何かが高速で空を駆けぬける。
動きが速すぎてその全容を完全に確認することはできない。
わかる範囲でそれを言い表すならば、巨大なクワガタ。
しかし、そのクワガタは一般的なものとは見た目が大きく異なっている。
その証拠に、ほんのわずかな瞬間でも印象に残るほどの特徴的な全身を鋼鉄で覆われた体。
1メートルはあろう立派で巨大な鋼の双角。
そして、それが生きていることを示すように体の中央にはアマダムらしき鉱石が光を灯していた。
そして、その鋼のクワガタは何かを求めているかのように大空を飛んでいる。
そして、まっすぐとこちらに向かってきて気が付いた時には既に目前に迫っていた。
「…はっ!」
直後、雄介は目を覚ました。
「なんだったんだ、今の…」
さっきの夢のせいなのか、寝起き直後にしては妙に頭がさえている。
それに加えあの存在に対し、不思議と恐怖という感情を抱かなかった。
それどころか、初めて見るはずなのになぜか懐かしさを感じていた。
「…」
心当たりがあるとすればただひとつ。
雄介に戦士クウガの変身能力を与えたベルト、アークル。
そして、アークルに埋め込まれている霊石アマダム。
もしかしたらあの存在はクウガと何か関係があるのかもしれない、と考えてしまうのは当然といってもいいかもしれない。
☆
その後は特に何の変化もなく気が付けば放課後になっていた。
今ではオカルト研究部新人の一誠とアーシアが慣れた手つきで仕事用のチラシをまとめていた。
人間である雄介は悪魔の仕事をする必要はないので、とりあえずいっしょもチラシをまとめる程度の手伝いをしていた。
そうしていると準備が終わったのか、カバンを肩にかけた一誠とアーシアが立ち上がった。
「それじゃあ、チラシ配り行ってきます。行こう、アーシア」
「まって」
しかし、出かけようとした2人を部長席に座っているリアスが呼び止めた。
「チラシ配りは今週まででいいわ」
リアスの言葉に2人は少し驚いた表情を浮かべた。
「前に言ったでしょう?修行の一環としてやってもらったけど、チラシの配布は本来使い魔の仕事なの」
その言葉に一誠の表情はきらめいた。
「じゃあ、チラシ配りは卒業ってことですか?」
「それにはまず、あなたたちも自分の使い魔を手に入れなくてはね」
そしてしばらくしてやってきた朱乃、小猫、祐斗とともに使い魔の紹介が始まった。
まずは“王”リアス。
リアスは手のひらから丸っこいコウモリを召喚した。
「これが私の使い魔。イッセーは一度会ったことがあるのよ」
「え?」
一誠が疑問を抱いていると、リアスの手から離れたコウモリがボヒュンと煙に包まれた。
そして煙がはれるとそこには一人の女性が立っていた。
「ああ!じゃあ、あの時の子が…はぁ」
女性に見覚えがあったのか、一誠が指を指しながら叫んだ後軽く落ち込んでしまっていた。
続いて“女王”朱乃。
「私のはこれですわ」
地面に指を向けるとその先が光りだす。
そこに現れた朱乃の使い魔。
「こ、子鬼?」
これまた手のひらサイズの鬼が背伸びをしていた。
意外に思っているところに“戦車”小猫。
「シロです」
見ると小猫の腕の中にかわいらしい白猫がいた。
そして“騎士”祐斗の番に変わる。
「僕のは…」
「あぁ、お前のはいいや」
「フフ、つれないな」
省こうとする一誠だったが、雄介とアーシアは興味があったようで祐斗は快く自信の使いまである小鳥を紹介してくれた。
一通り紹介が終わったところでリアスの説明が始まった。
「悪魔にとって基本的なものよ。主の手伝いから情報伝達まで、追跡にも使えるわ」
「あのぉ、その使い魔さんたちはどうやって手に入れれば…」
「それはね」
アーシアの質問にリアスが答えかけた時だった。
部室の扉のノックが来訪者の存在を告げたのだ。
「はあい」
「失礼します」
そして部室に入ってきた人物たち、特に先頭に立っていた女性にまず一誠が驚きの声を上げた。
「なっ…、このお方は!」
「あの、どちらさまですか?」
唯一、彼女のことを知らないアーシアが小声で一誠に尋ねた。
「この学校の生徒会長、支取蒼那先輩だよ。隣は副会長の森羅椿姫先輩。てか、生徒会メンバー勢揃いじゃん」
一誠たちが生徒会の登場に戸惑う中、リアスは不敵な笑みを浮かべて彼女たちを迎えた。
「おそろいで、どうしたの?」
「お互い下僕が増えたことだし、改めてご挨拶をと」
「下僕って、まさか…!」
またも支取蒼那の言葉に驚く雄介たちに朱乃が説明を始めてくれた。
「この方の真実のお名前はソウナ・シトリー。上級悪魔のシトリー家の次期当主さまです」
「この学園に他にも悪魔が!?」
思わず絶句してしまう一誠を見て、生徒会メンバーでただ一人いた男子生徒が呆れたように口を開いた。
「リアス先輩、僕たちのこと彼に話してなかったんですか?同じ悪魔なのに気づかないこいつもどうよって感じですが」
「サジ、私たちはお互い干渉しないことになっているの。兵藤君が知らなくても当然です」
予想外の展開にいまいち状況を飲み超えていない雄介、一誠、アーシア。
朱乃が言うには学園の実権はリアスの家系であるグレモリー家が握っているのだが、『表』の学園生活は支取蒼那率いる生徒会、つまりシトリー家が支配を一任しているということらしい。
「お前、最近書記として生徒会の追加メンバーになった、確か、2年C組の…」
「匙元士郎。“兵士”です」
「“兵士”の兵藤一誠。“僧侶”のアーシア・アルジェントよ」
ソウナに続いてリアスが新たな下僕となった一誠たちを紹介する。
「へ~、お前も“兵士”か。それも同学年なんて」
「はぁ。俺としては変態3人組の一人であるお前と同じなんてひどくプライドが傷つくんだけどな…」
「なっ…!ンだとてめえ!」
同じ駒同士という奇遇に一度はうれしそうな声を上げた一誠だったが、その思いとは裏腹にサジにため息まじりの嫌味を言われ怒りの感情をあらわにした。
「お、やるか?俺は悪魔になったばかりだがこう見えて駒4つの兵士だぜ?」
しかし、すぐに挑発してくるサジをソウナが鋭い睨みで制した。
「サジ、おやめなさい。それに、そこの彼は駒を8つ消費してるのよ」
「8つって、全部じゃないですか!信じられない…こんなさえないやつなのに」
「うるせえ!」
「ごめんなさいね、兵藤君、アルジェントさん。よろしければ新人悪魔どうし仲良くしてください。サジ」
「は、はい…。よろしく」
ソウナに促され、どこか不満が含まれているように見えるが渋々と手を差し出してきた。
「はい、よろしくお願いしますね」
その手を屈託のない笑顔を浮かべたアーシアが掴む。
「こちらこそ!アーシアさんみたいにかわいい子なら大歓迎だよ!」
途端にサジは一誠とは真逆の反応で握り返してきた。
すかさず間に割り込んだ一誠が2人を引き離し、思い切り力を込めて握手を交わした。
「ハハハ!サジ君!俺のこともよろしくね!つーか、アーシアに手を出したらマジ殺すからね、サジ君!」
「うんうん!よろしくね、兵藤君!金髪美少女を独り占めだなんて本当にエロエロの鬼畜くんだね、兵藤君!」
お互いに無理やりな笑顔で見つめながら暴言を暴言で返しあう。
「大変ね」
「そちらも」
そんな珍妙な光景を見ながら2人の主であるリアスとソーナは嘆息していた。
そしてソーナの視線はリアスの後ろにいた雄介に移った。
ソーナは雄介を興味深そうに見つめる。
「なるほど、彼が噂の…」
「ええ、紹介するわ。協力者の五代雄介よ」
「どうも。あ、よかったらこれどうぞ」
リアスに促される形で挨拶をする雄介は同時にいつもの名刺をソーナに差し出した。
「フフ…。どうやら思ってた以上におもしろい人みたいね」
名刺を見ながら微笑むように笑うソーナの後ろでは、未だにイッセーとサジが握手という名のにらみ合いが続いていた。
「俺はデビューして早々使い魔を持つことが許されたんだ。お前はまだチラシ配りをしているそうじゃないか?」
「馬鹿にするな!俺だって部長から使い魔を持つようさっき言い渡されたんだよ!」
そう2人の言い争う内容にソーナは少し驚いた顔をしてリアスに尋ねた。
「あなたのところも?」
「ええ、来週にでもと思っていたのだけれど…」
「でも『彼』は月に一度しか請け負ってくれませんし…」
すると考え込むソーナにリアスがある提案をした。
「ならここは公平に実力勝負としないかしら?勝ったほうが『彼』に依頼する権利を得るの」
「まさか、レーティングゲームを?」
しかし、ソーナの予想をリアスは即座に否定した。
「まさか、まず許可してもらえないわ」
「そうですね。それに今のあなたは大事な身体ですから」
「関係ないわ」
なぜか突然、リアスが返した一言にはどこか怒気が含まれていたように感じた。
しかし、その後はまるで何もなかったかのように表情は柔らかくなっていた。
「そうね…」
そして、次の一言がオカルト研究部と生徒会、両者の対決の火ぶたを切って落とすこととなった。
「なら、ここは高校生らしくスポーツで決着を決めましょう!」
☆
場所は学園の敷地内に設けられたテニスコートに移った。
白ラインが引かれた芝生の上にはテニスウェアに身を包んだリアス、朱乃、そしてソーナ、椿姫が対峙していた。
「がんばれぇ!部長!朱乃さぁん!」
「会長!勝ってください!」
外野で一誠とサジがそれぞれの主に声援を送る。
「朱乃、この勝負勝ちに行くわよ」
「はい、部長」
「いくわよ、ソーナ」
「よろしくてよ。リアス」
お互い軽快な動きで相手を翻弄していく。
ラリーが続く度に黄色い歓声が沸きあがる。
そんな中で一誠はコートを飛び交うボールに目もくれず、フェンスに食い入る勢いでリアスたちのきわどい姿に鼻の下を伸ばしていた。
「もちろん部長に勝ってもらいたいけど、こうしていつまでも…」
「眺めていたいものだなぁ」
「ああ。…ってお前ら!?」
不意に聞こえた声に反射的に頷いていたが、我に返るとその隣で悪友の松田と元浜が双眼鏡を構えながら同じように鼻の下を伸ばしていた。
レンズを覗く2人の目が血走っているように見えるのは気のせいだと思いたい。
そんな2人が興奮気味で語りだす。
「わが学園トップクラスの美女たちがきらめく純白のアンダースコートで対戦!」
「光の速さで学園中に拡散しないわけがなかろう!」
悪友の妙なテンションに当てられたのか、すぐに一誠の変態スイッチがONに切り替わった。
「しかも、全員テニスの腕もプロ級だもんな!」
「いや、ビジュアルを含めればまさに神級!」
「「同意!」」
一誠たちとは違う場所で雄介、祐斗、小猫の3人も同じように試合を観戦していた。
「気が付くとずいぶんギャラリーが増えてるね」
「これでは魔力は使えませんね」
「え?」
小猫の言葉に雄介は軽い戦慄を覚えた。
どうやら悪魔同士ならスポーツであっても魔力を使用するらしい。
「お食らいなさい。支取流スピンサーブ!」
しかし、言ってるそばからソーナが青い魔力をまとわせたサーブを放った。
「あまいわ。グレモリー流カウンターを食らいなさい」
迎え撃とうとするリアスだが、ボールは地面にバウンドするとともにその軌道を真横に変えてしまった。
「15-30!」
審判が生徒会チームに点数が入ったことを告げる。
「クッソォ~…」
「ハッハッハッハァ!さすが我が会長!」
悔しがる一誠だが、同時にはじかれたボールでリアスのスカートがめくれた瞬間をしっかりと目撃した。
対し、サジはフェンスに上り『生徒会』と刺繍された旗を振るっていた。
「しっかり使っちゃってるね、魔力…」
目の前の光景に祐斗は呆れ交じりの苦笑いを浮かべていた。
「ちょっと熱くなりすぎかもです」
小猫はいつもどおり淡々としている。
「いや、魔力使っちゃっても大丈夫なの、これ?」
雄介が心配そうに周りを見渡すと…。
「ま…魔球だ!」
観客の誰かがそう言った。
その言葉が周りに伝播していく。その速さ、まさに神速の如し。
「…魔球で納得しちゃってるみたいだね」
今度は雄介が苦笑いを浮かべていた。
「いろいろ平和的で何よりです」
小猫は小猫でいつも通りの淡々とした反応を示していた。
一方、コートではテンションが頂点に達したリアスとソーナの激しい攻防が続いたのだが…。
結局のところ、いつまでたっても勝敗がつかなかったので勝負は団体戦にもちこみとなったらしい。
雄介は激しい攻防の果てに網をぶち抜かれボロボロになったかわいそうなラケットを見て少し引いていた。
「今部長と朱乃さんが生徒会と協議中なんだよ」
祐斗が言い終わると同時に出ていたリアスと朱乃が戻ってきた。
「種目はドッジボールに決まったわ。勝負は明日の夜、体育館で。一誠とアーシアのためにがんばりましょう」
「「「「「はい!」」」」」
決意のこもった部員全員の返事がシンクロした。
☆
しかし、たかがドッジボールといえどやはり悪魔が絡むと穏便に済むわけがなかった。
ボールに魔力を纏わせることはもちろん、追尾は当たり前、金的上等。
殺人級の威力を誇るボールが飛び交い、スポーツマンシップもクソもない。
状況はもはや混沌と化していた。
「………」
その光景を人間という理由で試合を見守っていた雄介は唖然としていた。
最終的に時間切れでオカルト研究部が勝利を勝ち取ったのだが…。
この試合は雄介をはじめ、新人悪魔である一誠と特に純粋なアーシアに衝撃を与えたのは間違いない。
☆
「まいったわね…」
そうつぶやくリアスを含めその場にいるメンバーは渋い顔をしていた。
「まさか、このタイミングではぐれ悪魔が現われるなんて。ついてないわね」
いよいよ彼女たちが使い魔捕獲に乗り出そうとした時、事態は起きた。
突然上級悪魔からはぐれ悪魔の討伐命令が舞い込んできたのだ。
「どうなされますか、部長?」
朱乃が問いに、リアスはあきらめたように口を開いた。
「仕方ないわ。はぐれ悪魔を放っておくわけにはいかないわ。残念だけど、使い魔はまたの機会ね」
「そんなぁ…」
リアスの決断に使い魔捕獲を楽しみにしていた一誠とアーシアは盛大に落ち込んでしまった。
「なら、俺が行きます」
そう、名乗りを上げたのは雄介だった。
「雄介?」
「はぐれ悪魔の討伐は俺が引き受けます。その間にみんなは手筈通り使い魔の捕獲に向かってください」
「でも、それじゃあ五代が…」
「大丈夫。どちらにしろ、俺は使い魔は持てないからね」
「確かに、五代君の言うとおりでもありますわね。どうしますか、部長?」
しばし考え込んだ末、リアスが出した答えは…。
「頼めるかしら、雄介?」
「部長!?」
ある意味雄介に押し付けるというリアスの決断に納得がいかなかったのか、とっさに一誠が声を上げた。
「はい!それじゃ、行ってきます」
しかし、一誠の反応そっちのけで雄介は部室を飛び出していったのだった。
「部長!いいんですか?五代だけに行かせて!」
「ええ、あの子の強さはイッセーもよく分かってるでしょう?」
「それは、そうですけど…。でも!」
「大丈夫よ。雄介はそう簡単にやられたりはしないわ。彼の気持ちを無駄にしないためにも、私たちは私たちのやるべきことをしましょ」
リアスに言われ、一誠も腹をくくった。
「わっかりました!どうせなら、あいつがびっくりして腰抜かしちまうぐらいすごい使い魔をゲットしてやりますよ!な?アーシア!」
「はい!」
テンションの上がった一誠にアーシアが同意する。
その光景にリアスは笑みをこぼした。
「さあ、そうと決まればみんな準備はいいわね?」
「「「「「はい!」」」」」
リアスの問いに、彼女の下僕たちの返事が重なった。
こうして彼女たちは“使い魔の森”に向かうのだった。
☆
部室を出た雄介は情報をもとに周辺を捜索していた。
「多分、この辺りだと思うんだけどなぁ…」
そう頭を悩ませていた時だった。
遠くのほうから誰かの悲鳴が聞こえた。
すぐさま雄介はその場所に向かってバイクを走らせた。
現場に到着すると、すでに2人の警官が倒れていた。
巡回中に使用していたのだろうか、パトカーのボンネットが大きく凹み隙間から煙が上っていた。
そして、そばにはトラの怪人が立っていた。
「これでまた一人…」
雄介を見てそう言うなりいきなり襲い掛かってきた。
咄嗟にバイクから離れて攻撃をかわす雄介だったがそのせいで敵の拳がバイクのコントロールパネルを砕いた。
もちろん、それに驚いている暇はない。
すぐに距離を取りアークルを出現させる。
左前方に突き出した右腕を右方向に、反対に左腕をアークルの上部を滑らすように左へと移動させる。
「変身!」
前方に向かって広げた右腕を、左脇腹へと移動させた左腕に合わせる。
すぐに体を開き、大の字で身構える。
そして雄介の身体は装甲で覆われ、赤いクウガに変身した。
「そうか、お前がクウガか!俺は傷の数だけ強くなる“メ・ガドラ・ダ”だ!」
名乗るなり、ガドラが殴りかかって来る。
対して雄介も拳で迎え撃つ。
クウガとガドラの拳がぶつかり辺りに衝撃が広がった。
☆
丁度その頃、長野県九朗ヶ岳に設置された研究施設でそれは起こった。
「手伝ワセテシマッテ申シ訳ナイデス、沢渡サン」
「いいのよ、ジャン。これくらい気にしないで」
ジャンと桜子が遺跡から出土した謎の破片をひとつひとつアタッシュケースにしまっていた。
一室には大小たくさんのケースが積まれていた。
「さて、これで最後ね」
桜子が最後のケースを置いて部屋を出た。
「オ疲レ様デス。ソレデハ参リマショウカ」
「ええ」
ジャンが扉を閉め、桜子とともに部屋を離れていく。
その時、彼女たちは気づかなかった。
ケースの中で霊石が何かに反応するように点滅していたのだ。
だんだんと点滅の速度が速まっていき、ガタガタと震えだす。
すると他のケースも呼応するかのように震えだしたのだ。
ジャンと桜子が歩みを進めようとしたときだった。
ドゴォォォン!!
「「!?」」
部屋からものすごい音が聞こえ、驚いた2人は急いで部屋に駆け込んだ。
「What?」
今の部屋の有様にジャンが驚きの声を上げた。
部屋の中は数秒前までの物静かな雰囲気とはまるで違っていたのだ。
積まれていたケースが床一面に散らばっている。
そのほとんどが破損して使い物にならなくなっていた。
しかし、今そんなことは2人にはどうでもよかった。
2人が見つめる先、天井には大きな穴があり、澄み切った青空が伺えた。
その一点に何かが浮いていた。
それの姿形はどことなく、クワガタムシに似ていた。
そしてクワガタらしきそれは、何かに導かれるかのように向きを変え飛び去って行った。
「今のは…」
桜子はそう呟く以外、まるで何事もなかったかのように広がる青空を見つるめることしかできなかった。
今日のウィザードは、やりすぎ感が否めません。
なんか戦隊っぽい…。
スーパーヒーロー大戦も「Z」って…。
ワン〇ースとかぶってるし、ショッカーもショッカーだし…。
東映はどこを目指しているんだろ?
ただ、絶対見に行くけどネ!