とある至高の四十一人の日記   作:小狗丸

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小説八巻の話です。
原作と時間の流れや展開がいくつか違っています。


日記24

【四十九日目】

 

 今日も目を覚ましたら隣にクレマンティーヌが服を着ていない状態で眠っていた。

 

 この世界に来てからは本当に驚くことが多い。

 

 ゲームのキャラクターとなってファンタジーな異世界に転移するだけでも充分驚きなのに、そこで知り合った美人が毎日裸で添い寝してくれるなんてギャルゲーみたいな展開、前の世界では予想もしなかった。

 

 もしこの事がアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーに知られたらと考えると……。

 

 

 ペロロンチーノさんを初めとする十数人のギルドメンバーが、嫉妬マスクを被って武器を構える姿が鮮明に脳裏に浮かび上がった。

 

 

 ……うん。この想像は止めよう。何だか考えれば考えるほど背筋が寒くなってくる。

 

 それで何か別の事を考えようとした時、ふと「そう言えばクレマンティーヌって、どれくらい強いのだろう?」という考えが浮かんだ。

 

 クレマンティーヌは俺のスキルによって人間から俺の眷属であるゴズという異形種となり、今日まで俺自ら暗殺者としての戦い方や戦闘用のスキルを幾つか教えているので決して弱い存在ではない。実際、今までの戦いを見てもナザリックではまだ下の方の実力だが、この世界では充分「強者」と呼んでもいいだろう。

 

 しかしそのせいかこの世界の戦士やモンスターではクレマンティーヌの相手としては力不足となり、俺は今のクレマンティーヌが本気を出せばどれくらい戦えるか、客観的に見たことがなかった。

 

 今のクレマンティーヌの本気を見るには、ナザリックの各階層守護者の誰かと模擬戦をやらせるのが早いだろう。

 

 そう考えた俺は早速アインズさんの許可をとろうと彼の部屋に向かった。すると……。

 

 

 部屋には、装備の全てをキャスト・オフして全身にスライムを張り付けてご満悦なアインズさんの姿が……。

 

 

 ……何も、見なかったZ。

 

 

 

【五十日目】

 

 階層守護者に直接、クレマンティーヌの模擬戦の相手をしてもらうように頼もうと俺は、第六階層でアルベドとシャルティアとアウラの三人を見つけた。

 

 早速話しかけようとした俺だったが、アルベド達三人は何やら話をしていたので、声をかけるのは彼女達の話が終わってからにしようと思い待つことにした。

 

 そうして待っている間に聞こえてきた話によると、何でもアルベドはスキルでユニコーンの亜種であるバイコーンというモンスターを呼べるらしいのだが、処女であるため騎乗することができないらしい。

 

 そう言えばバイコーンって、処女にしか騎乗できないユニコーンとは逆で経験者にしか騎乗できないんだったっけ。……アルベドを設定した設定魔のタブラさんも、流石に彼女の男性経験までは設定していなかったか。

 

 俺が一人でそんな事を考えていると突然アルベドが「そうよ! アインズ様に私の処女を貰っていただいたらいい!」と言い出し……この辺りで俺はアルベド達に話しかけるのを諦めて気づかれないように第六階層を後にしたZ。

 

 第六階層を後にした俺はアインズさんに「しばらくの間、アルベドには注意したほうがいい」と忠告しようと彼の部屋に向かった。そしてアインズさんの部屋に入ると……。

 

 

「騒々しい。静かにせよ」

 

 

 と、鏡の前で「カッコよく命令を出すポーズ」を練習しているアインズさんの姿が……。

 

 

 ……何も、見なかったZ。

 

 

 

【五十一日目】

 

 今日は第六階層のコロシアムでクレマンティーヌに訓練をつけた。こうして刃を交わしてみると彼女が俺の教えた戦い方やスキルを使いこなしつつあり、初めて会った時とは比べ物にならないくらい強くなったのが分かる。

 

 だが、そうと分かると尚更クレマンティーヌの実力を正確に知りたくなる。その為にはやはり階層守護者と模擬戦をやらせるべきだろう。

 

 そう考えた俺は模擬戦の許可をもらいにアインズさんの部屋に向かった。

 

 昨日とその前は色々あって話ができなかったが、今日は大丈夫だろう。あと、アルベドの事もついでに注意しておこう。

 

 俺がそう考えながらアインズさんの部屋に入ると……。

 

 

 何やら目がイッちゃってるアルベドに押し倒されているアインズさんの姿が……。

 

 

 ……何も、見なかったZ。


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