東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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どうも!ラギアです!
デスクトップデビューしました!
・・・慣れるまで、時間がかかりそうです。
今回で一章は終わります。
次回から、二章に入ります!
お楽しみに~^^
では、どうぞ!


第一章最終話「初夏の夜に」

「ふ、ふふふ・・・なかなかやるじゃないか・・・」

霊夢にぶっ飛ばされた男は立ち上がりながら不適に笑う。

「しかあし!俺も武器を用意してるのだ!」

男はどこからか取り出したスイッチを押す。

すると地面に亀裂ができて、そこから色々な機械が出てくる。

「まずはこれだ!粘着取り餅砲!」

バッティングセンターにあるようなやつからとりもちが発射されるらしい。

・・・発射するところにとりもちがくっ付いて発射できていないが。

「・・・次はこr」

「もういいわ。」

霊夢は男の言葉を途中で切る。

「単刀直入にいう。妖怪をだして、人里を襲ったのは貴方?」

「はあ?」

男は怪訝そうな顔をする。

「確かに最近うわさになっている煙の正体は僕だ。でも、妖怪の事はしらないよ。」

・・・煙と妖怪の関連性はない、という事か。

「妖怪のこと、詳しく聞かせて貰えないか?」

俺と霊夢であの晩の事を話す。

妖怪の種類、数、強さなど。

「・・・急に現れた妖怪、そして大妖怪手長足長か・・・」

「そう。そんでこいつ・・・真が手長足長を倒した。」

霊夢は俺を指差して言う。

男は俺に興味を持ったようだった。

「へえ、君がか・・・。」

男はこちらへ向き、眼鏡を上げる。

「僕の名前は森近 霖之助(もりちか りんのすけ)。きままに道具屋を営んでいる、年寄りさ。」

年寄り・・・?普通に若い青年に見えるが。

「真、そいつ2300歳以上よ。」

・・・えと、つまり・・・

「[博麗]が出来るより前・・・!」

「そ。あっちとこっちの境界が出来る前さ。」

うお・・・凄いな・・・

「それでだ、霊夢。」

霖之助は霊夢に向き直り、真面目な声音になる。

「・・・能力者である可能性が高い。」

霊夢は驚いていた。

「妖怪を生み出す能力者!?そんなの聞いたことが・・・!」

「覆らない前例はないさ。僕の知るかぎり、昔にそんな能力者はいなかったね。」

・・・妖怪を、生み出す・・・!?

つまり、だ

「「妖怪の大群が出来る可能性が・・・!?」」

霊夢と俺の声が重なる。

「いや、その可能性は低いだろう。今の所は、だが。」

今のところは・・・?

「それほど強い能力だ。代償も大きいだろう。しかし、妖怪を生み出す能力・・・持っているのは妖怪の何かだろう。霊夢と真君の話を聞く限り、その晩の進行は計画性がない。手長足長という大妖怪を生み出した反動で、今はどこかで休んでるさ。」

 

能力の、反動・・・

強力すぎる能力は、代償もあるのか。

帰ったら、幻夢さんに聞いてみよう。

「・・・ま、今はそんなに気にしなくて良いさ。」

霖之助は肩を少し上げる。

「僕はもう帰るよ。じゃあ。」

霖之助は手を振りながら歩いていく。

「あ、そうだ真君。」

俺の名前を呼び、一回立ち止まった。

「明日、僕の店へ来てくれ。話したい事があるんだ。」

そういって、また歩いていった。

「・・・じゃあ、私たちも帰りましょうか。」

霊夢も歩き始める。

俺は後を追った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

俺は白い世界に来ていた。

「お、きたね。」

幻夢が迎えてくれた。

相変わらず元気そうだ。

「少し、聞きたいことがあるんです。」

俺はそう切り出した。

「能力には、反動がある。・・・僕と幻夢の能力の反動は何ですか?」

「お腹が空く。」

「は?」

「いや、お腹が空くだけだよ。それ以外には何もないさ。」

幻夢はカッカッカと笑いながら言う。

「心配しなくて大丈夫さ。それよりお前さんは霊力のコントロールの方が問題さ」

 

「は、はあ・・・」

幻夢はまた少し笑って、今度は母親のような笑みを浮かべこちらを見る。

「霊力の剣。まだ作れないんだろう?」

「はい・・・。」

そう。俺はどうがんばっても霊力の剣が作れない。

「お前の、理想の形はどんなんだい?」

俺の理想の形。

・・・それは、

「あっちと、こっちを繋ぐ、境界・・・次元を切り裂く剣。何でも斬って。前に、ひたすら前に進める剣。」

自分の信念を思い出し、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

隔を助ける。そして、皆を助ける。

いまはどうなるか分からない。

でも。いつかは、必ず。

「ふむ。良いイメージだね。」

幻夢は俺と少し距離をとり、腕組みをする。

「今のあんたの剣をみせてごらん、真」

幻夢はまるで俺に挑戦するかのようにニヤッとしている。

「バースト!」

五日ぶりか。霊力が体に流れるのを感じ、右手に剣を生成し始める。

次元を、切り裂く。

前へ、ひたすら前へ。

全てをーーー

ぶった切る!!

右手が黄金色に光始める。

剣が、ゆっくりと作られていく。

20cm程の柄、縁は無く、刃長は1m程。

柄は黒く、夜空のように、世界の裏側のようにただただ黒く。

刃は、対照的に黄金色に。世界の表側のようにただただ白く。

 

瑠璃色に輝き始めた剣を、俺は手に取る。

剣ではなく、光が割れて飛び散る。

刃が黄金色に光っていて、それはこの白い世界に太陽が現れたようだった。

「・・・なんで急に作れんのかねえ。」

「手長足長との戦いの成果、ですかね?」

「心の変化、思いの増幅か・・・」

俺はあの夜を思い出しながら言う。

幻夢は少し難しい顔をしていた。

「その剣の銘は?」

そうだ、この剣に名前をつけなければならない。

イメージを具体的にして、いつでも出せるようにだったか。

「・・・まだ、決まってないです。」

「そっか。・・・さて、あんたもそろそろ戻りな。」

「あ、はい。」

俺は思考を白い世界から抜け出すように意識する。

「あ、そうだ。」

幻夢は何かを思い出したかのように口をあけると、

「ここに来て良いのは私が呼んだときだけにする!・・・ここに逃げてきたら、成長できないからね。」

逃げて、くる。

・・・それはきっと、壁は自分で上れよ、ということだろう。

・・・逃げたら、前に進めない。

俺は白い世界が色のある世界に戻っていくのを感じながら、幻夢に頭を下げた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

戻ってきたか。

俺は障子に近寄り、そっと開ける。

月と夜空が目の前に広がる。

都会のネオンなどひとつも無いこの世界は。

とても、美しかった。

・・・もう、6月も終わる。

梅雨が終わって、次は・・・夏になる。

季節が変わる。

俺はそれまで、どれくらい強くなれるのか。

風が吹き、木々がざわめく。

そして、また新しい事件が訪れるーーー




咲夜のターン?
・・・今夜も月が綺麗ですね!

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