異世界集結戦線   作:玉城羽左右衛門

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皆さん、どうもお初目に掛かる人も多いでしょう玉城羽左右衛門と申します。
私が投稿しているオリジナル作品のアイデアが浮かばなかったためもしかした同人作品書けばアイデアの一つは出るんジャマイカと思い投稿しました。なんせ同人作品は初めてなものでどんな感じに描けばいいんだろうと模索して書きました。
艦これの同人作品です。コレジャナイ感を感じましたら是非共どんどん感想をご寄越せ下さい。

          ※2016年2月11日改定しました!※


集結する猛者達
第零話 我、異世界ヘト向カワン


『次は……お出口は左側です……線お乗換えの方は…』

聞きなれた電車のアナウンスだ。

だがそんな物なんて気にしない。

いつも通りだ。

電車の振動で左右に揺れ、バランスが非常に取りにくいが慣れているためすぐに体制を立て直す。

席はまばらで同じく会社帰りの人々や学校帰りの学生が座り込んでいた。

ドアの前に立ち過ぎていく景色に大きく溜息を吐く。

電車が減速している事を体で感じ始めた頃、駅のホームが見えて来た。

見慣れたホームだ。

ゆっくり過ぎ行く景色が遅くなる。

そして電車が停まった。

入り口が開いた途端急ぎ出る。

改札を抜け駅前のロータリーに急いで出る。

人間の波は非常にまばらで下町であることを見せていた。

人間の出入りの少ない場所にておもむろに空を見上げる。

一日が終わった。

何の変哲もない、変わりない日常だ。

朝起き、出勤し、仕事をしそして帰って寝る。

そんなエンドレスな日常だ。

「はぁ…」

おもむろに溜息を着く。

特に意味はない。

ただ何となく出た。

直後、胸ポケットのスマートフォンが鳴る。

電話かなとやや鬱に成る。

もう一度、溜息を着くと一抹の不安と共にスマホのロックを解除する。

だがそれはメールであった。

急いで開いて見るとそれは同僚の残業に対する愚痴であった。

「ええっと何々『残業辛いお…手伝ってだお…(´・ω・`)』って『仕事をしっかりしないお前が悪いんだ(゚Д゚;) 自業自得だ、OK?』っと。」

メールを見てすぐに返信を書く。これは会社内の暗黙の了解で見ていたらすぐ返す…見て居なくとも確認できたらすぐ返答すると言う空気が出来ていた。そして再度確認し送り返す。

「これで良し!」

これまでにも幾度となくその同僚に対し残業を手伝った事があるが流石に何度も何度も繰り返していたので霹靂し、在る時を境に自分でやらせる様にした。

結果、今に至る。

「ともかく、駅前でこうしちゃ居られんし帰るか。」

自分が駅前のロータリーで止まってスマホをいじっていることに気が付き、自分が今成すべき行動を再選択する。

「まあ、いつも通りか。」

大きく一歩を踏みしめる。

自宅はやや駅から歩いた商店街の近くにあり、いつもは商店街を突っ切って帰っていた。

また今日も同じく商店街を抜ける。

流石に6時では人間は少なく歩いている人間もまた自分と同じサラリーマンばかりであった。

そのまま歩く。

商店街は首都近くの下町だけありシャッターの店は一、二軒ぐらいであった。

他は営業時間を終え片づけに入っていた。

だんだんと歩いているスーツ姿の人間が少なくなる。

個々に商店街の脇道に入っていく様子が伺えた。

そして自分も同じく脇道に入る。

脇道だけあって非常に道が狭くなっておりそれは車が一台、やっと通れる道幅であった。

誰かにぶつからない様に頭を上げて歩く。

狭い脇道故、頭を上げれば塀越しから家が見える時がある。

家族団らんで夕食を取っているで在る様に笑い声、話し声が耳に入ってくる。

ふと鼻に懐かしい香りがしてきた。

非常に懐かしかった。

誰もが嗅いだことのある臭い。

立ち止まり臭いの源を見やるとカーテン越しから家族が見えた。

その家族は皿に炊飯器と思しき物からご飯をよそっていた。

そしてそのよそったご飯に汁の様な物を掛けていた。

独特な香辛料の香り…そして汁もの…彼はそれがカレーで在る事を理解した。

すると唐突に腹が鳴った。

香辛料の香りから少しばかり食欲が出た。

「(今日の飯はカレーにしよう。)」

彼は心の中で細やかなる決心をした。

脇道を歩くと薄れゆく夕焼けの中煌々と光る物が見え始めた。

その方向へ進む。

其処に遭ったのはドラッグストアであった。

何故か安心感が湧く。

だが彼は安心感を抑制させる。

店に入り、買いたい物を一通り整理し望みの場所に足を進めた。

シャンプー…ポケットティッシュ…一通りの生活用品を籠に入れるとレトルト食品売り場に向かう。

レトルト食品売り場に付くなり端から端まで良く見る。

そしてすぐ、自分が欲しいと思っていた陳列棚に出会う。

「(どれにしよう…)」

彼は迷った。

ドラッグストアではあるが非常に種類が多く、どれもどれもがおいしそうに見えてくる。

だが己の経験から買う物は決まっていた。

「ボンカレーかな…」

小さい独り言を口ずさみボンカレーを取ろうとした時、ふとやたらとお勧めと書かれた吹き出しが目に入った。

「何だ、これ?」

パッケージには『海軍カレー』の代々的に描かれた文字と一緒に錨のマークが描かれていた。

すかさず手をそちらに向ける。

残り一個だったらしく後ろには同じような物がなかった。

商品の裏表を良く見る。

そして陳列棚にもう一度目を見やる。

海軍カレーのあった場所には大きく『限定入荷中!』や『店長のオススメ!』など手書き感溢れんばかりの吹き出しで宣伝してあった。

心の中では決まっていたがせっかくだしと思い海軍カレーを籠に入れた。

会計に向かう。

すると会計の店員は何を悟ったのか安心し顔少しながら崩す。

一応、彼はこの店において常連として認識されておりたまに店長とも話をしていた。

そのため店員も幾分彼を見ると何時も通りだと思って居るのだ。

因みに海軍カレーが置いてあった理由は彼が艦これ勧めたからであった。

店長は勧められて艦これを始めた。理由は定かではなかったが急にはまってしまった。その熱中度合いは測り知れない物で店頭に艦これグッズを並べたいと言うまでであった。

店員が止めなければ確実に艦これの商品棚が作られていたかもしれない。

「…ピッ…ピッ…」

例の如く女性アルバイト君が変わらずバーコードを流れる様にかざす。

その速さはパートのおば様方を超えるスピードで。

「…ピッ…ガサッ…」

海軍カレーを手に取った瞬間、硬直する。

多分、考えているんだろう。

そして頭を上げ、目線を合わす。

何処かの戦艦級の眼光を持つ顔立ちから放たれる眼力は一種の恐怖であった。

しかしすぐに自分の仕事に戻る。

絶対この商品買わないだろうなって思って居た人が意外に買っていたことへの驚きであろう。

まあ、無理もない。

実際、そういう人間なのだから。

「お会計は1956円になります。」

「はいっと。」

財布から二千円を出すとアルバイトが話しかけてきた。

「以外ですね。海軍カレーだなんて。」

「いやぁ、最後の一つだったからねぇ。つい買っちゃった。あとカレー食べたかったし。」

「そうですか。なんかこういう物あまり知らないし買わなそうな雰囲気だったんで。」

「そうかなぁ?」

和やかな気分になる。

仕事以外で話してくれる人は専らドラッグストアの皆さまぐらいしかあまりいない。

「んじゃ、そろそろ帰るわ。アルバイト頑張ってね。」

「はい! 夜道はお気をつけて帰って下さいね。」

レジのカウンター越しから手を振るアルバイト。

それに対し手を振り返す。

自動ドアを通り外に出ると辺りは真っ暗で家々の明かりが神々しく見えるくらいであった。

5月であるため風も丁度良く非常に快適であった。

そんな夜道を歩く。

まだ学校帰りの高校生や会社帰りのサラリーマン時折見える。

そんな感じで人間を観察しているといつの間にか自宅についていた。

何故、ドラッグストアとの人と仲がいいかは自宅との近さである。

徒歩で換算しても1分やそこらで在るほど近い。

その自宅は何処にでもあるアパートで月の支払いは4万8000円…とまあまあの値段であった。

鍵を取り出し自宅のドアを開ける。

「只今。」

誰もいない部屋に寂しく声が響く。

靴を脱ぎ、家の中に入る。

リビングに来てスーツを脱ぎ始める。

そしてさりげなくデスクトップパソコンを起動する。

起動は早く、パスワードを入力し終えると脱ぐのに戻る。

ここまでいつもと変わらないエンドレスだ。

全部脱ぐと自分がパンツ一枚で在る事に気が付いたが別に何にも考えなかった。いつものことである。

ドラッグストアで買ってきた商品をパンツ一枚のまま出す。

そして仕分けをし、早速夕食の準備に取り掛かった。

鍋に水をし、海軍カレーの袋を出し鍋に投入する。

幸い鍋に合っていてスムーズに入った。

カレーを温めている間に風呂場に向かった。

給湯器を着け、服を脱ぐ。

湯船はあるが正直、平日は風呂に入る気は起きなかった。

故に最近は専ら平日はシャワーであった。

ある程度の着替えを用意し風呂場に直行した。

風呂場に必要最低限のものしか置いていないため非常に広く感じれた。

一日の疲れをシャワーで洗い流す。

買い足してきた替えのシャンプーを手に持っていたことを思いだし、シャンプーの容器を取る。

容器に替えを入れて残っているシャンプーを絞り出し頭に乗せた。

替えのシャンプーの残った物を全部出した時はこう節約感が出て非常に好きであった。

髪を洗う。

丁寧とも雑とも評価し難い手つきで髪を洗い流した。

体も同じように流す。

一通り自分が何時も風呂場でやる事を終えると駆け足で体に付着した水をふき取り、寝服を着る。

そのスタイルは上はワイシャツ一枚、下はパンツとステテコの二枚。

今の時期大体こんぐらいが丁度良い。

リビングに戻るとまだカレーは沸騰していなかったため時間を費やすためパソコンの前に立つ。

インターネットを開きお気に入りからとあるゲームを開く。

最近、こんなエンドレスな生活でも一つ楽しみが出来た。

仕事の同僚から勧められた…いや、正確には強要されたって方が正しいだろう。

それはDMMのオンラインソーシャルゲーム…『艦隊これくしょん』成るものだ。

巷や公式においては『艦隊』の『艦』と『これくしょん』の『これ』を『艦これ』と呼ばれている。

第二次大戦時に活躍した戦艦等の艦船を擬人化した『艦娘』を指揮し艦隊を編成したり新しい艦娘を建造したりするゲームである。

このゲームはソーシャルゲーム特有の課金要素が非常に少なく課金なくとも十分楽しめるゲームでサーバーはいつも満員状態にある。

だがこのゲーム課金は少ないといえど資源と言う鬼門が存在する。

このゲームは自身が提督となり艦隊を運営していくため資源と言う物が存在する。

鉄鋼材、弾薬、燃料、ボーキサイトから成っている。

この建材は任務や遠征などで手に入るがそれでも時として足りない時も出る。

実際、彼もそうであった。

無理な建造や出撃を繰り返していたため資材が極端に少なくなってしまった。

だがこんな問題を解決してくれる人間が居た。

その人間こそ彼に艦これを強要した…同僚であった。

同僚は彼の現状を見抜くと代わりに行い資材を集めてくれた。

そして幾つかの知識を彼に教えた。

今、現時点彼がこのように艦これライフを送れているのは同僚のおかげと言っても過言ではない。

艦これの読み込みが始まった直後、お湯が完全に湧き、煙を出していた。

すぐさま炊飯器の飯を適当な器に盛り、ガス台の近くに置く。

安全に取る為、トングを使用する。

海軍カレーを取り、切り出し口から切る。

切った途端、香ばしいスパイスの臭いが鼻にくる。

独特な匂いだ。

白米にカレーを掛け、スプーンと缶ビールを冷蔵庫から取りパソコンの前に歩んでいく。

丁度、その時艦これが起動し秘書官の吹雪の声と共に画像が出る。

カレーをテーブルに置き、デスクトップの方に体を向け座る。

座った直後、建造の画面を開く。

画面に出ていたのは建造完了の文字と嬉しがる妖精達であった。

そして建造画面を開く。

聞き覚えの無い声が耳に響く。

長門型一番艦戦艦長門…

艦娘図鑑NO,1の長門であった。

胸が感喜する。

艦これで手に入れた事の無い艦を手に入れた時は非常に心が躍った。

これとは別な感情が胸を駆ける。

艦娘図鑑が全部揃ったと言う感喜である。

初めてこの方二か月…現状確認されている艦は全部入手した。

イベントでしか手に入らない艦ですら何故か手に入ってしまった。

バグかな?と思ったがバグではなかった。

通常、初めて二か月ちょっとじゃ既存のプレイヤーか運のいい人間程でしか出来ない事らしい…と同僚は言っていたが信じられなかった。あの同僚の人間性からして。

だが実際はなってしまった。

昔から運だけは良かった。そのせいか当たり付きの奴は大抵当てていたし、雑誌の応募の品も出せば当たっていた。

缶ビールを開けて一口飲む。

キンキンに冷えた液体が食道を通し胃に流れ込む。

生きている感覚が全身に響き渡った直後、ふと、思いつく。

「そうだ、アイツに自慢しよう。」

同僚に対して自慢のメールを送ろうと嫌味満載の考えが思いついた。

携帯を取る為に充電器に手を伸ばす。

直後、パソコンの画面が白くなる。

パソコンのフリーズに気づきすぐさまパソコンの方に戻る。

マウスを動かすが全然反応しなかった。

もう一度動かす。

またしても反応がなかった。

この手のフリーズは経験済みで大抵はプログラムが停止した時に発生していた。

そして大体は放置しとけば治る。

だが今回は違っていた。

プログラムが停止した時はウィンドウに【プログラムが停止しました】と出て画面が白く濁った色になる。

しかし、今回の場合はそのウィンドウが出なかった。

「新手のウィルスかな?」

パソコンの設定、修理は一人で出来ずこの手の事は友人や業者に頼んでやって貰っていた。

動かしても反応しないためおもむろにパソコンの電源ボタンに手を伸ばしボタンを押す。

が、パソコンは反応しなかった。

「元栓から抜いた方がいいのかな?」

そんな事が頭によぎり、考えた時には既に元栓コンセントの前に立っていた。

電源を抜こうとした直後…

『タスケテェ…』

パソコンから聞き覚えのある声が聞こえた。

パソコンの方に急いで戻る。

画面は白く濁ったものから一変、紺碧の大海に変わり波の揺れが細やかに表現されていた。

透き通った声が聞こえる。

『タスケテェ…』

「この声何処かで聞いた様な…」

直後、パソコンが発光を始める。

その閃光の強さから思わず手を目に当てる。

部屋が白く包まれ瞼が重く閉じると意識が遠のいていった。




いかかだったでしょうか?
もし感想などがありましたらどんどん下さいまし。
もし良ければ私が書いています『あさひ -旭日の再来-』なども是非読んで下さい。
最後まで鑑賞頂き誠に有難う御座います。

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