以上です。
航空工廠棟外試験機滑走路
桜花の存在を知ったのはあのクソ同僚のしつこい布教作業のせいで覚えてしまった。
やたらと軍用機の本を見せつけて来てはああだこうだを言い放っていた。
その中の日本機について熱く語られる言葉の中に桜花があったのは確かだ。
「ええっと、これですか?」
「はい、これです、提督。」
そこにあったのはまさしく特攻機桜花…を思わせる戦闘機であった。
「これ?」
改めて聞き返す。
「ええ、これです。」
指を指してより正確に示した。
そこにはカタパルトらしきものにはめられた桜花を急ぎ整備する妖精達が居た。
見た目はまんま特攻機桜花だが戦闘機らしく機銃があった。
桜花に驚いていると長門から説明が飛ぶ。
「初期の桜花の制式名称はJ1Iy1対深海棲艦機臨時量産型局地戦闘機桜花でこの機体はその局地戦闘機桜花をベースに専用喝Ⅲ型噴式エンジンから喝Ⅵ型噴式エンジンに変更、備砲も45mmラ-14機関砲二門から80mmラー30機関砲一門と12.7mmラ-2機関砲に変更、同じく機体番号もMXIy6に変更された機体こそこの桜花改なのです。」
説明をしてくれているようだが全然わからん。
だがお構いなしに長門はイキイキした顔で話を続ける。
「元々桜花は敵深海棲艦機の大型機を迎撃するために特攻機桜花の機体設計をベースに高出力喝Ⅲ型噴式エンジンを搭載。因みにこの喝Ⅲ型噴式エンジンと呼ばれるエンジンは初速が非常に強く滑走路を必要としません。そしてまた尚且つマッハ2.3を出せると言う驚異の出力ですがそれ故燃料を離陸する際に結構使用してしまうため航続距離は非常に短いのが難点です。そして備砲45mmラ-14機関砲ですがこの硫黄島工廠内にて研究、開発、製造されたものです。研究の中で迎撃機たる砲口径は大型爆撃の装甲が厚いと見積もられた結果45mmと言う大きさになりました。ですがその大きさ故搭載弾薬も100発になってしまいました。」
「そしてこの他の結果を元に実験機として製作されたのが提督がこれから乗りますこの桜花改になっております。」
何言ってるかさっぱりわからんがマッハ2.3を出せることに背筋を凍らせた。
「まずこの桜花改は喝Ⅲ型噴式エンジンの改良エンジン喝Ⅵ型噴式エンジンに。この喝Ⅵ型は前作喝Ⅲ型の弱点であった航続距離の短さを克服し少しながら速度も上がりました。また備砲も試製80mm機関砲こと80mmラー30機関砲を試作として20発搭載。また非常時用の12.7mmラー2機関砲を200発搭載し試験の為に複座化やや大振りになりましたがあまり影響はありません。」
「え、もしかしてこの試験機に乗るの?」
思わず質問する。
「はい、そうです。」
即答であった。
そしてお構いなく説明に戻る
「今、行っている作業はこの複座化により後部座席の観測用コンピューター空き位置に提督の御席を設ける作業であともう少しで終わる予定です。」
その話の終わるタイミングと同時に妖精さんが手を上げ、天に親指を立てる。
それに反応し長門が手を振った。
何となく察した。
正直、今から自分に降りかかる悪夢を…
「では、此方へ。」
「まさか、本当に乗るのか?」
それに対し明るくはいっと答える長門。
「無理っす。いや、マッハ2.3超える空間で生きられる気配が起きません。」
心の声を言い放った。
だがそんな抵抗虚しく妖精さん達によって乗せられた。
ベルトを締められヘルメットを被る。
「じゃ、提督さん。行きますよ。」
如何にも頑丈そうな妖精さんが前の座席に座る。
「気を付けて下さいね。」
軽く魂が抜ける。
ああ、死ぬのか。俺。
そう思って外を見やると長門が手を振っていた。
その直後、背中が下に動く感触が来る。そして周りの見える世界が別の世界になった。
《此方、桜花改エンジンを点火する。どうぞ。》
《此方、管制塔、了解した。》
その声と共に後ろから轟音が鳴る。ブォォォォォオオオオオオオオオオンっと言う余りにも大きすぎる轟音がなった。
《此方、桜花。離陸を申請する。どうぞ。》
《此方、管制塔。いつでもどうぞ。》
よくドラマの管制のシーンで見る光景がそこにあったが今はそんなところではなかった。
《離陸まで3》
ああ、やばい。
《2》
ふぅ…
《1》
さらば、我が人生。
《0!》
今までに味わったことのないGに襲われる。
それに伴い提督は気を失った。
いかがだったでしょうか?
ご感想等どんどん下さい。
もし桜花のスペックをまとめて欲しいと言うご要望がありましたら別でまとめたいと思っております。