東方混沌記   作:ヤマタケる

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ルシファーの圧倒的な力の前にピンチになるレミリア達。そこへ楓が現れる。


第75話 迫り来るbeat 謎の死

場所は現世。そこでは海辺に数百台の戦車が並んでいた。そんな中、海辺から数百メートル離れている拠点に地王セコンドに女王ビオラ、彼女の補佐のヴァンがいた。と、ビオラがセコンドに言う。

 

「セコンド様、本当に海からやって来るのですか?」

 

「あぁ。グランチ率いる帝王軍のレーダーによれば海から大群が押し寄せているようだ。」

 

「幻想郷や四角世界(マインクラフト)が少々気になりますが・・・月の都が崩壊したと聞いては今後は犠牲を覚悟しないといけません。」

 

「セコンド様、来ます。」

 

ヴァンが言った瞬間、セコンドとビオラは彼の元へと向かう。海を見ながらセコンドは口を開く。

 

「嘗て人類はbeat(ベータ)によってほぼ絶滅した。しかし、もうそんなことを起こしてはならぬ。よいか、ビオラにヴァン。」

 

「「はっ!」」

 

二人が言った瞬間、海上に赤い頭部のようなものが浮かんできた。それを見たヴァンがレーダーの画面を見ながら言う。

 

「レーダーによると兵士(ソルジャー)級はいないものの、戦車(タンク)級と要撃(グラップラー)級は数百体を越え、突撃(デストロイヤー)級と要塞(フォート)級は数十体は確認されます。」

 

「成る程、ガイルゴールはそう来たか・・・。ヴァン、グランチとの通信を繋げてくれ。」

 

「はっ!」

 

そう言うと彼はパソコンのキーボードをカタカタた打ち始めた。そしてエンターキーを押した瞬間、声が響く。

 

「ごきげんよう、帝よ。どうかしたか?」

 

「グランチ、そちらの準備は出来ているか?」

 

「勿論だとも。街の者達は皆難攻不落の小宝城に避難させ、兵士(ソルジャー)級は帝王蜘蛛(エンペラースパイダー)や剛岐、マーグル、モルト、現世に残っている影舷隊に任せてあるよ。それに、光線(レーザー)級の対応は私の娘と部下であるリナと小太郎に任せてある。」

 

「そうか。それならよいのだが・・・。」

 

「何か悩み事でもあるのかね?ククク、帝よ。今は悩み時ではない。神の軍勢を撃破することに頭を集中させたまえ。」

 

「・・・あぁ、其の方の言うとおりだな。」

 

「それでは、ご武運を祈るよ。」

 

メルト・グランチとの通信がそのまま切れてしまう。と、セコンドは座って作業を行う兵士達に言う。

 

「余の合図とともにミサイルを発射せよ。」

 

「はっ!」

 

その瞬間、セコンド率いる地王軍がミサイル発射の準備を開始した。そんな中、ビオラが口を開く。

 

「幻想郷にも刺客が現れたようです。一刻も早くbeat達を撃破し、私達も幻想郷に向かいましょう。」

 

「そうだな。生き残れればの話だがな。」

 

「セコンド様、ミサイル装填完了しました。いつでも発射出来ます。」

 

「よし、余の合図とともに発射せよ。」

 

待っている内に次々と海面上にbeatの頭部が浮かんでくる。ビオラとヴァンはそれを黙って見る。と、ヴァンが口を開く。

 

「ち、ちょっと待ってくださいセコンド様。海面に浮いているのはbeatはbeatでも、あれはbeatの死体です!」

彼の言葉を聞いた瞬間、セコンドは目を見開きながら海を見る。彼の目には海面にプカプカと血を大量に流しながら死んでいるbeatの姿があった。それを呆然と見ている時だった。突如通信の通知が辺りに鳴り響いた。

 

「何をしている、早く繋げよ!」

 

「は、はっ!」

 

そのままヴァンはキーボードをカタカタと打ち、通信を繋げる。

 

「よぉ、セコンド。どうやらbeatが全滅していたらしいな。」

 

「・・・剛岐か。何故城にいる筈の其の方が知っている?」

 

「城からバリバリ見えてるよ。今メルト・グランチにも聞いてみたけど、どの個体も喰われて死んでいやがる。」

 

「・・・喰われた?」

 

「あぁ、メルト・グランチの娘のリナと部下の村山が見に行った結果、喰われた箇所が著しくなっていたらしいぞ。」

 

「まさか・・・奴が?」

 

「奴がいるのかもしれないが今は奴と戦っている場合じゃあねぇ。もう現世を襲われることはねぇ。」

 

「剛岐よ、モルトとマーグルを城に残し、其の方は余らと共に幻想郷へ行くのだ。」

 

「・・・念には念をか。分かった、マーグルとモルトに知らせたら俺も向かう。」

 

「頼んだぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は小宝城内。そこでは何が起こっているのか分からずパニックになる街の人達と彼らを見守るゴールド・マーグル、アイアルト・モルト、小宝剛岐に現世に残っている影舷隊の隼人、ミク、ウロボロス、麻里がいた。と、剛岐が口を開く。

 

「お前ら!よく聞いてくれ。これから俺は世界のために戦ってくる。皆はここに残っていてくれ。」

 

それを聞いた街の人達、影舷隊、マーグル、モルトは目を見開く。そんな中、モルトが剛岐の近くに寄り、言う。

 

「剛岐、幻想郷に行くのか?」

 

「あぁ、ガイルゴールの野郎が月の都を崩壊させ、次は幻想郷を狙っている。だが、油断は出来ない。モルト、お前はマーグル達とここに残っていて欲しいんだ。」

 

「・・・分かった。行きたい気持ちはあるが、我慢する。」

 

「・・・そうか。」

 

「それと剛岐、1つお前に頼みがある。」

 

「頼みだと?」

 

剛岐が言った瞬間、モルトは彼の肩を軽く叩き、口を開く。

 

「俺の妹を・・・ユニを、守ってやってくれ。あいつは紫に幻想郷の守護者を任されているが・・・不安なんだ。」

 

「・・・あぁ、任せてくれ。ユニは必ず俺が守ってやるよ。」

 

そう言うと彼はモルトに背を向けて外に向かって歩いていった。と、剛岐の様子を見ていたモルトの元へミクがやって来て、口を開く。

 

「いいんですか?モルトさん。兄であるあなたが幻想郷へ行かなくて。」

 

「・・・正直不安さ。だが、俺は信じているさ。剛岐だけじゃない。幻想郷にいる悠岐や啓介、楓のこともな。」

 

「・・・無事であるといいんですが・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって帝の御所。そこへ小宝城を出た剛岐が到着していて既にセコンド、ビオラ、ヴァン、メルト・グランチが幻想郷へ向かう準備を終わらせていた。と、セコンドが口を開く。

 

「遂に余らは神へ挑む。千年殃禍に終止符を打つためにな。」

 

「しかし、相手は神だ。私が死ぬこともあれば、帝よ、卿も死ぬリスクが考えられる。」

 

「もしくは私がヴァンか・・・。」

 

「・・・・。」

 

「あまり考えない方がいいな。さぁ、行くぜ。2年ぶりの幻想郷へ。」

 

剛岐が言ったのと同時に5人は幻想郷への門の中へと入っていった。その様子を見ていた女の姿にも気がつかずに。




beatの謎の全体死。一体何が起こったというのか!?
次作もお楽しみに!

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