ユグドラシルでバランス崩壊がおきました   作:Q猫

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考えたら捏造設定を使わずにユグドラシル時代を書くのは無理がありました。
今更で大変申し訳ありませんが、捏造設定、オリキャラ有りをタグに追加させていただきます。
そういったものがお嫌いな方に不愉快な思いをさせることを謝罪させていただきます。


世界征服計画(1)

再びメンバーが集まった円卓の間でアインズ・ウール・ゴウンの会議が始まった。

議題は当初の狩場の話ではなく、ぷにっと萌えの爆弾発言からだったが。

 

「で、結局なんで私のレベル上限を最大にしたのか答えを聞いてないですよ」

 

モモンガにしてみれば、みんなのレベルアップ機会を奪ったようで気分が悪いのだ。

トップを取る宣言も追及したいが、そこは早めに解決しておきたい。

 

「そうですね。実はうちのギルドに、ギルドマスターのレベルによって効果が増大するアイテムがあるんですよ」

 

そんなのあったか? とメンバーがそろって首をかしげた。

 

「気がつかなくても仕方ありません。取ったときは既にレベル100でしたからね。玉座の間にあるアレです。ワールドアイテム『セフィロトの10/王国(マルクト)』です」

「あれは拠点NPCレベルポイントを2倍にする効果じゃなかったのか?」

「いえ、正確には拠点NPCレベルポイントを『(ギルドマスターのレベルの10分の1)の2乗%』分プラスにして配置制限を取り払う、ですね」

 

ウルベルトの疑問に、つまり10×10で100%分増加です、と言うぷにっと萌え。

沈黙が円円卓の間におりる。

 

「……つまり、モモンガさんがレベル250になったら、625%増えるってこと、だよね?」

 

信じがたいという感情がにじみ出た震える声でヘロヘロが具体的な数値を口にする。口にした本人がその数字を疑っているようだった。

それに対するぷにっと萌えの答えはあっさりとしたものだった。

 

「鑑定した効果が正しいなら、そして修正が入らないなら、そうなります」

 

そして修正が入る可能性は低い、と続ける。

 

「根拠は?」

「まずモモンガさんにも言いましたが今回のアップデートでは運営がバランスを取ることを考慮したように思えません。そしてワールドアイテムは元々壊れ性能です。二十ほどじゃないですし気がついても放置でしょう」

 

たっち・みーの質問にも淀みなく答えが返る。

モモンガもNPCの強化と言う形で「ギルドのためになる」というのが納得できたため安心した。

 

一息ついたところで次の議題、というかこちらもぷにっと萌えの発言なのだが、トップ奪取発言についての話に入る。

 

「確かにさー、ギルド1位になるのは憧れるけどさ。俺らの人数でランキングポイント稼ぐの難しくね? もうアイテム新発見も、ボス初撃破も、未開拓地初到達もほとんど残ってねーし」

「そうなるとぉ、PKとかギルドバトルでぇ、稼がなきゃだめ?」

「姉ちゃん、ロリボイスで言うのやめて」

「黙れ、弟」

「んー、100レベルをPKしてもそこまでポイント稼げないし、そうなるとギルド攻略?」

 

メンバーが口々に言うのを聞いて、ぷにっと萌えも答える。

 

「最終目標はトリニティのギルド武器破壊ですね。その前段階で2ch連合も潰したいところです」

 

再びの爆弾発言に騒然となる一同だったが、モモンガも伊達に個性の強いメンバーを取りまとめてきたわけではない。

気合を入れなおすと口を開いた。

 

「とりあえず、頭の中にある段取りをざっとで良いので話してください。驚かされてばかりで話が進みません」

 

 

*   *   *

 

 

第一段階でギルドメンバーを強化する。これには「限界突破チケット」が必要になる。

 

「これなんですが、実のところお金と手間をかければ限界突破チケットはほぼ無限に増やせます」

「本当に?」

「ええ」

 

まず1DAYチケットでも招待でもいいのでリアルの知り合いに「新規」にキャラ作成を頼む。

その上で課金チケットを買ってもらってゲーム内で受領するだけだ。

お金のやり取りに問題が発生せず、確実にチケットをもらえると信用できる相手がいれば、1人につき4枚のチケットが手に入る。

内部にあるパイが奪い合いになるなら外から持ってくればいい。

 

「上限まで40枚。自分で4枚買えるから、一人当たり9人の勧誘か? 正直現実的とは言えんな。だができないとも言えない、か」

「そうでしょうね。なのでこちらは補助的手段で本命ではありません。ですが確実にチケットを集められるので最初に上げました」

「ふむ、本命は?」

「【永劫の蛇の腕輪】ですね」

 

さらっと出てきたワールドアイテムにみんながどよめく。

 

「ゆぐろぐ(※外部サイト。ユグドラシルのアイテムの相場などの情報が掲載されている。)で確認しましたが、直近で使用したギルドは無名の小規模ギルドでした。現在はまともに争奪戦が行われていないのでしょうね。制圧もまだ行われていないようですし、手分けすればそれなりに早く入手できるかと」

 

【永劫の蛇の腕輪】の入手にはかなり面倒な手順が必要になる。

まず前提として9人以上のグループでクエストを受けなければいけない。

 

そして9つ存在する各ワールドにひとつずつ存在する「蛇の祠」制圧イベントをこなし、世界をめぐり続けるウロボロスを地上に降ろす儀式を行う。

「蛇の祠」にボスはいないが、放置していれば別グループのプレイヤーが制圧を上書きできるため、普通なら9つすべての制圧が完了するまで防衛する必要がある。

 

その後、世界のどこか(・・・・・・)に現れる腕輪を12時間以内に回収する。

選出基準は周囲数kmに渡り、プレイヤーがいない地点が選出されるので、回収チームには機動力が要求されるのだがそれだけでもいけない。

最後に儀式を行ったプレイヤーが出現したワールドと大まかな位置は知ることができるが、最後はスキルを駆使したしらみつぶしの捜索になる。

木の天辺に引っかかっていたなどというのはまだ良い方で、深海、マグマの底なんてことも有り得る。

最悪の例だと徘徊型の巨大モンスターの背中に落ちていたなんていうのもある。

回収チームはあらゆる環境を想定しておかねばならないのだ。

 

ちなみに一度取得されると次に儀式が有効になるのは1月後となる。

 

「確か過去に上限突破を要求したプレイヤーは願いを却下され……今なら理屈の上では全員上限突破できるのだし通るか」

「そうだな。却下された例は有名だからすぐに思いつくやつも少ないだろう。すぐに動き出せるプレイヤーはもっと少ないはずだ」

「じゃあ願い事はギルドメンバーの上限を最大まで挙げる事?」

「いえ、それをしてしまうと真似された時に困りますし、先ほど建御雷さんたちが言ったように前例から却下される可能性が多少とはいえあります。なので限界突破チケットを、1000枚くらいですかね? 要求します。課金アイテムを要求して通った例はありますから。意味がないことにワールドアイテムを使ったって話題になったし、みんな覚えてませんか?」

「ああ、あったね。確か課金しないことに意味がある! とかいってたやつだ」

「でも、なんで1000枚? モモンガさん除いて40人で分けたら、えーと25枚だよね。自前で購入したものをあわせて29枚だから、上限は240にしかならないよ?」

「240は『にしか』とは言えないけど、確かに上限にしない理由は気になるね。ぷにっとの事だから意味あるんでしょ?」

「まあ、ありますね」

 

 

ぷにっと萌えが言ったのは、こうだ。

 

まず運営からチケットを貰う際に1000枚が限度だと言質を取る。ここらは交渉でどうにかする。

そして2ch連合の一部にこの情報を流す。主に無課金勢と呼ばれる連中にだ。

課金している人間にプレイ時間で対抗する彼らは、【永劫の蛇の腕輪】取得に飛びつくだろう。

一つか二つ祠を制圧した頃に2ch連合全体に情報を流す。

一応は同じギルドであるものの、基本的に「祭り」の時にしか同じ方向を向かない連中である。

無課金勢は協力すると言ってくるギルドメンバーを信用できるだろうか?おそらく無理である。

一部でも分け前を渡すのを嫌がり、内部で分裂するはずだ。

争いが激化すれば情報は他のギルドにも漏れるだろう。例えば、トリニティとか。

 

「えげつないな。陣取り合戦で両ギルドは疲弊するが、相手に【永劫の蛇の腕輪】を奪われたらと考えたら簡単には退けまい。残り時間は少ないから譲るのもありえまい」

 

そう言いつつウルベルトが笑う。黒幕として振舞う作戦が気に入ったようだ。

たっち・みーも呆れたように続ける。

 

「おまけに祠の周辺にボスはいないから通常のドロップ狙いと併用もできんな。何より1000枚しかチケットが手に入らないのならば、協力したメンバー一人当たりの取り分は大分減る。防衛に1パーティずつ、回収に1パーティ用意するとして10パーティで60人。一人頭16枚と決して少なくない枚数になるが労力に見合うと考えられるかは別だな」

 

可能性の問題だが、奪い合いを行う以上PKされることもある。デスペナまで考えたら本当に割に合うかわからない。

おまけに限界突破をしてもレベルは上がらないのだから、かけた時間によってはレベル上げがサービス終了に間に合わない可能性すらある。

限界突破したキャラクターで戦闘を楽しむためにレベル上げを切り上げでもしたら本当に何のために頑張ったのかわからなくなる。

まさに自分たちが利益をえつつトップギルドをつぶし合わせるための作戦といえるだろう。

 

「とりあえず初動はわかりました。相手がレベルアップする機会をつぶしてその間に差をつけようってことですね」

 

モモンガがまとめに入る。しかし聞いておきたいこともあったので言葉を重ねた。

 

「ただ、ナンバー2のワールド・サーチャーズはどうするんです? 彼らにも勝たねばトップにはなれませんよ?」

 

ぷにっと萌えはちょっと躊躇ったが、すぐに口を開いた。

 

「それなんですが。彼らと同盟を組みませんか? 放っておくとあいつら引退しちゃいそうなんですよ」




なんか自分で捏造設定したものを利用した作戦を語るとか精神にキますね。
人様の作品に勝手に付け加えているからなおさら。
アインズ・ウール・ゴウンのワールドアイテムの名前とか効果もこれでいいのかとか思いますし。

後、いい加減ぷにっと萌えさんの外見を描写しないのが難しくなってきました。
どっかで種族とか乗ってなかったかな。
至高の四十一人も名前の出ている人たちだけでまわすの厳しいし。
オリメンバー考えられる方とか尊敬します。

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