ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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女子プロレス編 入門前

[ハドラー様 私、

東女寮に入ってプロレスラーになりたいです!]

 

「ほう?

オレが元いた世界にもいた格闘士(レスラー)やサンシャインらのような超人レスラーではなく

今日見てきた【プロレスラー】になりたいと」

 

[はい!]

 

ジゼルは興奮冷めやらぬ様子で即答した

ダイやポップも勇者アバンに憧れ 弟子入りしたことから始まったと聞く

メアリ達の闘う姿にジゼルにそういった感情が芽生えたのは歓迎するが

 

「東女寮とはなんだ?」

 

[メアリから聞いた話ですが、

東京女子プロレスに入団した新人が 同期と同じ部屋で寝食を共にしながら

先輩から指導を受けてプロレスラーとしてリングで戦えるように修行する場所です]

 

「ほほう それは面白い」

 

『人間の修行の場がですか?』

 

そこではない そこに入るということは・・・

 

「おまえがオレの元を離れそこで修行に専念する、ということだな」

 

『え!?』

 

〈出家みたいですね〉

 

[・・・・・・はい

メアリは 東女寮で生涯の友であり好敵手と出会い

励ましあい 磨きあい 意識しあうことで今があると言ってました

私は プロレスラーになって リングに上がって

今日のハドラー様の熱い眼差しを受けたいんです!]

 

「そっちか!?強くなりたいのではないのか?」

 

たしかに昔から人間の闘いを見る趣味があったが

 

[もちろんハドラー様に勝つために強くなりたいのが一番ですけど

ハドラー様がヒムちゃんやフレちゃんを見る目と

私を見る目がどこか違う気がしてて・・・

さっきまでのメアリたちの試合を見ていた目が近い気がして]

 

そんなものか 正直そこまで違う気はしてなかったが

 

『まったく同じ、ということはないでしょうね』

 

〈女の子はよく見ているものですよ〉

 

『私は反対です ジゼルはまだ5歳

親元を離れ 戦いに身を置くなんて!

竜の騎士でも普通は紋章の力を使える成人になってからですよ!』

 

聖母竜よ 落ち着いてよくジゼルを見ろ

背中に不安をあらわす暗竜の翼が出ている

普通の暗竜と違いこいつがオレと共にいるときはこれを見せるのは稀だ

こいつがただ試合の熱にあてられ勢いだけでこんなことを言っているわけではない

・・・不安を抱えながら勇気を振り絞っている、ということだ

 

『・・・・・・勇気、ですか』

 

「よかろう だが具体的にどうすればいいのか?」

 

〈出家ならお力になれますが〉

 

{洗礼なら・・・ まあ帰ってから調べましょうか}

 

「とりあえず そこにいるサンシャインたちに聞いてみるか」

 

セミファイナルが終わり 最後の試合まで まだ時間がある

ジゼルを連れて今のうちに聞いておくか・・・

 

【おう メアリ嬢ちゃんのタッグ奪取おめでとう

アシュラマンはスパイダー菊池のファンだから応援はできなかったが

ヤンドラのご褒美からタッグタイトル奪取は快挙だ

ビール飲むか?ジゼル嬢ちゃんにはヤキトリもどうだ?】

 

「もらおう ジゼルも」

 

[サンちゃん ありがとうございます]

 

【次は今日のメインイベント シングルのタイトルマッチだ

凶獣から今 勢いのあるルシフェルが挑戦だ

現チャンピオンのシュバルツは強さにムラがある

ひょっとするかもしれんぞ カーカカカ】

 

「それも気になるが相談がある 実は・・・」

 

サンシャインたちに相談したところ

 

【なるほど ワシが預かって立派な悪魔超人に育て上げたいところだが

人間の技術を肌で学び取るには今がちょうどいい時期かもしれんな

竜の化身超人といえど 今なら肉体的には人間と大差ない

多少抜きんでたところがあったとしてもあそこなら問題は少ない】

 

【私は幼いころ周りと馴染めなかったが 周囲との衝突も

その後の恩師との出会いも別れも・・・

今となっては、かけがいのないものであった

私は協力を惜しまない】

 

【ワシもだ ちょうどこの大会のあと 東女の社長と会う約束がある

週刊リングの記者も同席するが 共に会ってみぬか?

ジゼル嬢のこともなんとかなるかもしれんぞ】

 

「顔が広いな」

 

『体も広いですしね』

 

それは関係ない

 

【そろそろゴングだ 席にもどるといい

メインイベントがはじまるぞ】

 

「ああ ではまた後でな いくぞジゼル」

 

[はい ハドラー様]

 

ジゼルの背中で翼がゆれる

人間社会にしばらく身を置くなら人化術を磨く必要があるな

 

『ジゼルの竜の角も翼もかわいいのですが、

やはり竜人状態のままというわけにはいきませんか』

 

・・・関係ないが竜魔人のバランに一方的に打ちのめされたのを思い出した

 

『あれは極端な例ですから

ジゼルがああなることはないはずですし』

 

どちらもおまえの子だろう

 

・・・

・・・・・・

 

大会を終え聖人二人と別れ はぐれ悪魔コンビと共にこの団体の長に会う

 

『さっきの試合ではレスラーの頂点チャンピオンをめぐる争いでしたが

団体の長 社長はまったく別もの とのことでしたね』

 

最強の存在が魔王を名乗る魔族とは違い 人間社会では普通のことだろう

勇者で王となったアバンの方が珍しい例だ

ジゼルが緊張しながらオレについて歩いてくる

さて どうなることか・・・

 

〔はじめまして 東京女子プロレス社長の東 丈太郎(あずま じょうたろう)です

お会いできて光栄です〕

 

〔プロレス専門誌週刊リングの記者初芝 乃愛(はつしば のあ)です

先日の超人一等祭では直接試合見てました!

こちらがそのときの記事の載った 本誌です

是非 ご一読ください〕

 

「オレの名はハドラー こちらは娘のジゼルだ

今日は客として試合を見に来ただけのつもりだったが

事情が変わってな 急な同席 失礼する」

 

オレが同席したこの集まりは またあの祭りを開催するにあたり

協力する打ち合わせのようだ

次回についてはオレは関与していなかったが 準備は進んでいるようだ

 

【前回は正義超人たちの事情から宣伝や準備に十分な時間がとれず

東女さんとの協力もメアリを招待するぐらいしかできなかったからな

今度は東京を含めた関東での開催を予定している】

 

東女(うち)としても早い段階から協力できるのは大歓迎ですよ

何より面白そうですからね 超人レスリングと積極的に関わるのは

プロレス業界にとってもファンにとってもいい刺激になります〕

 

〔週刊リングとしては 開催までに目玉となる企画があれば

長い期間 このお祭りを目玉記事として大きく扱えますよ

何かありませんかね?

ハドラーさんの密着取材とか人気でそうですけど〕

 

【ソレじゃ!

いい企画がある ここにいるジゼル嬢を東女寮に入れてみんか】

 

〔寮に?〕

 

[はい!やります!]

 

「ほう」

 

【そしてジゼル嬢を週刊リングが密着取材をして記事にする

そうすれば 親としてもいくらか安心できるだろう】

 

『なるほど!』

 

まあ おまえがそれである程度納得できるならマシになるか

 

〔それは面白そうですね!

一等祭でのジゼルさんのリングデビューは反響大きかったですし

超人が人間の女子プロレス団体へ入団するのも前代未聞です!

連載記事としてページをとれます!〕

 

〔面白そうですが・・・ ジゼルさん何歳ですか?

超人ですから人間の常識は通用しないのでしょうが〕

 

[5歳です!]

 

〔見たまんまの年齢だった!?

う~ん 流石に見た目も中身も5歳の女の子をレスラーとして預かるのは・・・

道場で練習するぐらいならまだなんとかなりますが〕

 

【いやいや 子供だからこそ人間との濃密な交流に意味があるのだ!】

 

〔しかしですね・・・〕

 

「まあ 待て よく知らない生き物をいきなり預かれと言っても無理がある

まず オレが竜について簡単に教えてやろう

秘密ではないが 一般的に知られていない基本的なことだ

竜には三つの形態 元竜・竜人・人化とそれとは別に

成長過程において幼竜・少年竜・成年竜の3段階がある

今のジゼルは幼竜を終え少年竜となったばかりだ

最も成長著しい時期と言える

内面が成長すればそれに伴い外見も成長するが

場合によっては何十年何百年もこの姿のままの可能性もある

竜の寿命は300~400年と人間とはまるで違うからな

そして成年竜となるには 火の気が強い火山などを利用して成長させる必要がある

つまり預けている間に成年竜になることはない」

 

〔これも記事にしてもいいですか?〕

 

「元竜はこの世界でも一般的なイメージの竜・ドラゴンの本来の姿だ」

 

〔あ 一等祭で最初に見せた姿ですね

この本誌でも写真を載せてます このページです!〕

 

「たしかにあのときのジゼルだな

見ての通りの巨体だ はっきり言ってこの建物の入り口にすら入れない不便な状態だ

そこで竜が人間と共に生きるために編み出した術により竜人となったのが今のジゼルの姿だ

竜の角や翼が残っているがほぼ人間の姿となっているが

生物的には人間よりも精霊に近い存在といえる」

 

〔いわゆる超人や亜人といった見た目ですね〕

 

「さらに竜の気配をほぼ消し 人間社会に竜とバレずに溶け込める人化

これはさらに高度な人化術を使う必要がある 実際にオレが使って見せよう」

 

   パアア・・・

 

〔本当に普通の女の子になりましたね!

写真一枚いですか!?〕

 

[え?はい?]

 

   パシャ!

 

「このとおり竜の力は抑えられほぼ人間となっている

火竜としての特性の一部 火の無効や方向音痴

術による竜の潜在能力の発現は可能だが

肉体能力的にも人間とそう変わらん

自力でこの術を使えるように仕込んでおく

しばらく預かってみぬか」

 

〔・・・・・・わかりました

ただし条件があります 何かあったときにハドラーさんと連絡がとれるように

こちらの世界ですぐに連絡がとれる身元保証人となる人を連れてきてください〕

 

【ワシらでは駄目なのか?】

 

〔この日本 できれば関東圏内に定住している人が望ましいんです

プロレスはビジネスでもあり なんでもありな世界です

だからこそ不測の事態はどうしても起こります

この条件はゆずれません

もちろん人化の術を本人が自由に使えるようになるのも必要条件です

これでも娘を持つ父親でもあり 多くの社員を抱える社長でもあります〕

 

「できるなジゼル」

 

[はい!ハドラー様!!]

 

なかなか成長したものだ

ここまで人に近くなる人化術は幼竜のうちは練習をしていない

竜人化よりも難度が高く竜の力を大きく抑える術のため幼竜の成長を妨げるからだ

術を1からおぼえ地元の協力者を得て オレから離れ修行の地に赴く

これが実現ができたとき ジゼルはさらに大きくレベルアップする

 

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・そう思っていたのだが

 

      べったり!

 

「離れろジゼル」

 

      ブルブル!

 

ジゼルがアニマルソルジャー入りした縁からヴァンプ将軍の協力を得ることに成功した

その頃からジぜルはオレの背中から張り付いて離れなくなった

こうなることは珍しくないが・・・

 

『しばらく私たちのもとを離れるのですから

これぐらい許してあげてください』

 

「こんな一時の甘やかしが何になる!」

 

オレの手を巧みにかわしながら体を這いまわり続けるジゼルが

 

[ハドラー様!竜術士とともにいることで成長を促す竜術が自然と発生しています!

人化術を少しでも速くおぼえるために お力を貸してください!]

 

「!? お前にしては頭をつかったな

まあいいだろう どうせ最初のうちは術の使用にオレの力を貸すことになる」

 

[ハドラー様♡]

 

「だが東女寮入りする条件は一人での術の使用だ

ただでさえ変種であるお前向きの術ではない

人化術に特化した変種のプレアよりもはるかに高い壁だと心得ておけ!」

 

[はい♡ハドラー様!]

 

     パアア・・・

 

ジゼルが自らオレの腕の中に納まり早速オレの力を借りて人化術を使う

少しずつ ジゼルから竜の気配が弱まっていく

その身に流れる血さえも変わっていくようだ

・・・ちょうど逆のことではあるが

かつてバランがオレとの戦で人の姿を捨て竜魔人となった時を思い出す

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【かつては親子でありながら骨肉の死闘を演じたこの破壊魔獣の姿をっ・・・

あの子にだけは二度と見せたくなかったからだっ!!!】

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『・・・このバランの記憶 私の心にかなりくるものがありますね

相手が死ぬまで戦い続ける竜の騎士バラン 究極の戦闘形態バトルフォーム

その妹といえるジゼルは竜の力を封じ人の世界に行こうとしています

骨肉の闘いの末・・・ あなたに認められるために

どうしてこうなったのでしょうか』

 

[スー スー・・・]

 

慣れない術の使用のためかいつの間にかジゼルは寝ていた

抱きかかえる形となったが 回復するまではこのままにしておくか

 




年末に執筆意欲の湧くネタが連発されながら書く時間がなかなかとれないウジョーです

ダイの大冒険のアニメ化ゲーム化 リングドリームのサービス終了 コーセルテルの竜術士の長編終了の単行本発売 と、書きたいことが山のようにできているのに 仕事が、
しかも正月休みの直前 仕事納めの途中に目を傷めて PC画面を見続けるのがつらい・・・

ダイの大冒険のアニメ化 PVを見る限り 原作最終回のダイの帰りを待つダイの剣と
多分クロコダイン戦のダイのアバンストラッシュと 期待と想像が高まる出来でワクワクがとまりません 放送が来年の秋とはずいぶん先の気もしますが ダイの大冒険30周年や冒険王ビィトの休載期間と比べればどうということはない気もします

寒さが一段と厳しくなり ただでさえ忙しくなる年末年始
お疲れのでませんように よいお年を
来年もよろしくお願いいたします。


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