異世界集結戦線   作:玉城羽左右衛門

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新年あけましておめでとう御座います。

どうも皆さん玉城デス。

大変申し訳御座いませんが多分次話更新が非常に遅くなると思います。

何故かと言いますとためておきました16,17,18のデータが消えた事にあります。

楽しみにしていた皆さま大変申し訳御座いません。

次話の投稿を早める様善処致します。



第拾伍話 ≪発令! 硫黄島沖救出作戦!≫ 提督、懇談ス

『オニイチャン…オニイ…テイ…トク…テイトク…』

波のさざめきと共に拙い女声が聞こえる。

瞼の奥からその声は聞こえた。

聞き覚えのある声。

今にも事切れそうな声からは懐かしさと悲しさを思い出させる。

重い瞼を開ける。

慣れない光のにより終始周りが閃光に包まれる。だがその閃光は一秒も経たず消えた。

瞳が最初に捉えたのは其処は果てしなく続く大海であった。

海は濃い紺で染まっている。

浅瀬や海岸では見れない程の紺…確実に陸から離れていると確信できる。

水面を見ると波は非常に穏やかで自分の姿がぼんやりとだが視認出来る。

そして自分が仁王立ちしている事に気が付く。

驚き後ろに下がり自分の置かれている状況を整理するが流石に処理が出来なかった。

『オニイチャン…』

その声に反応し周りを見渡す。

前方を見渡し後ろを振り向き確認すると紺碧の海に白い点が見えた。

その白い物は昇って来た朝日を受けその純白を非常に際立たせていた。

圧倒的な純白を良く見ればそれは人であった。

ひらひらと風に吹かれ純白が舞う。

遠方のからだがその人が着ている服は辛うじてワンピースだと判断出来た。

麦わら帽子を深く被り表情を見せない。

私の方を見ていた様で体が此方に向いていた。

だが確認した直後後ろを向き歩き出す。

微かだがその顔には笑みが浮かんでいた。

「待ってくれ!」

大きく一歩を踏み出しワンピースの少女に向け走る。

理由は解らない。

だが何故かそこに行かなければならない気がした。

 

走る。

 

走る。

 

走る。

 

其処に向かわなけばいかないと言う使命感が胸を襲う。

 

もっと。

 

もっと。

 

もっと。

 

届きそうで届かない。

あともう少し。

 

あと一歩。

 

あと…

 

直後視界が暗転する。

瞼は閉じていない。

大きく瞳を閉じ瞬きをする。

すると背中から水に入るような感覚が支配する。

そう、それはまさに海やプールなどの水の中に沈むような感覚だ。

目を見開き見ると其処は海の中であった。

淡い紺から海だと感じられる。

波の狭間から太陽の日が流れ込む。

沈んでいるようで海面からの日が薄くなり紺が強くなる。

「ああ、また失敗しちまった…」

自分の無力さを思わず口にする。

「多分、俺このまま沈むんだな…」

どうにもならない絶望に襲われ考えることを辞めた。

ゆっくりゆっくりと沈む。

『テイ…トク…テイト…ク…テイトク…提督ッ!』

 

 

 

 

 

「はッ!」

上半身を上げ飛び起きる。

やや意識が朦朧とし周りがおかしく見える。

周りが回転している。そう感じれた。

だが心の中で頭を落ち着かさせる。

落ち着きが効きやや意識が安定する。

周りを見渡し自分の置かれている状況を確認する。

意識が曖昧としていて近い物しか見えない。

純白のシーツ…座っている状態…自分が今、ベットにいて今まで寝ていたと確信が出来た。

そして其処が医務室だと理解できた。

「ッ!?」

直後、雷が落ちたかの如く激しい頭痛が頭を走る。

かなり痛い。

今までにない頭痛だ。

それは彼が一番頭痛の中で酷かったと言える勤務中の偏頭痛よりも強かった。

例のない痛みに思考が薄れる。

痛みを表現するのであればそれは頭を掻き回される様な痛みであった。

それも手ではなく更に硬く丈夫な物…バールの様な物で頭を抉られる様な感覚であった。

いや、それ以上の痛みであった。

余りの頭痛にまた意識が朦朧とする。

思考がまた停止しかけた時前方から

「提督ッ!」

女性の声が聞こえる。

聞き覚えのある声であった。

その声を聴いた途端、おぞましいほど辛かった頭痛が消え心に安心感を覚えた。

感じた事のない安心感で考え様とした時また前方から

「提督ッ! 大丈夫ですかッ!」

あまりの必死さに声の方向を向く。

其処に居たのは純白の髪をした見覚えのある顔…それはまさに翔鶴であった。

眼のピントがあった途端、感じた事の無い様な安心感が広がる。

恐怖からの急激な安心感に不思議な違和感を感じる。

彼自身この様な感覚に覚えがあった。

記憶を巻き戻しその時の感情を思い出す。

彼が高等学校の学生一年目だった頃、帰り際コンビニから出ようとした時名も知らない他校生徒の不良に絡まれた事があった。

そんな困って居る所にその他校生徒の教師が来た時、彼自身底知れない感謝の気持ちに包まれた。

今、そんな事が起こったのであった。

安心感の余韻に浸っているのも束の間、翔鶴が心配する。

「提督ッ!提督ッ!」

さりげなく接近する翔鶴。

女性の急接近に戸惑うが落ち着き言葉で返す。

「大丈夫だ。翔鶴。何か近くないか?」

指摘するが気にせず言葉を返す。

「だっていきなり提督が頭を抱えたから心配したんですよ! てっきり私、提督の身に何かあったかと…」

その目は半分泣き目で目じりには水滴が少し溜まり瞳は潤っていた。

翔鶴の姿に困惑した。

どうしたら良いか?

どう対応するべきか?

自身の経験を頼りに考えるが自分がそれ程までに持てる包容力はないと確信する。

そして更に考えた。

思考開始一秒後、結果彼が見出したのは臨機応変に対応すると言う事に辿り着いた。

「大丈夫、安心してくれ。」

「でも…」

ついに涙が零れた。

心の中であたふためく。

ふと、唐突に思い出したものがあった。

そう、クソ同僚こと、あのオタク野郎の事だ。

同僚が少し前仕事場で必死に女子向け漫画布教したことがあった。

試しに読んでみろと貸されパラパラながらだが読んでみた。

その中で主人公がクラスの人気一番の男子から励まされる描写が脳裏に現る。

台詞は見てなかったがその男の大胆な行動に驚き頭に鮮明に残ってしまった。

大胆な行動は自分自身やったことがなく、初めてやることに対し体が拒否反応を起こす。

まして相手は女子である。

ネタとしてやるのはともかく余りにも似た漫画のシチュエーションにいささか心身共に拒否し始めた。

現に手が震えている。

翔鶴は接近し過ぎているせいで見えないが指が細かく震えていた。

そんな体の拒否衝動を抑え行動に出る。

 

第一行動『頭を撫でる。』

 

これはその少女漫画にあった描写だ。

主人公と思われる少女が泣いている所に一人の男が来て慰めているシーンからだ。

この中で男が頭を撫で始めると少女が泣き止むと言う物だ。

勿論のことであるが台詞は読んでおらず見ても居ない。

故に此処で自分の対応力が必要となってくる。

自分の羞恥心を抑え込み行動に出る。

「翔鶴…」

名前呼ばれ此方に振り向く。

「?」

そっと右手を翔鶴に添え撫で始める。

「ッ!?」

彼女自身も唐突な事に戸惑う。

瞳から反射する光が大きくなる。

「大丈夫だ。翔鶴。安心してくれ。」

「提督…?」

翔鶴も混乱して居る様で体が静止している。

成功に近い。

おし!っと心の中でガッツポーズをする。

そして第二段階に移行した。

 

第二行動『抱きしめる』

 

流石にこれはし難い。

漫画の描写上確かに撫でた後、抱きしめると言うシーンがある。

だが実質これは漫画内の描写であり、実際こんなことをしたら女垂らしか変態でしかない。

まして現実世界でこんなシチュでやること自体滅多にはない。

この現状を打開するにはこれぐらいしかなかった…いや、考え付かなかった。

行動に移そうとするがどう抱きしめるべきかと悩む。

自然にハグっぽくやればいいのだろうか。

はてはどっかのドラマの様に抱きながら撫でてやればいいのかと迷うが現時点では後者の方が良いと判断した。

昔見たドラマを思い出し行動に出る。

頭を撫でていた手とは違う方の手…左手を大きく回し翔鶴を引き寄せる。

「えぇッ…?」

困惑する翔鶴。

直後彼女が目を見開くと其処は提督の胸の部分であった。

何が起こったか理解できなかったが男性独特の臭いを嗅いだ途端、思考がフル回転しそして…振り切れた。

此処で一瞬迷う。

この後どうすれば良いかと今更ながら考える。

だがこんな時に限って頭は非常に回った。

「翔鶴、一回落ち着け…俺はこんな翔鶴を見ていたらこっちが悲しくなってしまうだろう。」

何だよコンチクショー、人生の中でこんなにも恥ずかしい事はないぞ。あぁ…なんだろ。今すぐにでも死にたい気分になってきた…

人間、誰しも自分が今までにやったことが無いことを人前ですると非常に恥ずかしくなる。今まさに彼自身が起こっていることがそうだ。

多分この現状を他人が見たらまず『これなんてエロゲ?』と言いそうな空気であった。

いや、それほどまでの空気が出来ていた。

「ええっと…ええっと…」

顔を赤面させた翔鶴は二次元に憧れを抱いたものの絶対にないだろうと思った矢先好みのイケメンに急に告られると言うシンデレラストーリーを手にした少女の様であった。

彼がやった言動は慰めるを軽くワープし告白するに近かったが彼自身気づいていなかった。

両者が沈黙し、30秒…双方は冷静さを取り戻し抱きしめていた状態を解除する。そして翔鶴はベットの空き部分に腰を掛ける。

「どうだ、落ち着いたか?」

自身も言えた義理ではないが聞く。

「ええ、少し落ち着きました。」

翔鶴の声には落ち着きがあった。

「そうか…」

冷静さを取り戻し自分がやった行いにやや赤面する。

すると翔鶴がおもむろに口を開く。

「提督がいきなり起きたと思ったら頭を抱えたんですよ。心配せずにいられませんよ。」

「大袈裟だなぁ…人はそんな事でぽっくり死んじまったりしないよ。」

「何を言いますか提督! 人は簡単に死んじゃうんですよ!二階から飛び降りたら下手したら死ぬし、三階から十円玉落とされて頭に当たったら死ぬし、まして第一次大戦中、飛行機が人を最初に殺した物は何だと思います? スイカですよ!ス・イ・カ!」

余りの熱弁に正直引く、だが今此処では引いてはいけない気がし応対する。

「悪かった翔鶴…お前の言いたい事は充分解った。」

返された言葉に気づきはっと我に返る。

そして申し訳なさそうな顔をし蹲る。

「翔鶴、俺も本当にすまなかった…お前の事を考えて上げられなくて…」

「いいですよ、提督。気にしなくて…」

「何で翔鶴はそんなに気にしているんだ?」

「私達の提督は只一人、貴方しかいませんから…貴方の代わり何て居ない。提督はいつもみんなの事を思って下さっていましたから。」

「思っていた?」

「いえいえ、気にしないで下さい。私の個人の意見ですので…そんな事より早く艦橋に行きましょう!」

「そうだった!こんな事はしていられない!」

今更だが自分の置かれている状況に気が付き急いでベットから跳ね起きた。




いかがだったでしょうか?

正直これ書いてるとき、壁をガチ殴りして痛めましたw

マジです(真顔)

一瞬、栃木県日光華厳の滝で滝行やってやろか?って程書くのが結構辛かったデス・・・

まあ、急いで書いたし多少はね?

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