ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

31 / 80
超人一等祭 十九本目  魔王 対 勇者

「やはり貴様相手に肉弾戦だけでは芸がないか

ならば べギラマ(閃熱呪文)!」

 

  ゴアア

 ドオオオオオ

 

‘むうううっ 海波斬!!’

 

   ブアアア

 

  パアアアン!!

 

<なんと魔王が放った光線をグレートがハチマキで切り裂いた!!

まっぷたつとなった光が美しい放物線を描きリングを舞った!!!>

 

‘今のがべギラマ!?

なんという以前戦ったときは次元が違う・・・!

こ これが・・・!?’

 

流石アバン 違いのわかる男よ

 

『どういうことですか?』

 

ククク

あの布で切り裂いたのはやつの技量によるものだが

本来直線的な高熱放射であるべギラマを放った後

動きを制御しつつ客席に届く前に熱を消し去るなど

想像を絶する技量が必要なのだ

あの世界の常識ではな

 

‘・・・驚きました まさか あなたがこんな真似を’

 

ククク まだまだオレがみにつけた【竜術】はこんなものではない

メラミ(火炎系呪文) ヒャダルコ(吹雪系呪文)

 

2つの呪文を同時に!?

 

「ハッ!!」

 

    ブオオオ!!

 

‘これは!?’

 

なんと今度は魔王が超人よりも巨大な水球を

リング上に生み出した!!

 

「これは沸騰寸前の熱湯だ

今度はたとえ切り裂いたとしてもそのまま貴様に襲い掛かる

さあどうする!!」

 

バギクロス(真空系呪文)!!’

 

魔王が投げた水球を グレートは風でうけとめ

逆に強烈な水刃が魔王に襲い掛かった!!

 

「!?いかん!!」

 

   ドカッ!!!

 

魔王が両腕でブロック!!

熱湯の刃を無傷で防ぎきった!!

 

「あやうく仮面が割られるところであったわ

このキレ 貴様もただ年をとっているわけではないようだな」

 

‘なんのなんの 今度は私の方から

ほんの拙い小技で恐縮ですが・・・’

 

  ヒュ    ヒュン ヒュン ヒュン

 

<ああーーっと グレート 先ほど光を切り裂いた

ハチマキを 今度は何もないところで振り回し始めた>

 

‘いえいえ ここには魔王が生み出した

濃密な魔法力を含んだ水分があります

それをハチマキにとりこみ・・・

マヒャド!!’

 

ピキィイイイン!!!

 

『まさか!?』

 

‘抜けば玉散る氷の刃・・・

ダイ君が使う 魔法剣の再現にはいささか苦戦していました

一瞬の模倣自体は不可能ではありませんが

維持がヒジョーにムツカシイ

ですが あなたの魔法力を【つなぎ】に使うことで

こうして魔法力を垂れ流すことなく

安定した魔法剣として実現することができました’

 

『そんな・・・

ハンバーグをつくるようなノリで簡単に!?』

 

なにをそこまで驚いている

魔法剣が竜の騎士の専売特許だと思っていたのか

おめでたいやつだ

 

『ええっ!?

そもそもアバンはなぜここにいるのですか!?

あなたの誘いを断ったのに この異世界にこれるはずが!』

 

たしかにいくらここがオレたちの世界と近い世界とはいえ

オレですら聖母竜と同化しなければ異世界を渡ることはできない

 

「貴様はなぜここにいる」

 

‘お仕事をどうにかひと段落させたので

こちらのお祭に参加させていただきました

かつて弟子が(ダイやヒュンケル)行方不明になったときから

リリルーラ(合流呪文)改良の研究をしていました

先にきていた一番弟子を目印にそれを使ってポーンと

それからはこちらでさらに強化するために拠点をつくり

昨夜あたりからお目付け役といっしょにお邪魔しております’

 

『そんな・・・

人間が そんな真似を・・・』

 

おまえの唯一のとりえともいえる異次元移動まで可能としたか

まあ この男なら不思議ではないか

 

『こわい!今 はじめて人間がこわいと思いましたよ!』

 

安心しろ こいつはアバンだ

 

『・・・あなたが私に 安心しろ、とは珍しいですね』

 

‘それがここに来た手段 そして・・・

ここ(リング)にいるのは あなたがいたからですよ’

 

「ほう」

 

‘私がこの世界で最初に出会った人はヒュンケルが

お世話になっていたテリーマンという方でした

そして彼とすっかり意気投合してこの世界のことや

スピニングトゥホールドのかけかたなどを教わりました’

 

アシュラマンと戦っていた男か

そういえば電車に乗ったときにも話したが

そのときはまだアバンのことを知らない様子だった

少なくともあの後に来たということか

 

‘そして正義超人が【分かり合うために戦う】ことを教わり

このグレート覆面マスクを預かりました

そして 今 一番知りたいのは あなたなのですよ

あなたの日記を拝見したり 手料理を味わうことができれば

多くのことを知ることが出来るでしょう

しかし、【魔王】と分かり合うために、

正義超人として・・・ リベンジマッチにきました’

 

この男の口からリベンジという言葉がでるか

だが魔法剣か 厄介だな

 

『そうなのですか?』

 

あの男なら箸一本でもアバンストラッシュで

この面を割る程度のことは可能だ

それゆえ やつ全体を警戒していたが

あの氷の刃はオレに嫌でも警戒を抱かせる

 

『つまり不意をつかれやすくなると・・・』

 

「ククク いいだろう・・・

オレの力をとくと味わうがいい

出し惜しみはせんぞ!!」

 

<魔王がいったー!!>

 

‘氷結大地斬!!’

 

   ブオオン!!

 

「グオオオ!!」

 

   ピキキキキ!!!

 

「グオ!?」

 

左腕一本 凍り付いたが!

 

    ガシ!!

 

<魔王がグレートの顔面を右のアイアンクローで捕えた!>

 

「左腕はくれてやる

もはや逃がさんぞ」

 

‘これは!? ただ握力が強いだけではない

あらゆる食材を扱い 洗濯物を扱い 子供を抱いてきた手!

一部の隙もない!!’

 

「余計な分析をするな!

む!?」

 

    バッ!!!

 

〔ロープブレイクだ!!!〕

 

あーーーーーっと 間一髪

グレートがロープをつかんでいた!!

レフェリー井上が割って入って技をといた!!

 

「くっ その手が!」

 

『たしかに魔法剣に気をとられて

ロープに気づきませんでしたね』

 

「くっ ここは腕を解凍して仕切り直すか」

 

メラで強制的にオレの腕の氷を融かそうとしたが

 

    ボン!!

 

「なにぃ!!?」

 

<なんと魔王の左腕がふきとんだ!

これはどうしたことだ!!?>

 

‘冷たい食器に急に熱湯をそそぐと砕けるように

急激な温度差がもろくした可能性はありますが

あの魔王がこの程度で?’

 

『・・・すみません 私のせいです

戦闘状態で体を維持するのがこれほど消耗するとは・・・』

 

そういえば ただでさえ戦闘に不慣れな聖母竜に

いきなり2連戦は酷だったか

 

『これ以上は戦闘どころか まともに体を維持するのも・・・』

 

     ピシィ・・・

 

くっ 最初にアバンに蹴りをうけたヒザにヒビが

 

『せめて試合の合間の休憩をうけていれば・・・』

 

    グラ・・・

 

<あーーーっと 魔王がよろめいた!

コーナーにもたれかかるような態勢で

なんとかダウンを回避したが右腕を失ったダメージは深刻か!?>

 

「ククク・・・!」

 

<おーーーーっと ピンチに見える魔王の不敵な笑い>

 

‘楽しそうですね’

 

「たのしい、か ・・・そうだな

認めよう 貴様との闘いが!この窮地が!

オレの体の全てが ふきとんだ腕すらも

喜びに震えておるわ!!」

 

〔魔王 その体で続行可能なのか?

命に関わるようならレフェリーストップをかけるが〕

 

「見てみろ 血は一滴たりとも でておらぬ

人間とは体のつくりがまるで違うのだ

たとえコナゴナとなろうとも 大した問題ではない」

 

『灰の一粒一粒をこの私がつなぎとめていますからね

ですが・・・私には もう』

 

「ククク 

この世界の悪魔の知恵がオレに打開策を与えてくれた」

 

      ブチブチ!!

 

なんと魔王がコーナーの鉄柱を片手で軽々とひきぬいた!!

これを一体どうするのか!?

 

‘おやおや何の真似でしょうか

アシュラマンのようにそれを松葉杖に使うのですか?’

 

「いや オレが真似るのは、サンシャインだ

ベギラマ!!」

 

     ドロ・・・

 

<なんと魔王が握る鉄柱がまるでアメのようにとけだした!>

 

   ギュッ コネコネ グッ!

 

とけた鉄柱をまるでおにぎりを握るように

片手で器用にこねていきます!

 

・・・

 

「完成だ

見るがいい これぞ逆転の切り札キーパーツ

その名も【魔王のカギ】」

 

<なんとこれは!?

魔王の手には一本のカギが!

まるでチェスのキングの駒のようなカギが出来上がっています!

これを一体どうするのか!!>

 

    ガチャーーーン

 

<胸に埋め込んだーー!!>

 

『私の負担が減った?!

こんなことが!?』

 

「ホイミ!」

 

 パアアアーーー!

 

回復呪文でヒビは治ったが

さすがに砕けた左腕は再生できなかったか

どうせアバンに氷漬けにされた腕なら この方が身軽でいい!

急ごしらえのカギにしてはいい出来といえる

 

「片腕では極大呪文は使えん

炎の暗黒闘気と相性が悪い右のヘブンズクローでは

超魔爆炎覇も使えん

・・・だが

オレの優位は動かん」

 

‘・・・そのとおりです

その状態でも私よりも強いでしょう

さあ第3ラウンドといきましょうか’




スパロボTをプレイしてからトライダーG7のテーマ曲が頭から離れないウジョーです
新スパロボのときから曲は知ってましたが歌詞が加わると強力すぎました
社員総出の合体攻撃もツボでした 原作アニメ見てみようかと思うほどに

新元号の告示が目前 新たな時代の大きな節目に
天皇陛下のこれまでに 改めて頭が下がる思いです

エイプリルフールネタは正直今回形にするのが間に合いそうにないので
とりあえず超人一等祭に集中します
すっかり暖かくなったと思いきや意外と夜は寒かったりと油断ならない今日この頃
おつかれのでませんように

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。