東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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ラ「へー、ここって二万文字も書けるんだ。」
真「・・・名に企んでる」
ラ「いや、シリアスの短編行けるかなー、と。」
真「案はあるの?」
ラ「うん。咲レミですね。」
真「こりゃまた定番なあ。・・・ルーミアとか妹紅は?」
ラ「良いね良いね。レイマリもね。」
真「確かに。」
ラ「早苗さんの現実世界のも!」
真「あれ?それお前だすっt」
ラ「ネタバレ待った無しなの!?」
真「いつになるかは?」
ラ「未定です。」


第七章第四話「始動」

「さて、行きましょうか。」

「おっけ。準備できた。」

 

紅魔館から日帰りで修行に出て三日。

幽々子様は大変面白がって妖夢をお借りする許可を貰い、妖夢も快く引き受けてくれた。

・・・のだが。だが!

妖夢の強さが尋常じゃ無かった。

バーストの最大出力を片手であしらい、一度剣を抜けば数激で勝負が着く。

改めて相手の遠さを実感しながら、俺は全力で相対していた。

 

桜ノ蕾を腰に携え、黒いスーツの襟元を整える。

白手袋に黒いズボン、首にはネクタイ。

そして、新たなスペルカードが二枚創られていた。

一つは妖夢の十八番・・・の一歩手前。

もう一つは完全オリジナル。

 

最後の日だけ泊まる事を許してもらい、日が昇る前の今俺と妖夢は白玉楼の玄関に立っている。

妖夢は異変の説明をすると二つ返事で協力してくれた。

引き戸の玄関を開け、幽々子さんを起こさない様にそっと出る。

静かに戸を閉めた俺は、呟いた。

 

「バースト」

出力、5%。

体の中を力が巡り、淡く光始める。

そのまま冥界の出入り口に飛び込みーーーーー

 

次の瞬間、冬の明朝独特の空気と風が俺の肌に吹き付けた。

 

「うーん、寒いですねえ」

 

隣では長袖に白のニーハイを着た妖夢が寒そうに飛んでいた。

ていうか色々見えそうなんですがあのその

 

「斬りますよ?」

「エスパーですか。・・・あ」

 

口を滑らせ、一瞬で妖夢が殺気を纏う。

ニッコリと笑うその顔は、目が笑っていなかった。

妖夢から目を反らしつつ。

 

俺は遠くの山の奥から昇る朝日を見つめた。

段々と赤く空を染めていく太陽は、驚く程綺麗だった。

現実か幻想郷。

どっちが良いかと問われるなら、それは究極の問いだと思う。

 

この美しい世界を守る。

俺は意思を固め、拳を握った。

 

 

着地と同時に地面を蹴り、俺と妖夢は博麗神社へ向かった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

大きい帽子を被った少女は呟く。

 

「霊夢の方から異変解決に誘ってくるなんてなー。」

 

息を吐くと、白いもやが目の前に広がる。

それを眺めながら、少女は笑う。

 

「面白そうだぜ!」

 

 

 

長袖に黒いニーハイを履いた従者は門番に声を掛ける。

 

「あら、貴方が起きてるなんて珍しいわね。」

「いやあー、えへへ・・・。」

「珍しかったらダメなのよ?・・・行ってきます。」

「行ってらっしゃい!」

 

ナイフと懐中時計を携え、従者は歩き始めた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・うん。みんな集まったわね。」

 

山から太陽が完全に顔を覗かせる頃には、もう異変解決メンバーは揃っていた。

 

『楽園の素敵な巫女 博麗霊夢』

『普通の魔法使い  霧雨魔理沙』

『半分幻の庭師   魂魄妖夢』

『完全で瀟洒な従者 十六夜咲夜』

『英雄か馬鹿か?   天音真』

 

「よしじゃあまずは手順を説明するわ。今回は4チームに分かれて貰う。・・・東西南北、全ての人里を通っていくわ。」

 

そこまで言うと霊夢は地図を広げる。

のぞき込むと、赤い墨か何かで四つの線が引かれていた。

 

「じゃあまずは南。私。」

 

霊夢が北の方へと続く線に霊夢、と書いた。

 

「北。魔理沙。」

「了解なんだぜ。」

 

北にも同じように書き、次にーーー

 

「西。真と妖夢。」

「了解。」

「分かりました。」

 

「・・・・東。・・・・さ、さっ咲夜っさん・・・!?」

「承りました♪」

 

能力を使っているわけでも無いのに場の空気が凍り付く。

咲夜さんもここでは我儘をやめようと思ったのか、一応文句は言っていない。

それでも霊夢をビビらせるほどの微笑を浮かべていたが。

 

「じゃ、じゃあ五分後に解散。・・・各自、準備!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「・・・知能がある妖怪?」

 

皆と別れ、俺は今妖夢に注意事項を説明されていた。

 

「はい。言葉を喋ったり、本能で動いていない妖怪は主に”中級妖怪”、その中でも特に強いのが”上級妖怪”と言います。これらは他の妖怪とは一味も二味も違うので気を付けてください。」

 

「分かった。それらには全力で当たるよ。」

 

「まあ、今の真さんなら大丈夫です!・・・今回は連戦が続くと思います。こまめな休息、周りの情報確認。やらなければならない事は沢山ありますが、難しい異変ではありません。無理せず、しっかりこなしましょう。」

 

「ああ、了解した。」

 

そこまで会話し、俺と妖夢は立ち上がった。

刀を確認し、神社の境内に出る。

 

「・・・・よし、じゃあ行こう!」

「はい!」

 

 

 

 

こうして、着実に運命は回り始めた。

一人の魂を失った少女と。

一人の魂を守った少年の。

 

 

距離は縮まる。

そして。

 

 

やがて、運命は交差するのかーーーーーーーーーーーーーー


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