タマミツネ戦のbgm最高・・・!!
和風と妖夢大好き人間としては、あの双剣がたまんねえ・・・!
アカツキノソラ!
ちくせう、いつか出そうかな・・・。
では、どうぞ!
「あれ?分からなかった?私の能力。」
無は首を傾げる。
その動作一つ一つは見た目相応の、何も違和感の無い動き。
しかし、そこに感じるのが隠せてない狂気、殺気。
本人に自覚は無いのだろう。
それでも、ひしひしと伝わる妖力に俺は口を開けない。
「・・・分かんなかったんだね。じゃあ・・・。」
少女はぬいぐるみを左手で抱え、右手を目の高さぐらいまで上げる。
そこで少し握り、ちいさな握りこぶしを作った。
「私がここで手を振っても、貴方には届かないでしょう?それは何故か!?」
満面の笑みで、無は俺に問う。
カラッカラに乾いた口を何とか動かし、俺は答える。
「そこに・・・空間、距離があるから・・・。」
「正解!じゃあ、貴方に拳を当てるには。」
少女の茜色の眼に、妖力と同じ紫色が混ざる。
存在感を増した無は、一言、口に出す。
「『私と天音 真の間の空間、距離を無くす』」
少女がそのまま右手を振る。
それと同時に、俺の体が九の字に曲がり吹き飛んだ。
腹をハンマーで力いっぱい叩かれたような衝撃。
内側と外側から襲ってくる激痛に、俺は地面に倒れたまま喘ぐ。
軽く振って、この威力。
しかも、無は無邪気に笑っている。
「ね!凄いでしょ!・・・じゃ、戦おうか♪」
そうだ。
この子は、天子の父親の刺客。
イコール、俺の敵。
今まで戦ってきた、どんな奴よりも強い。
少女は無邪気な笑顔で、再度口を開く。
「『天音 真の足元を高さ3m、大きさ2×2mで無くす』」
それと同時に、俺と無は動いた。
俺はその範囲から全力で逃げる。
無は地面が崩れて、俺が居たらバランスを崩していたであろう場所に拳を振り下ろしていた。
「あれー?外しちゃった・・・。」
少女は残念そうに言うと、紫がかった茜色の眼を此方に向けた。
「『天音 真を無くす』」
能力発動宣言。
その言葉と共に、一瞬で意識が薄れーーーーー
また、戻ってきた。
無の眼が見開かれ、驚きを隠せない。
「そんな・・・。私の能力は、世界の理を上書きする影響力が・・・!?」
始めて、笑顔を崩した場面だった。
俺自身、何が何だか分かっていない。
ただ、このまま突っ立っている訳にも行かないだろう。
俺は右の拳を握りしめ、腰を落とす。
地面を・・・掴めッ!!
亀裂が走り、足元が砕ける。
それを足裏で感じながら、俺は加速。
一瞬で無との距離を縮め、加速+腕の振りで威力が上乗せされた拳を振りぬく。
パアン!
と、肌と肌がぶつかり合う音が響く。
しかし。
”手ごたえが、無い”
加速時に起きた砂埃が晴れると、俺の拳は無の掌に受け止められていた。
「『天音 真のパンチの威力を無くす』」
そんな事も、出来るのか・・・!?
俺が急いで後ろに下がると、無は軽く俺に掌底を撃ちだした。
当たってはいない。
しかし、その風圧で俺は宙を舞った。
なんとか着地するも、眼前には少女の蹴りが迫っている。
上体を倒し何とか躱す。
そして、追撃を免れるため俺はもう一度飛び退った。
「これなら・・・どうだっ!!」
圧縮霊弾。
一つなら消される。しかし、多数の攻撃ならばどうか・・・!?
数十個の弾幕が、高速で無に襲い掛かる。
「『天音 真の弾幕を無くす』」
直後、俺の弾幕が全て消えた。
霊力の名残も見せないその空間を、俺は呆然と見つめる。
「嘘・・・だろ・・・・?」
目の前の現実を、俺は信じる事が出来ない。
近づけば、手痛い反撃。
距離を取れば、全ての攻撃、行動が”無くなる”。
「さ、行くよー?」
19、程離れた処で、無が声を上げる。
妖力が渦を巻き、軽く百は超えるであろう弾幕が生成された。
一つ一つが尋常じゃない殺傷力を持っており、禍々しく紫紺に輝いている。
「バーン!」
一声。
それがきっかけになり、全ての弾幕が唸りを上げながら俺に向かってその妖力を撒き散らす。
「・・・ここで、こんなとこで・・・!」
俺はバーストを解き、立ち上がる。
「死ぬわけには、行かないんだ!!」
弾幕を睨みつけ、俺は駆け出す。
「イクスバースト!」
体に封印霊力が回り始める。
出力、7%。限界。
そして、更に叫ぶ。
「霊刀[羅刹]!!」
右手に柄20cm、刃が1m程の両刃刀が生成された。
それを振りかざしながら、俺は更に加速する。
自分に当たる弾幕だけを的確に切り裂き、視界を覆うほどの弾幕を斬り進んでいく。
どこまでも前進する。
羅刹を生成する時のキーが、俺の中で強く燃え上がった。
それの影響か、羅刹も大きく光り始める。
紫一色の中、虹色と青白い光はその存在を強く主張していた。
そして、ついに弾幕の中を抜け、無へと羅刹を振り上げた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
全力で叫びながら、体中の力を全て絞り出す。
軽い爆発音、更に加速する羅刹。
腕を壊れない程度に暴発させる事で、それを推進力にも普通の攻撃にも応用出来る。
届、け・・・・・・・・・・・!!!
「『天音 真の霊力を一時的に無くす』。」
その一言。
たった一言で、俺の体から力が抜けた。
右腕も常人が全力で振った程度の速度になり、羅刹を失った手は空を切る。
あの速度を、見切るのか・・・!?
常人では何が起きたのか、何をしているのかすらも分からない程の速度を無は見切った。
満面の笑みを浮かべた無は、そのまま拳を振る。
「カッ・・・・ッハ・・・」
声すらも出ない。
霊力の加護がない今、妖力前回の拳を受けた俺は弾幕を切り裂いて詰めた距離をまた離される。
地面に四肢を強く打ち付け、さっきの激痛もあり俺の体は動かなくなった。
何とか意識を保つ俺を見下ろすように、無は俺に近づいた。
「・・・辛い?」
動けない。
「・・・辛いよね。」
動けない。動けない。
「今、楽にしてあげるからね。」
動けない動けない動けない動けないーーーーーーーー
それでも、無の拳は無慈悲に振り下ろされた。