機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

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番外編の戦後編が少し書けたので投稿します。更新は本編よりも遅くなるなので不定期更新とさせていただきます。それとこれも息抜きで書いたものなのでそれを承知してお読みください。

それとセカンドステージのパイロットをどうするか決めないといけないな……。一応スパロボZ編に向けてオリキャラを考えているのですが……。特にカオスとガイアは原作でも正式なパイロットが不明でしたし……。

それとスパロボZの話は現在プロット作成中ですが、かなり苦戦しているので投稿はいつになるかわかりません。第二次Zの話に合わせる為にかなり苦戦しています……。


番外 戦後編
第1話


 プラント有利にユニウス条約が結ばれたことにより、プラントは宇宙全体を勢力圏にすることに成功した。そして、地球圏でも自前のマスドライバー建設を始めたり、戦後の復興需要により利益を得て今大戦で被った損害を補填してつつ次の戦乱に備えるべく力を蓄えていた。

 

 プラントの明るい世情の中、プラントの舵取りをしているといっても過言ではないヴァルハラのトップ3であるキラ、カナーバ、アウグストの三人は、条約が締結してからしばらく経ったある日、アプリリウスにあるグラム社所有のビルの一室で話し合いを開いていた。

 

「景気はどうなのだキラ。グラム社は戦後復興で大分儲けを出していると聞くが?」

「戦争が終わって兵器需要が落ち込みましたから、実質変化なしです。最も新兵器開発やマスドライバー建設に月面基地建設、火星開拓にジャンク回収事業の成立で何とか退役した元兵士達やオーブ崩壊の折りに亡命してきたオーブ系コーディネイター達の職斡旋は順調なので、不満が噴出することはないでしょう」

「そうか。それはありがたい。国民を食べさせることのできない政治家は政治家失格だからな」

 

 カナーバはキラからの報告を聞いて安堵した。何せ為政者にとって国民を飢えさせることはあってはならないことだ。生きる糧を得るための働き口が不足すると国民の不満が溜まってしまい、政府に不満を募らせることになるからだ。

 

「軍の再編はどうなっています?」

「正式な独立国家となったことで、ザフトを正式なプラント軍に名称を変更して国防軍とした。それと、旧式のMSは順序退役させている。維持費もバカにならんからな」

 

 戦争中ならいざ知らず、平和な時代は軍の予算は削られる。新兵器開発等を行う為には維持費に金が掛かる、旧式兵器は解体するしかない。

 

「しばらく戦力が減るからやりくりが大変だな。メンバーの中には解体してパーツをジャンク屋に売却する手もあったが、それは危険だというキラ君の意見が通ったからな」

「彼等に一々利益を与えてやる必要はありません。連中はこの戦争中にかなり儲けたのですから。最も連合に譲歩させる為に連中の宇宙での拠点を提供する羽目になったのは痛恨の極みですが……」

 

 この世界ではジャンク屋はプラントに睨まれているせいで、宇宙に大規模な拠点を設置できないでいた。しかし、ジャンク屋は諦めなかった。彼等は連合に自前のマスドライバーを低価格で使用させることを条件に、プラントへの働きかけを要請したのだ。連合は現在全てのマスドライバーを修復中とあって格安で仕えるマスドライバーに飛び付き、プラントに彼等の宇宙拠点を提供してはどうかと提案してきたのだ。

 プラントは当初難色を示したが、ジャンク屋との間に溝を造り過ぎるのは連中を暴発させることになると、会合でも意見が出たので、仕方なく全ての機能を外して外部装甲のPS装甲も剥ぎ取ったただの置物にした、ジェネシスαを譲るはめになった。

 

「不満はわかるが我慢してくれキラ。シーゲルへの配慮もしなかればならないのだ」

「わかっています。それに些か不満ですがあまりやり過ぎると暴発の元になりますからね。兵器としての機能は全て解体したし、データも全て抹消しました。そして、万が一の時の為に自爆装置はこちらが握っていますので、プラントの脅威になることはないでしょう」

 

 無論この基地の自爆装置は解除できなくしており、そんな物が設置してあるなどジャンク屋達は知る由もない。最もジャンク屋の技術を甘く見ているわけでもないので、「万が一兵器に転用できるように改造した場合は厳しい措置を取る」と警告をしておいて、スパイを潜入させてジャンク屋の情報を流させている。

 

「政治は現実を見据えることが第一。多少の譲歩は想定内です」

「まあ、ジャンク屋とはこれから色々あるからその都度議題にするしかないだろう。それよりも、新兵器開発は順調なのか?」

「すでにザク量産試作型をバッテリー動力にした新たな量産型MSZGMF-1000 ザクウォーリアの試験運用を行っております。無論まだ、技術的問題点を洗い出している最中なので正式採用は早くて1ヶ月後になります。その為、ZGMF-600ゲイツを改修したZGMF-601RゲイツRを繋ぎとして採用するつもりです」

 

 ZGMF-601RゲイツRはスラスターの増設や改良、武装の改装等を行った機体で、基本スペックが向上しており、連合が開発・配備を行っているダガーLを凌ぐ性能を保持している。

 

「南アメリカの方はどうなっています?」

「エドワード・ハレルソンを中心とした反政府勢力はプラントへ支援を求めてきている。市民の中には大西洋連邦の圧政に苦しめられている南アメリカ諸国に同情する声が上がっている」

「南アメリカの統治何て面倒なだけですよ。最低限の支援はしますが、あそこが不安定の方が我が国の国益に適います。精々南米の英雄殿には頑張ってもらいましょう」

 

 キラは南アメリカを支援する気などこれぽっちもなかった。あそこは昔から治安の悪い地域でプラント軍が駐屯すると逆に負担が増えるとキラは考えていた。最もキラはその治安の悪さを逆手にとって、連合の負担を増やすことも考えていた。あの地域が不安定になればなるほど、大西洋連邦はあの地域に大軍を張りつける必要がある。そうすれば大西洋連邦の兵をうまく分散させることができ、万が一開戦になったとき各戦線の圧力も減るからだ。

 

(彼等の関係が悪化するようにもっと現地工作を仕掛けよう。精々南アメリカには大西洋連邦の裏庭を不安定にしておいてもらおう)

 

 キラはこの場では言わなかったが情報局と協力して、様々な謀略を仕掛けることを考えていた。現在戦力の再編中のプラントに遠征する余裕等ない。その為、謀略等の策を弄して何とか戦力再編が終わるまで時間を稼ぐ必要があった。

 

「それと脱走兵に関することですが、特務隊にいたアッシュ・グレイが乗機と共に脱走を試みたそうですが、その前に情報局の人間が取り押さえました。現在牢獄に閉じ込めています」

「エリートである特務隊の人間が脱走ですか……もうちょっと特務隊にする人間の検査基準を上げる必要がありますね」

 

 キラは「処置なしですね」やれやれと彼の行動に心底呆れ軽蔑した。折角最新鋭機を与えてやったのに、その返答が脱走という行為で返されたことに腹を立てているのだ。

 

「そうか……。確か核動力を乗機にしているパイロットには密かに監視をつけておいたのだったな?」

「ええ、今回はそのおかげでNジャマーキャンセラーの流失を防ぐことができたので幸いでした。今後このようなことがないように士官は勿論、下士官や兵の教育ももっと力をいれるべきですね」

「そうだな。機密保持の大切さをもっと勉強させるように指示しよう」

「お願いします」

 

 アウグストがキラの要請に頷く。

 そして、次に課題になったのは人口問題についてだった。

 

「人口の問題はどうなっている? 我が国の最重要課題の一つだぞ?」

「現在地球で積極的な移民を募っています。幸いプラントが勝利したことと、中立国であるオーブが攻撃されたことで、地球に住んでいたコーディネイター達は住みにくくなった地球から、プラントへ順調に移住してくれています。ちなみに現在数は1000万人を超えています」

「評議会はもっと増えると見ているが、これは一時凌ぎにしかならん。もっと抜本的な対策が必要だ」

 

 カナーバは難しい顔しながらそう言った。

 キラもそのことはわかっているので、彼女の言葉に同意するも今すぐ解決できる問題ではないので頭が痛いかった。

 

「出産や育児に関する補助金はすでに出ていますが、それでもなかなか増えませんからね。例の法案が通れば少しは足しになるはずだったんですけど、今回は通らなかったですからね」

「ああ。婚姻統制の改案は見送りとなった。慎重意見が多くてさすがに押し通すのは難しいと判断したのでな」

「そうですか。まあ、気持ちはわからなくもないので、今はやむを得ないでしょう。最もこれ以外に今の所対処のしようがないですから、いずれ通さないといけませんけどね」

 

 キラは反対するのは構わないが、変わりとなる現実的な案を出さずに感情的に反対する連中に内心罵倒しつつ、それを一切表に出さずに会話を続ける。

 

「ああ。それと移民してきた人達の住居となる新たなコロニー建造についてだが、引き続き建造をキラに頼むことになるがいいか?」

「構いません。L4に新たな軍事コロニーを建設しています。ここでセカンドステージの新型機のテスト等を行うつもりです」

「セカンドステージのMSは確かガンダムタイプだったな? 現在試作機を作ってテスト行っているらしいな?」

「はい。現在5機製造する予定です。新技術を色々と投入していますので性能については保障します。問題はこれらの機体を動かすテストパイロットと正式パイロットの選定です」

 

 キラは士官学校に入学する者のリストを見て、シンがいることを確認しているので、インパルスは当初の予定通りシンに搭乗させるつもりでいた。最も彼が赤服として卒業できればの話だが。

 

「まあ、こちらの方が焦る必要はないでしょう。何せ機体自体まだ完成していませんし」

「それならパイロットの選定は参謀本部に任せるとしよう。無論報告はしてくれよ」

「わかりました。次は会合に提示する議題についてですが……」

 

 こうして3人の話し合いは夜中まで続くのであった。


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