東方混沌記   作:ヤマタケる

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悪魔と死神。現世と幻想郷を代表する隊長同士がぶつかり合う。


第77話 悠岐vs篁②

息を整えた二人は再び刀と鎖鎌で打ち合う。それを見ていた妹子が口を開く。

 

「お兄様、勝てますかね・・・。」

 

「さぁね。兄さんも強いけれど、悠岐も強いからね。」

 

妹子の疑問に自然と小町が答えた。そんな中、悠岐と篁の二人は互いの武器を打ち合う。無縁塚付近で二人の武器の打ち合う音が響く。と、篁が口を開く。

 

「テメェ、中々やるじゃねぇか。流石映姫様が見込んだ男だ。」

 

「それはどうも。別に俺は映姫に見込まれなくていいんだけどな。」

 

「ハッ、まぁどうでもいいけどな。」

 

「テメェ、随分と余裕そうだな。何か秘策でも隠しているな?」

 

「勿論。俺が切り札を残さない訳がない。今ここでテメェに使ってやるぜ。」

 

そう言った瞬間、篁の回りに黒いオーラが漂い始めた。それを見た小町が言う。

 

「あらら、久しぶりに兄さんの本気を見れる。」

 

「あれを使われて無事だった者は一人もいないと言われていますよね。」

 

二人が話している中、悠岐は黙ってその様子を見つめる。と、篁が悠岐を笑みを浮かべながら見て言う。

 

「さぁ、その身に刻むがいい。俺の本気をな!!」

 

そう言った瞬間、篁は彼の方へ走り出した。

 

(速いッ!!)

 

彼がそう思った時に既に篁は悠岐の目の前にいた。そして鎌を振り下ろす。悠岐はそれを避ける。それを見た篁が口を開く。

 

「防ぐより避けるを選択したか・・・。いい判断だな、悪魔!」

 

彼の攻撃を避けた悠岐は汗を流しながら心の中で言った。

 

(あの野郎、なんて一撃だ・・・。もしあれを防いでいたら俺の腕は反動によって折れてただろうな。)

 

悠岐は刀を構えて篁を睨む。それを見た彼は笑みを浮かべて言う。

 

「ほう、まだやるのか?あの一撃を見て自分自身で分かってるんだろ?」

 

「確かに俺はあの一撃を見てヤバイと思った。だが、ここで逃げるのは男のすることじゃねぇ。」

 

「ほう、よくそんな事を言えるもんだ。さてはテメェ、守りたい奴がいるな?」

 

「当たり前だ。(あいつ)だけは、絶対に守ると約束したんだ。絶対に死なせはしない!!」

 

「フン、奇遇だな。俺も守りたい人がいるから、こうやって死を恐れずに戦える。男ってのは、守りたい人人のために戦う馬鹿な生き物だ。無論、それはお前も、俺も当てはまる。」

 

「・・・。」

 

「さて、余興が過ぎたな。続きを始めようか。」

 

そう言うと悠岐と篁は戦う姿勢を取る。その瞬間、篁が悠岐の背後に一瞬にして移動した。

 

「なっ!?」

 

「くらえ!!」

 

そのまま篁は悠岐の腹を蹴りつけた。その瞬間、悠岐はその場で吐血する。そんな彼とは別に篁は鎖鎌を振り上げる。それを見た悠岐は不意打ちのように彼の太股を斬りつけた。

 

「ぐっ!?」

 

その隙を見て悠岐は彼との距離をあける。そして息を整える。

 

「させねぇ!!」

 

その声変わり聞こえた瞬間、篁の鎖鎌の鎖が伸び、鎖の先端についている鎌が悠岐の左腕に刺さった。

 

「!?」

 

咄嗟に悠岐が鎌を抜こうとした瞬間、篁が彼の目の前に左手に拳を作った状態で現れた。それを見た悠岐は目を見開くことしか出来なかった。

 

「オラアッ!!」

 

そのまま篁は彼の顔を殴りつけた。そのまま悠岐は物凄い勢いで吹っ飛ばされ、岩壁に衝突する。彼が衝突した場所からは砂埃が舞う。それを見た妹子が思わず口を開く。

 

「凄い、お兄様のパンチ。悠岐さんをあんなに吹っ飛ばすなんて・・・。」

 

「いくら悠岐でも、流石にあれを食らったら無事じゃ済まないよ。」

 

二人が話している中、砂埃が治まった場所から悠岐がゆっくりと体を起こした。そんな彼の頭からは血が垂れていて額に流れる。それに気づいた彼は空いている左手で額の血を触り、見る。と、篁が口を開く。

 

「その出血の量を見ると相当ヤバイ状況のようだな、悪魔さんよぉ。どうだ?この勝負、素直に降参するか?」

 

「・・・やれやれ、少々ヤバくなってきたな。このままじゃ本当に死んでしまう。俺も切り札を使わないとな。」

 

そう言った瞬間、悠岐の回りから赤黒いオーラが漂い始めた。それを見た篁は眉を潜める。と、悠岐が彼に言う。

 

「お前に使うのは少々勿体ないが、俺の命に関わることならばやむを得ない。」

 

そう言うと彼は刀を空に向ける。そして大声である一言を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我、堕天の左腕なり!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼がその一言を言った瞬間、赤黒いオーラが彼を包んだ。そしてその中から紫色に染まった瞳、顔には赤い模様が描かれている悠岐が姿を現した。それを見た篁が汗を流しながら口を開く。

 

「な、なんだその姿は。さっきのとは全く違う雰囲気だな。だが、俺がそんな程度でビビると思っていたのか!!」

 

そう言った瞬間、篁は先程と同じように一瞬にして悠岐の背後に移動した。そして鎖鎌を振り下ろす。と、悠岐は篁のほうを見て笑みを浮かべてその場から消えた。

 

「なっ!?」

 

急に消えたため、篁は慌てて体勢を立て直す。その瞬間、彼の背後に悠岐が現れた。

 

「なにッ!?」

 

声を上げる彼とは別に悠岐は篁の腹を殴りつけた。それを食らった彼は吐血しながら吹っ飛ぶ。

 

「えっ!?」

 

それを見た二人は思わず声を上げてしまう。そんな中、悠岐が篁を見ながら言う。

 

「これぞ、左腕に認められし我が力、堕天(モードオブサタン)ぞ。」




本気を出す悠岐と篁。二人の戦いの結末はいかに!?
次作もお楽しみに!

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