東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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ラ「昨日出せなかった・・・!」
真「まあ、しょうがない時期だろ。今日もやってんの?」
ラ「うん。夜投稿すんのは難しそう。」
真「連絡事項とか今のうちに言っておいたら?」
ラ「うん、えーっと・・・短編一個、連載二本追加の予定です。」
真「・・・体壊さないで、全部完結させろよ?題名は?」

ラ「短編は幻想茶屋、連載は東方八剱伝、幽霊少女(ry」
真「あくまで予定です。期待しないでください。」
ラ「全くその通りで・・・!!」
真「はあ。学業もしっかりこなせよ?」
ラ「ナニソレオイシイノ」

真「・・・もう何も言うまい。では、どうぞ!」


第九章第五話「ただいま」

「本当にごめんなさいさっきは失礼な事を・・・!!」

「いや、別に大丈夫だよ?気にするなって。」

 

お腹が空いた。

空きましたねー。

食堂でご飯作ってたりしないかな・・・。

してるって言ってましたよ。

行こうぜ。

行きましょうか。

 

・・・この様な経緯で俺と妖夢は現在廊下を歩いている。

長い白い廊下の角を幾つも曲がり、目的地である食堂を目指していたのだが。

最初の時はノリで行けた物の、後になって恥ずかしくなったらしい妖夢が急に頭を下げてきたのだ。

抱き着いてきたから。だと。

まあ俺も初めて会った時飛びついてるし、お互い様にしようと言っても勿論聞き入れてもらえず。

ずっと頭を下げている妖夢に俺自身も焦っている節が合った。

そこで俺はとある乱暴な作戦を実行することに決め、口を開く。

 

「いやあ、柔らかかったし。妖夢も意外とあるし。良い事だらけだったから。ね!」

「意外と・・・?・・・斬りますッッ!!」

 

そして腰に手を持っていき、さっきまでの妖夢は何処へ行ったと言う速度で振りぬくが。

いつもなら峰が頭に突き刺さっているはずなのに、妖夢の握っている刀は楼観剣では無かった。

それよりも短い、小太刀と呼ばれる類の物。

白楼剣でも無いそれを、俺と妖夢はまじまじと見つめる。

 

「・・・村正?」

 

聞いた事の無い銘に、俺と妖夢は首を傾げた。

暫しの沈黙を破り、妖夢が突然声を上げる。

 

「ああ!これ真さんの隣に落ちてたんですよ!」

「俺の!?でも、こんな小太刀知らない・・・?」

 

妖夢から手渡された小太刀に見覚えを感じた俺は言葉を濁し、そして気づく。

 

「これ、暁のだ・・・。」

「暁?」

 

「うん。えっと・・・戦って、俺が負けた奴。」

「へえ・・・成程。かなりの業物ですが、真さんを負かしたと成れば納得できます。そうですね、これは真さんが持ってた方が良いかと。」

 

妖夢はそう言うと腰から鞘を外し俺に渡した。

漆黒の鞘を腰に付けた俺はそこに小太刀を納刀し、妖夢に話しかける。

 

「うし、じゃあ行こうか。」

「はい・・・何か、段々真さんと戦い方も見た目も似て来ている気が・・・。」

「あー、短刀と長刀の二刀流だもんな。見た目だけ。」

「見た目だけ、ですね。」

 

歩きつつ二人で笑みをこぼした俺たちの前に、丁度食堂が見えた。

良く見れば紅魔館の皆、優曇華、永琳さんも居る。

やっと、帰ってこれた。

暖かい気持ちに包まれながら、俺と妖夢は食堂の暖簾をくぐる。

 

「あ、優曇華さん。二人分の朝食お願いできますか?」

「任せんしゃい。一分で作るわ。」

 

妖夢が優曇華に注文したのを見届け、俺は席を取りに行った。

丁度椅子が二つのテーブルがあったのでそこに座り、後ろに居たレミリア様に話しかける。

 

「おはようございます、レミリア様。」

「ん、おはよう。良く眠れた?」

「はい、問題ないです。」

「そう、それなら良いわ。」

 

毎朝の恒例行事を済ませた所で、目の前に美味しそうな朝食が置かれた。

 

「ありがとう、妖夢。」

「いえいえ、これしき。」

 

礼を言い、向かい側に座った妖夢と唱和。

箸を取った俺は、数日ぶりのご飯に食らいついた。

 

 

 

「はああああああああああああああああ!?真!?真何でええええええええええええええええええ!!??」

 

 

・・・瞬間、俺と妖夢以外の皆が叫んだ。

煮物を落としそうになり、危うく口に放り込んだ所で皆が俺を取り囲んだ。

 

「いつ起きたの?」

「さっきです。」

 

レミリア様からぶつけられた質問に即答しつつ、熱々のこんにゃくを何とか咀嚼する。

しかし、突如腹に突撃してきたフランによりこんにゃくは喉へと吹き飛び、舌を火傷させながら胃袋に押し込まれた。

思わず涙目になる中、咲夜さんが心配するかのように尋ねて来る。

 

「体は大丈夫なの!?記憶は!?」

「全部大丈夫です。いやあ、見事に全身動かせますよ!」

 

それを吹き飛ばすように笑顔で答えると、後ろ手見守っていたパチュリーが口を開いた。

 

「真・・・眼の色、どうしたの?」

「え?」

「青だったのに・・・黒くなってる。宇宙みたいで、優しい黒。」

「本当だー!真お兄ちゃん眼の色変わってるー!」

 

すると、皆が確かに、と声を上げる。

勿論気づいて無かった俺は鏡を咲夜さんから貰い、そこで初めて気づいた。

そこまで確認したレミリア様は、俺の漬物を取りながら口を開く。

 

「・・・何か、やって来たんでしょ。」

「な、何で分かったんですか」

「咲夜も能力使うと目の色変わるからね。何かと能力の変化に目の色が含まれてたりするのよ。」

「へ、へえ・・・。」

 

今まで使っていたのは、幻夢と陽炎の力。

そして俺自身を乗り越えたと言う事は、俺の持つ能力が覚醒したと言う事か・・・?

 

「まあ、これは推論だけれど。・・・とりあえず、お帰りなさい。」

「・・・ただいまです。」

 

暖かい言葉を投げ掛けられ、俺は自然と笑みを浮かべていた。

 

 

冬晴れの空。

雲一つなく澄み渡っている大空は、これから来る災厄を微塵も感じさせなかった。


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