機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

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今回は少し短めです。かなり苦戦しました……。原作にない展開を書くのは難しいですね……。

第二次スパロボZの話を書いているのですが、同じように大苦戦中です。いつ投稿できるかわかりません。何せ未だにプロローグしか書けていません……。リアルも忙しいので……。


第3話

 プラントとの戦争で敗北した地球連合を構成していた国家は、戦後財政が火の車になるはめになった。何せこの大戦でNジャマーの投下による電力不足に加えて、プラントの生産力と経済力をそのまま損失してしまった。その上戦争に敗北したことで賠償金を一銭も取ることができなかったので、復興の元手となる資金を軍縮によって捻出される金で賄うことになったが、戦後支配地域が不安定になった為に大幅な削減を行うことができず、捻出できた金は雀の涙程であり、政府が資金を投入しても焼け石に水状態だった。

 

 それは世界第一位の経済力と軍事力を誇る大西洋連邦も例外ではなかった。

 

「コープランド大統領。やはりこれ以上の軍事費削減は難しいかと。これ以上削減してしまえば各国への睨みが効かなくなってしまいます」

「わかっている。私もこれ以上の削減は無理だと考えて要るが、戦後の復興を考えるとおいそれと提示された軍事予算を通すわけにはいかんのだ」

 

 前大統領が敗戦の責任を取って辞任し、大西洋連邦の新たな大統領となったジョゼフ・コープランドは、補佐官の言葉に対して難しい顔をして返した。

 プラントからNジャマーキャンセラーの提供を拒否されたため、田舎では電力不足が起こっている所もあり、戦後の銃より生活改善を優先しろという声が朝野に満ち溢れていた。

 

「プラントから戦後復興に必要な資材や電力を適正価格で買い取っていますが、地球全体なので数が足りません。下手に自国ばかり優先すると今はこちら側の陣営にいる国家をプラント側に靡かせてしまいます」

「プラント側に価格をもっと下げるように要請するしかないな」

 

 大西洋連邦は自国の再建を最優先にしたいが、匙加減を間違うと他国の恨みを買いかねないので、慎重な配分が必要だった。もし、その加減を間違えば最悪連合が空中分解することになるので、それだけは絶対に避けなければならない。

 

「東アジア共和国はもっとこちらに資材を回してくれと要請していますが……特に支那が」

「また、あの国か……どうせ送っても横流しされるだけだ。今我らに物資を無駄にする余裕はないのだからな。適当にお茶を濁しておけ」

「わかりました」

 

 地球一の国力を誇る大西洋連邦のトップに立つ男の苦労は続くのであった。

 

 

 

 

 

 プラントでは新たな軍事コロニーが完成した。このコロニーは軍需兵器生産も兼ねているコロニーでもあり、新型兵器の試験運転等を行うのに非常に便利なコロニーであった。

 キラはこのコロニーで現在開発されているセカンドステージMSとニューミレニアムシリーズの製造がどの程度進んでいるかを視察する為にこのコロニーの軍需工場兼軍事基地を訪れていた。

 

「インパルスの合体・分離テストは無事に終了してデータ蒐集も終了。カオスの変形機構テストも終わったか……」

「はい。一番厄介な問題点は無事に解決しました。アビスとガイアの方は変形機構が単純なので、すぐに製造に取りかかれたのですが、これらの機体も実際完成させてテストしてみる必要があります」

 

 セカンドステージは原作通りMAに変形する機構を5機の内4機に採用して、MSの汎用性と局地対応を両立させている。そして、今開発計画の目玉であるインパルスは分離・合体を行うMSであり、他のMSも本来インパルスの為に用意されたパーツ扱いだった。

 キラは当初分離・合体等の機構は必要ないのではという意見を提示したが、開発者の熱意に押されて技術蓄積の為に許可することした。その変わりインパルスを全地形対応ができるように開発をするように命じたが、結局分離・合体機構を備えていることで局地対応は無理という結論に至ったため、その代わりにセイバーの製造で多少独自の改造を施すことを認めさせた。

 

「順調というわけか……プロトセイバーは地球に降ろして変形機構のテストを行っている。色々と問題があるみたいだから、一番完成が遅れそうだな」

「5機の中では一番完成度が高い機体なんですけどね。それらのデータを充分に集めてから製造を行うのが一番ベストなので……」

「気にしないで。無茶を言ったのはこっちなんだから、多少遅れても構わないよ。だけどその分いい機体を完成させてよね」

「全力を尽くします」

 

 開発チームの主任の言葉にキラは満足気に頷き、工廠をあとにするのであった。

 

 そして、キラが次にやって来たのはニューミレニアムシリーズを製造している工廠だった。

 

「製造は順調?」

「ええ。ウィザードシステムも良好で、かなりいい機体ができると思います。防御面についても新たなに開発したネオ・チタニュウム合金のおかげで従来のMSよりも防御力がアップしています」

「製造と量産体制を整える為に莫大な開発資金をかけた価値はあったようだな(ガンダニュウム合金をできれば造りたかったんだけどな)」

 

 キラはこの世界ではPS装甲以外で防御力を上げる手段を求めて、ガンダムニュウム合金の精製を目指して資金を投入していた。それを作る過程で偶然できた大量生産も可能なネオ・チタニュウム合金ができたので、今回のニューミレニアムシリーズに採用することを決めた。人的資源が貴重なプラントではパイロットの生還は重要な課題になっており、それを解決する為にMSの防御力向上は課題の一つだったからだ。

 

「量産機の方は大体目処がついたけど、グフの方はどうなの?」

「グフは大気圏飛行テストを行う必要がありますが、武装、機体共に順調に開発が進んでいます。ただ、ザクを優先しているので、本格的な量産にはまだ時間がかかります」

「それでいいよ。取り敢えず色んな状況に対応できるザクシリーズを優先して生産するつもりだから。グフの方は時間が掛かっても構わないから優先順位を間違いないようにね」

「わかりました」

 

 開発チームにそう言った後、キラは今日の務めを終わらせて帰宅するのであった。

 

 

 

 

 

「マユちゃんは10歳になると同時に士官学校に入ることになった」

「勉強は順調なんだね」

「ああ。家庭教師も褒めていたぞ。この子なら特進も可能だと言っていた」

「ふーん。そうなんだ……ってジーク何でここにいるの? 確か君は航路巡回の任務だったずだよね?」

「ああ。それか。もう終わったよ。さすがエターナル級は足が速くて助かる」

 

 キラが帰宅したら何故かジークリンデがいた。彼女は航路巡回の任務中のはずなのだ。そのことを疑問に思い尋ねるともう帰還して休暇に入ったらしい。

 

「エターナル級は核動力搭載機運用母艦だから、航路巡回には本来使用されるべき艦船じゃないんだけどな……」

「気にするな。折角空いていたのだから使わせてもらうべきだろう。そのおかげでさっさと帰ってこれたしな」

 

 ジークリンデはそう言って自慢の乳房をキラの腕に押し付ける。キラはジークリンデのスキンシップに顔を赤くしてしまい、その気持ちよさに男の悲しい性故か振り払えないのであった。

 

「ジーク。胸が当たってるよ。それでマユちゃんの士官学校入学の手続きをしてくれたのかい?」

「ああ。10歳になったら士官学校に入学させるから、その時に願書を提出する手筈になっている。マユはみっちり5年間は勉強と訓練の日々だな」

「ありがとう。僕は忙しくて手続きをしている暇がないから、君に頼む形になってしまって」

「ふふふ。気にするな。私達の仲ではないか。寧ろ頼ってくれてうれしいと思っているぐらいだ」

 

 キラの感謝の言葉にジークリンデは微笑む。そして、ジークリンデは更に身体をキラにくっ付ける。

 

「私としてはお礼は行動で示してほしいな。ようやく巡ってきた機会だ。楽しむとしようではないか」

 

 こうしてキラとジークリンデの夜は更けていくのであった。


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