仮面ライダークウガ 青空の約束   作:青空野郎

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EPISODE24 龍帝

強くなりたかった。

守られるだけの自分が情けなく思えてしかたがなかった。

でも、俺には剣の才能も、格闘技の才能も、魔力の才能もない。

ただ、自分の弱さを突き付けられ、悔しさと歯痒さが残る。

それでも、圧倒的な劣等感に苛まれながらも、あきらめることはできなかった。

特に、人間のあいつが頑張っている姿を見ていると悩んでいる自分が馬鹿らしく思えてしまう。

自分でも単純だと思えるけど、だから少しでも皆に、そしてあいつに追いつきたくて、がむしゃらに走り続けて、自分にできることを探し続けることができたんだ。

 

 

 

校舎に侵入した一誠はリアスたちのいる屋上を目指して廊下を走っていた。

 

「“昇格”!“女王”!」

 

昇格し、一誠の体に力がみなぎる。

 

『ライザー様の“僧侶”1名、リタイヤ』

 

廊下を一気に走り抜いていると、また一人ライザーの眷属の脱落を知らせるアナウンスが聞こえた。

一瞬足が止まりかけたが、突然校舎全体が轟音と共に大きく揺れだした。

バランスを保つこともできず、廊下の真ん中で前のめりに激しくコケてしまった。

何気なく後ろを向くと、思わず凄然な光景に慄然とした。

一誠のすぐ後ろからの校舎が瓦礫の山と化していた。

あと一歩遅れていたら一誠も倒壊に巻き込まれていたかもしれない。

そう思うと、背中に冷や汗をかく。

そして一旦冷静になると、自分の体力の限界にも気づいた。

しかし、今の一誠に原因を探る余裕も休むもない。

すぐに立ち上がり、上へ上へと駆け上る。

やがて、屋上の扉が見えてきた。

止まることなく一誠は勢いに任せて扉を開け放つ。

眼前で対峙するリアスとライザー。

2人と少し離れた場所でアーシアが見守っている。

 

「イッセーさん!」

 

一誠の登場に気付いたアーシアの歓喜の声で残り2人の視線が集中する。

 

「ドラゴンの小僧か?まさか、ここまで来るとわな。レイヴェルのやつ、見逃したか」

 

舌打ちするライザーだが、すぐに嫌らしい笑みをリアスに向ける。

 

「リアス。いい加減こんな不毛な争いはやめて投了(リザイン)したらどうだい?これ以上はほかの

場所で見ているキミのお父上にもサーゼクスさまにも格好がつかないだろう。いくらあがいてもキミが俺を倒すことなんでありえない」

 

数ではこちらが勝っているにもかかわらず、余裕の表情を浮かべるライザーが諭してくる。

 

「黙りなさい、ライザー。私は決してあきらめたりしない。不毛?上等よ。“王”である私が倒れない限り何度でもあなたを消し飛ばすわ!」

 

激高したリアスが魔力の弾をライザーの顔面に目がけて放つ。

避けるそぶりを見せないライザーはそのまま直撃を食らう。

文字通り、顔が消し飛んだライザー。

しかし、喜んだのもつかの間、消し飛んだ部分から炎が立ち上り、形を成していく。

炎が次第に顔となり、髪となり、ライザーの頭部は完全に元の状態に戻った。

まるで何事もなかったかのように首をコキコキと鳴らすライザーを見て、一誠の脳裏にひとつの単語が浮かび上がる。

ライザーは持ちえる絶対的な強み、“不死”。

初めて目撃する不死鳥の再生能力に戦慄を覚えるが、一誠はリアスのもとに走りライザーとの間に入った。

 

「アーシア!」

 

一誠が呼ぶと、アーシアが恐る恐る近づいてくる。

ライザーは屋上を移動するアーシアを狙い撃ちすらしなかった。

余裕な態度に歯噛みするが、同時にその余裕がありがたく思えたのも事実だった。

彼女の手がリアスと一誠に触れると、緑の優しく、淡い光が2人を包み込む。

すぐに体から痛みが消えていくのが分かった。

体中の腫れが引いていき、失いかけていた感覚が戻ってくる。

だが、傷は癒えても体力は戻らなかった。

それでも、動ける分マシだった。

立ち上がり、拳を握りしめる。

 

「いくぞ!焼き鳥野郎っ!」

 

【BURST】

 

その音声とともに全身が鉛のように重くなるのを感じた。

籠手の宝玉も機能が停止したように光が消える。

ブーステッド。ギアは他の神器とは比較的にならないほどに宿主の肉体駅負担が大きい。

今になって強化した反動が返ってきたのだ。

ライザーを目前に、血反吐を吐きながらその場に膝から崩れ落ちる一誠。

一瞬だけ、ライザーがこちらを嘲笑うように見下すのが見えた。

 

「イッセー!」

 

「イッセーさん!」

 

なんだかリアスとアーシアのこえがぼやけて聞こえてくる。

立ち上がろうとしても体が言うことを聞いてくれない。

そのまま疲労による睡魔が一誠の意識を奪った。

 

 

 

一誠は赤い夢を見ていた。

周りに灼熱の炎が揺れている。

 

「ここは…?」

 

『ようやく話ができるな、クソガキ』

 

何者かの声が響く。

声の主の正体はすぐに分かった。

同時に、心底驚いた。

燃え盛る炎に紛れ、目の前に現れたのは巨大な赤いドラゴン。

全身を覆うマグマのように真っ赤な鱗。

バッと広がる紅蓮の翼が圧倒的な存在感を一層引き立たせている。

目の前のドラゴンが口の端を釣り上げて話しかける。

 

『自分でも分かってるんだろう?今回はよく頑張ったほうだが、今のままじゃお前はいつまで経っても強くなれないぜ』

 

本質を突かれカチンときたが、正論なので言い返せない。

 

『お前はドラゴンを身に宿した異常なる存在。無様な姿を見せてくれるなよ?“白い奴”に笑われちまう』

 

「白い奴…?」

 

『負けるのはいい。死ななければ敗北も力の糧になるからな。だが、それは次に勝ってこそ意味がある。これから勝って、勝って、勝ち続ければ、いずれ奴はお前の前に現れる。時代は変わろうが、俺とあいつは戦う運命にあるからな』

 

ドラゴンが語る内容がいまいち理解できない。

 

『兵藤一誠。お前に問う。何を望む?』

 

ドラゴンが唐突に問いかけてくる。

 

「どういう意味だ…?」

 

『言葉どおりの意味だ。お前は今、何を欲する?』

 

突然問われたが、すぐに答えは出た。

 

「アーシアも部長も朱乃さんも小猫ちゃんも木場も、そして五代も!こんなどうしようもない俺を信じてくれてるんだ。俺は、そんなみんなを助けたい。不死鳥だろうがなんだろうだろうが関係ない。俺が欲しいのは…立ちはだかる敵をぶっ倒す力だ!だから、俺に力を貸しやがれ…赤龍帝!」

 

一誠は思ったことをそのまま目の前のドラゴンにぶつけた。

お互い沈黙が続いていたが、ドラゴンは向けられる鋭い視線を見つめ返し全てを悟った。

 

『いい覚悟だ。合格だ、兵藤一誠。お前に俺の力、その本来の使い方を教えてやる』

 

すると突然、一誠の左手に赤い龍の籠手が現れた。

ドラゴンが翼を羽ばたかせると炎の勢いが増す。

それに反応するように籠手の宝玉が強烈な光を放った。

 

「こ、これは…?」

 

籠手の変化に戸惑いを見せる一誠にドラゴンが語りかける。

 

『お前が望めば俺はいつでも力を分け与える。だが覚えておけ。力を手に入れるにはそれ相応の代償を払うことになる。なに、心配しなくても犠牲に似合うだけの価値は与えてやるさ。お前を嘲笑った連中に見せつけてやれ。“ドラゴン”って存在をな』

 

ドラゴンが不気味な笑みを向けてくる。

 

「お前は、一体…」

 

『そうだな。まだ名を名乗ってなかったな。いいだろう。耳の穴をかっぽじってよく聞いておけ』

 

目の前のドラゴンが咳払いをするような仕草をして、高らかに言い放った。

 

『我が名は赤き龍の(みかど)、ウエルシュ・ドラゴン“ドライグ”。来るべき日のために強くなれよ、相棒』

 

目の前で赤い龍帝、ドライグが含み笑いを向けた。

それを最後に燃え盛る炎の流動が一誠の意識を夢から現実に引き戻した。

 

 

 

 

「おおおおおおおおおおおおおっ!」

 

レーティング・ゲームのフィールド全体に一誠の咆哮が轟いた。

一誠の叫びと呼応するようにブーステッド・ギアの宝玉が赤い閃光を放つ。

 

「な、なんだ…!?」

 

「イッセーさん…?」

 

「イッセー?」

 

倒れたと思った矢先の突然の変化にその場にいた3人が驚愕を表す。

対する一誠は身体中に力が駆け巡るのがわかった。

そのまま立ち上がり、一誠は閃光を放つ籠手を天高く掲げる。

 

【DRAGON BOOSTER SECOND LIBERATION!!】

 

初めて聞く音声が発せられ、左手の籠手の形が変質する。手甲の部分あった宝玉の他に、肘の方にもうひとつ宝玉が現れ、全体的に赤い装甲が追加されている。

しかし、それでも変化は止まらなかった。

 

「輝きやがれぇぇぇぇぇぇっ!オーバーブーストォッ!」

 

【WELSH DRAGON OVER BOOSTER!!!】

 

フィールド全体が赤い光に覆われ、一誠の体が真紅のオーラに包まれる。

そして現れたのはドラゴンの姿を模した赤い全身鎧(プレートアーマー)を纏った一誠。

左手の籠手と同じものが右手にも装着されている。

頭部すら覆う鋭角的なフォルム。

両手の甲にはもちろん、両腕、両肩、両膝、胴体の中心に宝玉が輝く。

背中にはロケットブースターのような推進装置がついている。

 

『どうやら上手くいったみたいだな』

 

一誠の脳裏にドライグの声が響いた。

 

『先に言っておくが、この姿でいられるのは10秒だけだ。それ以上はお前の体が保たない』

 

「十分だ!それだけあれば俺は、いや…俺たちはあいつをぶん殴れるッ!」

 

赤いオーラを振り払い一誠がライザーを睨めつける。

 

「まさか…赤龍帝の力を鎧に具現化させたというのか!?」

 

赤い兜を通してライザーがさらに驚愕をあらわにしていた。

「これが“禁手(バランスブレイカー)”、“赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)”!俺を止めたきゃ、魔王様にでも頼むんだな!何しろ、禁じられた忌々しい外法らしいからな!」

 

【Ⅹ】

 

10秒間の無敵モードのカウントダウンが始まった。

すぐに一誠が動き出した。

両の掌に生み出した魔力の塊を一気にライザーに撃ち放った。

途端に魔力の塊が巨大な帯状に肥大化してライザーに迫る。

その量に撃ち出した本人も驚く。

ライザーも受け止めることをやめて避ける体勢をとった。

その威力は先ほどグラウンドで放ったドラゴンショットの比ではなかった。

 

【Ⅸ】

 

一誠はライザーが避けるであろう先に向かって飛び出す。

鎧の背部にある排出口から魔力が噴き出し、一誠に爆発的な速度を与えた。

体にかかるGの影響でまともに動けないまま一気にライザーとの距離を詰めていく。

避ける先に一誠が猛スピードで迫ってきたせいか、ライザーは驚き、対応できない状態で身構えた。

チャンスと思い、攻撃しようとしたのだが制御が効かず、気が付くと一誠はライザーの遥か頭上にいた。

 

「なんだ、この力とスピードは…!?本当に不愉快なクソガキだ!」

 

一誠を見上げるライザーが警戒を強める。

 

【Ⅷ】

 

「赤龍帝のクソガキ!悪いが手加減しないぜ!認めたくないが、今のお前はバケモノだ!」

 

咆哮を上げるライザーの背中に巨大な炎の両翼が出現する。

ライザーの全身に炎が渦巻き、周辺を激しい熱気が包み込む。

眼下でリアスがアーシアをかばうように魔力で防壁を作っていたのが見えた。

すぐにその危険度を察した。

 

「火の鳥と鳳凰!不死鳥フェニックスと称えられたわが一族の業火!その身で受けて燃え尽きろォッ!」

 

「てめえのチンケな炎で俺が消えるわけねえだろォッ!」

 

【Ⅶ】

 

背中の噴出口から炎を出す一誠と火炎に包まれたライザーが互いにめがけて距離を詰める。

そして、全力を込めたお互いの拳がお互いの顔面に鋭く入り込む。

力と力が生み出した波動がフィールド全体を振動させた。

 

【Ⅵ】

 

「ゴバッ…!」

 

一誠の口から咢の隙間を縫って大量の血が吐き出された。

一誠の様子を見てライザーがにやける。

だが、同時に一誠も赤龍の兜の下でにやけた。

そして見せつけるように、ライザーの眼前で握った拳を開く。

掌にあったものを見た途端、ライザーの表情が余裕から戦慄に変わった。

一誠の掌にあったのは米粒大の魔力の塊。

すぐに回避行動をとろうとするが、一誠の一撃で体が大きく仰け反っていたため間に合わなかった。

 

「ドラゴン…ショットォッ!」

 

【Ⅴ】

 

カウントの音声とともに巨大化したドラゴンショットが一瞬でライザーを飲み込んだ。

そのまま直下する魔力の塊がグラウンドを大きく抉った。

肩で息をしながら、一旦着地して様子を窺う。

すると、煙の中でこちらを睨みつけるライザーと目が合った。

 

「ドラゴンの力、まさかここまでとわな…。“兵士”の力でよくここまでやったと褒めてやろう。本

当によくやったよ、お前は。正直、ここまでやれるとは思わなかったぞ」

 

立ち上がりながらいきなり賞賛を送るライザー。

その表情は真剣なもので、すぐに冗談ではないと分かった。

 

「ドラゴンの恐ろしさを教えてくれたことに敬意を表して、俺は全力でおまえを倒させてもらうっ!」

 

ライザーが叫び、圧倒的質量の熱気が彼のもとに集まり、頭上に巨大な火の玉を形成する。

距離が離れているにもかかわらず、その熱気が伝わってくる。

 

【Ⅳ】

 

そろそろ時間が無くなってきた。

 

「いくぞ!ライザー・フェニックス!」

 

【COUNT OVER】

 

これで決着をつけようと、一誠は残った全ての魔力を込めた左拳を握り締め、一気に駆け出した時のことだった。

一誠の体にかつてないほどの脱力感が押し寄せ、前のめりに盛大に転倒した。

何が起きたかわからないでいると,一誠は自分の変化に驚愕を露わにした。

 

「よ、鎧が…!?」

 

一誠の全身を覆っていた赤い龍の鎧が消えていた。

抜き身の姿の左腕にブーステッド・ギアだけが残されている。

 

『残念ながら時間切れだ』

 

一誠の精神世界でドライグの声が響いた。

 

「なら今度は何を支払えばいい!?目か!?足か!?なんでもくれてやる!」

 

『お前の今の基礎能力ではこれが限界だ』

 

「俺が弱いからか…?なんで俺は肝心なところで…!」

 

自分の不甲斐なさに悔やんでも悔やみきれない一誠をドライグが見下ろしながら語りかける。

 

『解除する瞬間、わずかだが力を宝玉に移せた。だがそれは一時的なもの。残念ながらフェニックスの再生能力に対抗するには及ばないだろう』

 

「それでも俺は、絶対に、あきらめねえ!」

 

意識を現実に戻して、震える足に踏ん張りを利かせ、立ち上がる。

 

「どうやら勝利の女神は、俺に微笑んだようだなぁ!」

 

ぼやける視界にライザーが作り出した業火の火炎弾が映る。

 

「これで、終わりだぁっ!」

 

ライザーが放った火炎弾が迫るが、今の一誠に攻撃をよける余力はなかった。

ここまでかと思い見つめることしかできなかった一誠の後ろから黒い巨大な魔力の塊がライザーの火炎弾と衝突した。

 

ドオオオオオオオオンッ!

 

激しい爆音とともに2つの魔力弾の塊は相殺という結末を迎えて消えた。

火炎弾の代わりに辺りに吹き荒れる暴風が一誠に迫って来た。

 

「イッセーさん!」

 

耐え切れず倒れそうになったが駆け付けたアーシアが一誠の体を優しく受け止めた。

 

「大丈夫ですか、イッセーさん!?」

 

「アー、シア…?」

 

見上げると、アーシアは今にも泣きだしそうな顔をしていた。

アーシアが来たということは、自分を助けた人物が誰なのかおのずと予想できた。

2人の前方に紅の髪をなびかせ、優雅に舞い降りるリアスがいた。

 

 

 

静かに2人の元に歩み寄ったリアスは一誠の頬に手を当てた。

 

「イッセー、大丈夫?」

 

「部、長…」

 

彼女は慈しむような視線を一誠に向けていた。

 

「すいません。もう少しで、あいつを倒せそう、だったのに、俺…」

 

「いいのよ。よく頑張ったわ、イッセー。ありがとう」

 

一誠に優しい笑顔を向けた後、リアスは立ち上がり眼前の敵を鋭く睨み付ける。

 

「あとは私に任せなさい!」

 

仲間に、そして自分に誓いを立てるように声高らかに叫んだ。

 

 

 

ライザーが遠巻きにリアスの威風堂々とした姿を怒りの視線を向けていると、何かが迫ってくる気配を感じた。

 

「!?」

 

地面から何十という剣が勢いよく飛び出し、ライザーの体を斬り付けてきた。

 

「なん、だ…?」

 

斬り付けられた勢いで宙を舞いながら軽く戸惑いを露わにしていると、新たに上のほうから別の気配を感じた。

見上げると、頭上から極太な雷が轟音と共に飛来して来た。

いきなりのことで反応できず、そのまま雷がライザーに直撃した。

雷の威力で一瞬意識が飛んだ。

そのせいでライザーは自身に迫る第3の気配に気づけなかった。

 

「はああああっ!」

 

背後から聞こえたのは雄介の叫び。

気配に気づいて振り向いた時には、マイティクウガの水平蹴りがライザーの顔面を捉えていた。

首を圧し折らん勢いの一撃にライザーは錐もみ状に回転しながら墜落し、そのまま地面で何度かバウンドした。

いきなりの展開に目を丸くするリアスたちのもとに雄介たちが集結する。

 

「部長。今さら一人で戦おうなんて水臭いですよ」

 

「祐斗!?」

 

「相手は不死鳥フェニックス。微力ながらも力を貸しますわ」

 

「朱乃!?」

 

「リアスさん」

 

「雄介…」

 

「勝って、みんなで一緒に帰りましょう!」

 

雄介がみんなの前でサムズアップをする。

それには今回の戦いに対する皆の決意と覚悟が表れている。

リアスは思わず泣きそうになるのをグッと堪え、自信に満ちた笑顔で応えた。

 

「ええ。もちろんよ!」

 

雄介たちは1列に並んで、いつでも動けるように構えを取る。

4人の視線の先には激昂を浮かべるライザーの姿。

 

「そう言えば、キサマには先刻の借りを返さなきゃならなかったな…」

 

今、ライザーの視界に入っているのはリアスではなく雄介だった。

雄介の姿を見ていると、以前蹴りを入れられた脇腹が疼いたような気がした。

無意識に手を添えると、ふつふつと雄介に対する憎悪と屈辱が込み上げて来た。

 

「いいだろう…!俺かお前たち、どちらが先にくたばるかここで決着をつけようじゃないか!」

 

ライザーの怒りに呼応するように、再び周囲に炎が吹き荒れ始めた。

その光景に雄介たちは脅えも怯みも見せない。

なぜなら、皆の覚悟は既に決まっているからだ。

 




次回でフェニックス編、終結!
次の聖剣編、どうしたろ?
あ、じゃあこうしたろ。
ディケイド出したろ。

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