咲「ドンマイです。」
ラ「咲夜さんって足綺麗ですよね触らせて下さい」
咲「急に何言いだすんですか」
ラ「この世の!全員が!そう!思ってます!」
咲「変な偏見を持たない!蹴りますよ!?」
ラ「お願いします」
咲「・・・」ザク
ラ「うああああああああああああああ!!」ブシュッ ダラダラ
咲「あ、b型ですか。血、貰っていきますね。」
ラ「レミリア様の為ならこれしきい・・・!」
真「前回この馬鹿みたいな前書きが無かったのはシリアス回だったからです。・・・少なくともラギアはそう思ってるらしい。では、どうぞ!」
斬撃が宙に桜色の軌跡、壁を作り出した。
霊夢の弾幕が少しの間だけ途切れ、魔理沙が呆然と此方を見つめる。
バーストの出力、8%。
最大出力で地面を蹴り、地面を割りながら俺は魔理沙へと手を伸ばす。
「ひゃあ!?」
「ごめんーーー揺れる!」
突撃するような勢いで魔理沙を抱え、俺は再び地面を蹴り飛ばし、その場から離脱した。
次の瞬間、元居た場所には無数の弾幕が撃ち込まれ、その場に突っ立って居たらハチの巣にされていたことが直ぐ想像できる。
その事に安堵しつつ、俺は魔理沙に話しかけた。
「大丈夫・・・じゃなさそうだな。何があった?」
「・・・ちょっとな。たまたま霊夢を見つけたんで、ボコして永遠亭にでも連れていこうかって思ったんだけどさ、そう上手くは行かねえなあ。この様だ。・・・もう少し、強かったらなあ。」
泥と血に塗れた腕で目元を擦りながら、魔理沙はぽつぽつと呟いた。
それまでの苦労や考えを、俺は知らない。
それでも、魔理沙の悔しさは痛いほどに伝わって来た。
もう少し強ければ。
一番の後悔であり、惨めな自分に対する最大の言い訳。
これが分かっていても、俺は魔理沙に何も言えない。言ってはならない。
自分と同じ立ち位置の物に、諭す資格は無いからだ。
「これ。回復薬。」
「お・・・?なんだ、これ前私が渡した奴じゃねえか」
「うん、余ってた。」
爛漸苦との戦闘中に渡されたそれを、魔理沙に全て渡した。
自分の作った物だからか微塵も拒まず、直ぐに全部飲み干す。
不味そうに顔を顰めた彼女は、一息大きく付いた。
「ふう・・・ああ、大分楽になったぜ。ありがとな・・・真・・・。」
疲労か。
寝れるだけの体力が回復した魔理沙は、すっと目を閉じた。
「・・・さて、始めるぞ。」
『了解。久しぶりに話すね。』
それを確認した俺は呟く。
直ぐに応答するのは、世界最高峰の能力を持ち合わせた少女。
木陰に魔理沙を横たわらせた俺は、直ぐに振り返りーーーー
周囲一帯に、地割れを起こした。
バギィィイイ!!!
と土が割れ、地層が剥き出しになる。
俺の姿がその場から瞬く間に消え、空には蒼い残光が瞬いた。
そのまま。
俺は右手を大きく撓らせ、半透明から戻った霊夢に叩き込む。
空気を揺らし、衝撃波で地面が網目状に割れた。
「・・・っ!!」
「う・・・おおおおおおお!!!」
しかし一発目は辛くも受け止められる。
驚きと拳の威力に対する苦痛が入り混じったような表情が顔に浮かぶが、直ぐに無表情になった霊夢は俺に右手を向けた。
ボッ!
と何かが爆発するような音と共に霊力が放出され、俺の体が吹き飛ぶ。
宙を無防備に待っている俺の体に、霊夢は更に追撃を与えようと跳躍、距離を詰めるが。
「何も・・・霊力は霊夢だけの専売特許じゃないんだよ!!」
「!!」
対抗するように俺も左手を霊夢に向け、霊力を放出する。
俺の場合は中に流れている霊力を放出する為体が壊れない威力にしなければならないが、霊夢は霊力弾を掌に用意し、それを爆発させるため霊力弾で威力が変わる。
それに霊夢は霊力弾の天才であり、圧倒的に分が悪いのはこっちだ。
スーパーノヴァ程度しか、威力で霊夢に勝てるものは無いと感じる。
それでも、負ける訳には行かない。
たったの一回で良い。
全てを、霊夢にぶつける事が出来れば。
成功するかもわからない、完全な運。
それでも俺は、それを実行すべく低く身構えた。
「霊大刀[鬼丸]!」
黒い霊力が渦を巻き、俺の手に生成される。
久々に呼び出した黒い大剣はずっしりとした重みを含み、荒れ狂うような威力を持ち合わす。
それを両手で構え、俺は全力で薙いだ。
射程距離拡張。
10m程の黒い刃は空間を切り裂きながら霊夢へと牙を向ける。
「・・・遅い。」
しかし、霊夢は柔らかく膝を曲げたかと思うとその刃に乗って跳躍した。
雨を背にしながら彼女は霊力を溜め、放出する準備を始める。
「らあっ!!」
もう一度、今度は宙に舞っている霊夢を縦に切り裂くようにして振り上げる。
それも体を捻るだけで躱され、次には霊夢の拳が腹にのめり込んでいた。
体から空気が一気に抜け、また空気を求め口を開けたところで拳から霊力が放出された。
服が破け、更に呼吸が出来なくなるがそれを無視して俺は霊夢の腕を掴んだ。
「”霊夢の記憶と魂を今の魂から拒絶させるーーーーー”」
「!?」
赤い霊力が霊夢を包み込み、拒絶させようとするが。
いち早く危険を察知した霊夢は後ろに全力で飛び退り、俺の一撃は不発に終わった。
『おい、これじゃあもう霊夢は近づいてこないぞ?』
頭の中で陽炎が話しかけて来る。
俺の作戦・・・もとい賭けには、霊夢に触れて拒絶させることが第一条件だ。
霊夢を無傷で助ける。そして、元の霊夢に戻す。
その為には、
俺は肩で息をしながら、陽炎に答える。
「じゃあ、あっちから近づいて来てもらう。」
『どうやって?』
「簡単だよ。あっちが危機を察知して止めに来てくれれば良い。」
『・・・危機?お前、何か強い技あるっけ?』
「うっ・・・グサッと来るなあ。・・・一つだけあるよ。」
そう言い目を閉じた俺は、左腕に意識を集中させる。
ゴオオ!
と青白い霊力が燃え上がり、段々と霊力が蓄積されていく。
自分自身の重力に耐え切れなくなって爆発する星の様に。
左腕に莫大な、許容量を超える霊力が詰め込まれていった。
霊夢に左腕を向け、怪しむ様に首を傾げた霊夢に聞こえる様に、俺は口を開いた。
「スーパーノヴァ」
その一言をきっかけに。
左腕が閃光を放ち、霊夢が地面を蹴り飛ばす。