東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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妖夢「まあ、ラギアさんは良く言ってましたしね。」


第八章第三話「霧雨 魔理沙」

悪いが、私事霧雨 魔理沙様は親友である霊夢の事を忘れてなんか無い。

ばっちり覚えてるぜ、初めてあった時の事もな。

 

何故レミリア達に嘘をついたか?

そりゃあ私と霊夢が仲いいのは皆知ってるから、霊夢が敵に成ったら間違いなく私は行くと考えるだろう。

まあ行くしな。

でも、永琳とかに見張られたら?

即答。無理に決まってる。

だがしかし!私と霊夢が何の関わりも無いと、皆が思ったら、”記憶喪失”の私は最低限の警備だろう。

異変が起きたり、容態が悪化しない限りは、だがな。

まあ幸い異変が起きたり容態が悪化せずに完治。

しかし記憶喪失と言う事で永遠亭に閉じ込められていた私だがーーーー

 

 

今現在、いつもの魔女服に身を包み、自慢の箒と八卦路を確認しながら窓辺に立っている。

優曇華に見られたら大変だな、とか思ってたら本当に来そうなのでさっさとおさらばしよう。

 

「魔理沙ー?朝ご飯よー?」

 

訂正。飯だけ食おう。

 

「少し待ってくれ!乙女の着替えは覗くもんじゃないぜ!」

「なーにが乙女よ・・・ったく。」

 

ドアの外でため息を付いているであろう優曇華の姿を想像しつつ、私は着替えを急いだ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ごちそうさん。」

「はい、お粗末様でした。」

 

うむ、今日のは中々量が多かった。

少し腹がきついな・・・まあ、長旅になるだろうしこれくらい食っておいた方が良いか。

私はそんな事を考えながら手を合わせ、ベッドに横たわった。

 

「寝る。お休み。」

「食べてすぐ寝たら牛になるわよー?」

「迷信だ、迷信。」

「師匠の薬で。」

「起きてるぜ!?」

 

寝っ転がったまま叫ぶと、優曇華はくすっと笑みを漏らした。

 

「ふふ、冗談よ。おやすみなさい、魔理沙。」

「ん、お仕事がんばれよー」

 

お盆と食器を抱え廊下に出ようとする優曇華に手を振り、寝返りを打つ。

丁度ドアに背を向ける形となった私は、慎重に慎重に着替えへと手を伸ばした。

指の先で服をつまんだまま五分ほど息を潜め。

 

「・・・よし、スピード勝負だ。」

 

勢いよく上を脱ぎ捨て、いつもの白いブラウスを着始めた。

優曇華位あればなー・・・。

とボタンを留めながら考えつつ。

 

(いや!私のもステータスなんだぜ!)

 

首を振ってその考えを消し・・・まあ煩悩は捨てきれてないけど・・・最後に黒いエプロンのボタンを留めた。

箒を掴み、魔法薬の確認、八卦路の場所確認を済ませ、窓をゆっくり開ける。

紅魔館の様に壁をぶち壊して侵入するわけにもいくまい。音を立てない様に、だ。

 

首だけ外に出して辺りを確認し、誰も居ない事を確認する。

 

「うし、出発進行なんだぜ!」

 

そのまま二階の窓から身を躍らせ、途中で箒に跨る。

 

久々に感じる心地よい加速感。

吹き付ける寒風を防ぐように帽子を深めに被った私は、箒の後ろに付けてあるブースターに魔力を流し込んだ。

 

 

 

 

「待ってろよ、霊夢。私が、お前の初めての親友が、お前を助けてやるからな・・・!!」

 

 

魔力が後ろから吹き出し、体が一気に加速する。

宙に虹色の軌跡を描きながら、私は霊夢が居るであろう方向へ全力で向かった。

 

天気は快晴、雲は無し。

飛ぶには絶好の機会。

いつもの私であれば頬を緩めていただろうが、今回は口を真一文字に結んでいた。

 

霊夢を助ける。

そのためにはまず一度、霊夢をボコらなければならない。

 

 

 

 

 

・・・私は、霊夢に一度も勝ったことが無いのに。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ペラペラと、紅魔館の自室で俺は本を捲っていた。

読んでいるのは先日パチュリーに借りた魂の本。

目ぼしい物は見つからず、魔理沙は倒れ霊夢は行方不明になって居る事も合わさり進展が全くなかった。

 

 

「はあ、今回も無しか。・・・うわあ、次のは分厚いなあ。」

 

ため息を一つ、俺は次の本を手に取ろうと腕を伸ばしーーー

 

普通に、バランスを崩した。

ベッドの上に寝っ転がっていた体はくるりと綺麗に回転し、

 

「・・・・・あ」

 

意味のない音と共に地面に落ちて行った。

ドゴン!と鈍い音を立て背中をぶつけた俺は、目に映った物に違和感を覚える。

 

 

「魔力・・・?虹色の?」

 

それでも、幻想郷では何かが飛んでいるのは日常茶飯事だ。

 

天気は快晴、雲も無し。

それだけ確認した俺は、特に気にすることも無く読書に戻った。




咲夜「救いの無いシリアスは嫌い、ってね。魔理沙の記憶もやっぱり無くなって無かったわねえ。あのバカラギアは。」

ラギ「しどくない!?」

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