仮面ライダークウガ 青空の約束   作:青空野郎

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EPISODE42 襲撃

「アザゼル、ひとつ訊きたいのだが」

 

リアスの“戦車”の駒を拾い上げて、サーゼクスがアザゼルに訊いた。

 

「あー、なんだ?」

 

「貴殿はここ数十年の間、神器の所有者をかき集めていると聞いている。神器を集めて、何をしようとしていた?」

 

「そりゃお前、知っての通り研究のためってのもあるが、もうひとつ。―――備えていたのさ」

 

「備えていた?戦争に否定したばかりで不安を煽るものいいです」

 

ミカエルの呆れた声音にアザゼルは首を横に振って言う。

 

「戦争なんてしねえよ。興味がないのも本当だ。でも、自衛の手段は必要だろ?」

 

「自衛、ですか?」

 

「――『禍の団(カオス・ブリゲード)』」

 

「カオス・ブリゲード?」

 

聞き慣れない言葉に、サーゼクスも知らない様子で眉根を寄せていた。

 

「うちの副総督のシェムハザが3大勢力の危険分子を集めている集団の存在を察知していてな」

 

「危険分子を束ねるなんて、相当の実力者じゃないと……」

 

セラフォルーも慌てる様子を見ると、いよいよ事態は穏やかではなくなる。

 

「で、そのまとめ役ってのが赤い龍、白い龍以上に強大で凶悪なドラゴンらしいんだよ、これが」

 

『―――ッ!』

 

瞬間、アザゼルの告白に雄介以外の全員が絶句した。

何が何だかわからず、雄介は周りの反応を待つしかできないでいる。

 

「まさか彼が動いたというのか?かつて神が恐れたという『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』――オーフィス」

サーゼクスが表情を険しくさせていた。

ひとり疑問符を浮かべながら話を聞いていた雄介は、オーフィスというドラゴンがとんでもなく規格外な存在であるということは理解することができた。

しかし、話の通りそんな大物が『禍の団』というテロリストのリーダーなのだとしたら、いよいよ穏やかな状況ではなくなってくる。

そんな時、雄介たちの目の前に見覚えのない魔方陣が浮かび上がった。

 

「この魔法陣は―――!」

 

魔方陣を見たサーゼクスが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。

そして魔法陣から現れたのはひとりの女性だった。

胸元が大きく開け、深いスリットが入った大胆な格好をしている。

 

「ごきげんよう、現魔王サーゼクス殿、セラフォルー殿」

 

不敵な物言いであいさつする女性にサーゼクス、セラフォルーが激しく動揺を表した。

 

「あなたがどうしてここに!?」

 

「先代魔王の血を引く者、カテレア・レヴィアタン!」

 

サーゼクスの言葉に雄介は耳を疑った。

前の合宿の折に、話だけは聞いていた。

戦争で4大魔王が滅び、長きに亘る戦いで疲弊を極めた悪魔は種の存続を危惧したにも拘らず、最後まで徹底抗戦を唱える者たちがいた。

それが、旧魔王の血を引く者たち。

結果的に主張は聞き入れられないまま、旧魔王の一門は冥界の隅に追いやられたと聞く。

その後、新政権を樹立させたのが新たな魔王がその名を襲名した、サーゼクスとセラフォルーの2人を含めた新4大魔王である。

どうやら、現れた女性―――カテレアは、追いやられた旧魔王レヴィアタンの血を引く者のようだ。

しかし、なぜ今になって旧魔王の一族が現れたのだろうか。

雄介の疑問を余所に、カテレアは挑戦的な笑みを浮かべていた。

 

「世界に破壊と混沌を!」

 

それはまさに宣戦布告。

カテレアが携えていた杖に光を灯した瞬間、閃光が視界を奪い、盛大な爆音が大気を揺るがした。

…………しかし、いつまで経っても衝撃は来なかった。

 

「3大勢力のトップが共同で防御結界……フフッ、なんて見苦しい!」

 

一瞬の出来事で理解が遅れた雄介の耳に聞こえてきたのはカテレアの嘲笑だった。

見ればサーゼクス、アザゼル、ミカエルを中心に展開された結界で雄介たちの周りが覆われている。

どうやら、各陣営の首脳たちのおかげで大事には至らなかったようだ。

だが、雄介は安堵を覚えることはできなかった。

たった一瞬の内で大きく景色は一変していたのだ。

会談の場として設けた新校舎は跡形もなく吹き飛び、瓦礫の山と化している。

燃え盛る炎と立ち上る煙がカテレアの一撃の規模の大きさを物語っていた。

 

「なるほど、―――クーデターか」

 

アザゼルの言うとおりカテレアの行為はまさしく現魔王派に対する反乱(クーデター)

明らかにタイミングを狙って襲撃してきたのは明白だった。

 

「どういうつもりだカテレア」

 

「会談の、まさに逆の考えに至ったまでです。神と魔王がいないのならば、この世界に変革をもたらすまで」

 

「カテレアちゃんやめて!どうしてこんな………」

 

問いただすサーゼクスに鼻で笑って答えていたカテレアだったが、セラフォルーの叫びを聞いた途端、表情を憎々しげな面持ちに作り変えた。

 

「セラフォルー………私からレヴィアタンの座を奪っていてからよくもぬけぬけと!」

 

憎悪から放たれるカテレアの威圧感に、思わずセラフォルーは尻ごんでしまっている。

抱え込んだ嫌悪をまき散らしたカテレアは口元を邪悪に歪ませた。

 

「安心なさい。今日この場であなたを殺して、私が真のレヴィアタンになる!そのためにまずはミカエル、アザゼル、そしてサーゼク・ルシファー。あなたたちの時代をここで終わらせます」

 

「………あなたの狙いは、今の世界そのものというわけですね」

 

「ええ、神と魔王の死を取り繕うだけの世界。この腐敗した世界を私たちの手で再構築し、変革するのです!」

 

カテレアの言葉に、サーゼクスも、セラフォルーも、ミカエルも表情を陰らせた。

 

「クッ………クッハッハッハッハッハッ」

 

しかし、ひとりだけ、心底おかしそうに愉快な笑いをあげる者がいた。

 

「なにがおかしいのです―――アザゼル?」

 

カテレアは怒気が含まれた低い声音でアザゼルを睨めつけた。

 

「腐敗?変革?陳腐だなオイ。わかってるか、カテレア?お前今死亡フラグ立ててるぜ」

 

「私を愚弄するか……!」

 

腹を抱えたアザゼルの言動に、カテレアはさらに怒りで表情を歪ませる。

 

「いいな、サーゼクス、ミカエル」

 

激怒するカテレアと前に出るアザゼルが対峙する。

ただ向かい合うだけでピリピリと張り詰める剣呑な空気に雄介、祐斗、ゼノヴィア、イリナの4人は息を飲んだ。

 

「カテレア、降るつもりはないのだな?」

 

サーゼクスの最終通告に――――――カテレアは首を横に振った。

 

「ええ、サーゼクス。あなたは良き魔王でしたが、最高の魔王ではなかった!」

 

「………そうか……残念だ」

 

遺憾の意を表しながら、これから起こるであろう戦闘に備えて結界を張り直したサーゼクスは尻目に、アザゼルは常闇よりも尚暗い12の黒い翼を広げる。

アザゼルとカテレアは飛び立ち、校庭のはるか上空で両者は全身から魔力のオーラを迸らせた。

 

「旧魔王レヴィアタンの末裔、終末の怪物の一匹……相手にとって悪くねえ。いっちょハルマゲドンとシャレ込もうか?」

 

「堕天使の総督ごときが!」

 

アザゼルの挑発に、さらに表情を険しくさせてカテレアは応じる。

そして光と闇の魔力が解放され、衝突した。

 

                      ☆

 

『禍の団』の魔術師たちに占拠された旧校舎の一室に紅い光が出現した。

 

「何事だ!?」

 

突然の出来事に声を上げた魔術師の目の前で紅い光で形成された魔法陣からリアスと一誠が現れた。

キャスリングによる転移は無事に成功したようだ。

 

「悪魔だと!?馬鹿な!向こう側の転移は封じたはずだ!」

 

動揺する魔術師たちがすぐに臨戦態勢をとる中でリアスと一誠は目当ての人物を見つけた。

 

「リアス、部長……イッセー先輩……」

 

苦しそうに声を出すギャスパーは敵の魔法陣に張り付けられる体勢で拘束されていたが、それ以外は特に外相も見られなかった。

 

「ギャスパー!よかったわ、無事だったのね」

 

無事を確認して安心するリアスだったが、途端にギャスパーは不気味な光を放っている双眸に涙を浮かべた。

 

「部長……。ボクを、殺して下さい……」

 

「何言ってんだギャスパー!」

 

まさかの一言に一誠が怒鳴るが、ギャスパーはただただ苦痛で歪んだ表情を涙で濡らしていくだけだった。

 

「ボクなんか、死んだほうがいいんです…。臆病者で、役立たずで……それどころか、こんな力のせいでまたみんなに迷惑を!」

 

それは敵に捕らわれ、利用され、迷惑をかけたことへのギャスパーの悲痛の叫びだった。

しかし罪の意識を苛まれているギャスパーにリアスは優しく微笑んだ。

 

「バカなことを言わないで。あなたを眷属にした時に言ったはずよ。私のために生きなさい。そして自分が満足できる生き方を見つけなさい。あなたは私の下僕で、眷属。私は決してあなたを見捨てたりはしないわ」

 

「でも見つけられなかった!迷惑をかけてまでボクは……ボクに生きる価値なんて―――」

 

そこまで言いかけたところで、一誠たちの目の前でギャスパーが魔術師の一人に殴られた。

その光景に一誠は頭がカッとなって殴りかかろうとしたが、リアスが手で制された。

納得できない一誠を挑発するように、さらに魔術師がギャスパーの髪を掴み上げ、冷笑と侮蔑的な視線を向けてきた。

 

「馬鹿ね。こんな危なっかしい存在、さっさと洗脳して道具として使えばいいのに」

 

「お生憎さま。私は下僕を大切にする主義なの」

 

魔術師の暴言を、リアスは冷静に返す。

しかし彼女の静穏な振る舞いが魔術師の神経を逆なでた。

 

「生意気な口を!悪魔のくせに美しいのも気に入らない!」

 

激高した魔術師が魔力弾をリアスに放った。

 

「部長!」

 

咄嗟に一誠が叫ぶが、リアスは避ける素振りを見せなかった。

当然、魔力弾は吸い込まれるようにリアス直撃した。

小さな爆発でリアスの制服の一部が消し飛び、白い素肌を覗かせていた。

それでも尚、リアスの凛とした出で立ちは息を飲むほど美しかった。

リアスはさらに前に出てギャスパーにやさしく語りかける。

 

「ギャスパー、私にいっぱい迷惑をかけてちょうだい。私は何度も何度もあなたを叱ってあげる。何度も慰めてあげる。―――決してあなたを放さないわ!」

 

嘘や迷いを微塵も感じさせないリアスの言明が室内に木霊する。

そしてそれは、確かにギャスパーに届いた。

 

「部長……ボクは……ボクはッ!」

 

再びギャスパーが泣き出す。

だが、それは恐れや悲しみからではない―――リアスの純粋な想いを受け入れたことによって生まれた喜びの涙であった。

 

「ギャスパー!」

 

今度は一誠が声を張り上げた。

 

「逃げるな!恐れるな!俺も!部長も!朱乃さんも!アーシアも!木場も!ゼノヴィアも!小猫ちゃんも!そして五代も!みんな仲間だ!絶対にお前を見捨てたりしねえ!」

 

【BOOST!】

 

罪悪感につぶされそうになっているギャスパーに今度は自分の想いを届けるために―――叫ぶ一誠は左腕を掲げて神器を発動させた。

 

「部長!“女王”に昇格します!」

 

ブーステッド・ギアを装着した一誠は“女王”に昇格し、力の底上げを完了した。

そして、さらにもう一丁。

 

「アスカロン!」

 

【BLADE!】

 

新たな音声とともに、ブーステッド・ギアが赤い閃光を放つ。

光が止んだ時、ブーステッド・ギアから一本の刀剣が伸びていた。

刀剣の名は龍殺しの聖剣アスカロン。

龍殺しとはその名の通り、ドラゴン殲滅の専門家、あるいはそれに関連した武具の総称である。

先日、一誠は朱乃宅である神社に訪れたミカエルに、友好の証として受け取っていたのだ。

 

「抵抗する気か?」

 

突然武器を出したことで魔術師たちが警戒するが、一誠はアスカロンの剣先を自分の手元に向けた。

 

「イッセー……?」

 

怪訝そうに声をかけるリアスを尻目に、一誠はアスカロンの力を一時シャットアウトし、刃で自らの掌を斬りつけた。

鋭い痛みとともに、傷口から血が流れ出す。

 

「だけどな、ギャスパー。自分から立たなきゃ始まらないんだよ!どんなに辛いことがあっても立って前向いて進まなきゃいけないんだよ!」

 

左腕を突き出すと、魔術師が反応するよりも早くアスカロンに付いた一誠の血がギャスパーの口元に付着した。

 

「それでも、もし転びそうになった時は俺たちが支えてやる!だからギャスパー、俺たちを信じろ!そして、自分を信じろ、ギャスパー!」

 

その一誠の魂の叫びがギャスパーの心を震わせた。

同時に、あの日の雄介の言葉が脳裏に蘇ってきた。

『信じて。みんなやるときはやってくれるよ。そしてキミにもいつか何かやる時が来ると思う。みんなもきっと、それを楽しみに見守ってくれてるよ』

ギャスパーはどこに行けばいいのかわからなくなっていた。

一族からも、人間からも疎まれ、ギャスパーは居場所を失くした。

その時から彼の世界は死んだ。

眼に映る景色は時間が停止した時と同じように色を失った。

リアスに拾われてからも、世界に色が戻ることはなかった。

死んだ世界でひとり、ギャスパーは泣き続けていた。

傷つけることを恐れ、傷つくことに怯えて、いつからか殻に閉じこもることを自ら選らんでいた。

心の中にある優しい風景に戻りたいと願うことだけが唯一の希望だった。

………だが、本当は知っていた。

そんな場所など、本当はどこにもないのだと。

あるとしても、やはりそれは自分の心の中だけなのだと。

ならば自分はどこに行けばいいのだろうか?

多分、それに正解もなければ終わりもない。

なんとなくわかっていた。

どうしたって、たどり着けないものを求め続けていた。

去ることでもなく、居座り続けて………。

無理はどんどん大きくなって、その圧力がきっと大事なものを壊してしまったのだろう。

それでも、もし受け入れてしまえばすべてが終わってしまうのではないかと不安になり、考えようとはしなかった。

何も変わらない、変えられないと諦め、知らないふりをして、逃げ続けてきた。

でも、やはりそれはただの言い訳でしかなかった。

変わるためには、ちゃんと向き合うべきなのだ。

探し続けるしかないのだ。

消えてしまったなんて認めることはできなくても、それでも探し続けなければならない。

そこに何があるのかはわからないけど、だからこそ確かめなければならない。

もしかしたら、今がその『何かやる時』なのかもしれない。

まずは、自分を信じてくれている人たちのために殻を破ろう。

逃げるのではなく、立ち向かおう。

もう、立ち止まらない。

胸を張って、信じる道を進むために、歯を食いしばって歩き続けよう。

 

「お前もグレモリー眷属だろうが!ギャスパー!男を見せろ!」

 

一誠の言葉に背中を押され、ギャスパーは力のこもった眼差しでうなずき、口元についた一誠の血を舐めとった。

瞬間、室内の空気が変わった。

不気味で言い知れない悪寒が全身を駆け巡り、気が付いた時には魔方陣に拘束されていたはずのギャスパーの姿が消えていた。

 

「消えた!?」

 

「いや、時間を止めたんだわ!」

 

「バカな!神器は制御していたはず!」

 

魔術師たちもギャスパーが突然消えたことに驚き、辺りを見渡している。

 

チチチチチチチチチチ

 

耳朶を打つ不気味な鳴き声に視線を巡らせると、思わず言葉を失った。

一誠たちの目に飛び込んできたのは天井を黒く埋め尽くす無数のコウモリだった。

 

「変化したのか!吸血鬼め!」

 

すぐにコウモリに向けて攻撃しようとした魔術師たちだったが、その矢庭、何かに下へ引っ張られるように体勢を大きく崩した。

見ると、魔術師たちの影から伸びた黒い手が触手のように彼女たちに絡みつき、影の中に引きずり込もうとしていたのだ。

すぐさま魔術師たちが魔術で反撃を試みたが、影の手は空しく霧散するだけ。

たとえ消滅したとしても、影からまた新たな影の手が出現している。

そうこうしているうちに、自由を奪われ、もがく魔術師たちにコウモリたちが一斉に襲いかかっていった。

魔術師たちに纏わりつくコウモリたちが、次々と体の各部位に噛みついていく。

 

「まさか血を吸うつもり?!」

 

「血だけじゃないわ!力まで……!」

 

魔術師たちはコウモリと影から伸びる手になすがままにされていた。

 

「これって……」

 

「あの子の秘めた力の一部よ」

 

「これで一部なんだ……」

 

眼前の光景に、一誠はただただ唖然としていた。

 

「イッセーの血を吸収したことで解放されたのね。でもイッセー、よくこんなこと思いついたわね」

 

「前にアザゼルに教えてもらったんです」

 

いつかのギャスパーの神器の修行の最中に現れたアザゼルのイタズラな笑みを思い出す。

 

「そう、アザゼルが……」

 

以外にもあっさりと納得したリアス。

腕輪の件といい、やはりアザゼルの神器に関する知識と研究については認めざるを得ない。

 

「くっ、ならば!」

 

手の照準を変える魔術師たちが、狙う先にいたリアスと一誠に向けて魔力の弾を放った。

 

「部長!」

 

咄嗟に一誠がリアスを庇うように前に出たが、直撃する寸前ですべての魔力の弾が空中で停止した。

 

「止めたのか?魔術だけを……!」

 

『無駄ですよ。あなた方の動きは全て見ていますから』

 

狼狽する魔術師たちにギャスパーの警告が響いた。

ギャスパーが赤い瞳を不気味に光らせてこちらを見下ろしている。

コウモリの視線から神器を発動しているのだ。

一誠の血を飲んだ影響か、ギャスパーは完璧に神器を使いこなしていた。

無数のコウモリたちがさらに赤い瞳を光らせ、無術師たちの時間を停止させた。

 

『イッセー先輩、トドメです!』

 

「任せろ!」

 

駆け出す一誠が魔術師たちに触れていき、部屋の中央でポーズを取りながら叫んだ。

 

「洋服破壊!」

 

そして、パーン!と魔術師たちの衣服がものの見事に弾け飛んだ。

部屋を占拠した魔術師はなぜか、全員女性だった。

眼前で展開される女魔術師たちのあられもない姿に一誠は興奮する。

 

「おおう!これこそまさに全裸の見本市!ギャスパー!やっぱ俺たちが組めば無敵だぜ!」

 

『はい!イッセー先輩!』

 

ギャスパーが相手を停め、一誠が衣服を弾け飛ばす。

最強で、素敵で―――鬼畜な連携に心躍らせる一誠が女性魔術師たちに触れようと手を伸ばす。

 

「ついに!俺の夢が叶うのだ!」

 

「ダメよ」

 

「あ、やっぱり?」

 

しかし、嘆息しながら一誠の頭を小突いたリアスによって阻まれてしまうのであった。

 

                      ☆

 

上空でアザゼルとカテレアが激しい攻防を繰り広げられている今も、雄介たちは魔術師たちの攻撃を受けている。

幸いにも、サーゼクス、セラフォルー、ミカエルの張る防御結界のおかげで直撃は免れているが、これからも激化すると予想されるアザゼルとカテレアの戦闘に備えて結界の強化に専念しなければならないのもまた事実であった。

 

「多勢に無勢。このまま消耗戦に持ち込まれることは避けなければ」

 

「今グレイフィアがゲートの解析を行ってくれています」

 

「それまで時間を稼がなきゃってことね」

 

「僕たちが敵の攻撃を防ぎます!」

 

対応に苦慮する首脳たちに祐斗が進言した。

 

「キミたちが?」

 

「当然です!元からミカエルさまの警護としてお供したのですから」

 

前に出るイリナも含め、ゼノヴィアが聖剣を、祐斗が聖魔剣を携えている。

 

「アザゼルが、うまくやってくれると良いのですが……」

 

「ご安心ください、ミカエルさま。私たちの仲間もおります」

 

「ええ、部長たちが必ず!」

 

心配を拭えないミカエルに力強い笑みで応えるゼノヴィアと祐斗の言葉で士気が高まった時だった。

 

「俺も行くよ」

 

全員の注目が、発言した主―――雄介に集まった。

 

「雄介くん………いいのかい?」

 

今回の敵は、堕天使やはぐれ悪魔でもなければグロンギでもない、雄介と同じ人間である。

人間相手にクウガの力を振るえるのか祐斗は憂慮していた。

だが、確認するように訊ねる祐斗に雄介は魔術師たちに視線を向ける。

 

「迷いがないと言えば、嘘になるかな。でも、それ以上の覚悟もあるよ。あんな連中を野放しにしてたら、きっと大変なことになる。絶対に止めないと………」

 

雄介は決意を宿した瞳で祐斗を見つめ返して言う。

 

「みんなを守りたいのは俺も同じだから!」

 

そして、力強く笑みを浮かべる雄介に、祐斗をはじめ、ゼノヴィアとイリナも互いに頷きあった。

そうと決まれば雄介は結界を飛び出し、アークルを出現させる。

 

「変身!」

 

マイティクウガに変身し、雄介は祐斗たちと並んで魔術師たちと対峙する。

雄介は拳を、祐斗、ゼノヴィア、イリナは得物を構え、魔術師たちに立ち向かっていった。

 




今回はわりと早めに投稿できたぜ!

今回の仮面ライダー大戦、おもしろかったです。
ただ、鳴滝の立ち位置が分からなくなってきちゃいましたけどね(笑)
やっぱいいっすね、仮面ライダー。
最高です、仮面ライダー。

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