怒り狂った都久親王と細愛親王はガイルゴールの元へ向かう。彼らに続いて豊姫、依姫、サグメも向かっていく。それを見たガイルゴールが口を開く。
「愚かな・・・何故一斉に来るのだ?一斉に来るより別々に来たほうが良かったのだがな!!」
そう言った瞬間、ガイルゴールは一瞬にしてその場から細愛親王の背後に移動した。
「何っ!?」
思わず声を上げる豊姫。そんな中、細愛親王はそのまま振り返り、ガイルゴールに拳を入れる。
「ほう、面白い選択だ。」
そう言うとガイルゴールは細愛親王の拳を片手で受け止めた。
「バカな!!殴ってくるのも読んでしまうなんて!!」
サグメは唖然となりながら口を開いた。そんな中、ガイルゴールが口を開く。
「余がこの程度の攻撃を避けられないと思っていたのか?」
そう言うとガイルゴールは掴む細愛親王の拳に力を入れ始めた。それを見たサグメがすぐに彼の元に向かう。それを見たガイルゴールは空いている左手に光の弾を作り、サグメに放った。
「ぐはっ!」
急な攻撃をくらった彼女はそのまま地面を転がり、豊姫の足元で倒れる。
「サグメ様!!」
すぐさま豊姫は倒れる彼女の元へ駆け寄る。そして彼女に言う。
「大丈夫ですか?サグメ様。」
「あぁ、問題・・・ない。」
二人が話している中、ガイルゴールは細愛親王を見ながら言う。
「細愛よ、お前は絶望を知っているか?希望を失った気分を味わったことがないお前には分からぬだろうな。」
「それが何だと言うのだ、ガイルゴール!!」
「お前に絶望を味あわせてやろうと思ってな。すぐにでもやってやろう。」
そう言った瞬間、ガイルゴールは掴んでいた細愛親王の拳を片手で握りつぶした。その瞬間、彼の左手からは血が飛び散る。
「ぐあぁぁぁぁっ!」
「細愛殿!!」
細愛親王が激痛のあまりに叫んでいる中、ガイルゴールは左手に握り拳を作り、そのまま彼の腹を貫いた。
「かはっ・・・。」
彼の腹を貫いたガイルゴールの左手にはドクンドクンと振動しているものが握られていた。それを見た瞬間、サグメの表情が険しくなり、彼女はガイルゴールに向かいながら叫ぶ。
「貴様ァァァァ!よくも細愛親王を!!」
彼女が向かってくるのに気づいたガイルゴールは細愛親王の腹から左手を抜くとそのまま振動するものを捨て、口を開く。
「クレイジー、押さえろ。」
ガイルゴールが言った瞬間、向かってくるサグメの横からクレイジーが現れ、そのまま彼はサグメの顔を掴むと一瞬にして彼女を地面に組み伏せた。
「サグメ様!!」
彼女の元へすぐさま依姫が彼女の元へ向かう。それを見たクレイジーが彼女を見て言う。
「マスター、お前の番だ。」
彼が言った瞬間、依姫の目の前にマスターが現れた。突如目の前に出てこられては依姫は何もできず、後退してしまう。そんな彼女とは別にマスターは笑みを浮かべながら言う。
「君は今、動揺した。つまりそれは恐怖を覚えるのと同じことだよ。」
そう言った瞬間、マスターは依姫の腹を蹴りつけた。
「ぐはっ!」
そのまま依姫は地面を転がり、吐血する。その時、彼女はこう思っていた。
(たった一撃でこのダメージとは・・・。化身、恐ろしい存在だわ。)
そんな中、都久親王がクレイジーに向かって手を振りかざす。その瞬間、サグメを押さえていた左腕から鮮血が飛び散った。
「・・・?」
それを見たクレイジーは思わずサグメを放してしまう。そんな中、サグメは三人の元へ向かう。と、都久親王が口を開く。
「綿月姉妹、サグメよ。お前達は地上へ向かい、千年殃禍が始まったことを話すんだ。」
「で、ですが都久親王は!?」
「私のことなどいい!!早く行け!!」
彼が言った瞬間、サグメ、豊姫は負傷した依姫を抱えて月の海へ走っていった。それを見たガイルゴールが言う。
「追わなくてよい、マスターにクレイジー。」
「しかし・・・。」
「用があるのはあの3人ではない。月の都の主と言うのに相応しい存在、嫦娥だ。」
ガイルゴールが話している中、都久親王は武器を構えながらガイルゴールを見る。そんな彼を見たガイルゴールが口を開く。
「仲間を地上へ向かわせて自分は一人で余らと戦うか。面白い、見せてみよ。」
そう言った瞬間、ガイルゴールは都久親王の目の前に現れ、そのまま彼を殴り飛ばす。間一髪でガイルゴールの攻撃を防いだ都久親王だが、彼の持っていた武器が壊れてしまった。それを見た都久親王はガイルゴールに向かって弾幕を放った。
「無駄だ。」
そう言った瞬間、ガイルゴールは左手を前に出す。その瞬間、彼の放った弾幕が消えてしまった。
「何っ!?」
都久親王が驚く中、ガイルゴールは彼を見ながら口を開く。
「余の能力は『全てを制圧する程度の能力』。これはあらゆる特殊攻撃を制圧出来るということだ。」
そう言った瞬間、ガイルゴールは都久親王の元へ向かっていく。
「チッ!」
舌打ちするも、彼はガイルゴールに弾幕を放ち続ける。しかし特殊攻撃を制圧するガイルゴールに彼の勝目などなかった。
「終わりだ。」
そう言った瞬間、ガイルゴールの左手が都久親王の胸を貫いていた。
「がはっ・・・。」
都久親王はその場で吐血する。だが彼は自分の中の胸を貫いているガイルゴールの腕を掴む。
「?」
何を考えているのか理解出来ないガイルゴールは黙って彼の様子を見る。と、都久親王が口を開く。
「細愛、殿・・・。私とあな、たは・・・同じ運命を、辿るのだ、な・・・。」
そう言った瞬間、ガイルゴールの腕を掴んでいた手が落ち、そのまま彼は息絶えてしまった。それを見たガイルゴールは死んだ彼の胸から腕を抜いて息絶えた彼に言う。
「違うぞ、都久よ。運命は同じとは限らぬ。」
彼が言った瞬間、マスターとクレイジーがガイルゴールの背後に移動する。それを見たガイルゴールが二人に言う。
「移動するぞ、嫦娥の元へ。」
「はっ。」
そのまま三人は息絶えた兵士達を避けながら嫦娥のいる建物の前まで辿り着いた。と、ガイルゴールが口を開く。
「随分と奇妙だな・・・。嫦娥の気配は感じるというのにまるで嫦娥が死んだような感覚だ。」
「・・・・。」
二人は黙ったままだった。それに気にせず、ガイルゴールは扉を開ける。
「こっ、これは!!?」
三人の目の前に広がる光景を見てガイルゴールは思わず目を見開いた。三人の目の前に広がる光景、そこには怪しく輝く紫色の鎖で嫦娥が縛られているのであった。と、マスターが口を開く。
「まさか、奴等はこれを予期して・・・。」
「いいや、そんな筈はない!!」
そう言うとガイルゴールは嫦娥を縛っている鎖に触れる。その瞬間、彼の手が何かのエネルギーによって弾かれた。
「なっ!?」
そんな彼の右手からは何故か血が垂れていた。
「ガイルゴール様、一体何が!?」
「・・・奴だ。既に奴に先越されたか。」
「奴に!?早すぎではありませんか?」
「あぁ、早すぎる。一体いつから・・・。いや、今はそんなことを気にしている暇はない。マスターにクレイジーよ、お前達二人はあの人間二人をネザーへ連れていき、ガストの涙を回収させろ。一粒でよい、任せたぞ。」
「御意。」
そう言った瞬間、マスターとクレイジーはその場から消えていった。二人が消えていった瞬間、ガイルゴールは星が広がる光景を見ながら口を開く。
「お前はまたしても余の邪魔をし、神の政権を奪うつもりか、エリュシオン!!」
ガイルゴール達によって崩壊した月の都。嫦娥封印の謎とは!?
次作もお楽しみに!