咲「長すぎるわよ。」
ラ「ね。足と頭が痛くて絶望するような疲労が体を包み込ん出るんだよね。」
咲「問答無用。・・・どうして?」
ラ「一日中部活で校庭走り回ってた。」
ラ「今日さ、バレーしたんだよね。」
咲「へえ。ラギアってバレー部なのね。」
ラ「いや、テニス部。」
咲「あ、テニスなのね。・・・テニスう!?」
ラ「先輩とのお別れ試合でね、午前テニスで午後遊び。」
咲「は、はあ・・・。」
ラ「ドーナツを懸けた熾烈な争いが始まろうとしている中・・・」
咲「中?」
ラ「中良い友達と身長の高い友達でチーム作って先輩押しのけて二位に食い込んだ!」
咲「ズルっぽくない!?」
ラ「まあ、良いんです。はい。」
咲「馬鹿ラギア・・・。」
ラ「(∀`*ゞ)テヘッ」
咲「やめなさい!読者様が帰っていくわよ!!」
ラ「いやだあああああ!!」
では、どうぞ!
妖夢は驚きに目を見開き、俺から大きく距離を取る。
拒絶。まだ俺自身完全に把握していない、幻夢固有の赤き霊力。
炎にも見えるそれを纏いながら、俺は桜ノ蕾を引き抜いた。
「剣で勝負ですか?」
「うん、当てれば勝てるから、さ!」
妖夢が不敵に笑いながら問いかけ、俺は刀を構えながら答える。
確かに、妖夢の斬撃は重く速い。それ故に、オーバーレイ状態でも不完全な姿勢ならばそのまま吹き飛ばされていた。
しかし、拒絶を纏う今なら。
相手の攻撃が強ければ強いほど、相手の受けるダメージが増える・・・っ!
「射程距離拡張!」
「受けて立ちましょう。伸びなさい!」
赤い霊力が拡張された刃となり、10mの射程を維持しながら振られる。
つい最近覚えた、霊力を持続的に流す事で射程距離拡張をある程度まで存在させておくと言う方法。
相対する妖夢も桜色の刃を用いて、俺の赤き刀とぶつけあった。
・・・しかし、俺の斬撃の威力は止まらない。
逆に妖夢の刀が強く弾き飛ばされ、態勢を崩す。
だが、それだけで妖夢は負けない。意地でも白楼剣を抜かないつもりか、彼女は敢えて地面に倒れ込みーーー
刀を持って居ない左手だけで、自身の体を大きく真上に飛ばした。
「うっそおお!?」
「未来永劫斬!!」
呆気にとられる俺を前に、妖夢は両手で構えた楼観剣を全力で振り降ろす。
今更守護を使っても間に合うはずも無く、俺は急いで拒絶を使用するが。
煙が晴れる様に、赤い霊力が紐解けた。
ああ、そういえば赤い霊力は少ないんだっけ・・・。
桜色の斬撃が目の前に迫る中、俺はぼんやりとそんな事を考えていた。
香霖堂から博麗神社までは、遠くも近くも無い。
散歩がてら行くには丁度いい、そんな遠さである。
境内へと続く長い長い階段をゆったりと登りながら、森近霖之助は手に持つ勾玉を見る。
空の様に青く透明な物と、太陽の様に紅く透明な物。
かつての少年たちが握りしめていたそれらは、2300年間変わらず透き通ったままである。
止まらないと言うならば。
前に進むと言うのなら。
この一対の、約束の勾玉を君に託す。
森近霖之助は誰かを助けたいが為に自身を顧みない少年を、かつての少女と重ねていた。
いつも自分は見てばっかりだった。後ろから、追いかけているだけだった。
天音真。彼には、そんな事はして欲しくない。ずっと、霊夢達と皆を助けてほしい。
きっと幻夢は過去の事を話さないだろう。あの少女は、死んだ今でも後ろを振り返らないだろうから。
今回の騒動は、幻想郷の創設に深く関わっている。
夢幻魂歌。たった三人の夢によって創られた結晶は、何の変哲も無い物だった。
それが古代に意味を持ち、そして現代まで残っていた。それが何なのか、昔話を真にする必要がある。
霊夢や魔理沙に話せば、きっと直ぐに打開策を考えてくれるだろう。
でも、霖之助はたった一人の少年を選んだ。
彼に幻夢と、そして自分を重ねていたから。
次回、遂に幻夢と幻想郷の過去に触れる。
遥か遠くに失われた幻想が今、遂に明らかになるーーー!!
第十章第十二話「昔話」