マヨヒガにたどり着いたユニ達はすぐに紫の元へ向かった。
「紫!いるんでしょ、紫!!」
霊夢とユニの掛け声に駆けつけた紫は真剣な目付きをしていた。彼女の後ろには既に戦闘体制に入っている藍と橙がいる。そんな中、紫が霊夢達が言おうとしたことを口にした。
「さっき橙から聞いたわ。まさか魔族まで入ってくるなんてね。名前は何て言ってたかしら?」
「確か、ギラヒムだったな。」
紫の質問に答えたのは妹紅だった。と、その時、誰かが駆けてくる音が聞こえた。そしてすぐに彼女達はその方向に目を向ける。そこには上半身と下半身に分かれている上海人形と蓬莱人形を持つ、アリスだった。そして彼女は言った。
「覇王も入ってきたわ。」
「覇王?」
「やっぱりね・・・どうも現実世界の気配を感じていたのよ。予想的中ね。」
「紫、覇王って新しい五大王の一人なのか?」
「白沢さん、残念だけど現実世界の五大王は五大王のまま。増えることなんてないわ。前に小宝さんに聞いたのだけど、どうやらあれらは悠岐君達の敵みたい。」
「じゃあ私達にとっても敵ということね。」
「そうよ。」
「あの・・・みんなちょっといいかな?」
紫が話していた中、アリスが唐突に口を開いた。そして再び言う。
「実はそのギラヒムっていう男の主君の名前が分かったんだけど・・・」
「主君が分かった!?今すぐ教えて!」
彼女の言葉に咄嗟に食らいついたのはユニだった。そんな彼女とは別にアリスは言う。
「確か、ガノンドロフだったわね。」
「ガノンドロフ?」
ここにいる一同は聞いたことのない名前を言われ、首を傾げた。そんな中、ユニが口を開いた。
「確か、ガノンドロフってハイラル王国にいた、『悪の化身』と呼ばれた人じゃなかったかしら。」
「ユニ、知ってるなら私に教えてちょうだい。何か手掛かりが掴めるかもしれない。」
「おいギラヒム。計画はまだ始めないのか?」
誰もいない玄武の沢の奥地、そこには青白い素肌の男、ギラヒムと顔を謎の被り物で覆い隠している男の二人がいた。男の問いにギラヒムは答える。
「勿論、問題ないとも。つい先程竹林を散歩していたらハイラル王国では見かけない女の子達に会ったよ。見るからに弱そうだったよ。」
「女のことはどうでもいい、それよりもガノンドロフ様が求める、『召喚のトライフォース』の手掛かりは掴めたのか?」
「生憎、それが見つからなくてね。困ってるんだよ。何か情報はないかい?ザント。」
ギラヒムが言う男、ザント。彼は彼は影の王と呼ばれており、ハイラル王国の者達から恐れられている。ギラヒムの問いかけにザントはすぐに答えた。
「私の元にも特に何の情報も集まっていない。すまないが私は力になれない。」
と、唐突に二人の背後から大きな足音が響いた。それを聞いた瞬間、二人はその方向へ体を向け、膝を地面につけた。そして頭を下ろした。奥からやってきたのは身長2mを有に越えていて左手には忌まわしい剣を握っている大男が現れた。大男は二人を見て口を開いた。
「ザント、計画は順調なのか?」
「はい、順調でございます。ですがまだ『召喚のトライフォース』の持ち主が誰なのかは特定出来ていません。」
「そうか、まあゆっくり探せばよい。いずれこの世界も我が手中に置かれるのだからな。そして、ギラヒムよ、覇王どもはどうなっている?」
「はい、つい先程様子を見に行ったのですがやはり大勢の軍隊を率いております。」
「・・・奴らに先越されないようにすぐに行動する。よいか、あの覇王の小僧に我の計画を邪魔されてはならないのだ。それを承知の上でお前達には働いてもらっているからな。」
「はっ!」
「さて、我は先程の続きをするとしようか・・・」
そう言うと大男、ガノンドロフは奥へと進んでいった。二人はそれをただ黙って見つめていた。
「よし、今のところは問題ないな。」
場所は変わって無縁塚。そこでは先程アリスとの戦闘を繰り広げた覇王の蛇人間、クリーフルと彼と同じ種類で緑のコートを着ている鰐人間がいた。
「随分とご機嫌だな、クリーフル。」
「ああ、これでこの世界がようやく俺達のものになるのだからな。」
「帝王によってやられたあいつらのために必ずこの世界を統一するぞ。」
「だがクリーフル、ガノンドロフらはどうするんだ?」
「フフフ、安堵しろドールク。あいつならカックン達に任せておけばいい。」
「だがガノンドロフも大魔王と呼ばれた強大な力を持つ男。簡単には倒れない筈だ。」
「だからそれを使うんだよ。カックン達で時間を稼いでその間に幻想郷を支配しようというわけさ。」
「成程、クリーフルとしては中々いいアイディアじゃないか。」
そして二人は無縁塚から見える幻想郷の人里を見て、笑みを浮かべた。
幻想郷に迫る、ガノンドロフらとクリーフルらの計画。果たして幻想郷はどうなってしまうのか!?
次作もお楽しみに!