東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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どうも!ラギアです!
前回は敢えて挨拶無しです。はい。
むー、最近短いですね・・・。
キリが良い所となると、どうしても・・・。
戦闘パート多めなので、難しいですね。
では、どうぞ!


第五章第十二話「激昂」

爆風に飛ばされた俺は、地面に叩きつけられた。

右腕を、、とてつもない激痛が襲う。

土埃が視界を遮り、何も見えない。

地面に倒れたまま、俺は気の方を見た。

閃光の余韻が頭を揺らし、視界が霞む。

 

そして。

煙が晴れ、全てが見える。

そこには。

 

 

「嘘・・・だ・・・」

 

俺は思わず声を漏らす。

俺から12m程離れた処。

そこで爆発させたからか、更地の地面がボロボロになっている所に。

動かざる山の如く。

気が、殆ど無傷で立っていた。

俺は、右腕の激痛を無視して立ち上がろうとする。

しかし、体に力を入れる度に全身が痛み、立ち上がれない。

地面に這いつくばったままの俺に、気は地面を踏み締め、ゆっくりと近づいてくる。

激痛に耐えながら顔だけ上げると、気がすぐそこに立っていた。

そのまま大きい拳を振り上げ、強く握りしめる。

黄色のエネルギーが拳に纏わり、空気を焦がし始めた。

「ぐっ・・・ああああああ!!」

苦し紛れに、背中から蒼い霊力を放出する。

気はそれを避けようともせず、左手で払いのけた。

そして、黄色のエネルギーが大きく膨れ上がり、拳が空間を揺らしながら俺に迫る。

このまま、終わりだ。

俺は目を瞑り、その眼から滴が零れ落ちるのを防ぐ。

 

すいません、レミリア様。

咲夜さん、パチュリー、美鈴、小悪魔。

 

すいません、幻夢。

 

 

ーーーーーーーごめん。隔ーーーーーーー

 

でも。せめて。

俺は左手を勢いよく上に上げる。

余りの激痛に視界が揺らぎ、体が地面にもう一度叩きつけられる。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

左手に、蒼い霊力を流し込み始める。

形容出来ない程の痛みが全身を襲い、左手が痙攣をおこす。

視界が朧げに、霞んでいく。

それでも。

一矢、報うために。

更に、霊力を流し続け。

 

閃光を放つーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

「及第点。お疲れさん。」

 

俺の左手を、小さな小さな手が掴む。

紫色の髪に、紅い瞳を煌めかせた彼女は。

気の拳を、片手で受け止めた。

そのまま軽く投げ飛ばし、俺の前にスッと出る。

 

「さあ、私の家族をここまで傷つけた。覚悟は良いわね?」

 

紅魔館の主、レミリア・スカーレットはその眼光を鋭くした。

 

日傘を左手に持ち直した彼女は、右手に深紅の槍を出現させる。

それは、今まで何度も見た事のある形状をしていた。

でも、魔力の量が圧倒的に違う。

これが。

これが、紅い悪魔の力・・・!!

俺は、戦慄する。

己の主の、初めて見る一面に。

 

 

 

レミリア・スカーレットは。

 

 

 

・・・・・・・・・激昂していた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

私は、私に激怒していた。

何故こんなになるまで気づけなかった。

この前じゃないか。

私の家族が、全員傷つけられたのは。

奥歯を噛みしめ、槍を握る手に力を籠める。

吸血鬼独特の、鋭く尖った犬歯が剥き出しになり、目が赤黒く染まっていく。

速く、終わらせよう。

真と、あの少女を病院に運ばなければ。

「・・・咲夜でも連れて来るんだったわね・・・」

私は一回息を大きく吐き、気を引き締めた。

 

「神槍[スピア・ザ・グングニル]」

右手を軽く振る。

深紅の槍が絶大な魔力を纏い、大男に向かって切っ先を向ける。

気が反応し、少し身構える。

しかし、私は身を翻し真と少女の元へ歩み寄る。

 

何故か?

答えは簡単。

槍が放たれた瞬間には、その通り道に何も居なかったから。

私の本気の魔力は、霊夢でも対処できるかどうか。

それを”格下”にしたら、消えるのは最早当たり前の現象だろう。

真と少女を抱え、私は自分の手に噛みつく。

少し血を吸い、口を離した。

瞬間、私の翼が魔力を纏う。

ブースターの様に魔力を放出しながら、私は空を飛び始めた。

その眼は、いつも通りに紅かった。


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