ソードアートオンライン―泥中の蓮―   作:緑竜

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79.照らし出されたもの

 それから数日後、俺は太平洋の洋上にいた。輸送ヘリでメガフロートに向かっていた。一応、七色の助手という体裁だが、もちろん大嘘だ。ある程度簡単な変装くらいはしているが、流石に国家組織が絡む可能性があるのにそれでは心許ない、というのもまた事実だ。が、そこは永璃ちゃんが「なんとかするから大船に乗った気分でいい」と言い切った。彼女が言い切るのなら一定以上の根拠があるのだろう。ここは信頼することにした。そして、ヘリの中にはもう一組。神代凛子博士と、その助手―――という名目の結城だった。

 

(ま、こいつもこういうクチだわな)

 

 こういってはなんだが、この女もやると決めたら末恐ろしいほどの行動力を持ち合わせる。そんじょそこらの男なぞ比べ物にならない決断力、行動力、そしてなにより度胸の持ち主だ。加えて電子戦ならユイちゃんもいる。

 

(本気で敵に回さなくてよかったよ、本当に)

 

 味方なら心強い。敵に回ると厄介この上ない。まさにそんな相手だ。実際、ラフコフ時代でもアスナの脅威度は最高クラスだった。討滅戦の時、メンバーには「出会ったら殺すか殺されるかの2択だと思え」、とまで説明したが、あながち大袈裟ではないだろう。

 さらに、仮にもローティーンの七色を放っておくのが不安という理由で、七色経由を経由する形でねじ込む形で虹架もついてきた。これについてはある程度の理由は説明がつかなくはないのだが、本当に意外としか言いようがない。頭の回転は割と早い方だが、七色や俺に比べれば見劣りはしてしまう。比較対象がおかしいというのもあるが、本当に世話係なのだろう。だが、それなら日本に来た時の助手でも不自然はないわけで。これについては収容人数に助けられた形である。

 

 ヘリがメガフロートに着陸してから、俺たちは自衛官に案内されていた。いくらシビリアンコントロールがあるとはいえど、省庁の壁を飛び越えてまで自衛官が出張るなんてことはそうそうないはず。ということは、あまり当たっていて欲しくないと思っていたのは事実だが、やはり無人―――呼称の是非はともかくとして―――を見据えているという俺の推測はあながち間違ったものではないのだろう。

 道中でもチェックは入っていたのだろうが、すべてかいくぐることに成功したようで、首尾よく本丸まで忍び込むことができた。そこで待っていたのは、アロハシャツ姿の菊岡、眼鏡の青年、そして度が入っているかわからない程度の眼鏡をかけた永璃ちゃんだった。

 

(なんとかするってのはこういうことか)

 

 なるほど確かに、彼女ほどの腕があればホワイトハッカーとして雇われる可能性は十二分にあり得る。何らかの形でねじ込む、と考えたのは彼女も同じだったということか。確かにここに彼女がいるとなれば改ざんなんてお手の物だろう。当然、“なんとかなる”わけだ。

 

「七色博士、それから枳殻嬢もお疲れ様。ヘリでの旅は疲れただろう。そちらの助手くんも」

 

 だからこそ、こういう間抜けな応対に笑ってしまった。虚を突かれた反応に、俺は笑いを隠さず答える。

 

「おいおい、いくら自分のホームだからっていっても気を抜き過ぎじゃないか、菊?」

 

 言いつつ、申し訳程度の変装をはぎ取る。その瞬間、菊岡は顎が外れんばかりに驚いた。

 

「え、あ、いったいいつから?というかどこから?」

 

「真正面から堂々と入らせてもらったさ。こちとら仮にもキリト―――桐ヶ谷和人を生徒として預かっている立場なんでね。行方知れずともなれば全力を挙げるほかあるまい?」

 

「でも、写真では―――」

「実際にお前が確認したのか?その写真を。してねえだろうなぁ。してたら一目見た瞬間におかしいと感づくはずだからなぁ」

 

「アカデミーの写真をすり替えた、ということか。そうか、監視カメラのスキャンについても、橘さんがここにいる以上ごまかしなどなんとでもできる。盲点だった」

 

「で、ついでに言うと、そういう実例が一例だけだと思うのも、また油断というものよ。なあ、結城?」

 

 その言葉で菊岡はようやくもう一人の“偽物”に気づいたらしい。再び目が開かれた。俺の言葉に、隣にいた結城がカツラとサングラスを外して言い放った。

 

「キリトくんはどこ?」

 

 いかな菊岡といえど、あまりの驚きに完全に思考停止したらしい。その様子を見て、後ろにいた眼鏡の青年はクツクツと笑った。

 

「だから言ったでしょ、菊さん。あの子は最大にして防御不可のセキュリティ・ホールだって」

 

 なるほどなかなかいい得て妙な表現に、俺も思わず笑ってしまった。そこまで行って、ようやく思考能力を取り戻した菊岡は隠し通せないと踏んだらしく、あきらめのため息をついた。

 

「まあもろもろ事情を順に説明するけど、機密事項につき箝口令を敷かせてもらうよ」

 

 

 そこからは、STL―――ソウルトランスレーターのことだ―――の原理や装置概要について深く知らない結城のために説明がされた。だが、それは結城と神代博士以外の全員が知っていること。ゆえに、当然ながら疑問が生じる。

 

「じゃあなんで菊はここに桐ヶ谷を・・・搬送って表現が正しいのかは置いといて、治療を試みたんだ?」

 

「キリトくんは長時間の低酸素状態で脳にダメージを負った状態だった。それを復活させるには、脳の機能を戻す必要がある。そのためには、STLを使用して脳を活性化させる必要があった。というより、それくらいしか手がなかったんだ。最高の医療設備という言葉は、決してでまかせで言ったわけじゃない。キリトくんの状況を好転させるにはこれしかないんだ、正真正銘ね」

 

「まあ確かに、いかな現代医療が進歩しているなんて言っても、脳細胞に直接アクセスするなんてのは土台無理な話だろう。でもそれが、STLなら可能だった。それだけの話か」

 

「もし、それでも不可能なら?」

 

「それだけだ。キリトくんは回復しない。それ以上でも以下でもない。それでも、手をこまねいているよりはマシなはずだ。違うかい?」

 

「理屈は理解した。で、それはどういうプロセスを踏んでいるんだ?」

 

「いかにSTLを用いるといっても、正常化には長い時間がかかる。そこは時間加速機能を用いてカバーするんだ。現に、キリトくんをここに搬送してから、キリトくんはSTLを用いたフルダイブで、もう年単位の時間を経過している。現実世界で彼が目を覚ますころには、きちんと元気な状態になっているはずだよ。当初の手筈では、回復した時点でちゃんと事情を話して、元気になったキリトくんを送り届けるつもりだったんだ」

 

「フルダイブするにはダイブ先の仮想世界が必要なはずだ。それはどうやって手に入れたんだ?」

 

「便利なツールがあるだろう。仮想世界のひな型ともいえる、現代VR隆盛の基盤となったプログラムが」

 

「ザ・シード。晶彦くんの残したものね」

 

「その通りです、神代博士。それを用いて、僕たちは仮想空間を作り出した。比嘉くん」

 

「はい。モニター出します」

 

 そういわれてモニターに映し出されたのは、一つの大きな都市だった。街の作り自体は中世ヨーロッパを彷彿とさせる、どこかはじまりの街を想起させるような雰囲気だった。

 

「大きな街ね」

 

「これだけのNPCをよく用意したわね」

 

「NPCではあるけど、おそらくアスナくんや天川くんが想像するNPCではないよ。聡い君たちのことだ、うすうすとは気づいているんじゃないかな?」

 

「やはりか。この世界が作られたのはキリトのためじゃない。何か別の目的で作り出した世界に、キリトを治療とデータ採取を目的としてダイブさせた。違うか?」

 

「さすがだね。ちなみにその目的については?」

 

「あえて誤解を恐れずに一言で直接的な表現をすれば、軍事利用じゃないか、とは」

 

「・・・まったく恐れ入るね」

 

「軍事利用・・・?私はボトムアップ型の高適応性人工知能の開発だと思っていたのだけれど」

 

 結城がつぶやいた言葉で、俺の中ですべてが繋がった。

 

(なるほど、こういうことだったのか)

 

 俺の驚嘆はよそに、菊岡と比嘉は全く違う感想を抱いたらしい。

 

「キリトくんにもそこまで伝えてはいなかったはずだが」

 

「キリトくんが覚えていたのよ。あなた達に協力した時に聞いた、アーティフィシャル・レイビル・インテリジェンス、って単語を」

 

「なるほど。情報漏洩のリスクは勘案していたが、断片的な情報でそこまでたどり着くとは。おそるべし、だね」

 

「そもそも、ボトムアップ型にこだわる理由はあるの?既存AIの発展形でもできたんじゃないのかしら。現代のAIの能力はかなり高いと思うのだけれど?」

 

「それだと限界があるんだよ、七色博士。そちらの説明もしよう」

 

 その言葉を受けて、後ろにいた比嘉がこちらに向き直った。どうやら、彼はそのために呼ばれた側面のほうが強いらしい。

 

「念のため、一から順を追って説明しよう。まずAIというものの区分について説明する必要がある。トップダウン型とボトムアップ型の二つ。現代のAIと呼称されているものはトップダウン型のみだ。これは、AIとしてのプログラミング限界によるものなんだ」

 

「まず人工知能という型を作ってから完成を目指すトップダウン型の人工知能は、あくまで()()()()()()()()()()()()()()()に過ぎないわけだからね。もちろん学習能力とかによって本物の知能に似せて行こう、ってアプローチなんだけど、あくまで()()()()()()()()()()()()()()()()に過ぎないの」

 

「説明してくれてありがたいよ、ストレアくん」

 

 菊岡の説明を補足する形でストレアがしてくれた質問には納得がいった。そして、そのアプローチならボトムアップ型というのにも見当がつく。

 

「ということはボトムアップ型は、機械で人間の脳構造を模倣できないか、ということか」

 

「ああ。でもそれには人間の脳の構造を、より細かく正確に知る必要があった。それは現代の技術において不可能だと思われていた。茅場氏が己の脳をスキャンし、焼き切るという行為に及ぶまではね。そこでフルダイブマシンを発展させれば、脳の構造をより深く理解できる可能性が高い、ということに気が付いたんだ。そうして生まれたのが、STLだった。で、脳のスキャン、そしてその複製と、保存するための入れ物、ライトキューブの開発まではうまくいった。フラクトライトを複製することさえできたんだ。しかし、ここで問題が生じた。

―――比嘉くん、例のアレ、見せてあげてくれ」

 

 菊岡の要望に、比嘉は露骨に嫌な反応をした。

 

「えぇ・・・あれやるとめっちゃへこむんスけど」

 

「とはいっても、言語化して伝えられることでもないだろう?見せたほうが速い」

 

 その言葉に、比嘉はしぶしぶコンソールを操作した。そうして映し出されたのは、なにやら光球が映し出された。その光球に向かって、

 

『サンプリングは終わったんスか?』

 

 スピーカーから聞こえた声は、問いかけた比嘉と同じ声だった。その瞬間に俺はある程度の事態を察したが、事情説明はあとでちゃんとされるはずだ、と考え、少し様子を見守ることにした。

 

「STLにトラブルは起きてないっス。そこはいわば、STLの中、といったところっスかね」

 

『ならここから出してくれ。できるんだろ?』

 

「それは無理な相談ってもんっス」

 

『なんでだ?というかそもそもアンタ誰なんだ?聞いたことない声っスけど』

 

「・・・俺は比嘉っス。比嘉タケル」

 

『比嘉?どういうことだ!?俺が比嘉だ!ああもう、そこに菊岡さんは!?』

 

「比嘉くん、僕だ。菊岡だ」

 

『菊岡さん!アンタ騙されてないっスか!?だって俺は―――』

 

「あぁ、比嘉くんそのものだ。厳密にはコピーだが」

 

『コ、ピー・・・?俺が!?そんなはずはない、そんなはずはない!だって俺には記憶も人格もある!』

 

「それもそうだろう。いわば完全な複製体なのだから、記憶も人格もコピー前段階で完全に複製されているはずだ」

 

『ありえない!そうだ、円周率の暗記勝負をしよう!3.141942ディ535ディル979ディルディルディル―――』

 

 奇妙なエラー音とともに、光球の形が崩壊していき、やがて無音になる。それを確認して、比嘉が静かに告げる。

 

「フラクトライト複製体、完全に崩壊しました」

 

 横で人が崩れ落ちる音が聞こえる。虹架が顔を青ざめてうずくまっているのを七色が介抱していた。その後ろの方で、同じく顔を青くした結城を神代博士が介抱していた。無理もない、確かにこれは、衝撃的という言葉すら生ぬるい。

 

「見苦しいものを見せてすまないね」

 

「構わん。確かに悪趣味極まりないのは事実だし、実行する前の比嘉さんの反応も至極もっともだ。が、これは口で説明してどうにかなる話じゃない」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。

 比嘉くんは140近いIQを持つ、いわゆる天才だ。その比嘉くんのコピーでさえ、こうなってしまう。同じ事象は、コピーを採取したほとんどの人物において発生した。僕を含め、自衛官も例外なく、ね」

 

「私たちトップダウン型の人工知能ですら、自身の複製体がいる、なんておぞましいもの。万が一バグでバックアップが解凍された、なんてなったら、きっとお互い殺し合うね。より複雑なボトムアップ型なら、こうなるのも確かに不思議ではないよ」

 

「なるほど、それはそれで興味深いな。まあそれはそれとして、一定以上に成熟した知性を完全に複製することは不可能、という結論に至ったわけだ」

 

「なら、能力や記憶の一部を制限してみたら?」

 

「やってみたんスけど、さっきの比じゃないレベルで悲惨なモンができましたよ」

 

「と、すれば、制限部分が足りない―――いや、そもそもそこまでしたとして、成長限界を迎えたものでは学習能力に限界があるはず。となると成功させるには―――いえ、そもそもそんなところまでSTLは可能だというの・・・?」

 

「理論上は可能よ、神代さん。だけど、試算するまでもなく、圧倒的にリソースが足りないから実行されていないわ。時間も、金も、労力も、なにもかもね」

 

「でも、仮にも巨額の公的予算を投じたプロジェクトだ。何の成果も得られませんでした、というわけにはいかない。何が何でも成功させる必要があったんだ。そのためには、成熟前の無垢なフラクトライトが必要だったわけだ」

 

 菊岡の言葉に、一瞬俺は、どういうことか、と思った。が、すぐに結論にたどり着いた。直後、後ろで椅子が弾かれる音がした。音の方向からして結城だろう。頭の回転が速い彼女のことだ、おそらく俺と同じ結論に至ったのだろう。

 

「やはり、そうか。―――生まれたての、自我や人格が形成されていない、赤ん坊のフラクトライトを複製した。違うか?」

 

「その通り。人道的批判は甘んじて受け入れるよ。でも、さっきも言った通り、何も得るものがない、じゃだめなんだ。そして、これが一番の近道であり、新生児の両親には承諾を得、見返りもしている。そこは理解してほしい。

 話を進めると、無垢なフラクトライト―――ソウル・アーキタイプの精製に成功した。となるとあとは成長させるための舞台が必要だった。できる限り自然な世界がね」

 

「まあ、本来仮想世界をつくるだけなら3Dデータは必要なかったんスけどねぇ。でもそもそも、建築物を作るってだけでも膨大な資料と研究が必要だって分かったんス。で、ボクもVRMMO遊んでたんで、あの世界がうってつけだって思いついたんスよね。なんで、ザ・シードを使ってあの仮想世界―――アンダーワールドを作った、ってわけっス」

 

「だが、ザ・シードで作れるのはあくまで既存の仮想世界の延長にすぎんはず。これほどのものだ、専用の世界が必要なんじゃないか?」

 

「その通り。なんで、下位サーバーでザ・シードパッケージの仮想世界が、上位サーバーで専用の仮想世界が動いていて、リアルタイムで同期してる、ってわけっス」

 

「ということは、下位サーバーにはアミュスフィアでもインできる、ということ?」

 

「理論上は。ただ、最適化されてないので、問題が生じる可能性はあるっスね」

 

「話を戻そう。で、そうして生まれたのがあの世界なわけだな?」

 

「ええ」

 

「ソウル・アーキタイプ、だっけ?それはあくまで赤ん坊に等しいわけだろ?いかなザ・シードのAIが優秀って言っても限界はある。一から子を育てる、なんてのは流石に無理があるだろう。子育てはどうしたんだ?」

 

「それは、ラースのスタッフに協力してもらったよ。彼らには少し無理を言うことになってしまったが」

 

「案外楽しんでみたいっスけどね」

 

「時間のかかる作業である以上、時間加速機能を使ったんだろ?相対的な時間はどれくらいだったんだ?」

 

「あっちの時間で18年、こっちの時間でざっと一週間ってとこっスね」

 

「18年っていうと・・・ざっくり1000倍くらいってこと?人体への影響は?」

 

「STLがアクセスするのは、生体としての脳ではなく、意識の光量子そのものにアクセスを行う。つまり、脳の組織自体をどうこうする、ということはないの。だから、理論上は脳の機能に支障をきたす、ということはないわ」

 

「あくまで理論上の話ではあるから、実際のテスターに対しては上限を設けているがね」

 

「裏を返せば、上限がないということ・・・?記憶容量の限界に達してしまったりしないの?」

 

「その心配はもっともだが、このくらいなら問題ない・・・はずだよ」

 

「おいこら、不安にさせる一言を付け加えんな。どういうことだ」

 

「フラクトライトの記憶容量としては150年分くらいのものがあると見積もっている。人間の寿命は、どんなに長くても120歳程度。ということは、マージンを取ったとしても、10年20年程度なら問題ないと判断している」

 

「これから一世紀弱の間に、何か革新的な寿命を延ばす手法が編み出されない限りは、ね」

 

「その時はその時だ。それに、この機能は相当量のリソースを用いて初めて正常稼働できるものなんだ。そうそうおいそれと作動できるものじゃない。今は実験段階だからその辺かなり融通が利くけどね。仮にこれを汎用化できたとしても相当な年月と時間を要する。

 話を戻そう。その後スタッフは流行病で仮想世界内では死去して、ログアウトした。スタッフのほうには記憶プロテクトをかけてあるから、記憶の混濁は起きないはずだ。現に、今日に至るまで、そのような報告は受けていない。そのあとは人体への影響を鑑みる必要が無くなったから、倍率を5000倍まで引き上げたんだ。その後、こちらの時間で3週間ほど、あちらの時間で300年ほど経過したときには、人口8万の一大社会が形成されるに至った」

 

「それが、さっき見せたあの世界、というわけか。もはや文明シミュレーションの次元だな。だが、そこまでの社会となると然るべき法が必要なはず。それはどうしたんだ?」

 

「それについても問題はないよ。比嘉君、ルーラー・アーキタイプの一つを励起させてくれ」

 

「それは構いませんけど・・・いいんスか?」

 

「口で説明しても納得しづらいだろう。さっきの今なら余計にだ」

 

「・・・わかりました。サンプルデータ励起を開始します」

 

 そういうと、比嘉はまたもやコンソールを操作しだした。そして映し出されたのは、先ほどの比嘉のフラクトライト複製体と同じようなものだった。そして、スピーカーから声が聞こえだした。

 

「あーあー、マイクテスト。聞こえるっスか?」

 

『あぁ、良好だ。こっちの声も問題ないか?』

 

―――それは、まぎれもなく俺の―――天川蓮の声だった。

 




はい、というわけで。

ここから本格的にオーシャンタートルでの出来事になります。どうしても説明パート入れないと完全に置いてけぼりを食らわせる格好になってしまう恐れがあるので、ひとえにご容赦ください。説明の順序があべこべになっていたりするのは、超メタいことを言ってしまうと、原作と極度に類似してしまうのを防ぐためだと思っていただければ。

その都合上、はっきり言って原作をガッツリ読み込んでこの辺りなんざ説明されなくても覚えてるよ、というような人はどうしても退屈なことになってしまうことは避けられないでしょう。そこは申し訳ないですが、先の理由からここで説明パート挟まないといけないと判断しました。申し訳ないです。

次の話からはちゃんとオリ主二次創作らしく、変な表現にはなりますが、ちゃんとある程度脱線していくのでご安心ください。

ではまた次回。

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