ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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里帰り編 お墓参り

~バルジ島 墓地前~

 

 

     ドーーーーーン

 

「帰ってこれたか・・・」

 

オレはバルトスら オレの子らの墓を確認し

無事に元の世界へ帰ったことを確信した

 

[ここはどこですかハドラー様?]

 

「この島の名はバルジ島」

 

[さっきの島と同じ名前ですね]

 

「趣は異なるが同じ島だ

時間的に言えば 数年先ではあるがな

共通のものとよべるのは・・・

そこにある十字崖だけだ」

 

[あ たしかにこれはありましたね]

 

「そしてあれはオレの子らが眠る墓場だ

それぞれの墓石に名を刻んでいる

読んでまわってみるがいい」

 

[えーと この星の勲章をかけた石がバルトス・・・

チェスの駒の形がアルビナス・・・

フェンブレン・・・ ブロック・・・ シグマ・・・

メダルをかけているのがーーーフレイザード・・・!?

フレちゃん!!??]

 

ずいぶんと驚いているがバルジの塔での説明を理解できてなかったのか?

 

『理解できていても さっきまで話していた相手の墓を見れば

驚くのも無理ないのでは』

 

「オレの子は おまえとヒム以外は皆死んでいる

オレのせいでな・・・

さっきまでいたあの世界ではどうなるか分からんが

この世界では フレイザードはあの紙芝居のとおりに死んだままだ」

 

『あなたはフレイザードの蘇生はできないのですか?』

 

それは無理だ ただバラバラにされただけならともかく

ダイにコアを斬られ ミストバーンに残り火を踏み消され

挙句に究極兵器ピラァ・オブ・バーンに島の表面ごと完全に消滅された、

コアから同じものを作り直し禁呪で生み出しても

それは別の個体である フレイザードBができるだけだ

バルトスも アルビナスも フェンブレンも シグマも ブロックも

よみがえることは ・・・二度とない

・・・・・・オレは何度もよみがえっているがな

 

『それは私のせいですが・・・』

 

[ハドラー様 やっぱりラーゼルちゃんの名前はない・・・のですね]

 

「ああ そもそもオレの知るものにそのような名前はいない

だから当然 墓もない」

 

まだ生まれていないのか そもそも存在しないのか

ジゼルのことといい あの世界とは違うものはいくつもある

 

[ハドラー様 このお花は?]

 

バルトスの墓前に供えられた枯れた花

このホルキア大陸ではよくあるものだ

かつてバルトスが地底魔城に持ち込むことを許可をした憶えがある

・・・ヒュンケルか

 

「ヒュンケルが供えた花束だろう

墓に眠るものに縁のあるものを供え物として置く風習がある」

 

オレはお焚き上げ入稿をするつもりで用意した絵がある これを・・・

 

[ハドラー様!!私も!私もお供え物置きたいです!

お花をフレちゃんに!]

 

『あらあらジゼルがこんなことを言い出すなんて』

 

こいつは生まれてからこれまで身近なものの死に触れたことがない

幽霊の友人はいても 生きていた者が死んで会えなくなる経験がない

・・・変則的ではあるが身内として会ったばかりのフレイザードの墓に

何か思うところがあるのだろう ・・・オレのようにな

 

『あなたも・・・』

 

「はりきるのはいいがどうする ここには草木一本生えてないぞ」

 

そう このバルジ島はさっきまでいた平行世界のバルジ島とは違い

・・・本当になにもない島だ

究極兵器ピラァ・オブ・バーンが落とされてから数年は経っているが

動物も怪物も植物の気配すらない不毛の土地となったままだ

地形まで変わったのかバルジの大渦すらなくなっているのだ

 

[これを使います もう枯れているけど

木竜術で一度種にして・・・]

 

    パアアーーー・・・

 

ヒュンケルが供えていたであろう枯れた花束に竜術をかけ

10粒ほどの花の種がとれた

 

[ふぅ、さて これから・・・]

 

「まて、もう日が暮れはじめている

おまえの魔法力もかなり消耗している

これ以上 慣れない木竜術は使えんはずだ」

 

それにこんな土地ではたとえ術で花を咲かせてもどうせすぐに枯れる

 

[・・・はい ハドラー様]

 

「今日はもう寝るぞ

オレもフレイザードたちの前で少々調子にのってしまった

ひと眠りして消耗した魔力を回復しなければならぬが・・・」

 

何もないはずのこの島に光が生まれた

 

[あれは!?]

 

「そういえば 以前にもなぜかあんなものがあったな

あそこにはあの男がいるかもしれん

これを持っていくか・・・」

 

土 いや ほぼ砂を小瓶に採取し

ジゼルを連れ光源に行く

 

「居酒屋 のぶ こんな辺鄙なところに他に客がくるとは思えんが」

 

『神が出入り口だけをここにつなげているのでしょう

どうやら営業に支障がないようにしていますね』

 

[ハドラー様 開けますよ]

 

    ガラガラ・・・

  ワイワイ    ガヤガヤ 

 

〔いらっしゃいませ!〕

 

〔・・・らっしゃい〕

 

「邪魔するぞ」

 

[ハドラー様 どこに座りますか?]

 

探すまでもなく目立つ背中がある

伝説の悪魔騎士 サンドモンスターのな

 

「隣は空いているかサンシャイン」

 

【グォフォフォフォ

席はひとつしか空いてないぞハドラー】

 

「問題はない ジゼルはヒザの上に乗せればいい」

 

[わーい ハドラー様♡]

 

     ぴょん!

 

[~♡~♡]

 

「ヒザの上に乗るなど珍しいことでもあるまいに

やけに機嫌がいいな」

 

【仲のいいことだな 注文はどうする?】

 

「適当に頼んでくれ 支払いはあのカードが使えるのか?」

 

【それでも問題ないが

あのニューマシンガンズに勝ったんだ

ワシ持ちでパーっとやらんか?

とりあえず生2丁と串カツをおくれ

キャベツもつけてな

あとジゼルちゃんにホットミルクを】

 

〔ハーイ!〕

 

「オレはその後に宿敵に敗れたからめでたくはなかったぞ」

 

【都合の悪いことは忘れよ!

再戦のための特訓ならいくらでも付き合うぞ

まずはこの勝利の美酒を楽しもうではないか】

 

「器のでかいやつだ

まあ たしかにニューマシンガンズは手強かった

あの勝利は祝う価値がある」

 

〔生2丁お待たせしました〕

 

「おお」

 

〔はいジゼルちゃん ホットミルクおまたせ〕

 

[ありがとうエーファおねえちゃん]

 

【では ワシらの勝利に】

 

「乾杯」

 

[るねっさーんす!]

 

〔ぷっ!ぷふっ!〕

 

〔ちょっとしのぶちゃん フフッ〕

 

〔大将だって笑ってるじゃない〕

 

  グビ   グイ   コクコク

 

「グフフ・・・ そうだ これを見てくれ」

 

サンシャインに小瓶に入れたバルジ島の砂を渡した

 

【ほう ワシに砂のことを聞くのか?

どれ・・・

これは 砂に見えるが岩や木、レンガだったものだな

強力な爆発の衝撃で粉々に砕かれたものか】

 

「流石 鋭いな

そこではかつて大きな戦いがあってな

多くの部下が倒れ息子の一人が戦死し オレ自身死にかけたほどだ

その後強力な兵器により草木一本生えないほどの荒れ地となった」

 

[ハドラーさま・・・]

 

    ギュっ・・・

 

ジゼルがオレの服をつかんでくる

 

「今はオレの子たちの墓場となっているのだが

今日墓参りにジゼルを連れて行ってな

この種を植えて墓前に供えようとしているわけだが・・・」

 

【こんな砂場では難しいことぐらい おまえさんならわかっているだろう

なぜ わざわざらしくないことを?】

 

「あの墓参りにジゼルを連れて行ったのは今日がはじめてでな

ジゼルが生まれたのはその戦いが終わったあと

我が子らがあの墓に眠ったあとのことだ

そんな兄達にジゼルがはじめてやろうとしていることだからだ」

 

    グビ グビ

 

ビールを飲みほし 枝豆をつまむ

 

【なるほど

しかしこの砂 不自然な程 力を感じないな

微生物も異常な程少ない

水分は感じるから近くに 十分な水場もあるのだろう?】

 

「ああ そこは小さな島だ 周り一面水はいくらでもある」

 

【荒地となったのがジゼルちゃんが生まれるよりも前

水気がありながらここまで土地の回復が遅いとは

よほどその兵器とやらが凶悪な威力だったか】

 

あの大魔王が地上を消し飛ばす布石とした兵器だからな

本命の黒のコアが不発だったとはいえ それだけの威力だったのだろう

 

【グオッフォフォフォ

ではあの御方より直接指導賜った古来より伝わる超人開拓術を教えよう

ろくに光も差さない不毛なる魔界の地を切り開かれた由緒あるものだ】

 

「それは期待できそうだな」

 

     じゅあっ

 

〔はい串カツ お待ちどお!〕

 

[いただきます!ハドラーさま どうぞ]

 

ジゼルが差し出した串カツを食いながらサンシャインの話を聞く

 

【まず リングをつくる!】

 

「ほう!」

 

『なんだか悪い予感がしますが・・・』

 

〔ホットミルクおかわり!〕

 

これは長い夜になりそうだな・・・




こち亀最終回以来久しぶりにジャンプを買ったウジョーです
キン肉マンの読み切り面白かった 本誌連載中は物心ついてなかったけど・・・
キン肉マンの図鑑も読み応えあって面白かったし 
公式サイトの記念アニメ調ストップムービーもすごいワクワクしたりと
今年はキン肉マンが充実しすぎてもう・・・
ダイの大冒険もジャンプフォースに参戦したり冒険王ビィトの新刊がでたりと
何かあるのではと期待してしまいます

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