東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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どうも!ラギアです!
いやはや、決め台詞って難しい。
特に行き当たりばったり執筆の俺にとっては・・・(笑)
はい、グロいのは作者的に大っ嫌いなので今回は出てきません。
前回、酷かったなあ。
天子は幸せにします。救いのないグロなどは嫌いなので。
・・・ネタバレ待ったなし!
では、どうぞ!


第五章第五話「二人ぼっちの戦争」

天子は、どんどん森の奥へ歩いていく。

後ろは振りかえらず、前だけ見ていた。

確かに助けてくれたし、ありがたいとも思った。

でも、そこまでだ。

私を助けてくれた人は皆あの傷を見せるだけで遠のいていく。

きっと、あの少年も。

私と歳が近いから、あんな言葉が出てしまったんだ。

感情何ていらない。

私は所詮、人形なのだから。

天子は心の中で呟き、唇を噛みしめる。

「っ!」

握り締めた拳を、近くにあった木に打ち付ける。

ドン!と鈍い音を立て、木が少し揺れ、木の葉が散った。

 

「おお、恐いねえ。」

「誰!?」

 

突如、頭上から声が聞こえた。

咄嗟に誰、と言ったが天子はこの声の主を知っていた。

良くお父様と一緒に居る、妖怪の一人。

 

「おいおい、酷いなあ。俺は”永”だよ。忘れちゃったかい?」

軽く声を掛けた永は、いきなり妖力を放出した。

紫色の光を発し、爆風。

木や草が薙ぎ倒され、その場に居た生き物は逃げまどう。

その場に立ち尽くしていた天子はそれを体全体に喰らい、吹き飛んだ。

響いた轟音は、遠く離れた真の耳にも届くーーーー。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「今のは・・・!」

一瞬、とてつもない量の妖力を感じた。

それと同時に、爆発が遠くで起きる。

その方面は。

 

・・・・天子が、歩いて行った方面だった。

 

俺はすぐに腰を浮かせ、口を開く。

しかし、そこで止まる。

さっき、天子は迷惑だ、と。

来るんじゃない、と言った。

言葉がまだ頭に残り、俺は足を動かせない。

一歩踏み出せば、駆け出せるだろう。

でも。

一歩目が、踏み出せないのなら・・・。

 

拳をぐっと握り締めると同時に、もう一度遠くで爆発が起きた。

爆風に乗って、何かが宙に舞っている。

「天子の・・・被り物・・・!!」

迷ってる暇は無い。

ぼろぼろになっている被り物を視界の端に捉えながら、俺は駆け出す。

「バースト!!」

体に霊力が回り始める。

出力、5%。

全速力で森の中へ突っ込み、そのまま大きく跳躍する。

一気に木々を見渡せる程の高さまで言った俺は、木の上に着地。

そのまま上を走り、下を見回す。

一個、更地になっている所があった。

薄く見えるは、一人の男。

そして、快晴の青空を思い浮かばせる綺麗な髪。

天子だ。

俺は膝を曲げ、思いっきり蹴り飛ばす。

木が大きくしなり、細い音をだす。

加速した俺は、男と天子の真ん中に立つように突っ込んだ。

 

 

 

 

 

「はいはい、無駄無駄。いくら君が天人だからってさ、大妖怪に勝てる訳ないでしょ!」

永は明るく笑いながら手を叩く。

その正面にある大木に、天子は叩きつけられていた。

顔には生気が無く、瞳は霞んでいる。

しかし永はそれを気にする事も無く、髪をガッと掴んだ。

「ね、諦めよ!そっちのが良いからさっ!さっさとくたばれよ生ゴミ姫♪」

いっそすがすがしい程の笑顔を天子に向ける。

異変に気付いたのは、その直ぐ後だった。

風切り音がする。

それも、かなり高速の物が近づいて来てる・・・!

永は急いで警戒態勢を取る。

しかし、その時にはもう。

拳が自身の頬にのめり込んでいた。

 

 

 

「だあああああああああああああ!!!」

全力の大ぶり。

男の頬に見事ぶつかった拳はその勢いを全て使い、男を数m吹き飛ばした。

骨と骨がぶつかる鈍い音を響かせ、地面を転がった奴は直ぐに立ち上がった。

俺は天子を抱きかかえ、男に向く。

 

「・・・てめえ、何もんだよ。」

 

「俺か?俺は・・・。」

ニヤッと笑い、俺は言い放つ。

 

「天音 真。捕らわれの姫を助ける、ヒーローだ。」

天子の目が驚きによって見開かれ、男はめんどくさそうに首を鳴らす。

「あーはいはい。お遊びは帰ってやってなっ・・・!」

男が加速し、俺の目の前に蹴りが迫る。

俺は天子を抱えたまま跳躍。

蹴りを躱し、お返しにと俺も蹴りを放った。

「なあっ!?」

予想していなかったのか、男は腹に蹴りを喰らい、再度吹き飛んだ。

 

天子が、今にも消え入りそうな声で尋ねてくる。

 

「さっき・・・言ったよね・・・!自分の思いで、勝手に行動しないでって・・・!」

抱えられたあま、俺の服をギュッと握る。

「何で来たのよ!さっき見たでしょ!私の醜い傷跡を!何で・・・。どうして、離れて行かないのよ・・・!」

俺を見上げる目には、涙が溜まっていた。

 

「俺、馬鹿だからさ!」

天子が体を震わせ、更に強く服を握り締めた。

「ただの傷跡だけで、離れて行くとか分かんないし!自分の意思で行動すること”しか”出来ない!」

「天子!お前は確かに傷を負って、逃げてきて!俺が嫌いかもしれない!でも!それは、天子の思いだ!」

 

 

「俺が天子を見捨てて良い理由には、ならないんだよ!!!」

 

天子が俺を見つめ、目から涙を零す。

俺は優しく笑いかけるように告げる。

 

「例え一人でも。俺は、天子の味方だ。・・・少し、休んでて。」

俺は天子をそこに寝かせる。

顔を両手で抑え、嗚咽を漏らす天子はどうして、と呟いていた。

「たった一人の女の子がそこまで戦ったんだ。生き延びたんだ。」

そろそろ、”二人”になっても。

 

「後は、黙って俺に任せとけ。」

 

ーーーーー良いだろう?

 

 

男が妖力を溜め終えたのか、拳を振りかざしてきた。

俺も、それに迎えうつように拳を振るう。

紫と薄い青の軌跡を描き、二つは空気を焦がしながらーーーー

 

轟音。そして、衝突ーーーー!!


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