東方混沌記   作:ヤマタケる

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永遠亭で様々なことを話したユニ。彼女が次に訪れる場所は妖怪の山だった。


第6話 化身と気配

妖怪の山へ降り立ったユニ達は山の奥へと進んでいく。と、そんな中、一人の少女が三人の前に降り立った。霊夢達の前に降り立った少女は相当慌てていた。そんな彼女に魔理沙が言う。

 

「なぁ、文。一体どうしたんだぜ?」

 

「ああ、魔理沙さん、ちょうどいいところへ。実は困ったことがあるんです。急いで守矢神社に来て下さい。」

 

そう言うと文は霊夢達を置いて先に一人で守矢神社へ向かった。

 

「あ、ちょっと文!?」

 

彼女に続いて霊夢達も文が飛んで行った方向へ行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守矢神社に到着したユニ達はある光景を見て驚きを隠せなかった。そこには大きさ7mほどの巨大な岩が神社の目の前に置かれていたからである。そして守矢神社にはここの巫女である東風谷早苗に土壌神の洩矢諏訪子、八坂神奈子の他、地霊殿の古明地さとりや霊鳥路空、火焔猫燐がいた。彼女らの回りには妖怪の山に住んでいる犬走椛や河城にとりがおり、そしてどういうわけか岩の上には西行寺幽々子と魂魄妖夢がいた。そんな中、神奈子が口を開いた。

 

「参ったな、こんな岩を置かれては私達が困るね。」

 

「お空の核エネルギーでも壊れないなんてね、何の力が秘められてるのでしょうかね・・・」

 

神奈子に続いてさとりも言葉を発する。そんな中、ユニは一人岩に近づき、そして触れた。と、ユニが言葉を発した。

 

「これ、普通の岩じゃないわね。かなりの力の持ち主じゃないと壊れないわ。」

 

彼女の言葉を聞いて霊夢達は一斉にユニに目を向ける。それを見たユニは首を傾げる。そんな中、椛が言う。

 

「何故あなたのような人間がそんなことを言えるのですか?」

 

「私は八雲紫に『幻想郷の守護』を任された人間よ。だからこういうのはすぐに見分けがつくわ。」

 

「だったらこの岩をなんとかしてみてよ!」

 

諏訪子がユニを指差しながら言った。そんな中、ユニは首を傾げていた。と、ユニは何かを思いついたかのようにスペルカードを取りだし、発動した。

 

「呼符コールザエニー。」

 

彼女が言った瞬間、彼女の左側に直径3mほどの空間が現れた。そしてユニはスペルカードを上に上げて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狂い踊らせ、クレイジーハンド!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が叫んだ瞬間、空間から巨大な白い左手が姿を現した。

 

「アッハハハハハ!」

 

白い左手は空間から出ると大きく不気味な笑い声を上げた。それを見た神奈子、早苗、諏訪子は同時に左手の名前を言った。

 

「クレイジーハンド!!」

 

「クレイジーハンド?」

 

何も分からない魔理沙達は首を傾げるばかりだった。と、突如として霊夢の背後にスキマが現れてそこからスキマ妖怪八雲紫が現れた。そして霊夢と魔理沙に言う。

 

「あれはクレイジーハンド。現実世界と幻想郷に伝えらている化身の一つで『破壊心の化身』って呼ばれているわ。」

 

「化身なの?」

 

「そうよ。そして化身は現実世界か幻想郷の誰かと契約を結ばないといけないの。クレイジーハンドは既に契約を結んだのだけど誰だかは分かるわよね?」

 

「・・・フランなのか?」

 

「ええ、そうよ。そしてもう一体の化身は現実世界の人と契約を結んだわ。」

 

「もう一体の化身って?」

 

「通称『創造心の化身』と呼ばれている、マスターハンドよ。もう誰だかは分かるでしょ?」

 

「・・・ミクなのか?」

 

「その通りよ。フランとミクは化身の契約者って言うのに相応しいかもね。」

 

そう言うと紫はクレイジーハンドの方へ目を向ける。彼女に続いて霊夢と魔理沙も目を向ける。そこにはクレイジーハンドが岩に力を込めていた。そしてクレイジーハンドの全ての指が開いた時だった。一瞬にして岩が粉々に砕け散った。それを見た一同は驚きを隠せなかった。そんな中、クレイジーハンドがユニに言う。

 

「招来の小娘よ、我を呼んだからには褒美は用意してあるのだな?」

 

「褒美?それはあなたの主だけではありませんでしたか?」

 

「フン、せっかちな小娘よ。だがお前の言う通り、褒美を貰えるのは我が主のみだ。」

 

クレイジーハンドが言った瞬間、ユニはクレイジーハンドの傍らに空間を出現させた。そのままクレイジーハンドは空間の中へ入っていった。それを見た文がユニの写真を撮った。それに気づいたユニは文を見ながら言う。

 

「これくらい、幻想郷の守護者としては当然でしょ?」

 

「あやや、そうですか?」

 

それを見た神奈子らもユニの元へ近寄る。そして言った。

 

「君の先程のは見事だったね。名前を教えてくれないかな?」

 

「私はユニよ。みなさん、よろしくね。」

 

そう言うとユニは守矢神社にいた人達一人一人に挨拶をした。それを見ていた紫が口を開いた。

 

「あの子、霊夢よりしっかりしてるじゃない。あなたもユニに見習わないとね。」

 

「余計なお世話よ。」

 

「けど、紫が言ったことは間違ってないぜ。」

 

「魔理沙まで・・・はぁ。」

 

霊夢が溜め息を吐いている間にユニが戻ってきた。そしてユニは霊夢と魔理沙に言う。

 

「さて、これで終わりかしら?楽しかったわ、ありがとう。」

 

「アハハ、別に礼を言うことなんかないぜ。」

 

そのまま守矢神社からは魔理沙とユニの愉快な笑い声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、幻想郷のあらゆる人間、妖怪達が寝ている頃、紫は自身の武神である藍と共にスキマの中で水色に光る水晶玉をじっと見ていた。と、突然水晶玉の色が水色から黒に変わった。それを見た藍が思わず言葉を発する。

 

「紫様、水晶玉が・・・」

 

「何かしら・・・外の世界から何か入り込んできたわ。」

 

「なっ、外の世界から!?まさか、また奴ですか?」

 

「いいえ、今回はどうやら違うみたい。だけど、こんなことが起こるなんて有り得ないわ。」

 

「一体何が起こったのです?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外の世界ともう一つの世界から侵略者が幻想郷に入り込んだの。」




果たして幻想郷に入り込んできた侵略者とは!?
次作もお楽しみに!

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