場所は変わって無縁塚周辺。そこでは急いでガイルゴールの元へ向かうユニ達がいた。と、魔理沙が口を開く。
「全く、面倒な状況だぜ。ガイルゴールの遠くからの射撃を避けるために走らなきゃならないなんて。」
「仕方ないよ。ビオラ女王陛下の作戦を実行するために私達の協力が必用なんだから。」
ユニ達はガイルゴールの遠くからの奇襲に合わぬように走って移動していた。と、ビオラが口を開く。
「私と小宝様、ヴァンは途中で離脱します。ガイルゴールの隙を見計らって作戦を行います!」
「マジデスカヘイカ!!ボクタチハソノアイダニジカンヲカセグノデスカ!?」
「悠岐や楓達が大分時間を稼いでくれました。ですので少しの間で大丈夫です!」
と、ユニが突然走るのを辞めた。それを見た魔理沙達は慌てて足を止める。そんな中、剛岐がユニに言う。
「おいどうしたユニ!」
「あ、あれ・・・。」
ユニが指差す方向、そこには大きさ6mほどの巨大な牛の妖怪が横になっていた。それを見たヴァンがユニ達の前に出て言う。
「下がっていてください!」
そう言うと彼は武器を構える。と、何かを感じたビオラが口を開く。
「ち、ちょっと待ってください。あの妖怪、何か変です。私達がここにいるならすぐに気づく筈、ですが全くこちらを見向きもしません。」
「いいや、油断するなビオラ。もしかしたら急に俺達を襲ってくるかもしれねぇ。」
「で、ですが何か異臭が漂いませんか?」
「た、確かに陛下の言うとおり、何か変な臭いがするわね。」
そう言った瞬間、ヴァンが妖怪を見ながら指さし、口を開く。
「あ、あれは!!」
彼が言った瞬間、一同は一斉に彼の指差す方向を見る。そこには全身が青と白の模様で目は赤く、口元に血が付着している狼が横たわる妖怪の上にいた。それを見た霊夢が口を開く。
「あ、あれは狼?」
「で、ですが霊夢さん。あの狼は地面から肩までの高さが2mくらいありますよ。それに体長は5mほどだし、狼としては大きすぎませんか?」
霊夢と妖夢が話している中、ユニは狼を見ながら思わず言う。
「綺麗・・・こんな綺麗な狼が幻想郷にいたなんて知らなかった!」
ユニが叫んだ瞬間、彼女をじっと凝視していた狼が妖怪から降りて何処かへ行ってしまった。と、裏に行っていた剛岐がユニ達の元へ行き、言う。
「妖怪は腹の中を喰われてて死んでいた。この妖怪が死んだのはあの狼のせいなんだな。」
「ソウダッタンダ・・・。」
ピンと剛岐が話している中、ビオラがユニを見て言う。
「ユニ、これからあなた達と私達は別行動です。決して挫けないように。」
「えぇ、勿論です。女王陛下。」
そう言った瞬間、ビオラは剛岐、ヴァンと共に何処かへ行ってしまった。それを見た魔理沙が口を開く。
「さ、行こうぜ。ガイルゴールの元へ。」
「うん、行こう。」
そう言った瞬間、ユニ達はガイルゴールのいる場所へ走っていった。
ユニ達が走っている途中、ユニが何かを見つけ、その場へ走っていく。彼女に続いて霊夢達も走る。その場所へ着いた彼女はすぐさま倒れていた者の頭を優しく抱えて口を開く。
「楓ちゃん・・・。」
ユニが見つけたのは戦いで力尽き、気絶していた楓だった。彼女に続いて魔理沙もある人物を見つけて思わず言う。
「依姫・・・。」
魔理沙の見つめる先には戦いで力尽きた依姫の姿があった。ユニ達はさらに奥を見る。そこには戦いで力尽きたメルト・グランチや悠岐、神奈子や白蓮達の姿があった。と、倒れる悠岐達を通りすぎてユニ達の元に何者かがやって来た。その人物は2mを背丈に全体的に長い髪、日本貴族の服を着ていて青い瞳をしている男だった。男を見た瞬間、ピンが口を開く。
「ガイルゴール・・・。」
ピンの言葉を聞いた瞬間、ユニ達もガイルゴールを見つめる。と、ガイルゴールが口を開く。
「久しぶりだな、アイアルト・ユニよ。幻想郷を守りし者。」
「ガイルゴール・・・。」
ガイルゴールの名前を呼ぶとユニは気絶している楓を優しく地面に寝かせるとガイルゴールの前に立つ。そして言う。
「殃禍はまだ続けるつもりなの?皆がこんなに傷だらけになったというのに・・・。」
「お前の仲間が傷つこうがつかまいが余には関係ない。これは余が決めたことだ。余が負ければ余もそれなりの罰・・・いいや、何と言うのだろうな?報いと言うべきか?報いを受ける。」
二人が話している中、魔理沙が口を開く。
「やっと聞けるぜ、神さんよぉ。ガイルゴール、あんたあの時なんでユニのことを百合って言いかけたんだ?」
「お前達には関係のないことだ。」
「チッ!」
「・・・と、言いたいところだが、黙っているのもいい加減飽きた。そろそろ話そうと思っていたところだ。」
そう言うとガイルゴールは目線を魔理沙からユニに変えて再び口を開く。
「アイアルト・ユニ、お前の本名はアイアルト・ユニではない。」
「・・・え?」
「お前は現世の闘王アイアルト・モルトの妹などではない。お前は八意永琳の娘。お前の本当の名前は、八意百合姫。次期月の都の姫になるはずの存在だった。」
ガイルゴールの言葉を聞いた瞬間、ユニは唖然となりながら地面に膝をついた。そんな彼女とは別にガイルゴールが再び口を開く。
「お前は八意永琳や蓬莱山輝夜、綿月姉妹と出会った時にこう思わなかったか?『見覚えがある』とな。」
そう言った瞬間、ユニの目から徐々に涙が溢れ始めた。それを見たガイルゴールが笑みを浮かべながら言う。
「フフフ、どうやらその通りのようだな。まぁそれはさておき、改めて八意百合姫よ、何故お前の記憶ではアイアルト家で産まれたか知っているか?それは八意永琳が月の都で罪を犯した蓬莱山輝夜を連れていくのと同時にお前を地上へ連れていき、千年間封印した。その千年間の間に何者かにお前は記憶を屠られたのだ。」
ガイルゴールの話を聞いていた妖夢が思わず口を開く。
「ユニさんに、あんな過去があったなんて・・・。」
「それに、衝撃的だったのはユニが月人だったことよ。まさか永琳の娘だなんて。」
妖夢と霊夢が話している中、ガイルゴールがユニに近付きながら言う。
「真実を知ったか?八意百合姫よ。これがお前の過去の出来事だ。」
そう言うとガイルゴールは右手に刀を持ち、ユニに向けた。刀を向けられているのにも関わらず、ユニは唖然となっているままだった。そんな彼女を見て魔理沙とピンが叫ぶ。
「ユニ、しっかりしろ!!」
「ユニチャンアブナイヨ!!」
「無駄だ。今のお前達の言葉は百合姫には届かぬ。あまりのショックな真実であったからな、お前達が何を言おうと無駄だ。」
そう言った瞬間、ガイルゴールは刀を振り上げた。と、その時だった。突如ガイルゴールの目の前に男が現れた。
「何ッ!?」
声を上げるガイルゴールとは別に男はガイルゴールを殴り飛ばした。
ガイルゴールから告げられるユニの真実。突如現れた男。一体どうなる!?
次作もお楽しみに!