東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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どうも!風邪気味ラギアです。
説明が多いです。
真がまた死にかけます。
謎の少女の名前が明らかに・・・!
では、どうぞ!


第一話第四話「手長足長」

「ふう、とりあえず一掃したわね。」

霊夢と俺は一息つき、あたりを見渡す。

火災も収まってきて、人々の避難も終わった。

「・・・私は元凶を探しに行く。真は万が一に備えてここに居なさい。」

そして霊夢はーーー飛んだ。

もうなんでもありか。

霊夢はそのまま飛び去り、俺は避難所へ向かう。

もう夜だからか、落ち着いた避難所では多数の人が寝ていた。

俺はバーストを解き、入り口のところで座った。

何かが入ってこないように、守っておくのだ。

「これ、どうぞ」

渡されたのは、どんぶりに入ったトン汁だった。

「ありがとうございます。」

あったかい。ちょうどお腹もすいていたし、冷えた体にはありがたかった。

俺がそれを食べ終わり、外を見てみると・・・何かが居た。

大通りの一番向こう。手が長いのが足の長いのに肩車してもらっていて、一つの巨人みたいだった。

それが、こちらへ歩いてくる。

「・・・バースト!」

俺は外に出て、指の先に高濃度圧縮霊弾を作る。

今日作るのは3回目か。慣れ始めてきたそれを、妖怪であろう者に向けてーーー発射。

指の先から光線が出て、妖怪の胸をに直撃する。

だが。

その光線は妖怪の胸を少しえぐっただけだった。

・・・今までの妖怪とは、格が違う。

相当、強い。

撃たれたことによって俺に気づいた手長足長はこちらに向かって走るスピードを上げる。

このまま近づかれたら不味い。

俺も手長足長に向かって走った。

出力、5%にアップ。

俺と手長足長は大通りの真ん中で対峙した。

「がああああ!!」

手長足長は叫びながらこちらへ走ってくる・・・速いっ!

俺は手長が持っている槍をよけつつ圧縮霊弾を放つ。

しかし全て躱されるか槍で撃ち落とされ、槍を突き出してくる。

俺はよけきれずに、槍に当たってしまう。

「ガハッ!」

幸い霊力による強化のおかげで体に穴は開かなかったが、それでも結構な衝撃が俺の体に来る。

俺は少し吹っ飛んだ。

そこに手長が攻撃してくるが、今度は躱し目に圧縮霊弾を当てる。

目に当てたことで手長はひるむ。が、肩車している方の足長は蹴りを繰り出してくる。

・・・いまだ!

俺は弱めにジャンプし、手長を思いっきり殴りつける。

手長足長は二人で一体のようなもの。

肩車という不安定な状態の上、下が片足なら上のバランスを崩させればすぐ転ぶ。

俺は妖怪のバランスが崩れた瞬間に、態勢を立て直す。

・・・何か、こいつを倒せる策はないか。

生半可な攻撃では跳ね返されて終わる。

唯一ダメージを与えたのは、ビームだった。

そして、厄介なのはあのリーチ。

手長の長い腕、しかも槍ときている。

走る速度も速い。空が飛べれば、どんなに楽か。

よし、出力を上げてもう一回ビームを・・・!

そんなことを思っていた時だった。

急に、手長足長が加速してーーー

気づけば、俺の腹に槍が刺さっている。

「・・・え・・・?」

ゴフッと。

俺の口から血が吐かれる。

手長足長がニタァと笑う。

バーストが解ける。

手長足長がゆっくりと槍を抜き・・・

もう一度、反対側の腹に槍を刺す。

もう声も出なかった。

痛い、より熱い。

俺の口から、さっきよりも多く血が出る。

手長足長はさらに口角を上げ、楽しそうに笑う。

「ふひ・・・ふひゃひゃひゃ!」

そして、手長足長はまた槍を抜きーーー

えぐるように、もう一回突き刺した。

俺は呆然と、しかし確かに死が近づいてくるのを感じていた。

もう、何もすることは出来ないはずだった。

突然、目の前の景色が変わった。

 

 

白かった。

ただただ白く、終わりの見えない地平線が広がっていた。

その世界に、一人の女性が居た。

赤が主な色の服に、金色の刺繍。

肩と脇を出していて、ひじから先には振袖の先のようなものがついている。

スカートは長く、靴が半分隠れている。

その人の目は優しく、それでいて鋭く。

口元は淡い笑みを浮かべていた。

・・・霊夢に、似ている。

霊夢が成長したらこうなるであろう容姿をしていた。

「・・・どうしたんだい?そんなとこに突っ立って。ほら、こっちへおいで」

俺は少し、その女性に近づく。2m程の距離になった所で、俺は進むのをやめた。

「ははは、真面目だねえ!」

その女性は豪快に笑うと、こちらを真っすぐに見つめた。

「あたしは博麗 幻夢。・・・初代博麗の巫女さ。」

初代博麗の巫女、幻夢。・・・霊夢は今何代目なんだ?

「んとな、博麗の巫女ってのは現実とこっちの境界を守ってるもんだ。」

幻夢が説明を始める。

境界というのはレミリア様が説明してくれた時の紙のようなものだろう。

「この二つがもし完全に交わってしまったら、世界の秩序はぶっ壊れる。その世界の破壊を防ぐために、日々境界の監視、境界に穴をあけてしまうような異変を解決するんだ。」

その穴に落ちたのが、俺か。

「さて、めんどくさくてつまらん話はおいといて、だ。」

幻夢は俺を指さした。

「あんた、能力者は知ってるな?」

「はい、一応は。」

「じゃあ、能力は死んだ人から受け継がれるって知ってるか?」

そこで少し切って、

「能力にはな、死んだ人・・・つまり以前持ってた人の魂が宿ることがある。強力な能力ならなおさらだ。・・・

今の能力者が、最も魂に、つまり死に近づいた瞬間、中にある魂と接触できる。今のあんただ。そして、一回会うことが出来たら・・・次から、いつでも会えるようになるんだ。便利で、なんとも都合がいい。そこで、前の能力者から力の使い方を教えてもらえるんだ。」

つまり、俺は今死にかけている。この人にはいつでも会える。そういうことだろう。

「あの、初代博麗の巫女は何年前なんですか?」

「2300年くらい前、かな」

・・・凄い。現実ではまだ古代と呼ばれる時代だ。

「その頃、初めて人間の能力者が現れたんだ。それがあたし。妖怪やお化けにしか使えなかったような力を、手に入れた。・・・今の[博麗]は、誰でも使えるように優しくなっている。」

幻夢は、目つきを険しくする。

「それは、[博麗]じゃない。どんな時でも、どんな状態でも全ての人を助けることのできる。その絶対的な力が[博麗]だ。」

いかなる状況でも、全ての人を助ける。そのための、絶対的な力。

「さて、あんたには今度本物を叩き込むとして・・・」

・・・俺の体、持つかな。

「まずは、今の状況を看破しよう。」

そうだ、早くしないと手長足長が村の皆のところに行ってしまう。

「大きすぎる力は、爆発となる。」

大きすぎる力。

「もう死にかけ何だ。思いっきり・・・」

俺が死にかけだというのに、幻夢は二カっと笑う。

「試して来い!また来るんだよ!」

 

景色が戻る。

目の前では手長足長がまだにやにやしていた。

俺は、手長足長に近づくためーーー

自分の腹を貫いている槍を、更に引き寄せた。

槍をたどって、怪訝な顔をしている足長と俺に槍を刺すために前かがみになっている手長に右手を向ける。

 

「・・・消し飛べ!」

俺は右腕だけに異常な霊力を流す。今使える霊力の容量を大きく超える霊力を、限界まで流す。右腕が熱い。だが、俺は霊力を流すのをやめなかった。

大きすぎる力は、爆発する。

右腕の容量を超えた霊力は外に放出。

俺はーーー

右腕を犠牲に、霊力を爆発させた。

そこら一帯を白い光が包み。

静寂。

砂埃が舞う中。

容量を超えたエネルギーを支えていた俺の右腕はだらんと垂れ、動かなく。

手長足長が居た場所には、数十mのクレーターが出来ていて。

手長足長は、欠片も存在しなかった。

俺は腹の出血、右腕のダメージが積み重なり。

ドサ、とその場に倒れた。

そこに駆け寄る一つの影。

「師匠!この人も重体です!」

真を抱えたうさ耳の少女は、銀髪の女性を呼ぶ。

「・・・」

真をみた女性は、地面にできたクレーター、そして真の右腕を見て、何が起きたかを悟る。

 

「・・・今回は私たちが遅すぎたわね。優曇華。すぐに医務室に。」

「了解です!」

優曇華と呼ばれた少女は真を抱えて走り去っていく。

「・・・あの刺し傷は、恐らく手長足長のものね・・・あの大妖怪を、一人で倒したか・・・」

 

「何だ、面白い少年ね。」

女性は身を翻し、自身も優曇華の後を追った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「なーんだ、勝っちゃた。」

その少女は、真の戦いを見ていた。

「私が作った子を消し去ってくれちゃって。迷惑しますね・・・」

少女は、村を眺め、背を向ける。

「ま、また遊びましょう。・・・霊力の少年。」

少女の目の前に、大きな鳥が現れる。

「もう行くぞ、暁。」

「はい。わかりました」

暁はその鳥に乗り、村を後にする。

 

・・・こんど会ったら、名前くらいは聞きましょう・・・

もうそろそろ、夜明け(暁)だった。




すこし説明が多く、つまらない回だったと思います。
・・・次回も、ぜひ読んでください!

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