百万大図書館   作:凸凹セカンド

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というわけで、前話がIFならそのさらにIFIF(IFのゲシュタルト崩壊)が今回の話です。タイトル通り、彼女が外出します。当時の文章そのまま転載しているので、ぶっちゃけ誤字とか文章やべぇとか思いますがぶっちゃけそれやってる暇がなくて……あーん、ぶっちゃけるとですね。わたくし、住居が熊本でして。ええ、被災しましてね。あんまりいろいろできない環境なんです。はい。なんで返信とか、続きとか、富樫先生も仕事し始めたんでしたいんですけど、まだ気長に待ってくださるとうれしいですはい。引っ越しするかもだし。本人は元気なんで、本当に待ってくださってる人(いる?)には申し訳ないです。

では、IFどぞー


IFその2~店長、奇跡の外出するってよ~

 

 

 

 

 

 

 

「本屋さんさあ、このパソコンで繋げるのは無理があるよ」

「そういわれてもな」

「飛行艇なら急げば間に合うし、いっそ会場にいくってのはどう?」

「はぁ?」

「そんな嫌そうな顔しないの。外で寂しくこっちを眺めてる彼らじゃどうせ俺には勝てないし、護衛にもならないんだし。俺、近くで見たいし」

 

 貸本屋の旧式のパソコンを指先で突くと、シャルナークはお手上げと両肩をすくめた。闘技場HPは、いつになく混線しており、たとえ最新版のパソコンでもその重さに辟易したことだろう。シャルナークが自身のライセンスを使えば問題なくアクセスできるだろうが、本体の惰弱さはどうしようもない。

 なにより、シャルナークは今回の対戦を、できるならば間近で観戦したいと思っていた。なんというドリームマッチ。いけ好かないあの変態が辛酸を舐める姿を安全な場所で見下ろすことができるのだ、これを見逃す手はないだろう。自分のライセンスと現地にいるアルバイトを使いっパシリにすれば、今ならばいい観覧席が手に入るはずだ。

 それに、あの槍騎士とて、できるならば自分の主は自分の視界に入る場所にいて欲しいと願っているはずだ。彼の大事なご主人様は、戦闘能力皆無なうえ危機管理能力が欠落している。しかも、今回護衛を約束した男が送ってきたSPのなんと脆弱なことか。団員レベルほどとは行かずとも、伝手を生かせば十分に満足のいくレベルを送り込むことも可能なはずだ。それを怠っている彼は、あの槍騎士を怒らせたいのだろうかと勘繰ってしまう。本当に危険に陥ったときには自分に有利に働くようなタイミングで介入してくるつもりなのかもしれない。面白くない、と思うのは、シャルナークもまた、どちらかといえば策を弄する側だからだろうか。だからこそ、恐らく一番可能性の低いと踏んでいたはずの選択肢である「外出」を選ぶわけだが。

 

「本屋さんもさ、あの胡散臭い男の思うままに動くのは、業腹じゃない?」

「……まあ…」

「彼も、本屋さんが近くにいたほうがやる気もでるし?護衛なら俺がしてあげる。格安で」

「金はとるんだ」

「当たり前!俺はただ働き大っっっ嫌いだから」

 

 貸本屋店主シェスカは本から顔をあげて常連客の仲間である、金髪の青年シャルナークを呆れたような目で見た。自分の命令で遠征してくれている従者の試合を「見れないならしかたない」で見ないような薄情者にそんな目で見られるのは彼とて心外だ。

 

「だって彼、本屋さんの無理なお願いを聞いていきたくも無い天空闘技場まで行ってるわけでしょう?労わってあげなきゃ悪いんじゃない?本当なら近くにいて欲しいのに『無理ならWeb観戦だけでも』っていうささやかな願いも反故にしちゃうわけ?」

「…む」

「新しいパソコン買うより見に行ったほうが安上がりだし確実だし時間の無駄じゃないよ。帰りに美味しいご飯でも食べていけばいいじゃん」

「…まあ、そうね」

「でしょう?それにどんなやり取りをあの男としたか知らないけど、俺的にはムーディと別れているってのも気になるわけ」

 

 あの胡散臭さを凝縮してコンクリートで固めたような副会長が、貸本屋の住人がばらけているこの状況をただ面白おかしく観察しているだけで終わるだろうか。むしろ面白おかしくかき回すほうが性に合ってそうな雰囲気を醸し出している。守るにしても、固まってもらっていたほうが気がらくだ。それは、今は違う場所で槍を振るうことになった彼も同じ気持ちだろう。

 別段命令があったわけではないが、暇な休みを有意義にするにはそれなりのイベントだ。ここはとことん楽しむのが正しい過ごし方なのではないか?

 

「さっ!準備して本屋さん」

 

 

 

 

 

 

 

550 鉄腕アルバイター

 

ということでなぜか店長がくることになった(´・ω・`)

 

551 名無しのハンター

 

どういうことなの…

 

552 名無しのハンター

 

つまり撹乱部隊プロハンが店長を闘技場まで連れてくるってこと!?

 

553 名無しのハンター

 

大変だ

チケット買わなきゃ(錯乱)

 

554 名無しのハンター

 

つまりおっぱい店長を 生 で 見 れ る と?

 

555 名無しのハンター

 

》554

 

556 名無しのハンター

 

》554

mjd!?

 

557 名無しのハンター

 

うひょおおおおプロハンありがとうううううううう

 

558 名無しのハンター

 

うわあああああいきてぇえええええ

 

559 名無しのハンター

 

 アルバイター情報でチケット買ってた俺に隙はなかった

 

560 名無しのハンター

 

 誰かスネークしろよ!

 

561 名無しのハンター

 

そうだ

D様に一身に忠誠を誓われる店長を見てみたい!

 

562 名無しのハンター

 

任せろ!

 

563 鉄腕アルバイター

 

ほ、ほどほどにしてよね!画像とかも駄目だからな!

 

 

 

下手するとプロハンとイケメンに…

 

 

564 名無しのハンター

 

 》563

イエス…

まだ死にたくないんで…

 

565 名無しのハンター

 

》563

あ、はい

節度を守って

 

566 名無しのハンター

 

犯罪駄目絶対

 

 

 

 

 

 

 闘技場は圧倒的な熱気に包まれていた。そこかしこから上がる歓声や黄色い悲鳴にシャルナークはおかしそうに笑い、隣を歩くシェスカは鬱陶しそうにしながら帽子を深く被りなおした。

 

「本屋さんって、闘技場にあんまりいなかったんだっけ」

「ええ、ミルフィーユなみに重なった面倒事が、容易に想像できるでしょ?」

「ははっ!確かにね」

 

 立ち見も含めてかなりの観客が詰め寄っている会場は、移動するにも肉壁の間を縫っていかなければならず、シャルナークは槍騎士がいないことをいいことに、シェスカの肩を引き寄せるとムーディの元へ向かった。階段を降りて、席を探す。

 

「あ、店長!」

「いたいた」

 

 店主同様に帽子を目深に被ったムーディが、こちらに気付くと大きく手を振って答える。その顔には安堵の色が色濃く反映している。

 席に着くと、シェスカは深い溜息をついた。引き篭もりにこの人波はそうとうに堪えたらしい。

 

「シャルナークさん、いろいろすみません」

「うん、面倒だった。でも金もらったしいいよ」

 

 遠慮のないシャルナークの答えに、ムーディは困ったように頭を掻いた。元はといえば自分の不注意のせいである。誰に何を言われても、彼には反論する権利がまったくない。

 

「さーて、そろそろかな?」

「ですね。あっ、店長水飲みます?まだ口つけてませんよ」

「頂戴」

 

 彼らが一息ついたところで、闘技場内にアナウンスが流れる。それにあわせて、会場内が爆発したかのような歓声があがった。シェスカは思わず眉間に皺を寄せ顔を顰める。

 中央のリングに、2人の選手が登場する。

 シェスカの護衛騎士である、ディルムッド・オディナ。

 そして、対戦相手で因縁のある相手である奇術士ヒソカ。

 ともに多くのファンを獲得する闘技場の有名選手である。このドリームマッチに、周りの観客たちの興奮は最高潮に達している。

 ディルムッドは、200Fに上がり己の獲物である二振りの槍をもって中央に踊りでた。ヒソカもまた、心底楽しそうに手の中でトランプを弄っている。

 

「彼には、本屋さんのこといったの?」

「え、いや言ってないです。心配するかなって」

「いや、逆に喜ぶでしょ?試験とは状況が違いすぎるからね」

「そうですか…いったほうがよかったかな」

 

 ムーディが困ったようにシャルナークへ向けていた視線をリングに戻す。流石に携帯電話は控え室だろうから、今の彼に主人が闘技場にいることを伝えることはできない。

 

「大丈夫、気付いたわ」

「え、本当ですか!?」

 

 思わず2人はシェスカを見、それからすぐにリングに視線を向けた。そこには、こちらを凝視する槍騎士の姿。間違いなく気付いている。美しい琥珀の双眸は、視線を浮気させること無くじっと3人、正確にはシェスカを射抜いていた。

 シェスカは溜息をつきつつ、軽く手を振って答えた。常に無いディルムッドの行動に騒ぐ観客に嫌気がさしたのだろう。

 それなりの距離があるはずであるのに、主の存在を認めたディルムッドは、その輝ける美貌に隠しもしない喜色を含ませて、陶然と微笑んだ。

 

 悲鳴も上がらず、そこかしこで倒れる音が相次ぐ。 

 

「呪いだわぁ…」

「店長酷い」

「いや、わりとマジで」

 

 誇張無く彼の黒子にはそういった加護(呪い)が備わっていて、かつては彼女の母さえ誑かしたわけだが、ムーディは勿論そんなこと知る由もなかった。

 

「わぁ、なんか遠目でもわかる。やる気に満ち溢れたね、あれ。ヒソカ後愁傷さま」

「応援しなくていいの?仲間でしょ?」

「あれと仲良しで、仲間だと思われたくないわーないわー」

 

 リングの上では、モチベーションが最高潮に達したディルムッドが、布に包まれた槍を器用に回してその感触を確かめていた。覇気溢れるその姿に「アレには勝てないわ無理だわー」とシャルナークが素直に感想を述べる。

 

「だいたい、二槍使いって…かなり変則的だよね。戦い方も変則だし、素早いし」

「私には戦いというのがよくわからないわ、ずぶの素人だから。ただ、ディルムッドって実は槍より剣のほうが強力なのよね」

「…………………………はっ?」

「ん?」

「え――――――――マジ?」

「ええ、本当に」

 

 長さの違う二槍を巧みに操り、ヒソカに肉薄するディルムッド。その槍捌きは、歴戦の猛者、達人、超越者と様々な言葉で言い表すことができるだろう。それほどに見事な身のこなしだった。

 それが、実は本気装備ではない、とは。

 シャルナークは言葉を失った。

 隣では、ムーディも口をぽかんと開け、呆気に取られている。

 実は彼らの後ろの席を取ることに成功し、聞き耳を立てていたスネークもいたりするのだが、その彼も実況中の携帯を取り落とした。

 

実家()においてきてしまったのよね。双剣使いだと聞いているわ。どっちも得意だけれど、故郷では剣を使った武勇のほうが有名だったらしいわよ?奥さんのオススメは、長い方の槍と剣の装備で…」

「はぁ!?彼、既婚者なの!?」

「ええっ!妻帯者なんですか!?」

「ん?ええ、ちなみに4人の子持ちよ?」

「まさかの妻子持ち!?」

 

 試合は最高潮で、他の観客たちはリングに釘付けになっているというのに、貸本屋一行のいる空間だけ、明らかに空気がおかしかった。

 ムーディは焦ったように両手を振り、何か言いたそうに口を何度も開閉させるが、結局なんといっていいかわからず口を閉ざした。

 そんなムーディを尻目に、遠慮の無いシャルナークはシェスカにぐいっと顔を寄せる。「近い」と文句を言われたが、黙殺された。

 

「え、何それ…奥さんいるのに本屋さんと一つ屋根の下?」

「私と彼との間に恋愛感情なんてないわよ?」

「いやいや、それどうなの。奥さんそんなの信じるの?あんなイケメンだよ?どう考えても普通勘繰るでしょうそうでしょう」

「ないわ。有り得ないもの。奥方もそう。ちゃんとわかっているわ、お互いに…ね」

 

 あまりにも自信に満ちたシェスカの言葉に、シャルナークは口を閉じた。確かに彼らは観察眼に長けた自分や団長のクロロから見ても、男女の関係になっている節はまったく見当たらない。それは認める。しかし、まさか妻子持ちとは普通考えないだろう。「俺は普通の考えのはずだ…」シャルナークはあんまりにも自信満々に返されて思わず胸中呟いた。

 英霊の座という概念のない彼らには、無理からぬことだった。

 

 

 

 

608 スネーク@おっぱい美味しいです

 

【速報】D様妻子もち

 

609 名無しのハンター

 

うえええピエロ超笑ってるんですけど!?

 

610 名無しのハンター

 

訓練されたドMはやっぱ違うな

 

611 名無しのハンター

 

》608

 

612 名無しのハンター

 

 》608

 

613 名無しのハンター

 

 》608

 

614 名無しのハンター

 

》608

はっ?

 

615 名無しのハンター

 

 え?

 

616 名無しのハンター

 

妻子持ち…?

 

617 名無しのハンター

 

 

 

 

え?

 

618 名無しのハンター

 

嘘乙

 

619 名無しのハンター

 

妻子持ちが女とひとつ屋根のしたとかねーから

 

620 名無しのハンター

 

お前D様にNTRの疑いがあると!?

 

621 名無しのハンター

 

お前おっぱい店長にそんなこと…

殺されるぞ?

 

622 スネーク@おっぱいの後ろ

 

その店長情報なんですがそれは…

 

俺にも意味わからん

 

ただ店長にNTRの疑いはない

とんでもない意味不明な懐の深さということはわかった

 

623 名無しのハンター

 

どういうことなの…?

 

 

 

 

 

 




ごめんね友人H、ありました!

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