最近小説が疎かになって来てる・・・やばい。
クリスマスと年末年始物をだす予定です!
レミフラ、レイマリ、真みょんかなー、と。
出せたら、です(笑)
では、どうぞ!
歩くのにも、時間がかかる。
体を引きずるようにして歩きながら、俺は天子のいる病室を探していた。
途中、医者に見つからなかったのは幸いか。
真夜中、俺は遂に病室を見つけた。
ドアを静かに開け、中に入る。
暗く、寝静まった病室を月明かりが照らしている。
その光を浴びながら、天子は寝息を立てていた。
顔色は良く、苦しそうな様子も無い。
胸に包帯が沢山巻いてあるのが見え、俺は其処から目をそらした。
・・・結局、一番傷つけているのは俺じゃないか。
奥歯を噛みしめ、俺は頭の中でその言葉を反芻する。
でも。答えは、変わらなかった。
力の入らない拳を握りしめると、突然声が聞こえた。
「動かないで。少しでも怪しい素振りを見せたら、撃つわよ。」
首筋に何かが押し付けられる。
俺の背筋に悪寒が走り、嫌な汗が垂れ始めた。
いつ、近づいた・・・!?
全く気付かなかった。
この、声が聞こえる距離まで近づいて来ている。
俺は体の動きを止め、その人の言葉の続きをまった。
「・・・あら?貴方病人じゃない。どうしたの?」
「・・・・あ、八意先生。」
背後の人間が殺気を消すのと同時に、俺は振り返った。
そこには俺と同じくらいの身長、銀色の髪を長く伸ばした八意先生が立っている。
どうしたの?
と再度聞いて来たので、俺は全てを、そして目的を話した。
「・・・ふむ。天子ちゃんに場所を教えてもらって、自ら叩きに行く、と。」
「はい。・・・怪我は、何とかします。」
俺が話し終えると、八意先生は肩を竦めた。
「無理よ。そんな大怪我している病人を、戦いに出すなんて。」
そこで区切り、先生はニヤッと笑った。
「普通の医者、ならね。」
そういって、懐から小瓶を取り出す。
「レミリアから頼まれてたのよ。無茶するだろうから、せめて傷だけは治してやってくれってね。」
小瓶を傾け、その中に入っていた丸薬を一つ手に出した。
「これは。不老不死の薬。別名、”蓬莱の薬”よ・・・。ま、すっっっっっごく薄めた奴だけど。」
俺にそれを差し出しながら、続ける。
「超回復。細胞一個死ぬことを許さない不老不死の効力は、極限まで薄める事で一瞬だけその効果を発揮する。貴方のような大怪我も、一瞬で治る。ただ、欠点が一つ。 短期間に接種しすぎると、薄めてある効力も溜まっていき、大きな効力になって・・・不老不死になってしまう。貴方に上げるのは今回のみ。天子ちゃんは動ける。肝に銘じなさい。自分は、本当に沢山の人に助けて貰ったのだと。」
「覚悟があるなら、呑みなさい。止めはしないわ。」
俺は、その黒い丸薬を手に取り、躊躇なく口に放り込む。
舌で溶けると同時に、体が溶けていくような錯覚に陥った。
灼熱の炎に、炙られているような感覚。
俺の腕が、瞬く間に形、色を変えていく。
落ち着いたのは、三分ほど後だった。
煙が上がっているのを横目で見ながら、俺は話す。
「・・・ありがとうございます。助かりました。」
「いいえ。・・・・頑張りなさいよ。」
「はい!」
八意先生は俺に手を振りながら、その場を離れて行った。
俺は病室の中に入り、窓を全開にする。
山の向こうに、朝日が見えていた。
「・・・行く?」
「・・・うん。・・・一緒に、来てくれる?」
「勿論。無駄な心配何てしないでよ・・・!」
天子が目を覚ます。
無駄な心配。
それが何を指しているのか、俺には分からない。
でも。
今は。
目の前の事だけに、集中しよう。
話はそれからだ。
「場所は?」
「妖怪の山の天辺・・・より上!」
「おっけ!」
天子が着替えているのを見ない様にしながら、俺はナイフを外に向かって投げた。
「八咫烏」
青白い霊力が纏わりつき、烏を生成する。
それに飛び乗った俺は、天子に向かって手を差し伸べた。
力強く握った天子は、俺に飛び込んで来るようにして八咫烏に乗る。
「行くぞ!」
「おー!」
大きく翼を広げ、空を叩く。
一気に高く、高く飛翔した八咫烏は朝日を受け、淡く輝く。
そんな二人を、彼女ーーーー”無”は見ていた。