とある至高の四十一人の日記   作:小狗丸

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日記13

【二十五日目】

 

 闘技場に行くと係員に、試合に参加するのはいいが出るのは一試合だけにしてくれ、と言われた。何でも最近、俺とクレマンティーヌが試合に出ると観客のほとんどが俺達に賭けて儲けがあまり出ないらしい。

 

 まさか命懸けの戦いを見世物にしている闘技場でわざと負けるような八百長なんてできるわけないし、係員も出来るだけ賞金の高い勝負に回すからと言われたら、納得するしかない。

 

 ……むう。これが有名になるというのも考えものだな。

 

 仕方がないので今日のところは不満そうな顔をするクレマンティーヌをなんとかなだめて一試合だけをして闘技場を後にした。

 

 

 

【二十六日目】

 

 今日も闘技場で一試合だけ試合をした。ちなみに今日の試合の相手は人間、それも人殺しが好きそうで根拠のない自信に満ちあふれていた奴らだったので、クレマンティーヌも大満足だ。

 

 いや本当によかった。

 

 昨日、闘技場でモンスターとの試合を一試合しかできなかったクレマンティーヌは結構不機嫌で、その日は散々愚痴を聞かされたのだ。今日はそんなことがなさそうで本当によかった。

 

 試合が終わって暇になった帝都を見回っていると、露店で前の世界にあった冷蔵庫や扇風機によく似たマジックアイテムを見つけた。露店の人に聞いてみたら、何でもこれらのマジックアイテムは「口だけの賢者」と呼ばれた大昔に実在した強力な力を持ったミノタウルスが考案したものらしい。

 

 口だけの賢者か……。

 

 もしかしたらそいつも俺のようなユグドラシルのプレイヤーだったのかもしれないな。

 

 

 

【二十七日目】

 

 闘技場で雑魚を相手にした試合に勝利した後、クレマンティーヌが「つまんないー。もっと暴れたーい」を不満を露にした。

 

 子供のような駄々をこねるクレマンティーヌにどうしたらいいか悩んでいると、そこに武装をした四人の男女が話しかけてきた。

 

 武装をした四人の集団か……。何だか漆黒の剣を思い出すな。彼らは元気だろうか?

 

 話しかけてきた四人の男女は「フォーサイト」というワーカーチームで、今の俺達の先輩だった。彼らは明日から「カッツェ平野」という所でアンデッドモンスターを狩りにいく予定らしく、俺達も一緒にこないかと言ってきた。

 

 カッツェ平野というのはいつも霧に包まれていてアンデッドモンスターが出現する地域らしく、帝国はそこのアンデッドモンスターの部位を報酬と交換することで、金目当ての傭兵……主にワーカーにアンデッドモンスターを定期的に駆除させているそうだ。そして常に仕事が得られるとは限らないワーカーにとって、このアンデッドモンスター退治は重要な金を得る手段と言えた。

 

 フォーサイトの四人の申し出にクレマンティーヌは目を輝かせて承諾した。……何だか彼女って俺の眷族になってから殺人狂の他に戦闘狂にもなったみたいだ。これって俺のせいなのか?

 

 とにかく俺も断る理由はないのでフォーサイトの四人の申し出を受けることにした。……まあ、それはいいのだが、フォーサイトの四人のうちの一人は先日俺に変な質問をしてきた女の子で、彼女は今も俺のことをじっと見ていた。

 

 ……俺、本当に彼女に何かしたっけ?


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