機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

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続編は最初スパロボZを検討していましたが、プロット作成がうまくいかない上に、また、投稿できなくなる可能性があるのでは? という御意見があったので、目下どうすべきか考え中です。

この作品のキラを主人公として建国系技術チート二次創作を考えているので、そっちを優先すべきかな……。ちなみに投稿するとしたら別作品枠になりますので、正式な続編扱いはしません。あくまでif続編にすることを考えています。


第9話

 東アジア共和国で政治的に大きな動きがあった。

 日本と、とある国家が独立を宣言したのである。彼等はこれ以上東アジア共和国を維持することは不可能と悟り、プラントの内々の誘いもあったので、新たな極東の枠組みを作るべく独立を宣言し互いを助け合う同盟を締結。更に連合離脱を宣言し親プラントに舵を切ることで、修復が終わったカオシュンのマスドライバーを少し安く使わせてもらえることになっている。こうして、プラントや宇宙での交易で経済を活性化することに成功するのだった。

 

「連合はもう頼りにならん。自分の身は自分で守る」

 

 某国のとある政治家はそう発言して自国の防衛力強化に努めていた。日本は民間企業であるフジヤマ社を中心としたMS開発計画を推進し、プラントとも技術交流を行うことを検討し始めた。とある国はプラントから性能をグレートダウンした旧式MSを安値で供与してもらうことで防衛力を強化している。

 

 無論連合の親玉ともいえる大西洋連邦やNo.2のユーラシア連邦はこの行動に驚き、連合に戻るよう軍による恫喝を含めて説得工作を開始した。そして、表向きは離脱は無効であり了承しないことを発表する。

 

「東アジア共和国の結束がここまで脆いとは思わなかった……」

「まずい事態になりましたな……」

 

 大西洋連邦では無論この事態にどう対応するべきか話し合う為、政府上層部の人間が大統領府に集まっていたが、具体的な対策案を思いつく者は少なかった。

 

「このまま東アジア共和国分解を傍観するのは下策です。早々に手を打つ必要があります」

「しかし、大戦から1年が経ったが未だに戦力再編は終わっていない。それに経済もようやく回復してきたところだ。ここで戦端を開くような行為はすべきではない」

「私もその意見に賛成です。現在政府に臨時国債を発行する余裕はありません。万が一戦争になった場合我が国はたちまち財政難に陥ります」

 

 大西洋連邦はNo.1の国力を持っているとはいえ、プラントとの戦う場合一勢力だけでことを構えるのは得策ではない。だから、戦後も連合の枠組みを維持すべく大西洋連邦は色々と外交工作を行ってきた。東アジア共和国が脱落しないように彼等の政敵を買収したり、各地の有力者が勝手に自滅するように仕向けたり等努力してきた。

 しかし、東アジア共和国から始まった動乱は遂に東アジア共和国の崩壊と、連合の一角の脱落という大西洋連邦にとって最悪のシナリオを現実のものとしてしまった。

 

「確かに我らは経済を再生させる為に東アジア共和国政府を支援してきた。だが、それでも匙加減を間違わぬようにしてきたのだ。我らは東アジア共和国の崩壊は望んでいない」

 

 それが大西洋連邦で政治に関わる者達の大半の思いであったが、最早ここまで事態が進んだ以上東アジア共和国の存続は諦めるしか方法がない。

 そして、東アジア共和国政府の存続が無理になった以上、次の策を打つ必要があるので彼等は積極的意見を交わし始める。

 

「こうなれば崩壊と分裂を徹底的に利用するしかありません。離脱しようとしている国には、引き続き連合に留まるように説得するしかありません」

「しかし、2ヶ国が素直に頷くか? 特に我らは日本を同盟国でありながら過去に一度見捨てている。その時の彼等の恨みは相当な物だぞ? 我らの言葉に耳を貸さない可能性が高い」

 

 地球連合崩壊を防ぐ為には連合の枠組みから離脱しようとしている国や地域を、何とか連合に残らせる必要があるとある政治家は言ったが、一部の政治家からそれは難しいのではないかという疑問が出る。

 特に過去強い同盟を結んでおきながら、諸々の事情で見捨てることになってしまった日本は、大西洋連邦を今でも心の中で裏切り者と罵っていることは、少し政治に明るい者なら誰でも知っている事実だ。万が一プラントが正式に日本を本格的に支援すると発表した場合、日本の親プラント国化は避けられないだろうとこの場の誰もが思っていた。

 

 しかし、だからといってこのまま2ヶ国が連合を離脱するのを、何もせずに手を拱いて見ているのはよくないことなので何とかすべく知恵を絞る。

 

「我が国がプラントよりも旨みのある支援を実施するしか方法がありません。武力で脅すのも悪くありませんが、その場合最悪2ヶ国はプラントに軍事支援を要請する可能性があります。それだけは避けるべきでしょう」

「ユーラシア連邦にも圧力を加えてもらうのは? 彼等も東アジア共和国の連合離脱は望んでいませんし」

「だめだ。ユーラシア連邦も内部で意見の対立が増えているし、国内の統制で精一杯だ。介入する余裕はないだろう」

「軍事力に頼るのは反対です。国民も今は戦争を望んでいません。下手をすれば国内で反政府デモが起こります」

「現状我が国に太平洋を渡って戦争をする余裕はないからな……。やはり、軍事的オプションは奥の手にするしかないということか……」

 

 コープランド大統領はこのような緊急事態に対して、自国が取れる選択肢が少ないことに思わず溜息をつきそうになる。取れる選択肢が少ないということはそれだけ国家に余裕がなく、自国を取り巻く環境がよくないことを示しているからだ。

 

「一先ず独立しても引き続き連合に留まるように説得を続けてくれ。連合に留まってくれさえすれば我が国は独立を承認してもいいと伝えても構わん。今は動く時期ではないからな」

 

 ロゴスの方々も今は内戦で儲ける為に、あまり極東を不安定にするなと伝言を頂いている。コープランドは、連合の安定を重視すべく穏健な方法で事態を収束するように指示するのであった。

 

 

 

 プラントL5アーモリワン。

 この軍事コロニーで開発中のセカンドステージ5機の内4機が完成して、テストパイロットによる運用が始まっていた。

 キラは参謀本部からこちらに本格的に赴いて、セカンドステージの機体を完成させるべく試験運用に立ち会っていた。

 

「インパルスの完成度は想像以上だな。最初は分離・合体システムなんぞ必要ないと思っていたが、MSが進めないデブリ地帯を進めるのは実際見るとなかなか役に立つな。奇襲とかに使えそうだ」

「テストパイロットの腕も想像以上に素晴らしいです。どうやらインパルスに適正があるようです」

「ふむ。このまま正式なパイロットとして採用するか。この運用結果を見る限り彼以上にうまく扱える人物はいなさそうだしな」

 

 キラはインパルスの試験運用のデータを見て、これなら正式なパイロットに推薦・決定しても問題ないと結論した。

 

「アビスの水中運用、変形機構・火器共に異常なし。カオスとガイアも火器・変形機構に異常なしか……」

「インパルスの各シルエットも特に問題ありません。懸念されていたフォースシルエットの火力増強による機動性の低下も例の新型合金を採用することで解決しました」

「そうか。これでセイバーが完成すればセカンドステージ全機で試験運用が行えるな」

 

 セイバーの開発は原作と同じように他の4機よりも遅れていた。しかし、5機の中で一番完成度が高いといわれているセイバーは、参謀本部でもインパルスの次に注目のMSであった。

 

「ニューミレニアムシリーズの量産は順調ですか?」

「一応ね。でも、装甲素材に使う新型合金を一定の品質で量産するのに手間が掛かっているから、生産数は今の所多くない。ウィザードシステムにも使う必要があるから、生産数が追いついてないし」

 

 ルナ・チタニュウム合金を量産する体制を整えるにかなり金がかかった。そのおかげでザクの価格を下げるのに社内でかなり反対が出たが、経営者権限と必ず利益が生まれるようにすると重役達に約束することで、何とか量産機として適正値段に収めることができた。その代わり、社内でディンに代わる新たな空戦MSバビの開発と採用を約束させられる羽目になったが。

 

(バビなんて必要ないだろうが……爆撃なら爆撃機を製造した方が安上がりだろうに……)

 

 バビのカタログスペックを見た時のことを思い出したのか、キラは思わず愚痴を言いそうになった。

 キラの権限と力を持ってしてもプラントに蔓延するMS偏重主義を簡単に取り除くことができず、未だにプラント内ではMS偏重主義者が多くいた。その者達を一人一人説得することで何とかこの考えを取り除こうと試みているが、今の所大した成果は上がっていない。

 

「ザクウォーリアとザクファントムに装着するウィザードもいい成果を出しているからね。量産機の方は目処がついたよ。最も開発チームの連中はグフの開発に取り掛かっているけどね」

 

 次世代MSのコンペでザクに敗れたグフであったが、そのザクを上回る性能に加え、標準で大気圏内飛行ができるようになっている設計は、地球圏を次の戦いの舞台と考えている軍人達の目に止まり、彼等の働きかけにより予算が下りることになった。完成と量産は1年後を目標に掲げており、開発を任されたチームは研究所で精力的に動き回っている。

 

「取り敢えず国民に発表するまでに完全に仕上げてね。上はお披露目式典をやりたがっているから」

「全力を尽くします」

「頼んだよ」

 

 キラは開発チームのリーダーにそんなやり取りをしながら、映像に映し出されている新型機の試験運用を見学するのであった。

 


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