いやはや、言うのを忘れましたが今回から三章です!
異変に挑んでいきますよー!
そしてついに!
われらがヒロイン妖夢が少し出ます。
三章の一話目。
どうぞ!
第三章第一話「異変の知らせ」
「へぐああ!」
すやすや眠っていた俺の腹に、何かがぶつかってきた。
だ、誰だ!俺の安眠を妨害したやつは!
「ふへへー、おはよう、真お兄ちゃん!」
目線を下に向けると、そこに居たのはフランだ。
しばらく居なかったからなのか、嬉しそうに笑っている。
「おはよう、フラン。」
俺はそう言って優しく笑う。
フランはもう一度ふへへーと言って俺の体を抱きしめる。
可愛い。とても可愛いのだが・・・!
あと少し、眠ってたかったなあ。
俺は欠伸をしながら、数時間前を思い出す。
幻夢を倒し、封印を手にした俺は咲夜さんと霊夢のとこへ戻った。
霊夢はやけに驚いていた。
・・・理由は、本来試練は現博麗の巫女と封印を受け継ぐものの二人で受けるものだからだ。
二人でやってギリギリな試練を一人、しかも霊力初心者がクリアしたのだ。
以上が理由だ。
まとめると、博麗一族はアバウトだってことだ。
咲夜さんは苦笑いしていた。
その後下山。来るときに寄った村で一日過ごし、帰ってきたというわけだ。
修行はまたこんど。私は疲れたと言って霊夢は神社に戻ったため、俺も紅魔館に戻ってきた。
道中妖怪に何回か襲われたため、自室に戻ったのはなんと5時。
空が明るかった。
倒れてのび太もかくやという速度で寝た俺は、現在フランにたたき起こされた、ということだ。
時計を見ると、7時。まだ二時間しか寝れていない。
「なあフラン。後少し寝かせてくれないかい?」
俺はベッドに倒れ目をつぶりながら聞く。
ああ、エデンはそこに・・・!
「えー、じゃあ私も一緒に寝るー!」
フランは俺の横に潜り込んできた。
ああ・・・もう・・・それで良いや・・・
俺は自分の睡眠欲に身を任した。
「おやすみ、真お兄ちゃん」
「ああ・・・お休み・・・」
12時頃。気を利かせて昼ご飯まで寝かせてくれたレミリア様に俺は起こされる。
グーパンチ付きで。
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食堂。
紅魔館のルールにご飯は皆で食べる、というものがある。
妖精メイドのためにもテーブルと椅子が用意されている。
「ったく・・・何でフランと寝てるのよ・・・?」
レミリア様が眉をピクピクさせながら聞いてくる。
「寝てたらフランが入ってきまして・・・もういいや、寝てしまえと・・・」
「・・・はあ、まったく・・・」
レミリア様はそういうとパンを噛みちぎる。
「むー。なによ、私と真お兄ちゃんは何で一緒に寝ちゃだめなのさー」
フランが不服そうに言う。
ああ、ダメだよ火に油をそそいじゃ・・・!
「あーもう!良い?真は今思春期真っ盛りなの!幼女が近くに居たら手をだすかもしれないでしょ!?だからダメなのよ!」
「出しませんよ!?」
俺は焦って叫び返す。
美鈴さんやパチェは面白そうに眺めていた。
咲夜さんは少し考え真っ赤になっていた。
「まあ、それは良い。」
レミリア様がどこからか便箋を取り出す。
「あー、真。この世界を作った奴が居るっていうのはしってるよな?」
レミリア様が急に聞いてくる。
「初代博麗の巫女とかですか?」
「ああ、そうだ。その中に妖怪が居てな。・・・まあ、そこだけで良い。その妖怪は幻想郷の異変を取り締まってる。」
グイッとワイングラスを傾けたレミリア様は、便箋を開け始めた。
「異変が起こるとお前とお前は解決に行け・・・という手紙が来ることがある。来ないこともある。」
便箋を開け、中の手紙を取り出したレミリア様はそれをひらひらと振る。
「家からは咲夜がよく行くな。・・・さ、真。喜べ。」
・・・まさか。
「『七月も半ば。大変熱くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?さて、本題ですが。』」
そこで切り、ニヤッとしたレミリア様は残りを一気に読み上げる。
「『今回の異変に、紅魔館におられる天音 真、十六夜 咲夜殿のお力を借りたいと思っております。この手紙が届いた日の翌日、お昼の1時頃に博麗神社へお集まり下さい。いい返事を、期待しております・・・』」
レミリア様は手紙を折り、口を開く。
「さあ・・・行くか?行かないか?咲夜、お前はどうだ」
咲夜さんはナプキンで口を拭き、答える。
「私は勿論行かせて貰います。」
「ああ、それが良いだろう。」
満足げに頷き、こんどは俺に聞いてきた。
「お前はどうだ?真。」
俺も答えは決まっていた。
「行かせてもらいます!」
また満足げに頷いたレミリア様は、顔に笑みを浮かべる。
「頑張って来いよ、咲夜。真。」
「「はい!」」
徐々に夏本番に向かい始めている七月半ば。
一人の少年は、出会うべくしてその少女と出会うのか。
二振りの剣を構えた、白髪の剣士にーーー。
同じころ。
他のところでも手紙を開けていた。
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「あー?また異変か・・・」
私は手紙を開けもせず捨てる。
博麗の巫女は異変解決という義務があるのだ。
非常にめんどくさい。
そして。
「やっほー!霊夢、また異変だぜ!」
金髪の魔法少女、私の友達。
霧雨魔理沙もくるのだ。
「今回もバトルしようぜ!お前に負け越してるからなあ。ここらで決めてやるぜ!」
と、このようにいつも突っかかってくる。
まあ、冷たいと言われる私にとって、魔理沙のぐいぐい来る感じは決して嫌いじゃない。
その感覚が心地よくて、友達になったといっても過言ではない。
「はいはい。今お茶入れてくるから待ってなさい。」
「おっ悪いな。頼んだぜ!」
魔理沙は屈託のない笑顔で私を見てくれる。
・・・あの技を見た人は皆、離れていくのに。
この関係が、これからも続けば。
それは、どんなに嬉しいことなのか・・・
私の顔には笑みが浮かんでいた。
ああ、楽しいなあ、と。
今だけ、普通の少女として。
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ふう、やっと作り終えた。
私は作った料理の多さに達成感を覚えながら、外の庭を見る。
ここは冥界。幻想郷の上空にある穴に入るとたどり着く。
そして、冥界の中の私と主が住んでいるのがここ、白玉楼だ。
桜が多くあり、春はなかなかの絶景だ。
全ての木々や草を私が手入れしている。
もう手慣れたものだ。
私の名前は魂魄 妖夢。(こんぱく ようむ)
半分人、半分幽霊の二刀流使いだ。
背は163㎝。目は蒼い。
白い髪を肩の上で切りそろえている。
お気に入りの黒いリボンが付いたカチューシャをいつも付けている。
白い半そでのワイシャツに、緑のベスト。
スカートも緑で、膝下まである。
長刀、楼観剣と短剣、白楼剣をいつも装備している。
私は料理を主が待っている部屋まで運ぶ。
「幽々子様ー、お昼ですよー」
「待ってたわ妖夢!さあ、速く食べましょう?」
そういって並べるのを手伝ってくれるのは私の主人。
西行寺 幽々子様だ。(さいぎょうじ ゆゆこ)
紫のウェーブのかかった髪に、紫色の瞳。
背は168㎝くらいだ。
その豊満な体系は、正直・・・羨ましい。
私は俗に言う幼児体系というやつだからだ。
・・・この人はもう死んでいる。
幽霊となって、この冥界で暮らしているのだ。
・・・まあ、よく幻想郷にも遊びに行っているが。
料理を並び終えた私たちは、手を合わせ食べ始める。
む、この煮つけもう少し煮込めばよかったなあ。
自分の料理に評価をしつつ食べている時に、突然幽々子様がしゃべり始める。
「そういえば妖夢。こんなものが届いていたのだけれども。」
そう言って取り出したのは一枚の便箋。
「・・・異変、ですか?」
それは、異変を知らせる手紙だ。
私も幾度となく異変を解決しに行った事がある。
「そ。・・・ふふ、やる気満々ね。」
私は足が浮いていたことに気づき慌てて戻す。
「行ってきなさい、妖夢。」
幽々子様は笑って許可を出してくれた。
「はいっ!」
当然私も返事は決まっている。
明日の昼1時に博麗神社に集合とのこと。
私は急いで食べ終え、支度を始めた。