ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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里帰り編 パプニカの今

オレを出迎えたのは姫と若い三人の賢者、古強者と若い兵士が二人

なかなかの手練れ揃いのようだがオレを相手にするには少ないが

レオナ姫は緊張する様子もなくオレ達と気安く会話を交わしている

 

〔ダイくんとは婚約一歩手前くらいまでは約束したわ

正式に婚約するとダイくんのゴメちゃん探しの妨げになるもの

ダイくんは世界中を巡ってゴメちゃんを探す

私はこの国をゴメちゃんが下りて来たくなる国にして待つ

そしてゴメちゃんに私たちの結婚式に参加してもらうって約束をしたの〕

 

「それはまた気の長い話だ」

 

『ひ孫のお世話ができるのはいつになることか』

 

〔でもこれでみんなを納得させたわ!

アバン先生やフローラ様の助言のおかげよ〕

 

こんなところでもあやつの名を聞くか

 

〔ところでおじいさま今日はどのようなご用事でしょうか?

直接ここに来たのはバルジ島を墓地にするために買いに来られた時以来ですが〕

 

レオナ姫の口調や目が王族のものとなった

周囲のものに聞かせるように意識したものだ

 

「そのバルジ島のことでな・・・」

 

オレはバルジ島の現状とこれからのことを説明した

 

〔なるほど それでは バダック!

あの9人を連れておじいさまの計画に協力

バルジ島での経過や成果を報告して頂戴〕

 

〔了解です姫様〕

 

姫の横にたつ世話係であろう古強者が応える

パプニカのバダック・・・どこかで聞いたような

見たところそれなりの歳の人間

かつての戦場にいても不思議ではない

 

「監視がいるような派手なことをするつもりはないぞ」

 

〔それだけじゃないわ

あの究極兵器(ピラァ・オブ・バーン)が落とされた不毛の地はあそこだけじゃない

それに魔王軍との戦いで荒れた場所 復興の進まない土地はまだあるわ

何よりダイくんの生まれ故郷かつてのアルキード王国は

竜の逆鱗に触れて滅亡してからいまだに草木一本生えないまま〕

 

ああ バランのドルオーラで消し飛んだあの国か

 

〔たとえ失敗に終わってもいい

土地の再生の研究は賢者としても最優先課題になるわ〕

 

「まあいいだろうオレとしては墓を荒らされなければ

人間がかかわることを拒むつもりはない」

 

〔もちろんそれは約束するわ

おじいさまがいない間もお墓が荒れないように

万全のケアも約束します

あの島で眠っているのは魔王軍だけじゃないもの〕

 

「そうか では好きにするがいい」

 

そこが一番の懸念材料だったからな

 

『どういうことです?』

 

元魔王が人目につかない島で何かをしている

人間が不審に思いオレがいない間に墓を調べようとする可能性がある

荒らされてはあまり気分がいいものではない

 

〔ところでおじいさま その服はどこで買ったの?

あたしもほしいんだけど〕

 

姫口調はやめたようだ

ここからはただの雑談、といったところか

 

「これはオレが家事修行をしている土地の術士の正装だ

つくったのはここにいる娘のジゼルだ」

 

[はい そして私の服はハドラー様の手縫いです!]

 

〔なんと!?〕

 

〔そんなこともできるの?!〕

 

「これは古着をばらして縫い直しただけだがな

糸を紡ぐところからできるぞ」

 

〔本当に家事修行をやってたのね

あたしとのダイ君の間に子供ができたら傅役(もりやく)をお願いできるかしら?〕

 

    ざわ・・・

 

周囲の動揺が見える

だが意外とすぐにおさまった

 

〔もちろんバダックやブラスさんにもお願いするわ

あたしはできるだけいろんな方に声をかけるつもりよ〕

 

なるほど その名前だけでも 元魔王に人間 怪物

 

『竜の騎士と人間の子であるダイの生い立ちに思うことがあるようですね』

 

「オレの子守修業は『竜の保護者』の使命のためだ

そのときがくれば力を貸そう」

 

〔頼りにしているわ おじいさま♪〕

 

『まあその使命は私が勝手に言ったことですけどね』

 

それでいいのだ オレにとってもはやただの建前にすぎんが

神の使いからの使命という大義名分は人間には意味がある

 

「さて それではオレたちは失礼する

このままバルジ島で実験を開始する」

 

〔わかったわ こっちも準備が済み次第

バダックをはじめとした10人を送るつもりよ

ルーラですぐにつくと思うわ〕

 

「そうか」

 

オレ達は城をあとにし バルジ島に移動した

 

・・・・・・・

 

「さて まずは墓の前の地面からやってみるか

ジゼル!」

 

[はい!ハドラー様!]

 

「まずは竜術でこの島に住む精霊を探してみろ」

 

[はい!水竜術から・・・]

 

パアアア・・・

パアアア・・・・

・・・・・・・・・

 

[はあ、はあ・・・全然いない

コーセルテルは他の土地より精霊が多いとは聞いていたけど

こんなにいないなんて これで植物とか育つのですか?]

 

「まあ予想通りだ 大地に力がないこの島で

花を咲かせるためには・・・」

 

 キラン!

 

キー―――――ン

 

      ドォー―――――ン

 

説明を始めようとしたところでルーラでパプニカの一団が到着した

術者であろう王宮にもいた賢者の男を先頭にバダックに加え

王宮では見なかった坊主頭の男たちが9人

合計11人

 

『10人だったのでは?』

 

〔こうして直接挨拶するのははじめましてハドラーどの

私はパプニカ三賢者の一人 アポロ〕

 

ふむ アバンの使徒には及ばぬが人間にしてはなかなかの実力者のようだ

 

〔私は他にも仕事を抱えているため送り迎えのみの担当ですが

彼らをよろしくお願いいたします〕

 

アポロは挨拶をすませた後はすぐにルーラで去っていったが

残された者たちは・・・

 

 \\ハ!?ハドラー!?//\\まさか魔王ハドラー!?//

\\な なんてことだ!?//\\あれを見ろ墓石があるぞ!//

   \\ここが 私たちの墓場になるのか!?//

\\こんな何もない所で だれにもしられず魔王の手で!?//

 \\ああ!姫のお怒りはやはりそこまで深いのか・・・//

 \\言うな!私たちはそれほどのことをしたのだ!!//

\\バダック、わしにこんなことを言う資格はないがパプニカを頼む//

 

〔何を言っとるかテムジン!!

姫やハドラーどのに失礼だろうが!!〕

 

坊主頭の男たちが9人が阿鼻叫喚となった

こいつらはここで何をするのか聞いてないのか?

 

「ククク たしかにここは墓場だ」

 

 \\\\・・・うっうっうあああ!!!////

 

「お前らのではないが・・・混乱して聞こえていないな」

 

 

『人が悪いですよ』

 

悪魔だからな

 

[む~~]

 

「珍しくずいぶんと不機嫌だな ジゼルよ」

 

[・・・だって ハドラー様にあんなことを言うなんて]

 

「オレは言われるようなことを散々やってきた

あれが当たり前の反応だ

そういえばオレが先の祭りで観客から罵声を浴びていた時は

おまえは特に不機嫌にはならなかっただろう」

 

[あの時はハドラー様がそれを望んでましたから・・・]

 

パプニカとは魔王時代から特に激しく戦火を交えてきた

オレや配下の手によって親兄弟が殺されたものも多くいる

 

『レオナ姫をはじめとするあの王宮にいた者たちが奇特なのでしょうね』

 

それにオレはヒュンケルと違い謝罪も贖罪もする気はない

 

『私に命令権はありませんが普通は竜の騎士の討伐対象ですよね』

 

オレとしてはむしろ\\まだ生きているのか!//

\\さっさと死ね!!!//と罵声を受けながら

堂々と力を振るうさまを見せつける方がいい

そういった中で死んでいった我が子や配下を見送ってきたのだ

もっとも・・・ダイやジゼルにそれをさせるつもりはないが

 

『だからこそ 先の王宮ではわざわざ正装をして

相手に敬意を示したのですね』

 

ダイにとってこの国は特別な国だ

アルキード王国の轍を踏ませるわけにはいくまい

 

『そのためのあなたの竜の保護者としての使命です』

 

〔すまぬ ハドラーどの

テムジンらはかつて魔王だったハドラーどのを戦場で見たことがあってのう

そのせいもあって誤解してしまったようじゃ

姫の口からこの地での仕事は聞いておったんじゃがのう〕

 

「バダックよ こやつらは罪人なのか?」

 

〔まあのう パプニカ王国の恥を晒すようじゃが 投獄中に

大魔王軍の侵略がはじまり非常事態ゆえに執行猶予中の仮釈放扱いで

これまで働いておったんじゃが、それでな・・・〕

 

なるほど 戦いが終わり復興もすすんだ今

オレの手で処刑されると早合点したわけか

 

「おまえたち人間の都合は知ったことではないが

オレがやろうとすることを教えてやろう」

 

     ビクゥ!!

 

オレの言葉に激しく動揺する男たちを前に説明を続ける

 

「まずこの墓場の前の土地に適当な結界を張り

その内側とその隣で色々な土壌改良を試すつもりだ

目標はこの墓に弔いの花を咲かせることだ」

 

 \\どういうことだ!?//\\まさかあの魔王が!?//

\\本当なのか!?//\\あの墓石にそんな意味が//

  \\姫は本当にあの魔王と和解したのか!?//

 \\一体何があったのだ!?//

 \\賢者として知恵を求めらているのか・・・//

      \\おお 神よ・・・//

\\わしらがまだパプニカに必要とされているのか!?//

 

更にざわついたが まあいい 

 

「ジゼル この棒で地面に線を引け

一辺20歩ごとの正方形だ」

 

ジゼルにひのきのぼうを渡し

ピラミッドパワーをよぶための結界を張る準備をすすめる

 

[はい!ハドラー様!!]

 

「そこの男 む もしやおまえは賢者か?」

 

坊主頭の男の中に ひと際強い魔法力を感じる男がいた

 

〔俺はもう賢者などではない・・・

ただの、バロンだ〕

 

バダック、テムジン、そしてバロン

・・・どこかで聞いたことがある名前なのだが

このときはまだ思い出すことができなかった




動いてるときよりもじっとしているときの方が汗が噴き出る気がするウジョーです

暑さが一段増してきたのでいっそそれを利用できないかと暑い地域原産のアボカドの種を鉢に植えてみたりしてます
芽がでないようならピラミッドパワーを試してみようかな

まさに暑さのピーク 
室内でも熱中症に気を付けて お疲れのでませんように

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