東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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ラ「・・・あれ?妖夢プロポーズしてない?」
フ「本当だー!がっつりプロポーズしてるね!」
レ「ここまでダイレクトに行けるとは・・・侮れないわね。」

真「シリアス回にそうやってコメディ入れんの止めない?」
全「だからこそだろ。ここはラギアの精神をいやす場所だぞ!!」
真「知らねえよ!下らねえな!!」


フ・・・フラン・s
レ・・・レミリア・s
全・・・全員


第九章第十話「最後の会話」

気づけば、俺の体は黒く染まっていた。

抑えきれない憎悪により、破壊の霊力が荒れ狂い、俺の理性を吹き飛ばした。

世界から全ての情報、色が消えうせ。

黒い奔流を撒き散らしながら、俺は一瞬で姿を消した。

余りの加速により風が吹き荒れ、小石を飛ばして行く。

空中で桜ノ蕾を抜き放った俺は、破壊を纏わせながら大きく振りぬいた。

 

 

「dihovsp!・?」

 

妖夢の声も。何もかも。全ては、雑音だ。

 

 

ギャリイイイイイイイイイイ!!!!

 

 

「おっとっと・・・危ないじゃないですか。久しぶりの再会なのに・・・さあっ!!」

 

しかし、その全力の斬撃も軽く受け止められる。

黒い大鎌で斬撃を強引に終わらせた爛漸苦は、そのまま鎌を薙ぎ払った。

大きく吹き飛ばされた俺は、そのまま着地する。

再度、突撃しようとした瞬間。

 

「真さん!!落ち着いてください!!」

「ア・・・あ・・?」

 

肩を掴まれ、体が大きく揺さぶられた。

段々と世界に色が戻り、視界が鮮明になって来る。

 

「・・・真さん。今は梓ちゃんを助けなきゃです!」

「ああ・・・妖夢、先帰ってて?」

「ダメです!真さんは病み上がりなんですよ!?まだ万全の調子じゃないはず・・・」

 

 

 

「良いから帰ってろ!八咫烏はお前の言う事を聞くから!!」

 

 

「真・・・さん・・・?」

 

俺は叫んだ。

初めて、幻想郷に来てから仲間に怒鳴ったかもしれない。

さっきまで騒いでいた子供たちも静まり返り、糸を張ったように空気が凍り付く。

 

「あいつは・・・あいつだけは、俺が殺さなきゃダメなんだ!!無理なんだよ・・・」

 

また。

一度は戻っても、再度黒い靄が俺を被い、目が黒く濁っていく。

 

「あいつが・・・あんな野郎が生きてることが耐えられねえんだよ!良いから帰ってろつってんだろ!行けよ!なあ!?」

 

ゴオッ!!と言う噴出音と共に、黒い炎が俺から溢れ出す。

それと同時に爛漸苦も鎌を持ち上げ、混沌をそこに溜めた。

一色触発。

お互いに黒い憎悪が吹き荒れる中。

 

パアン…

 

「・・・馬鹿ですか?貴方は。」

 

妖夢が、俺の頬を強く叩いた。

咄嗟の事に反応できなかった俺は、それで黒い霊力が弾き飛ばされたことに気づかなかった。

 

「何を言ってるんですか!?あいつを殺す?それが今の貴方の最優先事項ですか?違いますよね?梓ちゃんはどうなるんですか!?私だけ帰ってろ?意味分かんないです!何故貴方は”生かす”では無く”殺す”を優先するんです!?それは、あの人と同じ事をやってます!自分の事を棚に上げて、偉そうに語るんじゃ無いです!」

 

眼の端に透明の滴を溜めながら、彼女は言い切った。

 

「過去に何があろうと!大事なのは今じゃないんですか!?違いますか?」

 

「妖夢・・・。」

 

目を乱暴に擦り、彼女は大きく青い瞳で俺を睨みつけた。

真っすぐに強い意志が俺を貫き、俺の心を落ち着かせてくれた。

 

「・・・でも。恐らくあの人は私たちを見逃してくれないでしょう。だったら私が戦います。」

「ダメだ妖夢。あいつとこれ以上関わるな。妖夢は、こっちに来なくても」

 

「それこそ無理ですね。ここまで来たんです。私だって私なりのプライドと言うものがありますし。・・・一人の剣士・・・いや、人として貴方の隣に立って居たい。ずっと、支えていたい。」

 

妖夢はそこまで言うと俺の額を小突き、背を向けた。

甲高い金属音を響かせながら、彼女は二本とも抜刀する。

 

「それに、私の方が強いですからね。・・・さあ、早く!!」

「・・・っ!!舞え、八咫烏!!」

 

 

 

 

 

そして、同時に俺達は駆け出した。

黒き烏は空を駆け、高速で永遠亭へと羽ばたく。

少女の持つ刀は別れを告げる様に、綺麗に輝いていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

これが。

 

 

俺が幻想から幻想に成るまでの、妖夢との最後の会話だった事を。

 

 

・・・俺達はまだ、知らなかった。


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