とある至高の四十一人の日記   作:小狗丸

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日記11

【十九日目】

 

 今日も闘技場でモンスター相手に試合をした。昨日一日闘技場で勝ったくらいではまだ実力を知らしめるには足りないらしいので、しばらくは闘技場で試合をする日々が続きそうだ。

 

 今日は昨日と同じくモンスターとの試合を三回行った。

 

 相変わらず俺とクレマンティーヌにとっては雑魚としか言いようがない相手で正直退屈だった。まあ、金が稼げるからいいんだけどさ。

 

 あとついでに今日はクレマンティーヌにアサシンのスキルの一つ「気配希薄」を教えた。これは文字通り自身の気配を希薄にして敵に自分の存在を覚らせ難くするスキルだ。このスキルはこれから先、きっと役に立つだろう。

 

 

 

【二十日目】

 

 今日は闘技場でモンスターとの試合を二回行った。

 

 試合の回数は一回減ったが、昨日に比べてモンスターは少し強くて貰える金も増えていた。

 

 後、モンスターと戦っている最中、クレマンティーヌを応援する声が観客席からちらほらと聞こえてきた。彼女は黙っていたら……というかじっとしていたら色っぽい美人だからな。もうすでにファンができたようだ。

 

 こういう時美人って得だよな、と思った。

 

 あとついでに今日はクレマンティーヌにウェポンボディのスキルの一つ「肉体変化【ダーツ】」を教えた。これはHPを僅かに減らす代わりに、自分の体に投げナイフを生やすスキルで、遠距離攻撃に弱い彼女の助けになるだろう。

 

 

 

【二十一日目】

 

 今日も闘技場で二回モンスターとの試合をした。ただし俺達の試合は、その日の闘技場で行われた全二十試合のうち、十五試合目と十八試合目だった。

 

 今までの試合は全て最初の方に行われていたのだが、どうやらこの三日間の試合で俺達もかなり人気が出たようで観客の注目が集まる後半の試合に回されるようになったらしい。

 

 人気が出て、実力を認められるというのはいいことだ。これで俺達の腕を見込んで依頼を持ってくる依頼人が来たらめでたく俺達もワーカーになれるというものだ。

 

 ついでに俺とクレマンティーヌのチーム名も決まった。

 

 チーム名というのは普通本人達が好きなのを名乗るものだが、たまに俺達のように闘技場の観客達からその戦いぶりにちなんだものをつけられることもあるそうだ。

 

 そして俺とクレマンティーヌにつけられたチーム名は「毒牙」。

 

 俺が試合で毒を持った蜘蛛系のモンスターを召喚して使うのと、以前俺があげて今現在クレマンティーヌが使っている魔法のレイピアに猛毒付与の効果があることがチーム名の由来らしい。

 

 あとついでに今日はクレマンティーヌにスナイパーのスキル「ホーク・アイ」を教えた。これは遠距離攻撃の射程距離と命中率を上げるパッシブスキルで、これは昨日教えたスキルの助けになるだろう。

 

 

 

【二十二日目】

 

 今日は闘技場に向かう途中で見知らぬ女の子に声をかけられた。

 

 その女の子は感情を感じさせない声で「……貴方、その召喚魔法をどこで覚えたの?」と聞いてきたので正直に独学で(?)と答えると、女の子は表情を強張らせて「……そんなはずはない。貴方の魔力と使える魔法はフー……、私の知っている人を上回っているかもしれない」と言ってきた。

 

 ……いや、本当にユグドラシルで自分の力で覚えたんですけど?

 

 どうやってこの女の子に信じてもらおうかなと考えていると次に女の子はやっぱり感情を感じさせない声で「……貴方は何故蜘蛛系のモンスターしか呼ばないの?」と聞いてきた。

 

 いや、何故って聞かれても俺、蜘蛛しか呼べないし。

 

 そう言うと女の子は「……そう。貴方はそういうタレントの持ち主なのね」と勝手に納得して帰っていった。

 

 ……何なの? あの子?

 

 あとついでに今日はクレマンティーヌにギュウキの種族スキル「人化の術」を教えた。クレマンティーヌはスレイン法国のおたずね者だし、俺達も最近有名になってきたことだから、種族が人間ならすぐに別人に変身できるこのスキルは彼女の助けになるだろう。


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