機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

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このままでは、種運命キャラの出番がなくなるな……。特に連合勢力のキャラが特に……。戦後編はあくまで種と種運命の間の2年間の物語と位置付けていますので……。尤も種運命編をやれる可能性はほぼないですが……。


第10話

 東アジア共和国のとある2ヶ国が、東アジア共和国の枠組みの離脱を宣言・実行したのに対して、東アジア共和国政府はそれを認めないと発表する。尤もそれを止める力は東アジア共和国政府にないので、法的拘束力等ないも同然だった。

 

 そして、ここまではキラ達の予想通りであったが、それを上回る事態がユーラシア西側で起こった。

 

「我らはユーラシア連邦を離脱して新たな勢力を結成することを宣言する!」

 

 ユーラシア西側の西欧諸国が中心となって結成されたヨーロッパ連邦の、初代代表が高らかに独立宣言を行った。これによりユーラシア連邦は半ば形骸化してしまい、ユーラシア連邦に残った有力諸国は加盟している国家を繋ぎ止めるべく色々な手を打つのだが、まったく効果がなく逆にヨーロッパ連邦加入を目論む国家まで現れる始末だった。

 

 無論ユーラシア連邦の急激な崩壊に対応するべく、キラ達は緊急の会合を開く。

 

「こちらの目論見通りになりましたが、些か崩壊が早すぎる」

「ヨーロッパ連邦はこちらに支援を求めてきている。どうやら大西洋連邦を追い出すつもりのようだ」

「極東の地域の新たな枠組みはすでにできているが、そっちに支援の約束をした以上ユーラシア西側は後回しにするしかないのでは?」

「しかし、ユーラシア西側には我らのジブラルタル基地がある。我らが見て見ぬ振りをするわけにはいかん」

 

 出席者達の大半は連合崩壊が進む各国の独立は歓迎するべきことだが、もう少し時期を選んでほしかったというのが彼らの本音だった。

 

「ここまで事態が進んでしまった以上は止む負えません。折角の好機を逃すわけにはいかないので、このままヨーロッパ連邦を承認しましょう。軍の派遣も行う必要があるでしょう。ヨーロッパ連邦は親プラント国の方針を打ち出していますし、見捨てれば大西洋連邦に彼等を再び靡かせてしまいます」

「大西洋連邦が軍を派遣する可能性はないのか? 正直軍の派遣まではやり過ぎなのではないか?」

 

 出席者の1人がキラの意見に疑問を抱いたのか、キラの方に顔を向けて質問をする。

 キラは出席者達が抱いている疑問に答えるべく口を開く。

 

「大西洋連邦も恐らく本格的な派遣はしないかと思います。南アメリカで今回の件に触発されたのか、独立運動が起きています。大西洋連邦はそれに睨みを利かせる為に大規模な軍隊を送り込むそうです」

「ヨーロッパまで本格的に手を回す余裕はないということか……。だから、ヨーロッパ連邦の各国はこの時期に連合離脱を決めたというわけか……」

「恐らくそうでしょう。幸い極東は今ある戦力で充分対応ができます。こちらの戦力再編も順調ですので、大規模な派遣をしない限りは問題ないかと思います。しかし、こちらもあまり余力がないのは事実なので、念の為にあれの準備をしておきますね。戦線を拡大するのは正直こっちとしても困りますし」

 

 キラの言葉に幾人かは渋い顔をしながら頷く。いくら戦力再編が大分進んだとしても、完全ではない上にヨーロッパ連邦諸国が安心できる戦力を派遣するのは、現在のプラントではそれなりの負担になってしまうのだ。

 

「殊ここに至れば連合分解を一気に進めてしまうのもやむを得ないでしょう。この機を逃して時間をかければ大西洋連邦が介入してくる恐れがあります」

「そうなればプラントの負担は更に増すか……参謀本部はその意見に賛成する」

「アウグスト殿。よろしいのですか?」

 

 今回の件は介入することに一番難色を示すと考えていた軍代表のアウグストが、この意見に賛成へ回ったことに疑問を思ったメンバーが尋ねる。

 

「現在の軍事力で大西洋連邦と全面衝突は参謀本部としては避けたい。しかし、大西洋連邦の軍再編は我が国より早い。現状で激突すれば初戦は勝利できても我が軍は後が続かない可能性がある」

 

 アウグストの言う通り、大西洋連邦の戦力再編のスピードはプラントの比ではない。国力の差はいかせん埋めがたい差として存在しており、プラントの国防を担う立場として、大西洋連邦の本格的介入は避けたいというのが本音である。しかし戦争を望む相手がいる以上、希望的観測は禁物である。万が一に備えて全面衝突する可能性も考慮する必要があるのだ。

 

「大西洋連邦も戦力の再編中な上に国内の統制と南アメリカで不穏な動きが見える以上、大軍で大西洋を渡って介入する無茶はしてこないでしょうが、これも予測に過ぎないので最悪の場合に備えて準備をしています」

「今しか好機はないということか……わかった私も賛成する」

 

 カナーバがキラの意見に賛成したことで、政治家達が賛成に回ったことでこの策で行くことで決定した。

 

「派遣する戦力は核動力機を中心とした精鋭にした方がいいでしょう。この部隊なら万が一連合の一部と戦闘になっても多少の数の差は覆すことができます」

「確かに派遣できる戦力には限りがある。それなら質を強くした方がいいだろう」

「それに数が少なければ無用な警戒心を抱かられずに済みますしね」

 

 この後派遣する軍の具体的な規模を検討して、それが了承させるのを確認して話し合いは終了し、会合に集まった出席者の面々は豪華な食事を堪能した後、それぞれの帰路につくのあった。

 

 

 

 

「それで遅くなったということか」

「御免。これは大事な付き合いだから断れないし……。今日は遅くなるからって伝えたはずだけど……」

 

 キラは自宅に帰ってきて扉を開けたらジークリンデが仁王立ちしており、彼女が遅くなった理由を訊ねてきたので、職場の付き合いで食事をしていたと言った。

 

「それはわかっている。だが、帰ってくるのが遅すぎだ。今何時だと思っている? 夜中の1時だぞ?」

「明日は休み何だし遅くなっても問題ないと思うんだけど?」

「知っている。だが、帰りを待っていた私の気持ちになってみろ。退屈で仕方がなかったのだぞ?」

 

 ジークリンデはぷんぷんと怒りながら、キラに文句を言いながら彼に近づく。

 彼女は自宅とあってYシャツ一枚だけというラフな格好をしており、重力に逆らっているとしか思えない巨乳を前に突き出しながら近づいて来た。

 

「ジーク少し寛ぎ過ぎじゃないかな? 他人に見られたらどう言い訳するの?」

「お前を誘惑する為に態々このような格好をしたのだぞ? 疲れてそのまま眠ってもらったら困るからな」

 

 ジークリンデは色っぽい目付きでキラを見ながら言った。

 キラはそれを聞いて顔を微妙に引きつらせる。

 

「今日はもう疲れたから寝たいのだけれど?」

「問題ないだろう。どうせやり始めたら私が疲れ果てる程激しいくせに」

「……」

 

 ジークリンデの言葉にキラは言い返せなかった。

 

「それに最近ラクスと仲がいいそうじゃないか。あいつにだけは負けたくないのでな」

 

 ジークリンデとラクスはかつて同じ学校に通っていた同級生だった。

 2人は共に良家のお嬢様であり片やプラントで超人気の歌姫、片やプラント一の名家出身でそのスタイルとルックスからモデルとして過去に活躍していたせいか、二人は何かと周囲から比べられていた。それが彼女がラクスを何かとライバル視する理由の一つだった。

 そのせいで公に見せることはないが名家のお嬢様らしくプライドが高い彼女は、内心かなりのライバル心を抱いており、彼女に負けたくないと思っていた。

 

 ジークリンデがジト目で自分を疑いの眼差しで見ていることに気付いたキラは、慌てて彼女に対して釈明する。

 

「君が思っている話はしてないよ。この前もそう言ったじゃないか」

「どうかな? ラクスは私と同じくらい美人だからな。男は例え意中の女がいても、タイプの違う好みの女性を前にすると気にせずにはいられないからな」

 

 ジークリンデの言葉を聞いてキラは相当機嫌を損ねていることに気が付いた。最近2人共忙しくて2人だけの時間を取れなかった反動なのか、彼女はかなりご立腹らしい。

 

 キラは溜息をついたあと、ジークリンデに近づいて彼女の唇をいきなり奪う。

 

「んっ!? ぷはっ! キラいきなり何をする!? 不意打ちはずるいぞ!」

「ごめんね。どうやら寂しい思いをさせていたみたいだね。本当にごめん」

「わ、わかったならそれでいい……。婚約者を満足させる為に今日の夜と明日の休日はとことん付き合ってもらうぞ」

「そうだね。じゃあ、シャワーを浴びてくるから少し待っててね」

「なるべく丁寧に洗ってくるのだぞ」

 

 キラはそう言ってもう一度ジークリンデにキスをした後、汗を流すべく風呂場に向かうのであった。ちなみにこの後2人の行為はジークリンデ曰く「私がギブアップしてしまうほどだった」と言い、とてもすごかったらしい。


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