ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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女子プロレス編

   ~東京都立川市 聖地 松田ハイツ~

 

    ピンポーン・・・

 

{はーーい!

どちらさま・・・

わっ お久しぶりです ハドラーさん ジゼルちゃん}

 

〈わ 原稿の締め切り近かったの?〉

 

相変わらず自然に不自然な聖人二人がここに住んでいた

 

「今日は別件だ この場所に行きたいのだが

案内を頼めるか?

ジゼルが見たがっていてな」

 

[よろしくお願いします!]

 

〈それはもちろんいいですけど

わ すごい東京女子プロレスのリングサイドチケットだよ!

これ買ったら何万円もしちゃうやつだよ!〉

 

{え!そんなにするのかい!?}

 

「この券であと二人入れると聞く

案内の礼にお前たちも見ていくか?」

 

『・・・お二人をお誘いするのは大変良いことですが

また新たな聖地や聖戦ができる気が・・・』

 

〈私 スプラッターとか痛い系 本当ムリだけどプロレスには興味あったんだ

あ!これすぐにいかないと第0試合(ダークマッチ)に間に合わないよ

第0試合(ダークマッチ)はテレビ放送されないから

会場限定のボーナストラックみたいなものだよ〉

 

{君は本当にそういうことおさえてるよね}

 

「それではよろしく頼む」

 

[しゅっぱーつ!]

 

 

   ~東京女子プロレス 試合会場~

 

[とうちゃ~く]

 

「おまえが迷子になりかけるせいでギリギリだがな」

 

{いやいや はしゃぎたくなる気持ちもわかりますよ}

 

〈あ 大きい売店がある! パンフレット買おうよ!

試合ならネタバレじゃないしいいよね!〉

 

[ねたばれってなに?]

 

「今日の試合の戦士の一覧か

オレも興味あるが これはカードで買えるのか?」

 

パンフレットを手に入れた

 

〈まずは席につきましょうか

パンフレットは座ってから読めばいいですし〉

 

{そうだね 第0試合がはじまりそうだし}

 

「ジゼル はぐれると面倒だ 肩に乗れ」

 

[はい!ハドラー様♡ジゼルダーイブ!]

 

会場は客でいっぱいとなっていた

この満員の客がこの戦いを見に集まっているのか

あの超人一等祭を思い出す

中心のリングを囲むように並ぶ席の中

青コーナー近くの席に座ったところでちょうど選手が入場してきた

 

{うわ~ 華やかな衣装だね}

 

〈あれは台所用エプロンがモチーフかな〉

 

[かわいい・・・]

 

「パンフレットによると あのエプロンの女の名は飯田知世子

メアリと同じ派閥 サンデーモーニング所属とある あいつの仲間か」

 

[メアリの仲間!あ はじまった!]

 

    カーン!

 

「・・・悪くない動きだ 両者タイプは違うが実力差はあまりない」

 

    ビシィ! ビシィ!

 

[うわ いたそう!]

 

{プロレスのトレーニングはかなりの苦行らしいからね}

 

〈ああ 前にテレビで見たことあるけど あれすごいよね〉

 

      \1!2!3!/

 

      カンカンカン!

 

[あ 飯田負けちゃった・・・]

 

〈女子プロレスはハッスル商店街で無料券をもらって見た

多摩川女子プロレス以来だけど随分雰囲気違うね〉

 

{そうだね 屋外と屋内 団体の規模の違いは勿論だけど・・・

でもどこか共通するものもあるよね}

 

〈あ!次の試合はその多摩女との対抗戦だって!〉

 

「あのスクリーンを見ろ 何かしゃべっているぞ」

 

〔これって、あれですかね。

今日も勝ったら・・・・・・

またこういう大会に呼んでもらえるって

考えていいんですかね?〕

 

〔その、自分は・・・・・・

多摩女魂を見せに来た。とにかく、勝って。

今度は、多摩女(ウチ)に呼び寄せてやる。〕

 

〈あ!前に見た多摩女のレスラーさんだ!〉

 

{ずいぶん緊張してるね 望宮さん}

 

〈見知らぬ土地での布教って緊張しちゃうのわかるなあ~

下手にキャラ作っちゃうと地元に帰ったときに余計気まずいことになるし・・・〉

 

{時として地元ほどのアウェーはないよね!}

 

『なぜ布教あるあるに・・・』

 

「布教か!?たしかにあのレスラーの台詞は

聞きようによってそうとれなくもないが

対戦相手にとってはリベンジマッチか これは荒れそうだな

お行儀のよい戦いよりも見ごたえがありそうだ」

 

[ハドラー様 ゆきりんごってどんなリンゴですか?]

 

「それはコンビ名のようだ

オレがサンシャインと組んだときにはぐれ悪魔コンビと名乗ったあれだ」

 

『おふたりだとどんなお名前になるでしょうかね』

 

{〈パンチとロン毛だね〉}

 

「とんでもないのを即答で返してきたぞこの聖人ども!」

 

『私は聞かなかったことにした方がいいのでしょうか・・・』

 

      カーン!!

 

激しい攻防だが 試合前のやりとりを引きずっているのか

多摩女組の動きがやや硬い ゆきりんご組が試合をリードしているようだ

ゆきりんごの紅葉林檎が多摩女の白木孝奈をヘッドロックでとらえた

 

\あーーっと! 紅葉のヘッドロックのままカメラの前へ!  /

 \そして白木の顔をつかみ変顔をテレビで全国お茶の間へ!/

 

〔このぉ!!!〕

 

      ドスン!!

 

   \白木怒りのバックドロップ炸裂!!これはきいているぞ!!/

 

        パン!

 

  \ここで白木からパワーのある望宮へタッチ!勝負にでるか!?/

 

         ブファ!!

 

 \なんとここで毒霧!!望宮の顔が真っ赤に染まった!!/

 

「あれは効いたぞ カウンターで顔に毒攻撃とは

人間にしてはなかなかやる」

 

[火 じゃないですよね?]

 

〈あれはタバスコが混じっているかな?あれつくと落ちにくいんだよね〉

 

{あ!見て熊井さんが紅葉さんと合流したよ}

 

    ブワ!   ズドォン!!!!

 

  \ゆきりんごのツープラトンス-プレックスが決まった!!/

 

これが決定打となり 試合はゆきりんごの勝ちとなった

その後はかつてメアリが制したというヤンドラ杯の予選試合が続いた

タッグの四人は新人だったがそれよりも経験を積んだ若手の争い

それぞれタイプの違うレスラーのぶつかり合いはみごたえがあった

オレの世界のレスラーは巨漢が力と技を生かした戦い方が主で

これほど戦闘スタイルに幅があるものではなかった

などと考えていると・・・

KOM(キングオブマッスル)の予選試合がはじまった

腕一本でオレを揺るがせたあの井上が初代チャンピオンを獲ったタイトル

試合前のインタビューで現チャンピオンが映ったが

たしかにその名にふさわしい筋肉をもっていた

その肉体に誇りをもち 磨くことに喜びをもつタイプだった

試合はまさに力と力のぶつかり合い これまで試合の中では

・・・一番オレ好みのものだった

そしてセブンスタータイトルマッチ 入団7年目の者同士のぶつかり合い

戦場に7年揉まれた者か・・・ 人間の成長は速い

潰れる者も多いだろうが それを乗り越えた者か

共に乗り越えたとも言える間柄 他の者にはない因縁があるのだろう

試合前のインタビューでは・・・

 

〔それじゃ、いくよ・・・・・・あっちゃん。

東京女子プロレス2011年一期組!星空こがね、参る!!〕

 

〔それじゃ、来て・・・・・・

東京女子プロレス、星空こがねの同期!紅蓮篤美・・・・・・受けて立つ!〕

 

〔恋人同士かおまえら!?〕

 

オレと同じことを思ったやつがコメントテーターとして叫んでいた

 

〔このピー!ピー! ピーにピー!ピー!とか!!〕

 

[ハドラー様 あの人ピー ピー って声どうやって出しているんですか?]

 

「わからん 口の動きと声が合っていないようだが・・・」

 

{あれは放送に乗せられない発言に規制として機械音をかぶせているんですよ}

 

〈地上でも天界でもありますよね ああいうの〉

 

{・・・マーラは誰の心にも入り込むものです 

言葉には力がありますから 電波に乗せられないものがあるんですよ}

 

『なるほど 配慮なんですね』

 

試合は序盤から星空が優勢だった 中盤わずかに紅蓮が見せ場をつくるが

再び星空が優勢な試合運びを見せていた 

どうにか食らいついていた紅蓮が終盤その名に負けぬ炎のような逆襲を見せ逆転劇を果たした

 

「見事なものだ」

 

〈ええ すごい闘志でしたね

それにしても少しお腹空いたな・・・〉

 

{おや ずいぶん時間がたってましたね

何か食べてきましょうか 次の試合まで少し時間があるようだし

入場券のお返しにご飯代はこちらがもちますよ}

 

[いきましょうハドラー様!]

 

とりあえず席を会場内の売店を見て回った

 

{チャーハンが800円!?どんなお米をつかってるんだ!?}

 

〈こういうところのはちょっと高めだよね

あ!見てあれ200円だって!あれなら心安らかに買えるよ!〉

 

[ム~たい・・・りく、やき?]

 

「ムー大陸焼き 聞いたことないな

それよりも作って売っているのは さっきのKOM予選で負けた

ムー成田ではないのか?」

 

〈ほんとだ ファンサービスかな?〉

 

{あの激闘のあとに売店で実演販売なんて

是非あそこで買っていきましょう!}

 

「このパンフレットによるとあいつもメアリの仲間か

あいつも顔が広いな」

 

ムー大陸焼きは 宗教上の理由とやらでいくつか材料を抜いたものを頼んでいたが

食べたところ以前ヴァンプ将軍が屋台でだしていたものとよく似ていた

違いは「ムー大陸焼き」と焼き印されていたぐらいだったか

 

〈ムー大陸って たしか父さんが・・・〉

 

〔おや ムー大陸について何か知っているのか?

私の前世はムーの戦士 ムーについて何か知っていることがあれば聞いておきたい〕

 

{それはちょっと 私たちの口からいうわけにはいかないもので・・・}

 

食事を済ませ席に戻ると知った顔が増えていた

オレ達の近くには祭りでメアリと共にリングに上がったストロングマンたちが

リングを挟んで逆側の席にサンシャインとアシュラマンが座っていた

リングから離れているが東方不敗とドモン・カッシュもいる

まあ来るとは思っていたが・・・

 

試合前のインタビューを終えリングに向かう両タッグにおくる声援で会場が揺れた

    TWP世界タッグ王座選手権

王者  ベノムナイト(スパイダー菊池 ソニックナイト) 

挑戦者 ライオット(ソニックキャット メアリ・ノートン)

 

この試合は特に激しいものだった

人間同士ではあったがかなりのハイレベルのぶつかり合い

試合前 メアリはその中であきらかに格下扱いだった

事実 その時点ではその程度の実力であったのは間違いない

だが試合中 そのメアリが大幅なレベルアップを果たした

試合前のインタビューでこの試合は若手ナンバーワンのご褒美として

メアリに経験を積ませるものだと語られていたが

その経験をその場でレベルアップにつなげ動きが格段に良くなっていく

スパイダー菊池の猛毒と評される蹴りに耐えソニックナイトの死角からの攻撃を躱し

あのカナディアンすら揺らいだ必殺のライオンカッターが炸裂すると

興奮した観客の足踏みで再び会場が揺れた

ジゼルもすっかり試合に魅せられていた

戦いの中で磨かれ 急成長を遂げていくあの顔 あの目

オレにもおぼえがある あの宿敵たちの戦いで幾度も見た・・・

 

 

決着の時を迎え・・・

 

リングの上でチャンピオンベルトを巻いたメアリたちを見つめるジゼルの目に

決意の炎が宿るのを感じた




相変わらずリングドリームにハマってるウジョーです
今日はメアリ・ノートンのセブンスタータイトルマッチ
その応援として結構前から構想して書き始めてたのに結局当日までかかってしまいました
タッグでタイトルをとって陥落してと色々ありましたがついにシングルマッチでのチャンス到来
今回こそ全力で応援せねば

度重なる台風 大雨で日本中大変なニュースが流れておりますが
復興とご自愛のほどお祈り申し上げます。

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