場所は月の都。そこでは月の都の親王である都久親王と
「実に不思議だな・・・。」
「どうして溜め息をつくんだ?都久殿。」
「地上の者達の力が強くなっている気がした。まだ未熟者であろうと綿月姉妹は地上の妖怪程度に負ける筈はない。だが八意思兼から手紙が送られ、二人を地上へ送り、カオスとやらの下部を倒すように命じたのだが・・・。サグメの話によれば二人は妖怪や土壌神と互角だったと話していた。」
「地上は何故これほどまで強くなっているのだ?まさか五大王の方々が!?」
「あの方々は妖怪やら土壌神とは関わらぬ筈。だとしたら・・・。」
「・・・あまり深く考えないほうがいいな。」
「それと細愛殿、千年殃禍を知っているか?」
「あぁ。1000年前の全ての世界で起こった異変。」
「それがこの時期だというのを耳にした。」
「陛下は知っているのか?」
「それを願うだけだ。だが、月の都が初めに攻められることはない。過去2度はガイルゴールは全て地上から攻めている。月の都から襲撃されることは極めてない。」
「そうだな。一応敵の奇襲に備えて兵を召集しておかねば。」
「そうだな。」
二人が話している中、月の都の外の防御結界付近では。千年殃禍の黒幕、ガイルゴールとマスターハンドとクレイジーハンドが月の都を見ていた。と、ガイルゴールが口を開く。
「気が利くな。クレイジー。気配を破壊しておくとはな。」
「月の都はここまでも気配を感じれますから。」
二人が話している中、マスターが防御結界を見つめながら言う。
「すごいですね、月の都は。都から距離はある筈なのに、ここまで結界を張るなんて。」
「月の都は現世の次に技術が発達した世界だからな。マスター。」
「はい。」
「余が月の都を破壊したのと同時に気配を作れ。作戦通りであれば奴らはすぐにこの場へ軍を送るつもりだ。」
「はっ!」
マスターが言った瞬間、ガイルゴールは結界の側まで近寄る。そしてガイルゴールは右手を上にあげ、そのまま振り下ろす。その瞬間、防御結界にヒビがはいっていき、遂にはガラスが割れるような音をたてて砕けた。その瞬間、月の都全体にサイレンの音が鳴り響いた。
月の都ではサイレンが鳴り響いて多くの月人がパニックになっていた。そんな中、都久親王と細愛親王の元へサグメがやって来て二人に言う。
「お二人にお伝えします。緊急事態です、月の防御結界が破壊されました!!」
「何っ!?」
「防御結界が破壊されただと!?」
「敵は何人だ!」
「報告によると、3人だけと。」
「3人だと!?たった3人だけで防御結界を壊せるわけ・・・ま、まさか!?」
「都久殿、何か分かったのか!?」
「千年殃禍だ・・・。今度は月の都を先に攻めたのか、ガイルゴールめ!!」
「何だって!?こうしてはいられない。サグメ、一番隊から五番隊を出撃させろ!状況次第で綿月姉妹も出撃させる。」
「はっ!!」
そう言うとサグメは二人の部屋から出ていった。
サグメの知らせにより、月の都から三人に向かって数百人の兵が向かっていく。それを見たマスターが口を開く。
「次々と兵が来ましたね。」
「うむ、作戦通りだ。結界を破壊して数分も立たずにゾロゾロと来ている。マスター。」
「はっ。」
「続きで悪いが、八岐大蛇とウルガストを召喚しろ。」
「御意。」
そう言うとマスターはスペルカードを取りだし、発動する。
「復活『タルタロスからの贈り物』」
その瞬間、マスターの両側から青と白の巨大な魔法陣が浮かび上がった。そしてマスターは再び口を開く。
「全てを喰らえ、ウルガスト。八つに轟け、八岐大蛇。」
その瞬間、青い魔法陣からは八つの谷を超えていて頭が八つあり、赤い目に青い体の八岐大蛇が現れた。白い魔法陣からは四角い体に両側には日本の腕がはえていて足は10本ほどあり、大きさは20mのウルガストが現れた。2体は魔法陣から現れるとそのまま月の都の兵に向かっていった。
月の都ではサグメが再び都久親王と細愛親王の部屋へと入り、報告する。
「再び報告致します。八岐大蛇とウルガストが出現しました。」
「八岐大蛇にウルガストだと!?これでは・・・。」
「サグメ、綿月姉妹と全部隊を出撃させろ!都久殿、我々も出撃しましょう。」
「あぁ、そうだな。」
そう言うと二人はすぐに月の都の外へと飛び出していった。月の都の外を見た瞬間、二人は目を見開いた。そこには八岐大蛇に喰われる兵士にウルガストに燃やされる兵士など、状況は絶望的だった。そんな中、豊姫と依姫は必死に戦っていた。と、都久親王が口を開く。
「我々も参戦せねばならんな。」
「あぁ、そうだな。」
そう言った瞬間、都久親王は八岐大蛇と戦っている依姫の元へ、細愛親王はウルガストと戦っている豊姫の元へ向かう。
「都久親王!?何故ここに?」
「話す暇などない。戦え!」
「は、はっ!」
少し慌てながらも依姫は口を開く。二人は八岐大蛇の尾から避けながら体に傷をつけていく。
「ガァァァァァ!」
蛇でありながら八岐大蛇は雄叫びを上げながら二人を締め殺そうとするが二人は素早い動きで八岐大蛇の攻撃をかわしながら斬りつけていく。
「はぁぁぁぁっ!」
「くらえっ!」
二人は同時に弾幕を放つ。二人の弾幕が当たった瞬間、八岐大蛇はヨロヨロとなり、そのまま倒れてしまった。それを見たマスターが口を開く。
「う~む、復活させたばかりはやはり厳しいか。皮膚が薄くなってるし、体力も減少している。でも、ウルガストの方は完璧みたいだね。」
そう言うとマスターは細愛親王、豊姫と戦っているウルガストに目を向ける。ウルガストは細愛親王と豊姫に圧倒的な力を見せつけていた。そんな中、八岐大蛇との戦闘を終えた都久親王と依姫が二人の元へ向かう。
「クソッ、動きが奇怪すぎる。いつ攻撃してくるのか分からん!」
「細愛親王、後にサグメ様が来ます。依姫や都久親王も来たので持ちこたえましょう!」
「あぁ、そうだな豊姫!!」
二人が話していた時、都久親王と依姫がやって来た。と、依姫が豊姫に言う。
「加戦します、お姉様!!」
「助かるわ、依姫!」
その瞬間、ウルガストが四人に向かって火の玉をはいた。四人はそれを別れて避ける。そして四人は同時にウルガストに攻撃を放つ。
「ウウウァァァァァァ!!」
ウルガストに命中した瞬間、煙があがりその煙の中からウルガストが火の玉を連射してきた。それに反応出来ずに四人は軽い火傷をおおう。
「チッ。」
思わず舌打ちしてしまう都久親王。と、その時だった。突如ウルガストの背後に何者かが飛んで来たかと思うとそのままウルガストを真っ二つに斬ってしまった。そのままウルガストは粉になって消えていった。四人の前に降り立ったのは円柱帽を被っていて白い服に杖を持っている老人だった。彼を見た瞬間、四人は彼の前に膝をつき、口を開く。
「月余美陛下。」
そんな四人を見た月余美は眉間を細めながら四人に言う。
「全てはサグメから聞いた。千年殃禍、我々の場が先だったようだな。よくぞ耐えてくれた。月の都は汚染されずに済んだ。今後は・・・。」
月余美が続きを言おうとした瞬間、彼の背後に2mを超える長身に貴族の服、青い瞳に腰まで伸びる髪の存在、ガイルゴールが現れた。
「陛下、後ろ!!」
咄嗟に後からやって来たサグメが彼に言う。
「なんじゃ!?」
すぐに後ろを振り向こうとした月余美だがガイルゴールはそんな彼の顔を片手で掴み、彼の首を別の方向へ曲げる。その瞬間、ゴキッという鈍い音が辺りに響き、月余美の首があらぬ方向に折れ曲がった。
「なっ!?」
その瞬間、四人や近くにいた兵士は目を大きく見開き、月余美はその場で倒れる。そんな中、ガイルゴールが口を開く。
「一体誰が、敵は八岐大蛇とウルガストだけと言ったのだ?」
そんな彼の顔には笑みが浮かんでいた。それを見た都久親王が歯を食い縛りながらガイルゴールを指差して叫ぶ。
「殺れぇぇぇぇぇぇぇぇ!こいつを殺すんだァァァァ!」
その瞬間、サグメや綿月姉妹、他の兵士達が一斉にガイルゴールに向かっていく。それを見たガイルゴールが口を開く。
「月余美を殺されて怒り狂ったか。マスターにクレイジー、雑魚は任せる。余の邪魔は決してするな?」
「はっ。」
目の前で月余美を殺された都久親王達。千年殃禍が遂に始める。
次作もお楽しみに!