フ「本当だー!がっつりプロポーズしてるね!」
レ「ここまでダイレクトに行けるとは・・・侮れないわね。」
真「シリアス回にそうやってコメディ入れんの止めない?」
全「だからこそだろ。ここはラギアの精神をいやす場所だぞ!!」
真「知らねえよ!下らねえな!!」
フ・・・フラン・s
レ・・・レミリア・s
全・・・全員
気づけば、俺の体は黒く染まっていた。
抑えきれない憎悪により、破壊の霊力が荒れ狂い、俺の理性を吹き飛ばした。
世界から全ての情報、色が消えうせ。
黒い奔流を撒き散らしながら、俺は一瞬で姿を消した。
余りの加速により風が吹き荒れ、小石を飛ばして行く。
空中で桜ノ蕾を抜き放った俺は、破壊を纏わせながら大きく振りぬいた。
「dihovsp!・?」
妖夢の声も。何もかも。全ては、雑音だ。
ギャリイイイイイイイイイイ!!!!
「おっとっと・・・危ないじゃないですか。久しぶりの再会なのに・・・さあっ!!」
しかし、その全力の斬撃も軽く受け止められる。
黒い大鎌で斬撃を強引に終わらせた爛漸苦は、そのまま鎌を薙ぎ払った。
大きく吹き飛ばされた俺は、そのまま着地する。
再度、突撃しようとした瞬間。
「真さん!!落ち着いてください!!」
「ア・・・あ・・?」
肩を掴まれ、体が大きく揺さぶられた。
段々と世界に色が戻り、視界が鮮明になって来る。
「・・・真さん。今は梓ちゃんを助けなきゃです!」
「ああ・・・妖夢、先帰ってて?」
「ダメです!真さんは病み上がりなんですよ!?まだ万全の調子じゃないはず・・・」
「良いから帰ってろ!八咫烏はお前の言う事を聞くから!!」
「真・・・さん・・・?」
俺は叫んだ。
初めて、幻想郷に来てから仲間に怒鳴ったかもしれない。
さっきまで騒いでいた子供たちも静まり返り、糸を張ったように空気が凍り付く。
「あいつは・・・あいつだけは、俺が殺さなきゃダメなんだ!!無理なんだよ・・・」
また。
一度は戻っても、再度黒い靄が俺を被い、目が黒く濁っていく。
「あいつが・・・あんな野郎が生きてることが耐えられねえんだよ!良いから帰ってろつってんだろ!行けよ!なあ!?」
ゴオッ!!と言う噴出音と共に、黒い炎が俺から溢れ出す。
それと同時に爛漸苦も鎌を持ち上げ、混沌をそこに溜めた。
一色触発。
お互いに黒い憎悪が吹き荒れる中。
パアン…
「・・・馬鹿ですか?貴方は。」
妖夢が、俺の頬を強く叩いた。
咄嗟の事に反応できなかった俺は、それで黒い霊力が弾き飛ばされたことに気づかなかった。
「何を言ってるんですか!?あいつを殺す?それが今の貴方の最優先事項ですか?違いますよね?梓ちゃんはどうなるんですか!?私だけ帰ってろ?意味分かんないです!何故貴方は”生かす”では無く”殺す”を優先するんです!?それは、あの人と同じ事をやってます!自分の事を棚に上げて、偉そうに語るんじゃ無いです!」
眼の端に透明の滴を溜めながら、彼女は言い切った。
「過去に何があろうと!大事なのは今じゃないんですか!?違いますか?」
「妖夢・・・。」
目を乱暴に擦り、彼女は大きく青い瞳で俺を睨みつけた。
真っすぐに強い意志が俺を貫き、俺の心を落ち着かせてくれた。
「・・・でも。恐らくあの人は私たちを見逃してくれないでしょう。だったら私が戦います。」
「ダメだ妖夢。あいつとこれ以上関わるな。妖夢は、こっちに来なくても」
「それこそ無理ですね。ここまで来たんです。私だって私なりのプライドと言うものがありますし。・・・一人の剣士・・・いや、人として貴方の隣に立って居たい。ずっと、支えていたい。」
妖夢はそこまで言うと俺の額を小突き、背を向けた。
甲高い金属音を響かせながら、彼女は二本とも抜刀する。
「それに、私の方が強いですからね。・・・さあ、早く!!」
「・・・っ!!舞え、八咫烏!!」
そして、同時に俺達は駆け出した。
黒き烏は空を駆け、高速で永遠亭へと羽ばたく。
少女の持つ刀は別れを告げる様に、綺麗に輝いていた。
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これが。
俺が幻想から幻想に成るまでの、妖夢との最後の会話だった事を。
・・・俺達はまだ、知らなかった。