真「短すぎんだろ!」
ラ「・・・まあ、どうぞ!」
真「おい!逃げんじゃねえ!」
「博麗の技・・・!?」
幻夢の呟いた言葉に、俺は目を見開いた。
初代博麗。
どんな状況でも、絶対に全てを守る為の絶対的な力。
今、例え一割だけでも幻夢の霊力を自分の物にしたから、理屈上では使えるのだ。
『ああ。・・・よし、敢えて聞こう!威力重視、速度も消費霊力も考えない零式、使い勝手と速度を意識し、霊力の消費を抑えた無印。どっちがいい!?』
「愚問!行くぞ零式!!」
『よし!じゃあ使い方を教えるよ!』
手と手を強くぶつけ、俺は右拳を全力で固めた。
爛漸苦もこの一撃に掛けるらしい。
混沌が全て右腕に集まり、絶大な魔力も纏い始めている。
『まずは、右腕に全てをかき集めるんだ。後は、それをぶつけるだけ。』
「・・え?そんだけ?」
『うん。だから人によって型が違うんだ。娘も全員違ってたよ。』
「・・・よおし、気合いれるぞお!」
気の抜けた声に思わずなるも、俺は気合を入れる。
全てを、拳に乗せろ。
たった一つの動作が、全てを決める。
今までの記憶が、全て溢れかえる。
たかだか拳には収まりきらない、無限の、宇宙の如き信念。
黒く澄んだ瞳が、この世の色を映す。
「・・・行くぞ!」
瞬間、拳を中心にして霊力が吹きあがった。
収まらない力は尾を引き、まるで流星の如く光を放っている。
・・・まだだ。
もっと。もっと、強く。
・・・行けるだろう?
ゴオオオッ!!!
強く目を閉じ、更に俺は集中を深くする。
すると霊力が暴れだし、右腕が最早流星と見間違えるほどに力の結晶が後ろへ噴き出した。
最大の矛盾を抱えた、強き意志の力は今。
全てを乗せて、解き放たれようとしている。
近くの木の葉が巻き起こった突風により舞い上がり、ロケットの発射直前の様に砂が巻き起こっていた。
そして、漆黒の巨腕と白銀の流星が、もう一段階力を強くしーーー
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
俺は、一歩大きく踏み出した。
地面が砕け散り、大気がビリビリと震える。
結界さえもが砕け散りそうな中、俺は爛漸苦に向けて加速した。
飛んで行く世界。
見えるのは、ただ一人の宿敵のみ。
叫べ。
ぶつけろ。
何もかも、今この一瞬に!!
「博麗・零式!!!」
そして、幻想郷に星が降る。
「
流星が、天を開き。
何もかもを塗りつぶしながら、拳に乗せて放たれた。
ドッグアアアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオ!!!!!!!!
鼓膜を破るような轟音。
そして、直後に訪れる決着。
・・・そして。
・・・・・・爛漸苦は、立ち上がった。
次回、九章完結。
決着の後に現れる二つの陰。
因縁とも言える出会いを果たした彼らは、その刃を抜き放つ。
物語は、いよいよ最終局面へ加速する。
お楽しみに!