東方混沌記   作:ヤマタケる

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ガイルゴールを追い詰めることに成功したユニ達。


第93話 終焉ラグナロク

一同は砂埃の立つ場所を恐る恐る見る。と、突然ユニの目の前に何かが飛んできた。それを見た瞬間、ユニは思わず口を開く。

 

「霊夢!」

 

飛んできたのは少し傷を被った霊夢だった。彼女を見た瞬間、魔理沙も駆け寄り、頭を優しく抱える。その瞬間、ピンがある方向を見て言う。

 

「ミ、ミンナ!アレミテ!!」

 

ピンが指差す方向を一同は一斉に見る。そこには身体中血だらけであるものの、立っているガイルゴールがいた。

 

「駄目だ、奴を倒せてない!」

 

悠岐が叫んだ瞬間、ガイルゴールが消えたかと思うと一瞬にしてライオンのような黄色い胴体に悪魔のような青い両腕、龍のような赤い首と顔の巨大な魔物へと姿を変えた。それを見た瞬間、ヴァンが口を開く。

 

「ガイルゴールが魔物へと姿を変えた!!もうなす(すべ)はない。我々の力をもってしても今のガイルゴールには何も通用しない!!」

 

「嘘だろ、こんなことってあるかよ・・・。」

 

魔理沙が呆然となりながら言った瞬間、ガイルゴールが口を開く。

 

「フフフ、これを待っていたぞ。余がこの姿へと変貌することの出来るこの時をな。殃禍に終止符が打たれないのはこれがあるからだ。能力を入れ換えようともこの姿さえあれば何のことはない。今からこれでお前達、いや全てを滅ぼして・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいや、まだ終わっていないわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きを言おうとしたガイルゴールに割り込んできたのはユニだった。ユニは魔物へと姿を変えたガイルゴールに近づく。それを見た神奈子が彼女に言う。

 

「よせユニ!!今の力ではガイルゴールには・・・。」

 

「分かってるわ。私の力じゃどうしようもない。でも、私はまだ力を全て出し尽くした訳ではないわ。」

 

そう言った瞬間、ユニは剛岐を見て言う。

 

「小宝様、ガイルゴールに通用しないのはガイルゴールが見たことのある攻撃ですよね?」

 

「あ。あぁ、そうさ。」

 

「ならば私は、ガイルゴールが見たことのない攻撃を放つ。」

 

そう言った瞬間、ユニはスペルカードを取りだし、発動する。

 

「現符『シャドウルーム』」

 

ユニがスペルカードを発動した瞬間、辺りが黒い空間に包まれた。そして空間が消えた瞬間、周りの風景が一変して草木の繁る場所ではなく、ただ白い砂と夜の空に覆われた場所だった。これを見た豊姫が言う。

 

「ここは・・・。」

 

「初めて見る場所だな。」

 

豊姫や剛岐が話している中、ガイルゴールは少し辺りを見回し、口を開く。

 

「ほう、余の世界へと場所を移したか。」

 

「そうよ!これは私のラストスペルを使うためにやったのよ。幻想郷では規模が大きすぎるからここにした。ここなら誰にも影響されることなく私の切り札を使える。私が、永琳によって封印されていた時に作った、今まで一度も使ったことのないスペルカードよ。」

 

そう言った瞬間、ユニは一呼吸置き、そして大きい声を上げる。

 

「行くわよ、覚悟しなさいガイルゴール!!スペルカード、終焉『ラグナロク』」

 

「何ッ!?」

 

ユニの言葉を聞いた瞬間、ガイルゴールは思わず声を上げる。そんなガイルゴールとは別にセコンド達が首を傾げながら言う。

 

「終焉ラグナロクだと?」

 

「初めて聞くスペルカードだ。」

 

メルト・グランチも言葉を発する中、ユニがガイルゴールを見ながら言う。

 

「このスペルカードは今日一日私のスペルカードが全て使えなくなる。その代わりに私の今まで出会った人達全てのクローンを出現させ、そのクローンの攻撃全てをガイルゴール、あなたに放つ!」

 

「なんだと!?」

 

「だから私は場所を幻想郷からこの世界へ移したのよ。あなたを倒すために!!」

 

そう言った瞬間、辺りに様々な色の珠が浮かび始めた。そしてその珠が霊夢や魔理沙、悠岐やピンのように数百を越えるような人達がガイルゴールの回りに集まる。

 

「すげぇ、ユニにこんなスペルカードがあっただなんて・・・。」

 

魔理沙が言う中、悠岐、楓は黙ってその様子を見ていた。

 

「な、なんだこれは!!」

 

驚くガイルゴールに突然、一本の鎖がガイルゴールの腕に巻きついた。さらに首、片方の腕、四本の足、尻尾にも鎖が巻きつく。これを見た瞬間、ガイルゴールはある方向を見て言う。

 

「これは、神縛りの塚!八本あるということは今いる小宝剛岐、セコンド、メルト・グランチとそのクローン達のものか!!」

 

ガイルゴールが見る方向には先程まで戦っていた剛岐、セコンド、メルト・グランチと彼らのクローンが鎖を持っていた。そんな中、ユニがガイルゴールから離れた場所で浮かび、ガイルゴールを指差し、大声を上げる。

 

「全てのクローン達よ!!殃禍を起こし神に怒りの一撃を与えよ!!」

 

そう言った瞬間、ガイルゴールの回りに集まるクローンがガイルゴール目掛けて一斉に攻撃を放った。それを見た悠岐が一同に言う。

 

「みんな伏せろ!!」

 

彼の言葉で近くにいる人達全員が身を伏せた。その瞬間、ガイルゴールが大声を上げる。

 

「あり得ぬ・・・この全てを完全に超越した余が、この余がぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

その瞬間、ガイルゴールに全てのクローンの攻撃が命中し、辺りに先程の霊夢の一撃とは比べ物にならならいほどの衝撃が辺りを襲った。




ラストスペルをガイルゴールにぶつけるユニ!!
果たして勝敗は!?
次作もお楽しみに!

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