講堂へ集まったユニ達はテーブルに座る。全員が座ったのを見たビオラが口を開く。
「実はみなさんに残念なお知らせがあります。」
「残念なお知らせですか?」
「えぇ。これは幻想郷だけでなく現世、
「全ての世界に関わること!?」
彼女の言葉にユニは思わず声を上げてしまう。そんな彼女とは別にビオラが再び言う。
「実は全ての世界には千年に一度起こる、『千年殃禍』というものがあります。」
「千年殃禍?」
「えぇ、全てを創造した神のガイルゴールが全ての世界に訪れては戦闘を仕掛けてきます。」
「どうして!?」
霊夢は声を上げてしまう。声を上げずにはいられなかった。そんな彼女にヴァンが答える。
「ガイルゴールは自分を超える力の持ち主を何千年も待ち続けている。だから千年に一度という期間をあけてやって来る。」
「ちなみにヴァンさん、今までガイルゴールに勝ったことがあるのか?昔の人達は。」
「残念ながら、まだ一度も奴を倒せていない。」
「そんな・・・。」
彼の言葉を聞いた魔理沙は思わず肩を落としてしまう。そんな彼女とは別にビオラは再び言葉を発する。
「ですが、私は必ずこの殃禍に終止符を打とうと思っています。今後、千年に一度多くの人達を犠牲にしたくない。」
「・・・。」
辺りに沈黙が漂う中、何か閃いたユニが立ち上がり、口を開く。
「勝てる可能性はあるよ!だって私達には五大王の方々がいらっしゃるし、何より悠岐君や楓ちゃん、霊夢や幽香がいるんだよ!」
「だがユニ、五大王や私達がいたとしても奴には幹部がいる筈だ。そいつらにも殺られる可能性はある。」
「・・・。」
黙り混むユニにヴァンが言う。
「嘗てガイルゴールは
「だがヴァン、ガイルゴールの対策としてはどうするつもりだ?」
「・・・後程考えるつもりだ。ちなみに楓はどうするつもりなのだ?」
「私ならまず幹部を倒す。そしてガイルゴールを討つ。そんな感じだな。」
楓とヴァンが話す中、ビオラが二人に向かって口を開く。
「ガイルゴールの幹部には、まず創造心の化身、マスターハンドと破壊心の化身、クレイジーハンドがいます。」
「マスターハンド?」
「おや、霊夢はクレイジーハンドは知っているのですね。」
「えぇ、まぁ・・・。以前にユニが呼び寄せていましたからね。」
「成る程、それなら話が早い。マスターハンドはクレイジーハンドの逆の姿なのですよ。」
「クレイジーハンドの逆・・・右手か!!」
「そう、マスターハンドは右手、クレイジーハンドは左手の存在。」
「そ、そいつらの強さは一体どれくらいなんだ?女王さん。」
魔理沙が言った瞬間、ビオラは彼女を鋭い眼差しをして見ながら言う。
「魔理沙ったら、あなたは礼儀というものを知らないようですね。許可なしにタメ口で私に話しかけるなんて。身の程を弁えなさい。」
「ご、ごめんなさい。女王さ・・・陛下。」
「さて、改めて話しますがマスターハンドとクレイジーハンドの強さは恐らく、五大王の方々と互角になるかと思われます。」
「五大王と互角!?」
「そうです。ガイルゴールはそれより上の存在。勝つなんてことは不可能といっても過言ではないでしょう。」
「・・・・。」
「少し、疲れましたね。ゾンビ達を倒してすぐにこんな深刻な話をするなんて。今日はここで終わりとしましょう。みなさん、部屋に戻ってゆっくり体を休めて下さい。」
彼女が言った瞬間、ユニ達は黙って講堂から出ていった。
場所は魔理沙と霊夢の部屋。魔理沙はベッドに寝転がりながら天井を見ていた。それを見た霊夢が彼女に言う。
「何よそんな真剣な顔になっちゃって。そんなに女王さんに注意されたことが気にくわないの?」
「当たり前だぜ。なんで礼儀を覚えなきゃいけないんだ。」
「現世の掟なのよ。まぁ、あんたは仕方ないわね。師匠の魅魔にもタメ口だったし。」
「魅魔様はタメ口を許してくれただけなんだぜ。私は正直礼儀なんて必要ないと思う。」
「はぁ。魔理沙、あんたは本当に幻想郷で生まれて良かったわね。」
「あぁ、本当に良かったぜ。」
続いて悠岐、啓介、ピンのいる部屋。三人はベッドに寝転がりながら話していた。
「悠岐、お前は千年殃禍を知っていたのか?ヴァンやユニが話していた時にお前だけ無口だったし、冷静な目をしていた。」
「1年前、爺さんの書庫にあった書物を読んだ。その内容に千年殃禍のことが書かれていた。」
「ドンナコトガカカレテタノ?」
「天から現れし大いなる脅威は全ての生物を滅ぼす。」
「そう、書かれていたのか?」
「あぁ。恐らくこれがガイルゴールのことだ。」
「ドウシテソンナコトガ・・・。」
「ガイルゴールの考えることなんて分かりきったことじゃない。しかも陛下はこの次期に訪れるとかなんとか言っていたし。」
「十分に警戒しろってことだな。」
「・・・。」
「あれ、ピン?」
突然ピンが無口になったため、二人はピンのいる方向を見る。ピンは既に布団に潜って寝ていた。それを見た二人は汗を流し、口を開く。
「相変わらず寝るのか早いな、土人形は。」
「人形でも睡眠はとるんだな。」
「さ、俺たちも寝よう。」
「あぁ、そうだな。おやすみ悠岐。」
「おやすみ啓介。」
そう言うと二人は布団に潜り、そのまま眠りについた。
ビオラのいう千年殃禍とは!?
次作もお楽しみに!