ラ「ね・・・どうしたら良いだろう・・・。」
真「今回もゴミじゃねえかああああああ!!」
ラ「ね・・・。どうしよう・・・。」
真「新しいスペカの使い所絶対違うだろおおおお!!」
ラ「ね・・・失敗した。」
真「もっと頑張れよオオオ!!」
ラ「はい、頑張ります。」
俺が羅刹を振り切った頃には、もう妖怪は居なかった。
空を跳びながら、俺は羅刹を宙に散らす。
黄金色の破片が無数の板となり、溶ける様にして無くなる。
「・・・ふう、大丈夫だった?」
地面に着地し、俺は皆に尋ねた。
見る限りはどこにも外傷は無く、疲労以外は見られない。
「私たちは大丈夫よ。・・・力を、貸して貰えたのね?」
「うん。・・・もう、大丈夫。」
霊夢が尋ねるが、俺は深く頷いた。
「そう。それなら良かったわ。」
安心した様に息をつく霊夢、それに吊られるように笑みを漏らす一同。
・・・しかし、それも一瞬で破られた。
突如現れた絶大な魔力の反応。
俺達は一気に臨戦態勢になり、周囲を伺った。
「・・・違う、もっと遠くね・・・探しながら行くわよ!!」
束の間、霊夢がそう叫ぶと同時に俺達はその後に続く。
霊力や魔力で身体強化をした一行は、瞬く間にその場から見えなくなった。
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そして、魔力の反応が大きくなる。
常人でも感じる事の出来るであろう威圧感が数百m先の人里から溢れ、俺の肌をピリピリと刺した。
「・・・霊夢、少し飛ばすね。」
「分かった。・・・妖夢、咲夜、魔理沙、私たちは里の皆を安全な所まで逃がすわよ!」
「「「了解!」」」
膝を大きく曲げ、一瞬だけ力を溜める。
瞬間地面が大きく砕け、波紋上に亀裂が入った。
ーーー地面を、掴め。
ゴウ!!と盛大に砂埃と衝撃波を叩きだしつつ、数百mを一瞬で走破する。
人里の門を蹴破り、自身の感覚だけを頼りに俺は騒ぎの中心へと向かった。
そして、俺は相対する。
魔力から、何となくわかっていた。
だからこそ、俺は一人で走り始めたのだ。
「・・・よう、爛漸苦。」
「・・・あれ?真さんじゃ無いですか。」
黒く禍々しい大鎌を背負い、やはり豪華な箱を手にしながら彼は首を傾げた。
「何で生きてるんですか?貴方は僕が殺したはずですが。」
「うーん、少し詰めが甘いよ。しっかり心臓貫けば?」
首を傾げた爛漸苦に、俺は厭味ったらしく挑発した。
「・・・はは、好きですよそういう態度。・・・まあ、霊力も何も持たないまま僕に勝とうって考えるのが浅はかですけどね!!」
その言葉と共に、大鎌が俺に迫る。
相当の速度で振られた刃は視界を塗りつぶしーーー
それを、俺は素手で掴んだ。
「悪かったな。・・・俺は、一人で戦ってる訳じゃ無いんだ。」
「へえ・・・霊力の復活ですか。驚きましたよ。さすがは、と言ったところでしょうか。」
鎌を持つ手が互いに震え、お互いの殺気が空気を凍り付かせる。
静かな人里には風が吹く音だけが響き渡り、俺と爛漸苦以外の人間を全て消し去ってしまった様だった。
鎌を離すと同時に、爛漸苦は大きく飛び退る。
それを確認した俺は、静かに左足を後ろに下げ、両手の力を抜いた。
「さあ、始めようか。」
「さあ、始めましょうか。」
二人の言葉によって、戦いの火ぶたは切って落とされた。
黒い鎌と、白い拳。
互いに宙に軌跡を描いた、二つの初激は。
・・・人里を、衝撃波で塗りつぶした。