とある至高の四十一人の日記   作:小狗丸

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日記23

【四十七日目】

 

 セバスから蘇生する予兆が見られたと報告があったフォーサイトの四人だったが、いまだに仮死状態から戻らない。

 

 フォーサイトの四人が仮死状態になったのは俺が呼び出した毒蜘蛛の毒のせいなのだが、この毒ってそんなに強くないはずなんだけどな? ユグドラシル時代では相手のプレイヤーを三十秒くらい麻痺させる程度の筈なのに……。やっぱりこの世界の住人はユグドラシルのプレイヤーに比べてはるかに脆い存在のようだ。

 

 そんなことを考えているとアインズさんが「フォーサイトの四人が蘇ったらどうするつもりなんですか?」と聞いてきたので俺は正直に「出来ることなら助けたいです」と答えた。

 

 この世界に転移して異形の存在になってからは人間がどうなろうとも何とも思わなくなったのだが、それでも知り合ってそれなりに言葉を交わした人間には多少の情が湧いてくる。だからこそ俺はあの時、死地に向かうフォーサイトの四人を毒蜘蛛で仮死状態にすることで止めたのだ。

 

 俺の話を聞いたアインズさんはしばらく考えた後にフォーサイトを生かすことに賛成してくれて、彼らを生かすための理由を一緒に考えてくれた。そして俺が以前フォーサイトの四人と話をした時に、彼らの内の二人がタレントを持っていると聞いた事を話すとアインズさんは「それなら彼らを生かす理由がありますよ」と言ってくれた。

 

 俺のワガママを聞いてくれて本当にありがとうございます、アインズさん。

 

 

 

【四十八日目】

 

 今日の昼頃、ようやくフォーサイトの四人が蘇生した。

 

 フォーサイトの四人は仮死状態から復活するとすぐに十階層の玉座の間に連行され、そこで各階層守護者とアインズさんの姿を見ると彼らは今にも恐怖で死んでしまいそうなくらい顔を青くした後、その隣に俺とクレマンティーヌの姿を見つけて大きく驚いていた。

 

 まあ、それはそうだろうな。

 

 訳が分からないまま仮死状態となり、蘇生するや否やどこかの王宮のような場所に連行され、そこにいたのは神話に登場するような異形の者達。しかもその側には今まで仲間だと思っていた者達がいて、実は異形の者達の仲間だと知ればその驚きはかなりのものだろう。

 

 アインズさんはフォーサイトの四人に、生かす代わりにタレントの研究の協力とカルネ村の防衛をするように命じた。

 

 このアインズさんの命令こそが昨日彼と考えたフォーサイトを生かすための理由だ。

 

 今、アインズさん達はタレントの研究に力を入れているし、アインズさんの話によるとカルネ村はナザリック地下大墳墓の重要な拠点になりつつある。だからフォーサイトがタレントの研究に協力してくれてカルネ村の防衛をするならば、ナザリック地下大墳墓の皆もフォーサイトを生かしておくことに納得してくれるだろう。

 

 そしてフォーサイトはアインズさんの命令を受け入れる以外にここから生きて帰る方法がなく、結局彼らはアインズさんの命令を受け入れて、体に発信機代わりの相手を拘束させるマジックアイテムを付けた状態でカルネ村に解放された。

 

 騙すようなマネをしてすまなかったな、フォーサイトの皆。でも侵入者として殺されるよりずっとマシだろうし、ちゃんとカルネ村の防衛をしていればアインズさんからも報酬が出るかもしれないし悪く思わないでくれよ。




フォーサイト、生存

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