東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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どうも!ラギアです!
今回から心機一転、頑張って行こうと思います!
・・・俺、ネーミングセンスないなあ。
いやはや、話が自分の中で固まってくるとワクワクしますね・・・!
では、どうぞ!


第四章「混沌と一人の星」
第四章第一話「紅魔館への訪問者」


幽霊の異変が解決され、四日程たった。

俺はその日も紅魔館を慌ただしく駆け回り、仕事をこなしていた。

ある時はパチュリー様のお手伝い。

はたまたある時は咲夜さんのお手伝い。

フランの遊び相手、レミリア様の講義を受け。

俺がやっと仕事を終え、休もうとしていた時に。

一人の訪問者が、玄関を開ける。

そこから、紅魔館を騒がす事件が起きるーー

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「すいません、突然お邪魔して・・・」

今いるのは大広間。

突然の訪問客に紅魔館の皆が集まっていた。

「僕は雨音 爛漸苦(あまおと らんざく)って言います。」

爛漸苦は栗色の髪に細い目、物腰が柔らかそうだった。

「じつは、何か気づいたら森の中に居て・・・歩いていたらここを見つけたので、お邪魔しました。」

・・・俺と同じ感じで、こちらに迷い込んだのだろうか?

まあ、いい人そうだ。

「この前まで人里に居たのですが、そこを妖怪に襲われてしまい・・・逃げて逃げて、やっと建物が見えたんですよね・・・」

元々この世界の住人らしい。

「ふーん・・・そう言う事なら家に泊まっていく?それとも人里に送る?」

爛漸苦は頭を掻くと、申し訳なさそうに言う。

「人里はやはり襲われた時の事を思い出してしまうので・・・厚かましいですけど、出来たらここに泊まりたいなーと」

レミリア様は良いわよ。

と言って欠伸をする。

そして、またよからぬことを思いついたようだ。

ニヤッと笑い、俺の方を見る。

「そうね、貴方の実力も知りたいし・・・真と戦ってもらうわ。」

「ええっ!?」

やっぱり、俺に矛先が向いたか・・・

俺より少し背の低い爛漸苦は、俺に近づいてくる。

「貴方が真さんですか・・・宜しくお願いしますね!」

あっちが握手を求めてくる。

俺は手を握り返す。

「宜しくお願いします。」

爛漸苦は手を離すと、話し始めた。

「僕魔力を使うんですけど、真さんって何使います?」

「霊力、ですかね」

「へー!そうなんですか!」

レミリア様はパン!と手をたたき、自分に目線を集めた。

「じゃあ、移動するわよ。・・・二人とも、頑張ってね。」

俺たちは皆、玄関を出て庭の方へ向かった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

俺と爛漸苦は庭の中心あたりで向かい合う。

その距離、役15m。

紅魔館の皆は日陰に座り、俺たちをじっと見ていた。

「よーい・・・どん!」

レミリア様の掛け声がかかると同時に、俺は体に霊力を流す。

「バースト!」

「アンロック!」

俺と同時に、爛漸苦も叫ぶ。

すると相手の体にも、魔力が回り始めた。

俺は地面を蹴り、相手に近づく。

幾度となく暴発させたおかげで、段々使い勝手が分かってきた。

俺は爛漸苦に向け、右手を突き出し。

霊力を暴発させた。

ボゴォ!と霊力が腕から放出される。

「うおっ・・・」

爛漸苦は後ろに飛んで避ける。

その間に魔法陣を発生させ、魔法を放つ。

「ランブルベイn--」

しかし、俺は相手が呪文を言い終える前にもう一度、腹に拳を叩き込む。

魔法陣が崩れ、爛漸苦が吹き飛んだ。

直後、俺は地面に向かって拳を叩きつける。

地面が大きく揺れ、亀裂が走る。

ーーー使わせて貰います!幻夢!

俺はそのまま霊力を地面に流す。

すると、地面に入った亀裂から、霊力が飛び出す。

「っなー!」

こちらに向けて突っ込んで来ていた爛漸苦は、その霊力にぶつかり、再度吹き飛ばされる。

霊力は純粋な力の結晶だ。

当たれば、その分の衝撃が入る。

そして、防御にも使える。

力負けしなければ、すべての攻撃を相殺できるのだ。

俺は圧縮霊弾を作り、爛漸苦に向かって放つ。

しかし、爛漸苦は全て危なげなく避け、手のひらに魔法陣を作る。

「フレイムドライブ!」

魔法陣から縦回転の火球が放出される。

それは空気を焦がし、太陽のような熱気を放ちながらこちらへ向かってくる。

俺は体を捻りそれを回避する。

そして俺は人差し指を立ててレーザーを放った。

威力、速さがともに上がったレーザーは、爛漸苦の足を穿ち、地面を這って飛んでいく。

しかし、爛漸苦は怯まず口を開く。

「カオスインデックス!」

爛漸苦は魔法陣を作らずに叫んだ。

何をーー?

俺がそう思い、警戒した時には。

漆黒の弾が俺に当たっていた。

ちょうど心臓の辺りにぶつかった俺は、あまりの衝撃に吹き飛ぶ。

吹き飛び、吹き飛び。

地面に叩きつけられた俺は、急いで立ち上がる。

が。

もう一回、衝撃が俺の体を揺らす。

漆黒の魔力が幾筋ものの奔流になり、全てが俺を叩く。

体全体を激しい衝撃が遅い、俺はゆっくりと暗闇に落ちていく。

 

ーーー圧勝。

 

たった一撃で俺を仕留めた爛漸苦は、深く礼をし、レミリア様の元へ歩いて行った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

次の日くらいからか、紅魔館の様子が変化した。

俺が仕事をしようとすると、それは全て爛漸苦が終わらせていて。

皆の信頼、は全て爛漸苦に集まっていった。

逆に、俺は自室に居る事が多くなった。

たまに、霊夢の所へ行かなければ、と思う。

しかし、俺は自分にこう言うのだ。

 

ーー新入りに負けたお前は、まだ霊力を使うのか?

と。

 

ーー止めとけ、お前は幾ら頑張ったとこでーーー

 

何も、出来ないんだよ。

 

俺の中の、もう一人の俺が囁く。

黒い目をした、俺が。

・・・俺は何故かそれに逆らえなかった。

そして、霊力を使うことは殆ど無くなった。

しかし、それは次の日に終わる。

 

「こおんの馬鹿野郎があああ!!!!」

霊夢がそう言いながらドアを蹴破って入ってくる。

その日も自室に居た俺は、いきなりの訪問客に体を震わせた。

こ、この人本当は鬼なんじゃないか・・・!?

霊夢は、雷親父を連想させる程怒っていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

場所はいつもの大食堂。

俺はそこで説教を受けていた。

「あんたねえ・・・暫く来ないと思ってレミリアに手紙出したらさ・・・」

霊夢は机をドン!と叩く。

「真は今部屋に入って冬眠中です。だってよ!?夏なのに冬眠してたのかあんたはァ!」

レミリア様何をしてるんですか!?

と俺はレミリア様の方を向く。

しかし俺がレミリア様を見ると同時にレミリア様も高速でそっぽを向いた。

・・・久しぶりにご飯の手伝いして、ピーマン入れて差し上げようかな・・・?

俺はまた霊夢の方に向き直る。

「・・・ま、良いわ。冬眠中に蓄えた強さ、見せて貰おうじゃない」

霊夢は笑った。

目は笑っていなかった。

・・・レミリア様はまだそっぽを向いていた。

 

俺と霊夢は今、庭に来ている。

レミリア様もテラスで俺たちを眺めている。

今は正午をすこし過ぎた辺りで、日はまだ高い。

俺は久しぶりに黒のスーツと黒のズボンに着替え、白い手袋をはめる。

「さ、来なさい。」

俺は口を開き、いつも通りにーー

するはずだった。

しかし、俺の頭にはあの日の事が浮かび上がる。

爛漸苦に、圧勝された日の事を。

俺は何度も攻撃をした。

なのに倒せなかった。

けど、あいつは俺の事を一撃で倒した。

無理だ。

勝てない。

もう、何も出来ない。

怖い。

全てが。

戦って、負けることが。

「真!?どうしたの!?」

霊夢が駆け寄ってきて、俺の腕に触る。

気づけば俺の体は震えていた。

霊夢に大丈夫、と言おうとしたが口は上手く開けず。

戦うことに意識を向ければ向けるほど、俺の体は震える。

ダメだ。負けたら。

この紅魔館で、皆が離れていく。

負けたら、今までの全てが壊れる・・・

ダメだ。ダメだ。

戦えない。

戦わなければ、もう何も失わないで済む・・・

「真。どうしたの」

レミリア様も俺のそばに来て、声をかける。

しかし、俺は口を開けない。

出るのは、歯をカチカチと鳴らす音だけ。

俺は何とか言葉を絞り出した。

「だ、大丈夫・・・です。なんでも、ない・・・です・・・」

レミリア様はじっと俺を見てから、困惑したような顔で戻っていく。

霊夢は俺の事を心配しているのか、レミリア様が戻るのを見て渋々俺から離れる。

「・・・さ、来なさい。」

俺は体の震えを無理矢理止め、口を開ける。

「バース、ト」

俺の体に霊力が流れ始める。

俺は何とか霊夢の方を見て、構える。

しかし霊夢は、驚いた顔で固まっていた。

「なんで・・・」

霊夢は絞り出すように呟いた後、勢いよくレミリア様の方に顔を向ける。

「何があったの!レミリア!」

レミリア様も驚いていた。

二人の目線が俺に集まる。

俺も自分の腕を見て、驚愕した。

だって、俺の腕はーーー




爛漸苦って・・・
爛漸苦ってなんだよマイネーミングセンスう!

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