あれから一月、俺はモルテとフィールドに出ていた。今回の得物は定めていないが、規定に則ったギリギリの層での狩りだ。そこそこ大きな得物になるだろう。
「ロータスさんも物好きですよねぇ、わざわざ強い相手と戦いたいなんて」
「俺でも思うよ。でもさ、どうせ戦うんならある程度強くないとつまんないだろ?」
「それもそうですね」
小声で会話を交わす。目の前にいたのは、俺も知っている、思いもよらない人物だった。
「・・・リンド!?」
「お知り合いで?」
「ああ。DBリーダーのリンドだよ。どうしてこんなところに」
「DB・・・そういえばそのギルドは、第50層攻略戦でそこそこ大きな打撃を受けたというギルドでしたね」
「そういえばそうだったな。まあハーフポイント、大きな障害になったことは間違いないが・・・」
ということは、今ここにいる理由はおそらく、ギルド再建だろう。そのための戦力拡充が目的と見て、ほぼ間違いない。最前線ではないこのあたりで狩りを行っているのも、安全面に配慮した結果なのだろう。案外安全志向のあいつらしい。
「とにかく、思いもよらない大取り物だ。行くぜ」
「ええ」
いつになく楽しそうな俺とモルテは、静かに物陰から飛び出した。飛び出した瞬間に、何人かがこちらに気付いて振り向く。だが、
「もう遅い!」
一瞬で間合いを詰めた俺が手近な相手の腕を飛ばす。それによって相手の戦闘力を奪うと、後ろにいる相手の足を刈り、その背中に闇牙を突き立てる。そのように突き立てれば致命傷ではないが大きくHPが削れることを俺は知っていた。
「もちっと周囲に気を配ったら?」
手の中でくるくると得物をもてあそぶ俺に、誰かが気付いた。
「ロータス・・・!?」
「おう、そうだ。俺はあんたの顔を覚えていないが、一応久しぶりといっておこうか」
にやりと笑って答える。その笑みは相手にとって完全に不気味としか言えないものだった。
「お前は確か、モルテ!」
「おやおや、僕を覚えてくださっているとはありがたいですねぇ」
モルテも自身の得物をぶら下げる。俺も、いまだにモルテを覚えている面子が生きているというのは驚きだった。だが、そんなことはもう関係ない。
「さてと、It’s show time!!」
惨劇の幕を開ける一言と共に、俺は踏み込んだ。強烈な踏み込みで発生したSTR補正と、鍛えたAGI補正がもたらすのは電光石火の縮地。一瞬怯んだ隙をついて右から胴を薙ぎ、そのままの勢いで斬り抜けて回転の勢いそのままに闇牙を振り抜く。暗い赤色の刃の先は首筋を捉え、完全に斬り落とすまではいかないものの、大きくHPを削った。
「リカバーヒギンズ!」
すぐに治癒結晶のコールがかかる。このあたりは腐ってもトップギルドの一角を担っているだけはある。対応は見事としか言いようのないものだった。そして、モルテも想像以上の戦力に押されているようだった。
(こういうときのためだ)
戦いながら、相手の攻撃とこちらの攻撃をうまく誘導する。うまくある程度誘導することができたことを悟った俺は、相手の攻撃を受け止めた瞬間に振り返り、真後ろにいた
「なっ!」
一瞬こちら側のプレイヤーが固まる。瞬間に、相手のパーティのプレイヤーが、俺がさっき斬ったプレイヤーを斬った。それにより、こちらのプレイヤーが一人消えた。
「悪い、敵かと思って斬っちまった」
微かに悪びれつつ謝る。このくらいの技術は身についていた。とどめを刺した当の本人は恐怖で固まっているが、こちら側のプレイヤーも驚きで固まっていた。それを俺が逃すはずもない。一瞬でジグザグに走りながら、小太刀と同じく装備していた刀である“黒刀”で斬り伏せる。
刀との同時装備。これこそ、小太刀の最大の利点と俺が考えるところだ。それを生かした戦闘スタイルは、おそらく俺しか確立させていない。ならば、それに対抗する手段などあるはずもなく、本当に一瞬で目標のプレイヤー全員を斬り伏せた。残ったのは、
「ふう、これで終了っと」
鯉口を二回鳴らして得物を両方とも納める。振り返ると、そこには恐怖と驚愕のない交ぜになったリンドがいた。
「ここであんたらは俺らに襲われたが、何とか返り討ちにした。俺一人だけ残って逃げた。OK?」
「あ、ああ・・・」
いまだに驚きが抜けきっていないリンドを尻目に、俺はその場を去ろうとした。が、その背中にリンドは声をかけた。
「なああんた。どうして、あんたはそっち側にいるんだ?」
その言葉に俺は足を止めずに言った。
「故あってのこと、ってやつだよ。あんたにはわからんだろうけど」
それだけ言って、俺は片手を上げてその場を去った。
彼はその次の日、待ち合わせをしていた。待ち合わせの相手は、ロータスを待たせていた。まあ、彼としてもそのくらいは想定していたから、それくらいは全く問題にならなかった。
ロータスが相手に気付いて軽く手を上げると、相手は走ってきた勢いそのまま傍に来て、呼吸を整えることもせずに言った。
「ごめん、待った?」
「うんにゃ、ほとんど。
でも、一つだけ言わせてもらうと、常時5分前行動くらいは心がけておいて損はないぞ?」
「あなたの場合、よっぽどのことがなければ、15分前以上は、余裕を、持たせるでしょう?」
そもそも、ロータスが待ち合わせ場所についたのは彼女が来る15分ほど前で、彼女が来たのは待ち合わせ時刻の3分前。つまり、彼は待ち合わせ時刻から数えて20分ほど前に到着していた計算になる。ちなみに15分前行動が癖になっているのは、部活が音楽系で、部活開始時刻までに準備から音出し、チューニング、軽い基礎練習―――つまるところ運動のウォーミングアップに当たる行動を済ませておくためについたもので、直す必要がないのでそのまま放置となっているというだけだ。
「ま、癖でね。でもなエリーゼ、心がけなければそのあたりは身につかないぞ」
「ご教授どうも」
相手の息が整うのを待って、ロータスは麻袋に硬貨を入れて手渡した。
「ほい、いつぞやの報酬と、追加分。確認してくれ」
麻袋を受け取ると、エリーゼはそのプロパティを確認した。そこに表示された金額を見て顔色を変える。
「え、と、少し多いような気がするんだけど・・・?」
「そりゃチップ込だからな」
「チップにしても多いわよ!?さすがに、全体の、えっと・・・4割にも上るじゃない!」
一瞬言葉が淀んだのは、計算に手こずったからか。でも、すぐに計算ができたところを見ると、案外頭は回るようだ。―――まあ、こちらが計算を面倒くさがって切り良い数字にしたのは事実なのだが。
「ま、そりゃな。胸糞悪い気分にさせたっていう詫び賃も入ってるし。こんなんじゃ気は晴れないだろうけど、受け取ってくれや」
「・・・分かっ・・・た・・・」
そう言われてはこちらもそこまで突っ張る理由はない。引き下がるしかなかった。だが、今の言葉で、なおのこと一つの疑問が湧いた。
「ねえ。どうして、あなたは、そんなにも
それに、ロータスは含み笑いを浮かべて言った。
「故あってのこと、だよ。今はまだ、その理由を言うべき時じゃない」
じゃな、と軽く手を上げて去っていく背中に、エリーゼは一言叫んだ。
「必ず生きててくださいね、
その声に足を止める。振り返った顔に浮かんでいたのは、今までの覆い隠すようなものではなく、どこか困ったような、不器用で嬉しそうな笑み。
「ああ。そっちも生きて帰れよ、
その口調も表情も、エリーゼが覚えている、そのままだった。
ゆっくりと、俺は彼女の―――エリーゼのことを思い出していた。
彼女は俺のリアルでの知り合いだ。もっと言ってしまえば、一個下の後輩だ。
俺は部活では完全にのけ者扱いだった。だが、そんな俺でも慕ってくれる、そんな物好きもいたのだ。その物好きが、エリーゼのリアルだった。もっとも、俺はそれまでずっと邪険にされ続け、クラスでもあまり居場所がない状態だったことから、他人に興味というものが一切といってもいいほど湧かず、ほとんど覚えていなかった。よもやこんな形で再会するとは思ってもみなかったが。
こっちで再会したのは本当に偶然だ。ハーブティー強襲の時に、女性で、ある程度汚れ仕事も任せられるような傭兵の紹介を頼み、紹介されたのが彼女だった。最初はどこかで見たような、といった具合だった。会う度に彼女のことを思い出していって、世の中似た人もいるものだと思ってはいた。正直なところ、真面目なやつが多かったうえに、リアルだとエリーゼは眼鏡をかけていたため、同一人物だと思わなかったのだ。よくよく考えてみれば、俺のようなヘビーゲーマーは少なくてもゲーマーはいてもおかしくないし、ナーヴギアはフルフェイスヘルメットに近い形なのだから、眼鏡をはずしていても不思議ではない。というのは、先ほどエリーゼからああいわれてようやく得心が行った話だ。とにかく、俺からしたら彼女はそういう存在なわけだ。
(まったく。よりにもよってあの子かよ。他のやつなら利用するだけって割り切ることもできたのに・・・)
さすがに、自分を慕ってくれていた相手をただの利用相手と割り切るほどに情がないというわけではない。もとより、女性でなければならないものなど、もうやるつもりはない。やるとしても、彼女に頼ることはない。
(彼女まで、こちらに落ちる必要はない)
それまでになかった感情に、一つ苦笑いを浮かべる。どちらにせよ、今までの消耗から言って、補給が必要なのは間違いない。アジトに帰るのはその後でいいだろう。そう思った俺は、圏外村へと向か―――おうとして、
(そういえば、あいつらはどうなったかねぇ・・・)
向かう先を変えた。あそこも圏外村だったはずだし、補給ならちょうどいいだろう。しかも、あそこには転移門があったはずだ。だが、あまり大っぴらに移動をしたくはない。そう思うと、ウィッグと伊達眼鏡をかけ、ある程度の変装を行う。案外眼鏡と髪形で誰かわからなくなるというのはよくあることだ。
俺が一応の補給も兼ねて訪れたのは、第13層にある圏外村だ。ここには、とあるギルドの拠点の一つがあるのだ。それまでの拠点は、彼ら曰く“一号店”らしいのだが、そちらよりこちらのほうが一号店らしい。少なくとも俺はそう思っている。
今回用があるのは、ここに陣取っている連中ではなく、そいつらの手駒の状態についてだ。
無言でドアを開ける。俺に一瞬目線が集中するが、俺が変装を解くと、すぐに一人が寄ってきた。
「これはこれはロータスさん。今回もご利用ですか?」
「うんにゃ、それはまたの機会にするよ。奴らの様子はどうよ?」
「いやー、今はいい感じになってきましたよ。ご案内しましょうか?」
「おう、頼むわ。あ、ちょっと待って」
できれば、こういう形のパイプはあまりばれたくない。何より、今行われている―――行われていたかもしれないが―――ことと、その相手を考えると、顔はばれないに越したことはない。変装をもとに戻すと、俺は言った。
「よし、じゃ案内してくれ」
そいつに続く形で、本来なら従業員側が入るほうに回る。その扉を開けた瞬間に、微かではあるがよろしくやっている声が聞こえた。
「この声・・・」
生憎と耳はいいので、その声だけで大体その声の主が誰なのか、想像を付けることができた。
「ええ、あの子たちの中の一人ですよ。この声の子はかなり早く落ちたので、やり甲斐がなかったのはありますが」
「でも、あんまり落ちないと迷惑するところもあるだろ。商売なんだから、利益出してもらわないといけないんだし」
「そこが難しい所です。いやはや、人を使うというのは難しい」
そのあたりをあっさりと素通りして、隠し扉の仕掛けを外して中に入る。そこは、部屋の中で行われている様子がよく見えた。が、
「これって大丈夫なのか?」
「そのあたりは問題ありません。大声を出さなければ、ですが。リアルでいう、マジックミラーのようなものだと思ってください」
小声で問いかけると、相手も小声で答えた。なるほど、そんなものがあったとは。いや、作ったかもしれないな。そして、今俺の目の前で、所謂風俗的なサービスを行っている相手の顔には見覚えがあった。上辺だけかもしれないが、その顔はある種の恍惚すら浮かんでいた。
「しっかし、あの淡白で冷血な女がねぇ・・・」
「ウェスティリアさん、ですか。最初のほうは所謂マグロだったのですが、根気よくやっていれば、ある時を境にすとんと落ちました。もともとその辺の素質があったのか、今となっては良い稼ぎをしてくれますよ。スタイルがいいですからねぇ」
そう、俺たちの前であられもない痴態を見せているのは、かつて俺が襲撃したギルド、ハーブティーの中でもおそらく実力者の部類であろうウェスティリアだ。調査していた時は、彼女は感情をなかなか表に出さない、良くも悪くもつまらない女だった。倫理コードの解除をしたときも、絶望しながらも、唇を強く嚙んで泣くまいとしていた。俺としては、あの中では一番殺してもいいと思った。
勘のいい人は気づいたかもしれない。ここは、第13層にあるハーブティーの元アジトを、売春ギルドが新たな拠点としたものだった。
惜しげもなく、暴力的とすら言える魅力を持つ体には、文字通り一糸たりとも纏っていない。自身の性器に相手の性器をあてがい、自身の欲望に従って腰を振る。そのたびに艶っぽく嬌声を上げた。
「ここはもういい」
「よろしいので?」
「ああ。こいつらの元頭はどうなってる?」
「ご案内いたします」
そう言うと、俺たちは再び移動を始めた。
再び仕掛け扉をくぐって外からは見えないように入ると、そこには恍惚として複数の男性器を手や口、挙句には自身の性器でも処理している女がいた。だが、彼女にとってみればそれはまさに貪るといっても差し支えの無いように思えた。その顔にはすでに、白い液体がついていた。
「また薬漬けにでもしたのか?」
「確かに、その類を使ったことは認めますが・・・この光景は、彼女自身が望んだことですよ」
「は?」
思わず間抜けな声が出た。いやいや、AV女優じゃあるまいし、こんなプレイが好きとか、
「ただの変態じゃねえか、それじゃ」
「ええ、調教していく過程で、彼女の変態的な性癖が明らかになりましてね。ならばいっそ、突き抜けさせてしまおうということになりまして」
「性欲が強いとか?」
「それも多少はあるのですが・・・俗に言う、ぶっかけ大好きなクチだったようでしてね。しかも、多数の男から大量に、というのが一番いいそうです。あくまで本人談、ですが」
「・・・ああ・・・」
そりゃ変態だ。しかも、“ド”がつくレベルの。女性の多くは顔に精液をかけられるのが苦手っていうのは有名な話だしな。それを、しかも多人数からやられて喜ぶとか変態の極みだ。
「ま、いいや。今日はこのくらいで」
「よろしいのですか?」
「ああ。もともと、サービスを受けなかったのは時間があんまりないっていう理由だしな」
「かしこまりました」
最後に俺は、男どもの射精を浴びて恍惚とする女に、精一杯の邪悪な笑みを浮かべてその部屋を出た。
そこから出て、圏外村の中で補給すると、そこにある転移門に近付いた。圏外村にも転移門が設置されているところはある。ここは、その数少ない例外の一つだった。そこから、第47層の圏外村に飛ぶ。少し歩くと、すぐに花のいい香りがした。
「やっぱり、落ち着く」
自分がしてきた業から逃げるようなことはしない。が、飲まれるような無様は絶対にさらさない。それは、俺が心に決めていたことだった。そして、俺が道を見失いそうなときには、この層に来ることにしていた。リラクゼーションの一環のようなものだ。
暫く歩くと、俺がいつも来るところについた。が、先客がいた。
「誰ですか!?」
警戒したように手を背中に回す。ここからでは得物がよく見えないが、手の回し方から見て、片手で扱える武器なのは間違いないだろう。だが、そんなのは今さしたる問題ではない。
「待ってくれ。怪しいもんじゃない」
我ながら説得力の無い台詞を言いながら、俺は近くに腰かけた。その影も、それを見て警戒を解いたのか、隣にちょこんと座った。が、その片手はいまだに得物をすぐ抜けるように構えられていた。実際、俺の得物は刀で、相手の得物は見たところ短剣だ。すぐに抜いて防御だけでも取れるようにしておく必要があるというのは理解できる。だが、こうも警戒されてはこちらも落ち着かない。俺は一つため息をつくと、自身の得物を外して横においた。かしゃんかしゃんという音で俺が何をしたのか気付いた相手が、驚いたよな顔をしたのがはっきりと分かった。
「ここまでやって、警戒する必要はないだろ?」
片足を伸ばして、もう片方は立て、その上に両腕を乗せた、完全に攻撃の意志がない姿勢に加えて、武装の解除。その意図を悟って、ようやく相手はゆっくりと警戒を解いた。
「あなたは、確か、この前、ロザリアさんたちを・・・」
その言葉で、ようやくこの少女が誰なのかを悟った。鈴を鳴らしたような、はかない声は確かに聞き覚えがあった。
「ああ、あの時キリトと一緒にいた女の子か」
「はい」
それで、一瞬言葉が途切れる。ゆっくりと花を眺める俺に、女の子は勇気を出したように―――実際そうなのだろう―――答えた。
「あの、どうしてここに?」
「気分を落ち着けたいときは、ここに来ることにしてるんだ。この花は、現実でも好きな花だからな」
「確かに、きれいな花ですよね」
ここに、一面を埋めるように咲いている花は、黄色く丸い半球のような周りに白い花弁を持つ、はかなげな花だった。
「それに、いい香りもするし」
「林檎みたいだろ」
「あ、言われてみればそうですね!」
そういって笑う。その笑顔はまっすぐ純粋だった。
「ま、俺が好きなのはその花言葉なんだけどな」
「え、どんな花言葉なんですか?」
「どんなだと思う?」
質問を質問で返し、少女は悩んだ。ころころと表情を変える様は見ていて飽きず、純粋さが眩しく思えた。
「純潔とか、可憐とか、でしょうか?」
「こういっちゃなんだが、難しい言葉知ってるのな」
俺のあまりにあけすけな物言いに少し機嫌を悪くしたのか、軽く膨れる。その頬を二本の人差し指でつついて、俺は言った。
「残念ながらどっちもはずれ。正解はな、“逆境に耐える”、“逆境で生まれる力”だよ。俺は、“苦難の中の力”って覚えてるけどね」
自分の考えるまま、思うままにここまで進んできた。今がそうでなくとも、いつか振り返った時、今まで歩んできた道を、間違っていなかったと胸を張って言えるだろうか。いや、少なくとも間違っていなかったと胸を張って言えるほど、きれいな道を歩むつもりはない。それでも、どんな逆境でも、この花の花言葉のように、逆境に耐えるだけじゃなく、その中でも力を持って進む。その覚悟を確かめるために、俺はここに来ることにしていた。今日、自分のしてきた業を見た。その覚悟を改めるため、俺はここに来た。そして、気持ちは固まった。何があっても、俺は俺の道を進む。たとえそこが茨の道であってもだ。
自身の得物を拾って、ゆっくりと立ち上がる。来た道を引き返すその背中に、女の子は声をかけた。
「あの!また、いろいろと教えてください!」
ひらりと片手を上げて、俺はそれに返答した。
「機会があればね」
そのまま、俺は圏外村から、今度こそギルドアジトへと向かった。
はい、というわけで。
ちとR18に片足突っ込んでるような状態なので、運営から警告来ないか心配です。
その件のシーンはいかにエロいシーンをエロくないように書くか、というところがかなり難しかったです。どうでもいいか。
今回はいろいろと伏線回でしたね。
ハーブティーの面々は売春ギルドにまとめて売られました、っていう。これが、彼なりの復讐ということで勘弁してください。
真ん中の下りとかは今後に生かす予定です。ALOとか。誰得?俺得。
最後の下りはタイトル変えたことにより生まれたストーリーです。あと、主人公に対するシリカちゃんの好感度回復回。そうじゃないと今後つじつまが合わなさそうで怖かったので。
シリカちゃん意外と言葉を知っているの巻。原作によると、シリカちゃんのお父さんはなんかライターとのことだったので、言葉自体は知っていてもおかしくないんじゃないか、という作者の勝手な推測です。
二人が見ていた花の名前は、花言葉で検索すれば出て来ると思います。有名な花ですしね。
ではまた次回。