるんだもの 粘土を丸めるような感じで〉

 

ジゼルがおそるおそるといった様子で手にとり丸めていく

 

〈そう 上手上手! あハドラーさんもやってみます?

その間に私 お鍋の方を用意しますから〉

 

「そうだな やろう」

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

〈それではみんなビール持った?

ジゼルちゃんやウサコッツ達もミルク持った?〉

 

       \\ はーい //

 

〈それじゃあ ルネッサーンス!〉

 

〔おおヴァンプ様のモノマネ レベルたっけー!〕

 

〔まるで本物みたいっス〕

 

〔なんかちょっと懐かしいですね〕

 

[ルネッサーンス!]

 

ジゼルが上機嫌でマネしている いらんことまでおぼえていくな

 

『かわいいからいいじゃないですか』

 

〈じゃあお鍋のフタとるよ~〉

 

        もわっ

 

(うわあ~ しあわせなかおりがする~!)

 

〔ウサ 粋なこと言うじゃ~ん〕

 

「たしかにいいにおいだ」

 

[おいしい~~!]

 

〔あ めずらしい これ発泡酒じゃなくてビールだ〕

 

〈バイヤー君が買ってきちゃったの とっておいてたの

ハドラーさんのおかげでレッドさんとの対決に希望が見えたんだもの

お祝いしなくっちゃね!〉

 

・・・和気藹々としたまま鍋をつつき 具がなくなってきた

 

〈おまたせしましたクライマックス!

シメにおうどんいれるよ~!〉

 

(わ~! いまどきの冷凍うどんっておいしいよね楽しみ)

 

(うどんチュキ♡)

 

オレの隣にいるヘルウルフが鍋に箸をのばすがうまくとれないでいた

 

「ほれ」

 

適当にとり皿にいれてやった

 

(ハドラーさんチュキ♡)

 

[!?]

 

逆隣にいたジゼルが素早く割り込んできて

 

    ちゅるるるん

 

[おいしいですハドラーさま♡]

 

ヘルウルフの皿にあったうどんを勝手に食べた

 

(ジゼル コロチュ)

 

「!? クァーーッ ハッハッハッ!!」

 

ここまでストレートに敵意を向けられたのはジゼルにとって

はじめてのことだろう 面白くなりそうだ

 

〈ちょっとヘルウルフ君お客様だよ〉

 

「かまわん ほうっておけメシの邪魔をしなければよい」

 

〔今日は満月じゃないし大丈夫ですよ〕

 

(ボクたちがいっしょにいるから任せてよヴァンプさま!)

 

『あなた! ちゃんとジゼルたちを見てくださいよ!!』

 

心配はいらんだろうが

 

『そんな!? ぬいぐるみに囲まれたジゼルなんて

絶対かわいいのに見ないなんて!!』

 

・・・そっちか

 

    \\ ごちそうさまでした~! //

 

〈は~い おそまつさまでした〉

 




今更ですが 拙作では天体戦士サンレッドはアニメ版を元にしています
サンレッドのアニメ 声優さん含め本当に面白かったので
もちろんヴァンプ様の声はあの貴族です
ヴァンプ様の台詞は油断するとおばちゃんみたいな言葉づかいになりそうで難しいです
書くのは楽しいですが。

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