・・・ああ、寒い。
書いてると腰が痛くなってきます。
二晩煮込んだカレーは美味しい。
では、どうぞ!
俺の腕は青白く光ってなく。
・・・黒く、ただただ黒く光っていた。
「なっ・・!?」
霊夢が駆け寄ってくる。
そして俺の腕をつかみ、早口でまくしたてた。
「真。何があったのか、全部話しなさい。」
レミリア様も心配そうにこちらを見ていた。
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場所はレミリア様の部屋。
おれはそこで霊夢、レミリア様と向かい合って座っていた。
「何があったのか、良くわかんないんです・・・でも、俺の霊力は青白い光でした。」
「・・・黒い霊力か・・・」
霊夢とレミリア様は話始める。
そして、レミリア様が近づいてきた。
「・・・真、目を閉じていて。」
神妙な顔でそう言った彼女は、俺の額に人差し指を当てる。
俺は目を閉じ、一切の有無をレミリア様に任せた。
ドクン!
と心臓が鳴り、目を開けた。
しかし、そこはレミリア様の部屋ではなく。
俺が霊力を引き出す時に来た、あの大きな空間だった。
俺の目の前には変わらず青白く光る結晶がそびえたっている。
しかし、俺の右には。
鏡のようなものがあり、そこに写っているのはーー
黒く光る結晶と、目が黒い俺だった。
「・・・誰だよ・・・!」
俺は黒い俺を見て呟く。
そいつは俺で。
俺じゃ無かった。
「はっ。自分に向かって誰だよ、か・・・」
そいつは首を鳴らし、こっちを見てくる。
「俺は天音真さ・・・ま、お前と正反対だけどな」
俺はそいつの言っていることの意味を何処かで理解していた。
ーーーそして、今の俺よりあっちの俺の方が強いことも。
「・・・正反対、だって?」
「ああ。お前の方にある、」
黒い俺は青白く光る結晶を指さす。
「その結晶は、[守る力]だ。」
俺の、今使っている力。
「そして。俺の方の黒い結晶。これはーー。」
黒い俺はその結晶に手を当てる。
「[破壊する力]だ」
俺は無意識にそいつを睨んでいた。
「・・・何故今の俺に回っている力が黒い、[破壊の力]なのか。」
「お前は、分かってるんじゃないか?」
あっちの俺は立て続けに言う。
そして、二ヤっと笑い、最後まで言葉を発する。
「爛漸苦をぶっ倒して、紅魔館の連中の信頼を取り戻したいってよ。」
俺の胸が痛む。
・・・そして。
「そんで!?また信頼を失うのが怖くて戦えねえってんだ。だから、お前は、俺は。自然に、本能的に求めたんだよ・・・」
守る力が、使えないのはーーー
「俺の意思に反する力を。皆を守るために強くなる、じゃなくて。」
「邪魔なやつを、ぶっ壊すための力を。」
「今の俺を使って戦えば、お前は更に強くなれるんだ・・・立ちふさがるものなんて全部・・・」
「壊しちゃえよ」
「・・・真!真!戻って来なさい!」
黒い俺の言葉を最後に、俺はレミリア様の部屋に意識を戻される。
レミリア様はもう人差し指を離していて、代わりに霊夢が俺の頬を叩いていた。
俺が起きたのを確認した霊夢は、叩くのをやめる。
「・・・もう一人に、会ったのね。」
俺は正直に、今あったことを思い出しながら答える。
「・・・はい。」
霊夢はそのままレミリア様の隣に座り、一息つく。
「話しましょうか。」
霊夢は凛とした顔になり、俺を見る。
「・・・霊力の、陰と陽を」
俺は紅茶を飲み、一回大きく息をつく。
そして、俺も霊夢を見た。
「霊力は、力の結晶。・・・でもね、力には色々あるの。」
「一つ目。”自分の意思がそのまま反映される力”・・・これを、陽。」
「二つ目。”自分の意思の正反対が反映される力”・・・これを、陰。」
「光があれば影があるように、この二つは必ず存在する。」
光と、影。
俺の守る力の反対が、壊す力と黒い俺だってことか。
「・・・幽霊異変、あったでしょ?二つの力が同時に体内にあるとき、暴走するって奴。今私たちが心配してるのは、その暴走なの。」
「え?でもあれは妖力と霊力だった・・・同じ霊力なら、大丈夫じゃないんですか!?」
俺はチルノを思い出しながら言う。
暴走。
その力は凄まじいが、抑えれなければ多大な被害を被る諸刃の剣だ。
「・・・幾ら同じ力だと言っても、それは部類の話。正反対の力なら、噛合わないこともあるわ。」
でもね、真。
と霊夢は続ける。
「この陰と陽は自分の中にある、力なの。これらを上手く混ぜて使うことができれば。」
「自分の意思では補えない部分を補うことが出来るのよ。」
守る。
では出来ない攻撃・・・破壊の力。
この二つの力を合わせることで、お互いがお互いを補いあって強くなれるということか。
陰陽玉。
これはいくら俺でも知っているが、霊力の陰と陽をこんな風に混ぜ合わせれば良いんだろう。
「でも、それは容易く出来ることじゃないの。それらを混ぜ合わせるためには、正反対の自分を認めさせなければならないの。・・・つまり、今の自分を超えるっていうこと。」
俺は紅茶を一口飲み、カップを机に置く。
「まあ、人によってどうするかは違うから・・・私からアドバイスが出来ることは、一つだけよ。」
霊夢はすこし笑みをもらす。
「自分を、信じ続けなさい。何があっても、挫けたらダメ。」
その後にはいつもの顔に戻っていた。
「困ったことがあったらいつでも来なさい。・・・あと、反対の霊力。すこし使ってみたら?」
その後霊夢は窓から飛んで神社に帰った。
ちゃっかりお茶菓子を持って。
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・・・今は2時くらい。
レミリア様と俺はさっきの霊夢と同じように向き合っていた。
「さ、貴方の心の声は聞かせて貰ったけど・・・」
え?聞かれた?
レミリア様は肩をすくめ、ジトーっとこちらを睨む。
「凄く下らない話ね。私や咲夜があの程度で貴方を見放すとでも?」
レミリア様は日傘をくるくる回しながら続ける。
「確かに爛漸苦の方が強いかもしれない。でもね、私たちは強い弱いで判断してなんかいない!」
高く庭に響いた声は、空気を揺らす。
「貴方はここに来てからずっと頑張っていた。私はそれを知ってる。」
レミリア様は大丈夫、と笑う。
「敗北は、誰にでもある。一回でそんな悩んでたら、それこそ離れていくわよ?」
俺は、自分にいつもの感情が戻ってきているのを感じた。
思えば、負けてから笑ったことはあっただろうか。
・・・無かった。
俺は、本当に下らない事で悩んでいたんだな、と。
自然に、俺は笑っていた。
「・・・さ、貴方の破壊を私に見せてみなさい。」
魔力が渦を巻き、レミリア様に集まる。
相対して、俺は思う。
幻夢に追いつくには、この人も倒さなきゃならないのか、と。
そして、爛漸苦程度に迷っていたら、勝てないと。
「・・・行きます!」
俺は久しぶりに、声高く叫ぶ。
「バースト!」
俺の体に、いつも通りの霊力が流れ始める。
でも俺は、あえて黒い霊力を引き出した。
体が黒く光始める。
でも、俺はまだ笑っていた。
上等だ。
破壊を。お前を認めさせて、俺は強くなるんだ、と。
俺は黒い霊力を外に放出し、生成するーーー
それは段々大きくなり。
黒く大きな翼を広げ、大きく咆哮する。
レミリア様は少し目を見開き、
「面白いわね・・・それでこそ天音真!紅魔館の一員として、私の家族よ!」
獰猛に笑い、叫ぶ。
生成が終わった俺は、そいつの名を呼ぶ。
身長3mほど。
翼を広げれば横に8mは行くだろう大きな体を持ち。
黒く光る鉤爪と嘴を持つそいつはーー
「-ーー八咫烏」
名前を呼ばれ、黒い霊力を辺りに漂わせた。
咲夜は次回出てくるよ!
・・・予定通り行けば、次回からタグにあるものを追加しそうです・・・